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スイング中の前傾姿勢を保つゴルファー
Golf Performance

ロスオブポスチャーの直し方
——前傾が保てない原因は身体にある

スイング中に、アドレスで作った前傾角や体の角度が大きく変わってしまう——「ロスオブポスチャー」。TPI(Titleist Performance Institute)は「スイング中にセットアップ時の角度から大きく逸脱すること」と定義し、その原因として下半身の柔軟性・脊柱の可動性と広背筋の硬さ・上下の分離・体幹の筋力を挙げています。米国の研究では、片脚ブリッジ系テストに不合格のゴルファーはこの特性を示すオッズが約6倍という報告もあります。「前傾キープ」は意識の問題ではなく、身体の条件の問題です。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)であり、TPI認定(Fitness 2/Power 2)を持つ岡本隼人が、原因の特定方法と直し方を解説します。

2026.07.22 読了 約14分
この記事の要点

・ロスオブポスチャー=スイング中にアドレスの角度(前傾角・側屈角)が大きく変化する特性。起き上がる方向にも、深く沈む方向にも起こります
・打点と軌道が毎回変わるため、トップ・ダフリに加えてブロックとひっかけの両方向のミスが出ます
・TPIが挙げる原因:しゃがみ込み・ヒップベンドの制限/脊柱可動性と広背筋の硬さ/上下の分離不足/腹筋・臀筋の安定性不足
・研究では片脚ブリッジ系テスト不合格でオッズ約6倍(Gulgin et al. 2014)——「支える力」との関連が強い特性です
・骨盤がボール方向へ出る「アーリーエクステンション」は本特性の代表的なパターン。本記事は前傾維持の全体像を扱います

執筆・監修:岡本隼人(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー〈JSPO-AT〉/TPI認定(Fitness 2/Power 2)|累計20,000セッション以上)
公開日:2026-07-22 / 最終更新日:2026-07-22

ロスオブポスチャーとは
——2方向の崩れ

TPIの定義では、ロスオブポスチャー(Loss of Posture)は「ゴルフスイング中に、身体のセットアップ時の角度から大きく逸脱すること」。ポイントは、崩れ方が1方向ではないことです。

① 起き上がる方向——前傾角が浅くなり、上体が立つ。ボールとの距離が変わり、トップやブロックにつながります。② 沈み込む方向——前傾が深くなり、突っ込む。ダフリやひっかけの原因になります。どちらの場合も、スイングの軌道面と最下点が毎回作り直しになるため、ナイスショットとミスの差が大きい「波のあるゴルフ」になります。

症状何が起きているか
トップとダフリが交互に出る前傾角の変化とともに最下点が上下し、地面とのコンタクトが安定しない
ブロックとひっかけの両方向体とボールの距離が変わり、手元の通り道とフェース管理が毎回変わる
練習場では出ないミスがコースで出る傾斜・ラフ・プレッシャーで姿勢維持の余力が尽き、崩れが表面化する
ラウンド後半に当たりが薄くなる前傾を支える筋持久力が切れ、起き上がりが増える
Did You Know?

米国のアマチュアゴルファーを対象にした研究(Gulgin et al. 2014)では、片脚ブリッジ系テストの不合格者はロスオブポスチャーを示すオッズが約6倍と報告されています。前傾は「気をつけて保つ」ものではなく、臀筋と体幹が「支えてくれる」もの——支える力が無ければ、意識はスイングの速度に勝てません。

アーリーエクステンションとの関係

前傾の崩れのうち、骨盤がボール方向へ出ながら起き上がるパターンには「アーリーエクステンション」という固有の名前がついています。TPIのスクリーニングでアマチュアの約67%に見られる、最も出現頻度の高い形です。詳細な直し方はアーリーエクステンションの記事で解説しています。

本記事のロスオブポスチャーはその上位概念で、骨盤の前方移動を伴わない起き上がり・沈み込み・側屈の変化まで含む「姿勢維持全般」を扱います。動画で見たときに「骨盤が前に出ている」ならアーリーエクステンションの記事を、「骨盤の位置は変わらないのに上体の角度が変わる」「深く沈む方向に崩れる」なら本記事のアプローチが出発点になります。

原因となる身体制限
——TPIスクリーンとの対応

TPIが挙げる原因は、①フルスクワット・ヒップベンドができない下半身の柔軟性不足、②脊柱の可動性低下と広背筋の硬さ、③胸椎回旋の制限による上下の分離不足、④腹筋・臀筋の安定性不足です。前傾を保ったまま回り続けるには、可動性と支持力の両方が必要です。16項目スクリーンでは、ロスオブポスチャーは最も多くのテストと関連づけられる特性の一つです。

テスト見ているもの制限があると
OHディープスクワット足首・股関節・胸椎・肩の複合可動性しゃがみ姿勢の維持ができず、回転中に立ち上がる
前屈(トゥタッチ)ヒップヒンジと後方連鎖の伸張性前傾姿勢そのものが取りづらく、保てない
ブリッジ脚伸展臀筋・体幹の支持力研究で不合格者のオッズ約6倍。骨盤を支えられず姿勢が崩れる
広背筋長(ラットレングス)腕を上げたときに腰が引っ張られないかバックスイングで腕が上がるたびに前傾が起こされる
骨盤前後傾/胸椎伸展/頚椎回旋骨盤コントロール・胸椎・首の可動性各部の制限を「角度の変化」で代償する

※対応関係はTPIの解説および当店で使用しているスクリーニング基準に基づく整理です。オッズ比はGulgin et al.(2014, J Strength Cond Res)の報告値で、関連の強さを示すものです。

TPI Screening

「なぜ前傾が保てないのか」を
特定したい方へ

ロスオブポスチャーは関連テストが最も多い特性です。Disport WorldではTPI認定(Fitness 2/Power 2)トレーナーの岡本隼人が16項目で可動性と支持力を評価し、あなたの崩れの主因に優先順位をつけて矯正プログラムをご提案します。

LINEで体験セッションを予約する

六本木駅徒歩4分/体験90分 ¥15,000→¥7,500(税込)

自宅でできるセルフチェック3種

2つ以上引っかかる場合、身体側の制限が疑われます

ディープスクワット——しゃがみを保てるか

かかとを床に着けたまま太もも水平までしゃがみ、その姿勢で5秒キープ。しゃがめない・キープ中にかかとが浮く場合、回転中の姿勢維持の土台がありません。

片脚ブリッジ——支える力があるか

仰向けブリッジから片脚を伸ばして5秒キープ(左右)。骨盤が落ちる・傾く場合、研究で最も強くロスオブポスチャーと関連した「支持力」が不足しています。

壁前傾キープ回旋——保ったまま回れるか

壁にお尻を軽くつけてアドレスし、その前傾のまま両肩をゆっくり左右に回します。数回で腰が壁から離れる・上体が立ってくる場合、「前傾を保ったまま回る」可動性か持久力に課題があります。

※本セルフチェックは運動機能の簡易確認であり、医学的診断ではありません。痛みがある場合は先に医療機関にご相談ください。

矯正エクササイズ——3段階

順序は「可動性 → 支持力 → 姿勢維持の統合」。週3回・1回15分が目安です。

Phase 1|可動性(Mobility)

1. ハーフニーリング足首ロッキング(左右10回)2. オープンブック(左右8回)3. ラットストレッチ(30秒×2)
しゃがみ込みの土台(足首)、分離の土台(胸椎回旋)、腕挙上時に腰を引っ張らせない土台(広背筋)を順に作ります。

Phase 2|支持力(Stability)

4. グルートブリッジ→片脚ブリッジ(10回×2〜3セット)5. デッドバグ(左右6回×2セット)
研究でロスオブポスチャーと最も強く関連した臀筋・体幹の支持力を作ります。セルフチェック②がそのまま到達目標です。

Phase 3|姿勢維持の統合(Integration)

6. 壁前傾キープ回旋(左右8回×2セット)
セルフチェック③をそのままトレーニングに。お尻と壁の接触を保ったまま、ゆっくり→スイングテンポへ。

7. スクワット・ホールド回旋(左右5回)
浅いスクワットを保ったまま上体を回します。「角度を保ったまま回る」を全身で統合する仕上げです。

Caution

回数より質を優先し、フォームが崩れたら一段階戻ってください。実施中に痛みが出た場合は中止し、医療機関にご相談ください。

8週間ロードマップと効果測定

W1-2

評価と可動性

セルフチェック記録
後方動画の撮影
Phase 1を毎回実施

W3-4

支持力を追加

Phase 1+2
片脚ブリッジへ進行
壁回旋で途中確認

W5-6

統合

Phase 1〜3を通し
シャドースイング接続
ハーフスイング実打

W7-8

再評価

セルフチェック再実施
動画で前傾角比較
フルスイングへ展開

効果測定は3つ。① 後方動画での前傾角の変化量(アドレスとインパクトの比較)、② 片脚ブリッジのキープ秒数と左右差、③ 18ホール(または練習後半)での当たりの薄さの変化。身体の可動性・支持力は適切な刺激で4〜8週間から変わり始めるのが一般的な目安です。

Disport WorldのTPI評価

ロスオブポスチャーは関連する身体要因が最も広い特性で、「足首型」「ヒンジ型」「支持力型」「広背筋型」——どこから直すかで効率が大きく変わります。Disport WorldではTPIの16項目フィジカルスクリーンで主因を特定し、優先順位つきの矯正プログラムを設計します。評価項目の全体像はTPI 16項目の全解説をご覧ください。

体験セッション(90分)の内容

① カウンセリング(ミスの傾向・目標・既往の確認)
② TPIフィジカルスクリーン(スクワット・前屈・ブリッジ・広背筋を含む16項目)
③ 結果のご説明——あなたの前傾の崩れ方と身体の対応関係
④ 矯正エクササイズの体験と、今後のプログラムのご提案

よくある質問

アーリーエクステンションとロスオブポスチャーはどちらを読めばいいですか?

後方動画で骨盤がボール方向(前)へ出ているならアーリーエクステンションの記事を、骨盤の前後位置は変わらないのに前傾角だけが変わる・深く沈む方向に崩れるなら本記事が出発点です。両方の傾向がある方も多く、その場合は共通する土台(しゃがみ込み・臀筋・分離)から整えるのが効率的です。

「頭を動かすな」と意識するのは有効ですか?

頭の位置は結果であって原因ではありません。頭を止める意識が強すぎると、回転まで止まって手打ちになる副作用が出がちです。変えるべきは「角度を保てる身体の条件」で、頭部の固定ではありません。

どのくらいで改善しますか?

可動性・支持力は週3回程度のエクササイズで4〜8週間から変化が出始めるのが一般的な目安です。8週間を1クールとして、後方動画の前傾角比較で判定してください。

沈み込む方向の崩れも同じ直し方ですか?

土台となる可動性・支持力のアプローチは共通ですが、沈み込みには「ボールを強く叩きたい」意識や過度な下半身の沈み込み動作など技術要因が絡むことも多く、評価での切り分けが特に有効なパターンです。迷う場合は一度ご相談ください。

年齢的に姿勢維持は難しくなりませんか?

加齢で筋力・可動性は低下しますが、だからこそ伸びしろも大きい領域です。当店では50代・60代の方の片脚ブリッジや可動域の改善は珍しくありません。「年齢のせい」と結論づける前に、一度測ってみることをおすすめします。

体験のご案内

前傾の崩れは、関連する身体要因が広いぶん「どこから直すか」の見立てがすべてです。16項目の評価で、あなたの崩れの主因を特定するところから始めてください。

First Trial

「なぜ角度が保てないのか」を、
可動性と支持力から特定する90分

カウンセリング・TPI16項目スクリーニング・矯正エクササイズ体験まで。体験後に入会を決めていただく必要はありません。岡本隼人が直接対応します。

¥15,000¥7,50090分・税込

手ぶらOK | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分

岡本隼人
岡本 隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified NASM-PES INDIBA PRO MAX

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPIのFitness 2/Power 2プログラムを修了・認定(TPI Certified Fitness 2 / Power 2)。NASM-PES、INDIBA PRO MAX。指導歴23年・累計20,000セッション超。少年野球チーム「船橋フェニックス」監督として育成年代の指導にも携わる。Disport World(六本木3-15-21 鶯ビルB1)代表。

主な参考
  1. Titleist Performance Institute — Swing Characteristics: Loss of Posture(定義・身体的原因)
  2. Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute Level 1 movement screens and golf swing faults. J Strength Cond Res. 2014;28(2):534-539.
  3. TPI Certified Fitness/Power プログラム教材 — Body-Swing Connection