FMS(機能的動作スクリーニング)とは|
あなたの「動きの質」を数値化する方法
「体重や体脂肪率は測ったことがある。でも、自分の動きの質を数値で見たことはない」——FMSはその問いに答えるシステムだ。7つの基本動作パターンをスコアリングし、怪我のリスクとトレーニングの優先順位を明確にする。JSPO-AT・FMS認定トレーナーとして、その全体像と7項目の意味を解説する。
FMSとは何か——設計思想と背景
FMS(Functional Movement Screen)は、理学療法士のグレイ・クックとリー・バートンが開発した動作評価システムだ。1997年に発表されて以来、NFLやNBAを含むプロスポーツチーム、軍、一般のフィットネス現場まで世界中で広く使われている。
FMSの設計思想は「重量ではなく動きの質を測る」というものだ。どれだけ重いものが持てるかより、基本的な動作パターンが正しく行えるかを評価する。動きに問題がある状態で高強度トレーニングを続けると、代償動作が強化され怪我のリスクが上がる——FMSはこの問題に対する答えとして生まれた。
FMS 7項目の全解説
1. ディープスクワット
クラブを頭上に保持してのディープスクワット。全身の協調性・下肢の可動域・体幹安定性を同時に評価する。かかとが浮く、体幹が前傾しすぎる、膝が内倒れするなどの代償があると1〜2点。
2. ハードルステップ
膝の高さのハードルを片脚でまたぐ動作。ステップ脚の股関節屈曲と支持脚の安定性を評価する。骨盤の傾き・体幹のぐらつきがあると減点。
3. インラインランジ
一直線上での前後方向ランジ。矢状面での動的安定性、股関節と膝の協調を見る。膝が内側に倒れる・上半身がふらつくと減点。
4. ショルダーモビリティ
背後で両手を近づけるテスト。肩甲帯・胸椎の複合的な可動域を測定。左右差も重要な指標になる。
5. アクティブストレートレッグレイズ
仰向けで片脚を持ち上げながら反対脚を床に固定する。ハムストリングス・腸腰筋の柔軟性と骨盤の安定性を同時に評価する。
6. 体幹安定性プッシュアップ
体幹をニュートラルに保ったまま腕立て伏せを行う。体幹の反射的安定性(コアの自動制御)を評価。腰が反る・骨盤が下がる場合は1点。
7. ロータリースタビリティ
四つ這いで同側の手足を前後に伸ばすテスト。体幹の多軸安定性と四肢の協調性を測る。最も多くの代償が出やすい項目で、低スコアのクライアントが多い。
| 項目 | 評価する能力 | 主な代償動作 | 14点以下は要注意 |
|---|---|---|---|
| ディープスクワット | 全身協調・下肢可動域 | かかとが浮く・前傾 | 合計14点以下で怪我リスク↑ |
| ハードルステップ | 片脚安定・股関節屈曲 | 骨盤傾き・体幹ぐらつき | — |
| インラインランジ | 矢状面安定・股関節協調 | 膝の内倒れ | — |
| ショルダーモビリティ | 肩甲帯・胸椎可動域 | 左右差・制限 | — |
| ASLR | ハムスト柔軟性・骨盤安定 | 骨盤の動揺 | — |
| 体幹安定プッシュアップ | コアの反射的安定性 | 腰の反り・骨盤下垂 | — |
| ロータリースタビリティ | 多軸体幹・四肢協調 | 脊柱の回旋代償 | — |
FMSスコアの見方:合計点より「パターン」が重要
FMSは合計21点満点だが、単純な合計点より「どの項目が低いか」と「左右差があるか」が重要だ。研究では合計14点以下または左右差がある場合に怪我のリスクが有意に高まることが示されている。
特に左右差(例:右のショルダーモビリティは3点だが左が1点)は、アンバランスな動きパターンの存在を示す。このアンバランスを放置してトレーニング強度を上げると、弱い側への過負荷が蓄積し怪我につながる。
FMS・SFMA・TPI評価の使い分け
| 評価法 | 対象 | 目的 | Disport Worldでの用途 |
|---|---|---|---|
| FMS | 痛みのない方 | 動きの質のスクリーニング・怪我予防 | トレーニング開始前の全員評価 |
| SFMA | 痛みのある方 | 痛みの原因となる動作パターンの特定 | 慢性痛・既往歴ありの方 |
| TPI評価 | ゴルファー | スイングに影響する身体的制限の特定 | ゴルフパフォーマンスプログラム |
Disport Worldでは初回評価の内容をクライアントの状態に応じてこの3つから選択・組み合わせる。ゴルファーであれば FMS + TPI評価の組み合わせ、慢性腰痛がある方にはSFMAが中心になる。
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FMS評価後のプログラム設計
FMSの結果は「何を最初に改善すべきか」の優先順位を決める地図だ。スコアの低い項目から改善する。改善の順序は「モビリティ→スタビリティ→パワー」が原則で、FMSの結果がどこに問題があるかを示してくれる。
例えばロータリースタビリティが1点の場合、デッドバグやバードドッグなどの体幹の多軸安定性エクササイズを優先する。体幹の多軸安定性が確保されてから、スクワットやデッドリフトなどのコンパウンド種目に進む。この順序を守ることで、代償動作を作らずに効率よく身体を変えられる。
よくある質問
この記事を書いた人
Disport World 代表。JSPO-AT・TPI Level2・NASM-PES保有。経営者・エグゼクティブを中心に累計20,000セッション以上を指導。JSPO-AT × TPI Level2 × INDIBA PRO MAXの組み合わせは日本唯一。
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