Trainer Certification Guide

パーソナルトレーナーの資格完全ガイド
日本で取れる資格を、全部比較する

日本でパーソナルトレーナーになるために法律上必要な資格は、ひとつもありません。だからこそ資格の意味を正確に知ることに価値があります。国家資格・財団認定資格・民間資格の全体像から、JSPO-AT・NSCA・NASM・JATIまで、受験資格・学習時間・合格率・費用・更新義務・有資格者数を一次資料で並べます

公開 2026.08.19 / 更新 2026.08.19 / 読了目安 18分 / 岡本隼人(JSPO-AT × TPI認定(Fitness 2/Power 2)× NASM-PES)

この記事で分かること

  • パーソナルトレーニング指導に業務独占資格は存在しない。無資格で開業も指導もできる——これが日本の制度の出発点
  • 資格は3層に分かれる。①国家資格(理学療法士・柔道整復師・あはき)②公益財団法人の認定資格(JSPO-AT・健康運動指導士)③民間資格(NSCA・NASM・JATIほか)
  • 学習量は32時間から930時間まで、30倍近い開きがある。同じ「資格保有」でも中身は別物
  • JSPO-ATは国家資格ではない。公益財団法人日本スポーツ協会の公認資格で、医行為・医業類似行為はできない。ここを正確に理解した上での価値を書く
  • それでもアスレティックトレーナーには構造的な強みがある。「予防→救急対応→復帰」を一本の線でカバーする設計は、他の資格にはない
  • 利用者としての選び方。目的別に、どの資格を持つ人に何を頼めるのか
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パーソナルトレーニング指導に
法律上必要な資格
業務独占資格が存在しない
930時間
JSPO-AT養成の総時間
講習750+現場実習180
JSPO養成講習会開催要項
6,116
JSPO-AT有資格者数
(2025年10月現在)
JSPO公認スポーツ指導者データ
32時間
民間資格の講習時間の例
(JATI-ATI養成講習会)
学習量には約30倍の幅がある

大前提:必要な資格は「ゼロ」という事実

結論:日本でパーソナルトレーニングの指導を行い、看板を出して開業するために、法律上必要な資格はひとつもありません。医師や柔道整復師のような業務独占資格が、この領域には存在しないからです。

まずここから始めないと、資格の話はすべて的を外します。「パーソナルトレーナー」は名称独占資格でもないため、明日から誰でもそう名乗れます。届出も登録も免許も要りません。

つまり資格とは、法律が要求するものではなく、指導者が自分の判断で取りにいった証明だということです。だからこそ「何の資格を、どういう基準で取ったのか」に情報としての価値が生まれます。資格の有無ではなく、その中身を見る必要があります。

Important

無資格で指導できることと、何をしてもよいことは違います。トレーナーが超えられない線は明確にあります。診断・治療(医師法)、マッサージ・あん摩・指圧(あはき法)、はり・きゅう、柔道整復——これらは資格を持たない者が業として行えば違法です。ストレッチやコンディショニングという名目でも、実質が手技によるマッサージであれば抵触し得ます。

資格の全体地図——3つの層

結論:この分野の資格は「①国家資格 ②公益財団法人などが認定する資格 ③民間資格」の3層に分かれます。混同されがちですが、法的な重みがまったく違います。
※「公的資格」という言葉は行政庁が認定する資格を指して使われることがあり、誤解を招くため本記事では使用しません。
意味代表例法的な効力
①国家資格法律を根拠に国が付与する免許理学療法士、柔道整復師、はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師業務独占または名称独占。無資格者が同じ行為をすれば違法
②財団認定資格公益財団法人が独自制度で認定JSPO-AT、健康運動指導士、健康運動実践指導者法的な独占はない。ただし養成基準・更新義務が制度として整備されている
③民間資格民間団体・企業が認定NSCA(CSCS/CPT)、NASM、ACSM、JATI、NESTAほか法的な効力なし。内容と難度は団体ごとに大きく異なる

注意すべきは、②と③の違いは「偉さ」ではないということです。国際的に評価の高い民間資格もあれば、1日で取れる民間資格もあります。層の違いは法的性格の違いであって、質の序列ではありません。質を見るには、次の比較表のように学習時間・合格率・更新義務を並べるしかありません。

【一覧】日本で取れる主要資格の比較表

結論:学習時間は32時間から930時間まで約30倍、合格率は18%から89.7%まで開いています。「資格を持っている」という言葉が、実態としてどれだけ幅を持つかが分かります。
各認定団体および厚生労働省の公表資料(2026年8月時点)より作成。有資格者数は団体ごとに基準日と集計方法(累計合格者/現に有効な資格者)が異なるため、単純比較はできません。合格率は年度・試験区分で変動するため、直近の公表値と対象を併記しています。費用は受験料・受講料等の目安で、養成校の学費は含みません。
資格区分学習・養成時間合格率(直近公表)費用の目安更新有資格者数
理学療法士国家資格養成校3年以上89.7%(第61回)受験料10,100円+学費なし(終身)累計247,546名
柔道整復師国家資格養成校3年以上71.5%(第34回)受験料23,900円+学費なし(終身)就業78,666人
はり師国家資格養成校3年以上67.2%(第34回)受験料19,500円+学費なし(終身)就業136,736人
きゅう師国家資格養成校3年以上70.5%(第34回)受験料19,500円+学費なし(終身)就業134,730人
あん摩マッサージ指圧師国家資格養成校3年以上85.0%(第34回)受験料19,500円+学費なし(終身)就業119,703人
JSPO-AT公認資格
公財日本スポーツ協会
講習750時間+現場実習180時間20%(2025年度秋・新カリキュラム)/67%(同年度・旧カリキュラム理論)約14.4万〜14.6万円
(別途登録料)
4年ごと・10単位6,116名
健康運動指導士民間資格
公益財団法人
40〜104単位(60〜156時間)71.4%(第161回)13.75万〜29.15万円あり(更新料22,000円)17,530名
健康運動実践指導者民間資格
公益財団法人
33単位(49.5時間)非公表約17.6万円あり17,248名
CSCS(NSCA)民間資格規定なし(独学前提)55.0%(2024年度・日本)受験料50,270円+年会費3年ごと・CEU国内2,322名
NSCA-CPT民間資格規定なし(独学前提)77.9%(2024年度・日本)受験料46,090円+年会費3年ごと・CEU国内4,932名
JATI-ATI民間資格32時間56〜84%(2024年度・回により変動)約17万円(会費・教材込)あり非公表
NASM-CPT民間資格自己ペース(規定なし)85%(2025年度・全世界)変動(キャンペーン制)2年ごと非公表
NESTA-PFT民間資格実質1日での受験も可能非公表63,250円あり非公表
整体師・カイロプラクター資格制度なし法定の定めなし公的統計なし

養成に求められる時間の差を、そのまま並べる

各団体が公表する講習・養成時間。国家資格(養成校3年以上)は桁が違うため除外し、トレーナー系資格のみを比較しています。

JSPO-AT930時間
講習750時間+現場実習180時間(実習は養成校ルート)
健康運動指導士156時間
104単位コースの場合(40単位コースは60時間)
健康運動実践指導者49.5時間
33単位(1単位90分)
JATI-ATI32時間
一般科目16時間+専門科目16時間
CSCS/NSCA-CPT/NASM-CPT規定なし
必須の講習時間はなく、独学・自己ペースが前提。学習量は個人差が大きい

※ 時間の長さは質の保証ではありません。独学前提の資格でも、CSCSのように学位を受験要件とするものがあります。

Reading the table

この表で最初に見るべきは「更新」の列です。国家資格は終身、民間資格の多くは2〜3年、JSPO-ATは4年ごとに単位取得を求められます。更新義務があるということは、取った時点の知識のまま止まれない設計だということです。逆に更新のない資格は、取得が何年前であっても表記は同じになります。

国家資格グループ——医療に近い側

結論:この5つは法律を根拠とする免許で、それぞれ「できること」が法律で決まっています。トレーニング指導のための資格ではありませんが、身体を扱う専門職として現場で重なります。

理学療法士(PT)

理学療法士及び作業療法士法に基づく国家資格。医師の指示の下に理学療法を行います。法律上の定義は「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」。第61回国家試験の合格率は89.7%(受験12,436人・合格11,156人)、累計合格者は247,546名です。

柔道整復師

柔道整復師法に基づく業務独占資格で、整骨院・接骨院の施術者です。重要なのは第17条の制限で、骨折・脱臼の患部への施術は、応急手当を除いて医師の同意が必須。打撲・捻挫・挫傷(肉ばなれ)には同意なしで施術できます。第34回の合格率は71.5%、就業者は78,666人(2024年末)。

はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(あはき)

3つとも「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づく業務独占資格です。とくに押さえるべきは、医師を除けば、マッサージを独立して業として行える唯一の国家資格があん摩マッサージ指圧師であるという点です(理学療法士も理学療法の一環としてマッサージを行えますが、病院・診療所内または医師の具体的な指示を受けた場合に限られます/理学療法士及び作業療法士法第15条第2項)。就業者ははり師136,736人、きゅう師134,730人、あん摩マッサージ指圧師119,703人(いずれも2024年末)。

資格制度が存在しない領域

整体師・カイロプラクターには、日本に国家資格も公的資格も存在しません。法定の養成年数もカリキュラムも定められておらず、数日の講習から4年課程まで実態はさまざまです。届出制度がないため、公的な人数統計すら存在しません。名称から国家資格と誤解されやすい代表例なので、混同しないでください。

JSPO-AT——アスレティックトレーナー資格の実像

結論:JSPO-ATは国家資格ではありません。公益財団法人日本スポーツ協会が公認スポーツ指導者制度に基づいて認定する資格です。そして医行為・医業類似行為はできません。この2点を正確に押さえたうえで、養成の中身を見ると、この資格の性格がはっきりします。

私自身がこの資格の保有者なので、まず限界のほうから書きます。JSPO-ATには法的な業務独占も名称独占もありません。「アスレティックトレーナー」という名称自体が法律で保護されていないため、資格がなくても名乗ること自体は規制されないということです(ただし「日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー」のように公認資格を持つかのように表示することは、商標法・不正競争防止法・景品表示法上の問題になり得ます)。診断も治療もできず、救急対応の範囲も公式に「医療資格者へ引き継ぐまで」と限定されています。

この点は日本スポーツ協会自身が2022年のカリキュラム改定で明文化しています。改定文書には「医行為や医業類似行為を行うことができる資格ではなく、あくまでもスポーツ指導者資格の一つであるため、スポーツ指導者の範疇を超えた行為(診断や治療等)を行うことは、法的に認められていない」と書かれています。さらに、改定の動機として「JSPO-AT取得者に医療関係職種の資格を有している方が多いことなども影響し、スポーツ現場の関係者のなかでも解釈に差がある状況が散見された」と協会自身が認めています。

養成カリキュラム——750時間+現場実習180時間

そのうえで、養成の中身です。JSPO-ATの専門科目は600時間あり、共通科目150時間と合わせて750時間。加えて現場実習が180時間(見学実習30+総合実習150)設定されています。この現場実習は養成校ルートでは必須、養成講習会ルート(加盟団体推薦)では免除という違いがあります。専門科目600時間の内訳は次のとおりです。

2022年カリキュラム(現行)における専門科目600時間の内訳。JSPO公表資料より。
領域時間何を扱うか
安全・健康管理とスポーツ外傷・障害の予防90起こる前に防ぐための管理と予防手段
コンディショニング90試合・練習に向けた状態づくり
リコンディショニング90怪我のあと、競技に戻すまでの段階設計
スポーツ科学概論90運動生理・バイオメカニクス等の基礎
救急対応60現場で起きた瞬間の判断と処置
人体の解剖と機能60構造と機能の基礎
スポーツ医学概論60医学的知識と他職種連携の前提
JSPO-ATの役割30職域の範囲と越えてはいけない線
検査・測定と評価30数値で身体を把握する手順

この配分に、この資格の設計思想が出ています。予防90/コンディショニング90/リコンディショニング90と、「怪我をする前」「試合に向けて」「怪我のあと」がほぼ同じ重みで置かれている。そして救急対応60時間が挟まっている。つまり時間軸の全体をカバーするように組まれています。

入口が狭い——推薦がなければ受講できない

受験ルートは実質2つです。ひとつは養成講習会ルートで、満20歳以上かつJSPO加盟団体(都道府県スポーツ協会や中央競技団体)からの推薦が必須。個人で直接申し込むことはできません。もうひとつが免除適応コース(養成校ルート)で、承認を受けた大学・専門学校のコースを修了する方法です。実際の受験者は後者が大多数で、2024年度の旧カリキュラム理論試験では1,370名中1,311名が適応コース修了者でした。

Note

受講の有効期間は共通科目4年・専門科目5年で、期間内に修了・合格できなければ受講者としての権利と取得単位をすべて失います。取り直しではなく、ゼロからのやり直しになります。

合格率——数字をひとつに丸めてはいけない

「JSPO-ATの合格率」はよく話題になりますが、2022年カリキュラム改定の移行期にあたるため、新旧2つの試験が並走していて数字が大きく違います。正確に書くと次のようになります。

JSPO公表の検定試験データより。新カリキュラムは開始間もなく受験母数が小さい点に注意。
年度・試験受験者合格者合格率
2025年度 新カリキュラム・春期1182118%
2025年度 新カリキュラム・秋期1803620%
2025年度 旧カリキュラム・理論試験1,37592567%
2024年度 旧カリキュラム・理論試験1,37073153%
2023年度 旧カリキュラム・理論試験1,40344432%

「合格率2割の難関」と書けば見栄えはしますが、それは受験母数118〜180名の新カリキュラム移行期の数字です。逆に「67%」だけを見れば簡単そうに見える。どちらか一方だけを取り出すのは誠実ではありません。JSPOが結果を公表している2023〜2025年度の3年度で見ると、旧カリキュラムの理論試験は32%→53%→67%と大きく変動しています。なお2025年度から会場でのマーク式からCBT方式に変わっているため、過年度との単純比較にも注意が必要です。

実技確認テスト——「危険な指導」は一発で不合格

筆記だけの資格ではない点も特徴です。検定試験を受ける前提として実技確認テストがあり、3カテゴリー(Ⅰ救急対応8分/Ⅱコンディショニング・リコンディショニング11分/Ⅲ安全・健康管理およびスポーツ外傷・障害の予防〈テーピングの実技〉8分)でプレーヤー役に実技と指導を行います。検定員2名が「A:可/B:不可/C:危険な指導を伴うため不可」で評価し、合否は次のように分かれます。

JSPO「専門科目実技確認テスト実施要項」より。当日の再テストでは2名ともAでなければ合格になりません。
判定結果
2名ともA/1名がA・1名がB合格
2名ともB不合格(当日の再テストを受けられる)
1名でもC、途中棄権、欠席不合格(当日の再テスト不可・別日に再受験)

この「危険な指導」という評価軸があること自体が、この資格の性格を表しています。知識を問うだけでなく、人の身体に対して安全でない手が出るかどうかを見ている。

維持コスト——4年ごとに10単位

費用は、JSPO主催の養成講習会ルートの場合、受講料110,000円+テキスト代11,550〜14,300円+検定試験受験料22,000円で計約14.4万〜14.6万円。別途、登録料20,000円(4年間)と初回のみ初期登録手数料3,300円、BLS講習の受講料がかかります。養成校(大学・専門学校)ルートは各校の学費が別途必要で、この金額には含まれません。

資格は4年ごとの更新制で、2026年4月施行の新要件では11カテゴリー(A〜K)から必須単位を含む合計10単位以上の取得が必要です(必須はカテゴリーA=JSPOが認めるBLS資格、B=インテグリティ研修)。※新要件は施行日時点で有効期間が4年ある人から適用され、4年未満の人は次回更新登録時まで旧要件です(新旧の併用は不可)。BLS(一次救命処置)資格を更新時点で有効な状態に保つことも要件に含まれます。研修参加だけでなく、現場での活動実績や学会発表・論文執筆も単位として申請できる設計です。有資格者は6,116名(2025年10月現在)、男性75.4%・女性24.6%となっています。

トレーニング指導系——NSCA・JATI

結論:トレーニングを「処方する」ための資格群です。NSCAのCSCSはアスリート向け、NSCA-CPTは一般向け、JATIは国内団体による体系。いずれも民間資格で、独学が前提のものが多いのが特徴です。

CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)

米国NSCAの資格で、日本ではNSCAジャパンが窓口。受験資格は①学位(学士・修士・博士)取得者 ②4年制・6年制大学の卒業見込み者(大学4年生は在学中に受験可) ③高度専門士(4年制専門学校卒)のいずれかで、加えてNSCAジャパン会員であることが必要です。②の場合は合格後1年以内に卒業証明書を提出すれば認定されます。なおCPR/AED認定は「受験」ではなく「資格認定」の条件で、未取得でも受験でき、合格日から1年以内に提出すれば認定されます。指定講習はなく独学が前提。2024年度は日本で353名が受験し合格率55.0%。受験料50,270円。更新は全資格者共通の3年サイクル(現行は2024年1月1日〜2026年12月31日)で、期間内に必要CEU(認定時期により6.0〜0)を取得し、資格更新料(3,300〜9,900円・税込)を支払います。期間終了時点でNSCAジャパン会員でないと失効し、CPR/AED認定の常時保持も必要です。国内資格者は2,322名(2026年3月末)。

NSCA-CPT(認定パーソナルトレーナー)

一般のクライアントを対象とするNSCAの資格。受験条件は①満18歳以上 ②高卒以上または高卒認定合格 ③NSCAジャパン会員の3つで、CSCSと違い学位は不要です(CPR/AEDは認定の条件で、受験時点で未取得でも可)。2024年度は日本で1,247名が受験し合格率77.9%。受験料46,090円。国内資格者は4,932名で、CSCS(2,322名)の2倍以上。NSCAの両資格の実保有者は合計6,707名です(いずれも2026年3月31日現在)。

JATI-ATI(トレーニング指導者)

NPO法人日本トレーニング指導者協会の資格。養成講習会は一般科目16時間+専門科目16時間の計32時間で、2026年度はオンライン開催。費用は個人正会員年会費11,000円+講習126,500円+受験料33,000円で約17万円。2024年度の合格率は一般対象で56〜84%(回により変動)。上位資格としてAATI(上級)、SATI(特別上級)があります。

米国系——NASM・ACSM

結論:オンラインで完結し、自分のペースで取得できるのが米国系の特徴です。ただし専門資格のなかには更新不要のものもあり、「取得後に知識が更新される仕組みがあるか」は個別に確認する必要があります。

NASM-CPT

全米スポーツ医学アカデミーの認定パーソナルトレーナー資格。高校卒業・有効なCPR/AED認定が要件で(NASM自体に年齢要件はありません)、学習は完全に自己ペースのオンライン。2025年(暦年)の合格率は85%(22,843名中19,338名)と公式に公表されています。ただしこれはNASMが実施する試験全体(米国中心・全世界)の数字であり、日本国内受験者の合格率ではありません(国内分は非公表)。更新は2年ごとに2.0 CEU。

NASM-PES/NASM-CES

PESはアスリートのパフォーマンス向上、CESはコレクティブエクササイズ(動作の改善)に特化した専門資格です。私自身もPESを保有しています。ここで正直に書いておくべき点があります。NASM公式の規約上、NCCA(全米資格認定委員会)の認定を受けているのはNASM-CPTとAFAA-CGFIのみで、PES・CESはNCCA非認定です。またPESは更新不要・有効期限なしと公式に明記されています。専門知識としての価値と、資格制度としての厳格さは別だということです。

ACSM

米国スポーツ医学会の資格群(ACSM-CPT/EP/CEP/GEI)。臨床運動生理の領域まで含む体系で、学術的な背景が強いのが特徴です。日本語での受験環境は限定的で、国内での取得者は多くありません。

健康づくり系と、短期で取れる民間資格

結論:健康運動指導士・健康運動実践指導者は、生活習慣病予防や高齢者の運動指導を主戦場とする資格です。一方で、実質1日で取得できる民間資格も存在します。

健康運動指導士/健康運動実践指導者

いずれも公益財団法人健康・体力づくり事業財団の認定。健康運動指導士は養成講習会が40〜104単位(60〜156時間)の4コース制で、受講料137,500〜291,500円。第161回認定試験の合格率は71.4%(受験465名・合格332名)。有資格者は17,530名(2026年8月現在)。健康運動実践指導者は33単位(49.5時間)、初年度総額の目安は約17.6万円、有資格者17,248名(2026年3月1日現在。指導士の人数とは基準日が異なります)。医療機関や自治体の健康づくり事業と接続しやすいのが強みです。

短期で取得できる民間資格

NESTA-PFTの直接受験ルートは、1年以上のトレーナー等の実務経験、または体育・医療系の大学・専門学校卒業などの要件を満たす人が対象です。要件を満たせば事前講習は任意で、実質「テキスト学習+試験日1日」で取得できます(必須費用は教材14,960円+受験料8,250円+登録料40,040円=63,250円。ほかにCPR・AED技能の保持が必要)。JHCA-FCは受験料16,000円+合格後のライセンス登録料5,000円+年会費10,500円。これらを否定する意図はありません。ただ、930時間の養成課程と、1日の試験が、同じ「資格保有」という一語で表現されてしまうのが現状だということは知っておいてよいと思います。

アスレティックトレーナーの何が優れているのか

結論:AT資格の価値は「法的な強さ」ではなく「カバーする時間軸の広さ」にあります。怪我をする前・起きた瞬間・戻していく過程——この3つを1つの資格でまとめて扱う設計は、主要資格のなかでは例がありません。

ここまで読んで分かるとおり、JSPO-ATは国家資格でもなければ、医療行為ができるわけでもありません。それでも私がこの資格を軸に置いているのは、次の4つの理由からです。

①「予防→救急→復帰」を分断せずに学ぶ設計

他の資格を時間軸で並べてみると、この違いがはっきりします。

各資格が主にカバーする時間軸。◎=中心領域、○=カリキュラムに含まれる、—=範囲外または限定的。各団体の公表カリキュラムに基づく整理です。
資格怪我の予防受傷直後の救急対応治療復帰までの再構築パフォーマンス向上
JSPO-AT◎ 90時間◎ 60時間—(不可)◎ 90時間◎ 90時間
理学療法士◎(医師の指示下)
柔道整復師○(応急手当)◎(業務範囲内)
CSCS
NSCA-CPT/NASM-CPT
健康運動指導士◎(生活習慣病)

治療の列に「—」が入っているのがATの限界です。しかしそれ以外の全列に◎が並ぶ資格は、この表にひとつしかありません。これは偶然ではなく、競技現場に1人で立つ人材を想定して設計されているからです。試合中に選手が倒れたときに動き、練習前に予防を組み、怪我のあとは復帰までの段取りを引く——それを分業ではなく一人で追う前提のカリキュラムになっています。

②「越えてはいけない線」を30時間かけて教える

専門科目に「JSPO-ATの役割」が30時間あります。これは技術ではなく職域の境界を学ぶ時間です。公式テキストでは、検査・測定と評価についてすら「その検査・測定と評価の目的が診断等になっていないか」を常に自問するよう指示されています。

資格を持たない人ほど「治せます」と言いやすく、境界の教育を受けた人ほど言わなくなる。この資格が実務で効いてくるのは、何ができるかより、何をしないかを判断できる点です。

③実技で「危険な指導」を弾く仕組みがある

先述の実技確認テストの評価軸「C:危険な指導を伴うため不可」は、筆記中心の資格にはない仕組みです。知識があることと、人の身体に安全な手を出せることは別——これを制度として分けて確認しています。

④4年ごとの更新で、止まれない

4年ごと10単位の更新は、正直に言えば負担です。しかし裏を返せば、「20年前に取りました」という状態が制度上ありえないということでもあります。更新のない資格では、取得年が何年前でも肩書きの表記は変わりません。

現場での実際(Disport Worldの一次情報)

当ジムは六本木で2016年から運営し、累計20,000セッション以上を担当してきました。この中でAT課程の内容が最も使われるのは、意外にもアスリートではなく一般のお客様です。「昔痛めた膝が気になる」「五十肩の直後」「ヘルニアの既往がある」——こうした方が全体の相当数を占め、そのたびに必要になるのが「今どこまで負荷をかけてよいか」の線引きと、医療に戻すべきかの判断です。

逆に、競技現場で叩き込まれた救急対応の技術をジムで使う機会はほとんどありません。使うのは判断の枠組みのほうで、技術そのものではないというのが、10年やってみての実感です。

参考:米国のATCとは制度がまったく違う

「アスレティックトレーナー」という同じ呼称でも、米国のATC(BOC認定)は法的地位が別物です。50州すべてとワシントンD.C.で州法による規制があり、48州+D.C.が免許制(licensure)、ハワイは登録制、カリフォルニアは2025年1月施行のAB796による名称独占となっています。AMA等からallied health profession(医療関連専門職)として認定され、業務範囲には医師の指示・連携のもとでの臨床診断や治療的介入が含まれ、多くの州で保険償還の対象です。教育要件も2022年秋学期以降、CAATE認定の学士課程が新規入学者の受け入れを停止したため、これから目指す人は修士課程に進むことになります(在籍中だった学生には経過措置がありました)。

人数は約56,906名(2023年1月)で、日本の6,116名(2025年10月)の約9倍です。ただし基準日が異なる概算であり、人口規模を揃えると人口あたりでは約3倍強という比較になります。

日本で「アスレティックトレーナーの国家資格化」が議論される背景は、まさにこの差にあります。現状を正確に言えば、日本のATは「医療にはなれないが、医療とスポーツ現場の間を埋めるために設計された資格」です。この立ち位置を誤魔化さずに使うことが、資格を広めることにつながると考えています。

目的別・どの資格の人に頼むべきか

結論:資格に優劣はなく、目的との相性があるだけです。利用者の立場で、状況別の対応先を整理します。
あなたの状況まず頼るべき相手理由
痛みがある・怪我をした医師(整形外科)診断ができるのは医師だけ。順序を飛ばさない
診断がつき、治療が必要理学療法士・柔道整復師などそれぞれの業務範囲で治療・施術ができる
痛みは引いたが、元のように動けないアスレティックトレーナー(JSPO-AT)リコンディショニング90時間が直接あたる領域
怪我を繰り返しているアスレティックトレーナー(JSPO-AT)予防90時間+評価30時間で原因側を扱う
競技成績を上げたいCSCS・NASM-PES・競技別の専門資格ストレングス&コンディショニングが中心領域
体型を変えたい・健康維持NSCA-CPT・NASM-CPT等一般クライアント向けのプログラム設計が本領
生活習慣病の予防・改善健康運動指導士医療機関・自治体事業との接続が強い
疲労回復・リラクゼーションあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師手技・鍼灸は国家資格の業務独占領域
資格より先に確認したいこと

資格は「その人が何を学んだか」の証明であって、「あなたに合うか」の証明ではありません。初回に評価をしてくれるか、できないことをできないと言うか、医療に戻すべき場面で戻すか——確認すべきはそこです。詳しくは「ちゃんと身体を見てくれる人」の選び方にまとめています。

資格の中身を、実際の評価で確かめる

肩書きではなく、初回に何を見るかで判断してください。当ジムの体験は90分すべてを評価と説明に使い、姿勢・可動域・動作を測ってから、その場で身体の現在地をお伝えします。JSPO-AT × TPI認定(Fitness 2/Power 2)× NASM-PESの視点で、できることとできないことを正直にご説明します。

¥15,000¥7,500

体験セッション90分/税込/毎月先着3名さま半額/六本木駅徒歩4分・完全個室/ウェア・タオル無料/無理な勧誘はありません

よくあるご質問

パーソナルトレーナーになるのに資格は必要ですか?

法律上は不要です。パーソナルトレーニング指導には業務独占資格も名称独占資格も存在せず、無資格で指導も開業もできます。ただし、マッサージ・あん摩・指圧、はり、きゅう、柔道整復、そして診断・治療は、それぞれ国家資格が必要な行為です。資格がなくてもできることと、何をしてもよいことは別だとご理解ください。

アスレティックトレーナー(JSPO-AT)は国家資格ですか?

いいえ、国家資格ではありません。公益財団法人日本スポーツ協会が公認スポーツ指導者制度に基づいて認定する資格です。日本スポーツ協会自身が公式文書で「医行為や医業類似行為を行うことができる資格ではなく、あくまでもスポーツ指導者資格の一つ」と明記しています。なお米国のATCは州法に基づく免許制で、法的地位がまったく異なります。

JSPO-ATの合格率はどのくらいですか?

年度と試験区分で大きく変わるため、ひとつの数字では表せません。2022年のカリキュラム改定にともなう移行期で、新旧2つの試験が並走しているためです。JSPO公表値では、新カリキュラムの検定試験が2025年度春期18%(21/118)・秋期20%(36/180)、旧カリキュラムの理論試験が2025年度67%・2024年度53%・2023年度32%となっています。新カリキュラムは受験母数が小さい点にも注意が必要です。

一番難しいトレーナー資格はどれですか?

難易度を単純に比較することはできません。合格率だけを見れば年度により変動しますし、養成時間・受験資格・更新義務のどれを基準にするかで順序が変わるからです。ひとつの目安として、養成時間はJSPO-ATが講習750時間+現場実習180時間、CSCSは学士以上の学位が受験要件、JATI-ATIは講習32時間、NESTA-PFTは実質1日での受験も可能、という開きがあります。国家資格(理学療法士・柔道整復師・あはき)は3年以上の養成校修学が前提です。

アスレティックトレーナーに治療やマッサージをしてもらえますか?

できません。JSPO-ATの資格では医行為(診断・治療)も医業類似行為も行えません。「マッサージ」を業として行えるのは、あん摩マッサージ指圧師(国家資格)です。JSPO-ATの公式な職務範囲は、外傷・障害の予防、コンディショニングとリコンディショニング、安全と健康管理、そして医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応と定義されています。当ジムでも診断・治療は行わず、必要な場合は医療機関にお繋ぎします。

これから資格を取るなら、どれを選ぶべきですか?

働きたい現場から逆算するのが確実です。競技チームや部活動に関わりたいならJSPO-AT、アスリートのストレングス指導ならCSCS、一般クライアント中心のパーソナルジムならNSCA-CPTやNASM-CPT、医療機関や自治体の健康づくり事業なら健康運動指導士。なおJSPO-ATは加盟団体からの推薦が必須で個人申込ができないため、社会人が目指す場合は承認校の免除適応コースを検討するのが現実的です。実際、受験者の大多数は適応コース修了者です。

岡本 隼人

Disport World 代表トレーナー/JSPO-AT × TPI認定(Fitness 2/Power 2)× NASM-PES

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。競技現場で外傷対応から競技復帰までを一貫して担当したのち、2016年に六本木でDisport Worldを開設。累計20,000セッション以上を担当。資格については「持っていること」ではなく「何を学び、何をしないと決めたか」を説明できることが大事だと考えています。

本記事は各認定団体および行政機関が公表する一次資料に基づく一般的な情報提供であり、特定の資格・団体・施設を推奨または批判するものではありません。掲載した数値は2026年8月時点の公表値で、制度改定や年度により変動します。最新情報は各団体の公式サイトでご確認ください。資格の法的性格や業務範囲に関する記述は制度の一般的な説明であり、個別の事案についての法的判断は専門家にご相談ください。Disport Worldは医療機関ではなく、診断および治療は行いません。
  • 公益財団法人日本スポーツ協会「公認アスレティックトレーナー」養成講習会開催要項、JSPO-ATカリキュラム改定資料、検定試験データ、資格更新要件資料、公認スポーツ指導者登録者数(2025年10月現在)
  • 厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」(2024年末現在)、各国家試験の合格発表資料(理学療法士第61回、柔道整復師第34回、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師第34回)
  • 特定非営利活動法人NSCAジャパン「資格認定ハンドブック」および資格者数統計(2026年3月31日現在)
  • 特定非営利活動法人日本トレーニング指導者協会(JATI)養成講習会・認定試験要項(2026年度)
  • 公益財団法人健康・体力づくり事業財団「健康運動指導士・健康運動実践指導者」養成講習会要項および登録者数(2026年8月1日現在)
  • NASM(National Academy of Sports Medicine)公式サイトおよび利用規約、ACSM公式サイト、BOC(Board of Certification)公表資料
  • 各資格の法的性格に関する記述は、医師法、理学療法士及び作業療法士法、柔道整復師法、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づいています。