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フェアウェイでスイングするゴルファー
Golf Performance

ゴルフのスウェーの直し方
——横流れの原因は股関節にある

バックスイングで骨盤が右へ流れる「スウェー」。ダウンスイングで左へ流れる「スライド」。TPI(Titleist Performance Institute)はこの2つを対になる下半身の特性として扱い、共通の身体的原因を挙げています——股関節の内旋可動性、体幹と骨盤の分離、そして中臀筋の安定性です。「その場で回れ」と意識しても直らないのは、多くの場合、その場で回るための身体条件が揃っていないからです。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)であり、TPI認定(Fitness 2/Power 2)を持つ岡本隼人が、原因の特定方法と直し方を解説します。

2026.07.22 読了 約15分
この記事の要点

・スウェー=バックスイングで骨盤がターゲットと逆方向(右打ちなら右)へ過度に横移動する特性。スライド=ダウンスイングでターゲット方向へ横流れする特性。向きが逆なだけで、身体的原因は共通しています
・典型的な症状はダフリ・トップ、振り遅れのプッシュ、そして「練習場のマットでは打ててもコースで当たらない」
・TPIが挙げる主因は3つ:荷重側の股関節の内旋可動性の制限/体幹と骨盤の分離不足/中臀筋など股関節周囲の安定性低下
・自宅セルフチェック3種(股関節内旋の左右差・骨盤単独回旋・閉眼片脚立ち)で身体由来かを切り分けられます
・矯正は「可動性→安定性→統合」の順。8週間のロードマップを本文に掲載しています

執筆・監修:岡本隼人(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー〈JSPO-AT〉/TPI認定(Fitness 2/Power 2)|累計20,000セッション以上)
公開日:2026-07-22 / 最終更新日:2026-07-22

スウェーとスライド
——対で起こる「横流れ」

TPIの定義では、スウェー(Sway)はバックスイング中に下半身がターゲットと逆方向へ過度に横移動し、体重がトレイル足(右打ちなら右足)の外側に逃げることスライド(Slide)はダウンスイング中に下半身がターゲット方向へ過度に横移動することです。

向きは逆ですが、起きていることは同じです。本来「回旋」で処理すべき動きが「横移動」に置き換わっている——つまり、骨盤がその場で回れず、流れることで代償しているのです。だからスウェーがある人は、切り返し以降もスライドで帳尻を合わせるケースが少なくありません。片方だけを叩いても、根本の身体条件が変わらなければもう片方に化けるだけです。

Turn vs Sway / Slide — 骨盤の動きの違い(正面視)
Turn(軸の中で回旋) 骨盤の中心が軸線上に残ったまま回る Sway / Slide(横流れ) Sway(バックスイング) Slide(ダウンスイング) 骨盤の中心が軸線から外れて流れる
回旋で処理できない分が横移動に置き換わる。スウェーとスライドは「向きが逆の同じ問題」。

なぜ当たらなくなるのか
——3つの症状

横流れの怖さは、スイングの中心(最下点)が毎回動いてしまうことにあります。

症状何が起きているか
ダフリ・トップが交互に出る骨盤の位置とともにスイングの最下点が毎回ずれ、地面とのコンタクトが安定しない
振り遅れのプッシュ・すっぽ抜けスライドで骨盤が流れると回転が止まり、フェースが間に合わないまま体だけ先行する
飛距離が出ない・当たり負け捻転差が作れずパワーの源泉が消える。TPIもスライドを「パワーとスピードを奪う特性」と説明しています
タイミングが日替わり流れる量がその日の調子で変わるため、練習場の「今日の合わせ方」がコースで再現できない
Did You Know?

米国のアマチュアゴルファーを対象にした研究(Gulgin et al. 2014)では、片脚ブリッジ系テストの不合格とスライドの出現に関連(オッズ約2倍)が報告されています。骨盤を片側の臀筋で支えられないことと、下半身の横流れがつながっている——「意識の問題」ではなく「支持力の問題」である可能性を示すデータです。

「その場で回る」ために
身体に必要な3条件

骨盤がその場で回るとき、身体の中では次の3つが同時に起きています。逆に言えば、どれか1つでも欠けると、回旋は横移動に化けます

条件1:荷重側の股関節に「内旋」の可動域があること

バックスイングで骨盤が右へ回るとき、右股関節の内側では大腿骨に対して骨盤が回り込む「内旋」が起きています。TPIはスウェーの筆頭原因としてトレイル側股関節の内旋制限を、スライドの筆頭原因としてリード側股関節の内旋制限を挙げています。内旋の受け皿がない股関節に回転を求めると、関節が詰まった分だけ骨盤ごと横に逃げるしかありません。

条件2:体幹と骨盤を分離できること

上体を残したまま骨盤だけを回す・骨盤を止めたまま胸を回す。この分離(セパレーション)ができないと、捻転差が作れず、身体は「全体ごと横に動かす」という粗い戦略を選びます。TPIは脊柱の可動性低下と広背筋の柔軟性低下を分離不足の主因に挙げています。

条件3:中臀筋が骨盤を横から支えられること

回転中の骨盤は、股関節の外側にある中臀筋が横方向のストッパーとして働くことで軸上に留まります。ここが弱い・眠っていると、回転の勢いに負けて骨盤が流れます。TPIもスウェー・スライドの両方で臀筋(特に中臀筋)の筋力・安定性不足を原因に挙げています。

原因となる身体制限
——TPIスクリーンとの対応

Disport Worldで行っているTPIの16項目スクリーンのうち、スウェー・スライドと関連づけられているのは次のテストです。

テスト見ているもの制限があると
下半身回旋(股関節内外旋)立位で股関節だけを内外に回す可動性・左右差内旋の受け皿がなく、回旋が横移動に化ける(スウェー/スライド両方の中心因子)
骨盤回旋上体を止めて骨盤だけを回す分離・コントロール骨盤単独で回れず、バックスイングの回旋が横移動に置き換わる
片脚立ち(閉眼)片脚での固有受容感覚・バランス片脚で回転を受け止められず、スウェー・スライドや体重移動不全につながる

※対応関係はTPIの解説および当店で使用しているスクリーニング基準に基づく整理です。左右差(例:右股関節だけ内旋が硬い)が原因の場合、出るのはスウェーだけ・スライドだけ、という偏り方をします。

TPI Screening

「自分は股関節か、分離か、バランスか」を
特定したい方へ

Disport Worldでは、TPI認定(Fitness 2/Power 2)トレーナーの岡本隼人が16項目のフィジカルスクリーンで股関節内旋の左右差・骨盤の分離・片脚安定性を評価し、あなたの横流れの原因に優先順位をつけて矯正プログラムをご提案します。

LINEで体験セッションを予約する

六本木駅徒歩4分/体験90分 ¥15,000→¥7,500(税込)

自宅でできるセルフチェック3種

まず、ご自身の横流れが身体由来かどうかを切り分けます。2つ以上引っかかる、または明確な左右差がある場合、身体側の制限が疑われます

うつ伏せ股関節内旋——左右差を見る

うつ伏せで両膝を90度に曲げ、膝をつけたまま足先を外側へゆっくり倒します(足が外へ倒れる=股関節の内旋)。左右で倒れる角度に明らかな差がある、片側だけ突っ張る場合は、内旋可動性に左右差があります。スウェーなら右(トレイル側)、スライドなら左(リード側)の制限が対応しやすい部位です。

骨盤単独回旋——上体を止めて骨盤だけ回せるか

ゴルフのアドレス姿勢を取り、胸と肩を正面に向けたまま、骨盤だけを左右にゆっくり回します。肩まで一緒に回ってしまう、動きがぎこちない・止まる場合は、体幹と骨盤の分離に課題があります。

閉眼片脚立ち——片脚で軸を保てるか

腕を胸の前で組み、片脚立ちで目を閉じて何秒保てるかを左右で測ります。目安として20秒未満、または左右差が大きい場合は、片脚での安定性・固有受容感覚が低下しています。

あわせて、ご自身の映像確認には正面からのスイング動画が有効です。骨盤の両端に定規アプリ等で縦線を引き、バックスイングで右の線を、ダウンスイングで左の線を、骨盤がどれだけ越えるかを見てください。頭ではなくベルトの高さを見るのがポイントです。

※本セルフチェックは運動機能の簡易確認であり、医学的診断ではありません。股関節や腰に痛みがある方は、先に医療機関にご相談ください。

矯正エクササイズ
——可動性・安定性・統合の3段階

順序が重要です。内旋の可動域がないまま「流れるな」と練習しても、身体は回る場所を持っていません。可動性→安定性→統合の順で、週3回・1回15分を目安に進めます。

Phase 1|可動性(Mobility)

1. 90/90ヒップスイッチ(左右10回)
座位で両膝90度のまま左右へ倒し、股関節の内旋・外旋を交互に引き出します。硬い側は倒した位置で3呼吸キープ。

2. ハーフニーリング股関節内旋(左右8回)
片膝立ちで後ろ脚側の骨盤をゆっくり内側へ回し込みます。スウェー側(トレイル股関節)に効かせたい代表ドリルです。

3. オープンブック(左右8回)
横向きで両膝を抱え、上の腕を開いて胸郭だけを回します。骨盤を止めたまま胸を回す「分離」の再学習です。

Phase 2|安定性(Stability)

4. サイドライイング・ヒップアブダクション(左右12回×2セット)
横向きで上の脚をかかとから持ち上げ、中臀筋で骨盤を支える感覚を作ります。骨盤が後ろに倒れないように。

5. 片脚バランス(開眼30秒→閉眼へ・左右)
片脚立ちで骨盤を水平に保ちます。安定してきたら目を閉じる、ゴルフポスチャーで行う、と難度を上げます。

Phase 3|統合(Integration)

6. 壁尻ドリル・回旋版(左右10回)
トレイル側のお尻を壁に軽くつけてアドレスし、壁から離れず・強く押し付けもせずにバックスイングの骨盤回旋を行います。「壁を擦りながら回る」感覚が、その場での回旋です。

7. ステップ&ターン(左右8回)
小さくリード足を踏んでから骨盤を回す素振り動作。踏む→回るの順序を作り、スライドではなく「乗って回る」切り返しを学習します。

Caution

回数より質を優先してください。特に内旋系ドリルは、股関節の詰まり感や鼠径部の痛みが出たら中止し、無理に角度を求めないこと。痛みが続く場合は医療機関へ。

8週間ロードマップと効果測定

W1-2

評価と可動性

セルフチェック記録
正面動画の撮影
Phase 1を毎回実施

W3-4

安定性を追加

Phase 1+2
閉眼バランス進行
左右差の再確認

W5-6

統合

壁尻ドリル・回旋版
ステップ&ターン
ハーフスイング実打

W7-8

再評価

セルフチェック再実施
動画で骨盤ライン比較
フルスイングへ展開

効果測定は3つ。① 正面動画で骨盤が基準線を越える量、② 閉眼片脚立ちの秒数と左右差、③ うつ伏せ内旋の左右差。数値と映像で比較すれば、8週間の変化は自分で確認できます。身体の可動性・安定性は適切な刺激で4〜8週間から変わり始めるのが一般的な目安です。

レッスンとフィジカルの役割分担

横流れのすべてが身体由来ではありません。スタンス幅が広すぎる、ボール位置が右すぎる、「体重移動=横に動くこと」という誤解——こうしたセットアップ・概念の問題はレッスンで解決するのが早道です。

レッスン(技術)が有効なケース
  • セルフチェック3種に左右差も制限もない
  • スタンス幅・ボール位置・アライメントに明確な崩れがある
  • 「体重移動=横移動」と教わってきた自覚がある
  • ドリルでその場で直り、翌週も維持できる
フィジカル(身体)が先のケース
  • 股関節内旋に明確な左右差がある
  • 閉眼片脚立ちが20秒未満・左右差が大きい
  • レッスンで「右に流れない」を何度も指摘されている
  • 直したはずのスウェーがスライドに化けた経験がある

身体の制限を放置したままスイングだけを直すと、別の代償が出るだけ——スウェーを止めたらリバースピボットになった、という行き来がその典型です。順序は「身体→技術」。同じ構図は手打ちと股関節の記事でも解説しています。

Disport WorldのTPI評価

同じスウェーでも、「右股関節の内旋が硬い人」「分離ができない人」「中臀筋が働いていない人」では処方がまったく違います。Disport WorldではTPIの16項目フィジカルスクリーンで股関節・骨盤・バランスを左右差まで評価し、優先的に直すべき制限トップ3を特定してから、あなた専用の矯正プログラムを組みます。評価項目の全体像はTPI 16項目の全解説をご覧ください。

体験セッション(90分)の内容

① カウンセリング(ミスの傾向・目標・既往の確認)
② TPIフィジカルスクリーン(股関節内旋・骨盤回旋・片脚バランスの左右差を含む16項目)
③ 結果のご説明——あなたの横流れと身体の対応関係
④ 矯正エクササイズの体験と、今後のプログラムのご提案

よくある質問

スウェーとスライド、どちらを先に直すべきですか?

多くの場合、先に起こるスウェーからです。バックスイングで軸から外れると、切り返し以降はその帳尻合わせになるため、スライドだけを直そうとしても再発しがちです。ただし身体評価で「リード側股関節だけに制限がある」ような場合はスライド優先になることもあり、評価で順序を決めるのが確実です。

体重移動は必要ないのですか?

必要です。問題は「体重移動=骨盤ごと横に動くこと」という誤解にあります。機能的なスイングでは、骨盤はおおむね軸の中で回りながら、圧力(荷重)が右足→左足へ移ります。骨盤の中心が大きく流れなくても体重移動は起こせます。本文の「壁尻ドリル」と「ステップ&ターン」はその感覚を作る練習です。

どのくらいで改善しますか?

身体の可動性・安定性は、週3回程度の適切なエクササイズで4〜8週間から変化が出始めるのが一般的な目安です。左右差の大きさや練習頻度で個人差がありますので、8週間を1クールとして、動画とセルフチェックで前後比較することをおすすめします。

スウェーしないと飛ばない気がします。

飛距離の源泉は横移動の距離ではなく、捻転差と地面反力です。TPIはスライドを「パワーとスピードを奪う特性」と説明しています。横に流れるほど回転は遅れ、エネルギーはボールに向かいません。「流れずに回る」身体を作る方が、結果的に飛距離は伸びやすくなります。飛距離づくりの全体像は当ブログのヘッドスピードの記事もご覧ください。

股関節が硬いのは年齢のせいではないですか?

年齢による変化はありますが、多くの方の内旋制限は「使っていないことによる硬さ」で、適切なモビリティエクササイズで改善の余地があります。実際、当店では50代・60代の方でも可動域の改善は珍しくありません。年齢を理由に諦める前に、一度左右差を測ってみてください。

体験のご案内

「自分はどこが原因で流れているのか」。動画を眺めて悩むより、16項目の評価を一度受ける方が速く、正確です。股関節の左右差は、自分では意外なほど気づけません。

First Trial

「なぜ流れるのか」を、
左右差まで測るところから

カウンセリング・TPI16項目スクリーニング・矯正エクササイズ体験までを90分で。体験後に入会を決めていただく必要はありません。岡本隼人が直接対応します。

¥15,000¥7,50090分・税込

手ぶらOK | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分

岡本隼人
岡本 隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified NASM-PES INDIBA PRO MAX

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPIのFitness 2/Power 2プログラムを修了・認定(TPI Certified Fitness 2 / Power 2)。NASM-PES、INDIBA PRO MAX。指導歴23年・累計20,000セッション超。少年野球チーム「船橋フェニックス」監督として育成年代の指導にも携わる。Disport World(六本木3-15-21 鶯ビルB1)代表。

主な参考
  1. Titleist Performance Institute — Swing Characteristics: Sway(定義・身体的原因)
  2. Titleist Performance Institute — Swing Characteristics: Slide(定義・身体的原因)
  3. Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute Level 1 movement screens and golf swing faults. J Strength Cond Res. 2014;28(2):534-539.
  4. TPI Certified Fitness/Power プログラム教材 — Body-Swing Connection