
スーパーセット法とは?効果・メリット・デメリットを徹底解説
1. スーパーセット法とは?
1.1 定義
スーパーセット法とは、2つの種目を休息を挟まずに連続して行うトレーニング手法です。通常のトレーニングでは「1種目 → 休息 → 次のセット」という流れをとりますが、スーパーセット法では2種目をセットとして組み、最初の種目後にほとんどインターバルを置かずに次の種目へ移行します。
1.2 種類
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アンタゴニスト・スーパーセット(拮抗筋スーパーセット)
拮抗する筋群(例: 上腕二頭筋と上腕三頭筋、胸筋と背筋など)を連続で鍛える方法です。
例:バーベルカール → フレンチプレス、ベンチプレス → シーテッドロー など。 -
アゴニスト・スーパーセット(同筋群スーパーセット)
同じ筋群や関連する筋群をターゲットにした種目を続けて行います。
例:ベンチプレス → ダンベルフライ、スクワット → レッグエクステンション など。
※関連手法:プレエクゾースト法/ポストエクゾースト法 -
コンパウンド・スーパーセット
複数関節を使うコンパウンド種目(例: ベンチプレス)と、同じ筋群を狙ったアイソレーション種目(例: ダンベルフライ)を組み合わせ、大筋群と部分的追い込みを実現。 -
アッパー/ローワー・スーパーセット
上半身と下半身の種目を交互に行い、全身への刺激を増やします。
例:ベンチプレス → スクワット → ベンチプレス … といった形。
2. メリット・効果
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時間短縮
2種目をインターバル無しで連続して行うため、トレーニング全体の所要時間を大幅に短縮できます。忙しい方や効率重視のトレーニングに最適です。 -
筋肉への高い刺激
種目間の休息がほとんどないため、心拍数や代謝ストレスが高まり、同一筋群でのスーパーセットでは筋肉に強烈な追い込み効果が期待できます。 -
拮抗筋の回復促進
例として「上腕二頭筋 → 上腕三頭筋」のように交互に鍛えると、一方の筋群が動作中にもう一方が回復するため、最大挙上量やパワー発揮が向上する可能性があります。
※詳しくは:PubMedで関連研究を検索 -
心肺機能の向上
休息が短いため有酸素的要素も加わり、心拍数の上昇が持続。カロリー消費や心肺機能の向上にも効果が期待できます。
3. デメリット・注意点
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テクニック・フォームが崩れやすい
休息が短く疲労が溜まりやすいため、フォームの乱れや怪我のリスクが高まります。 -
十分な重量設定が難しい
1種目目の疲労が影響し、2種目目で重量を落とす必要があるケースが多いです。 -
プログラム設計の複雑化
種目の選択や組み合わせによって効果が大きく変わるため、計画的なプログラム設計が求められ、過度なスーパーセットはオーバートレーニングのリスクもあります。
4. 種目の選び方・組み合わせ
4.1 アンタゴニスト・スーパーセットの例
- 胸筋 vs. 広背筋: ベンチプレス (大胸筋) → バーベルロウ (広背筋)
- 上腕二頭筋 vs. 上腕三頭筋: バーベルカール (二頭筋) → ケーブルプレスダウン (三頭筋)
- 大腿四頭筋 vs. ハムストリングス: レッグエクステンション (四頭筋) → レッグカール (ハムストリングス)
4.2 同筋群スーパーセットの例
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プレエクゾースト
アイソレーション種目 → コンパウンド種目
例:ダンベルフライ (大胸筋アイソレーション) → ベンチプレス -
ポストエクゾースト
コンパウンド種目 → アイソレーション種目
例:スクワット → レッグエクステンション
4.3 全身/アッパー&ローワーのスーパーセット
上半身(プレス系)と下半身(スクワット系)を交互に行い、全身への刺激を増やします。
例:ベンチプレス → スクワット → ベンチプレス → スクワット …
※詳細は ACE Fitness の情報も参考にしてください。
5. 実践のポイントとプログラム例
5.1 実践ポイント
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目的を明確に
筋肥大や持久力、脂肪燃焼など、目的に応じて負荷やレップ数を設定。 -
重量設定はやや低めに
疲労が速く溜まるため、通常のシングルセットより5~10%程度負荷を下げると安全。 -
休息時間の確保
2種目連続後の休息は1~2分程度が目安。フォーム崩れ防止のため必須です。 -
オートレギュレーション
その日のコンディションに合わせて、重量やレップ数を柔軟に調整しましょう。
5.2 例:アンタゴニスト・スーパーセット(上半身)
頻度: 週1~2回
構成例:
- ベンチプレス (大胸筋) + バーベルロウ (広背筋) → 3セット x 8~10回
- ショルダープレス (三角筋) + ラットプルダウン (広背筋) → 3セット x 8~10回
- バーベルカール (二頭筋) + トライセプスプレスダウン (三頭筋) → 3セット x 10~12回
各ペアを連続で行い、1~2分の休息を挟んで次セットへ移行します。
5.3 例:プレエクゾースト・スーパーセット(胸)
目的: 大胸筋の肥大
構成例:
- ダンベルフライ (アイソレーション) → 8~12回
- ベンチプレス (コンパウンド) → 6~10回
これを1セットとし、休息1~2分を挟んで3セット程度。必要に応じて補助種目も追加。
6. 研究・エビデンス
Muscle Activation: 同筋群スーパーセット(プレエクゾースト)は筋電図(EMG)での筋活動が高まるという報告がある一方、1RMパフォーマンスが低下する傾向も指摘されています。
Time Under Tension: 休息が少ないことで筋肉が連続して緊張し、TUTの増大が筋肥大に寄与する可能性があります。
アンタゴニスト・スーパーセットは、拮抗筋の交互作動によりパワー発揮が向上するという研究例もあります。
7. スーパーセット法と他のトレーニング法の比較
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ドロップセット:
1種目内で重量を下げながら連続で追い込む方法。スーパーセットは複数種目の組み合わせが特徴です。
※詳細は Men’s Health で解説。 -
サーキットトレーニング:
複数種目を連続して行い、有酸素的要素も高い方法。スーパーセットは2種目で1セットを回す形が一般的です。 -
コンプレックストレーニング:
高負荷トレーニングとプライオメトリクスを連続させ、PAP効果を狙う方法。スーパーセットは種目の組み合わせ重視となります。
8. まとめ
スーパーセット法 (Super Set) は、2種目を休まず連続して行うことで、時間短縮と筋刺激の強化を同時に狙える効果的なトレーニング手法です。
アンタゴニスト・スーパーセット、同筋群スーパーセット(プレ/ポストエクゾースト)など、目的に応じたバリエーションがあります。
メリット: 効率的なボリューム確保、代謝ストレス向上、短時間での運動密度アップ。
デメリット: 疲労やフォーム崩れ、プログラム設計の複雑さに注意が必要です。
研究でも一定の効果が認められる一方、オーバートレーニング防止や十分な休息管理が求められます。
他のトレーニング法(ドロップセット、サーキット、コンプレックス)と組み合わせ、目的やレベルに応じたプログラム設計が重要です。
参考文献:
- Aguilera, F. et al. (2012) – Clinical experiences with capacitive-resistive monopolar radiofrequency: a comparative study (Rehabilitation Medicine)
- Sánchez-Ledesma, M. et al. (2016) – Effects of INDIBA® activ therapy on post-surgical recovery in patients with orthopedic interventions (Clinical Studies in Physical Therapy)
- Wright, A. et al. (2017) – Local hyperthermia for musculoskeletal injuries in athletes: A review of evidence (Sports & Exercise Medicine Journal)