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バックスイングのトップを作るゴルファー
Golf Performance

フライングエルボーの直し方
——右肘が浮く原因は肩と胸椎にある

バックスイングでトレイル肘(右打ちの右肘)が体から大きく離れ、高く浮いてしまう——「フライングエルボー」。トップでクラブがクロスしやすく、切り返しで肘を体側へ戻す「再調整」が必要になるため、軌道の再現性が下がります。野球経験者に多いと言われるこの形、実は癖ではなく、トレイル肩の外旋可動域と肩甲骨のコントロール、胸椎回旋の制限が背景にあることが少なくありません——回旋で深さを作れない身体が、腕の挙上で代償しているのです。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)であり、TPI認定(Fitness 2/Power 2)を持つ岡本隼人が、原因の特定方法と直し方を解説します。

2026.07.22 読了 約13分
この記事の要点

・フライングエルボー=バックスイングでトレイル肘が体から大きく離れて高く上がる形。トップでシャフトクロスを招き、切り返しの再調整でタイミング依存が強まります
・典型的なミスはプッシュ・スライス系。切り返しで肘が戻せないとオーバーザトップにも連鎖します
・主な身体的背景:トレイル肩の外旋可動域と肩甲骨コントロールの不足/胸椎回旋の制限——回旋の深さを腕の挙上で代償するパターンです
・なお、この項目はTPIのビッグ12(代表的スイング特性)には含まれない実務上の観察項目です。当店では16項目の身体評価とあわせて確認しています
・セルフチェック3種と8週間の矯正手順を掲載しています

執筆・監修:岡本隼人(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー〈JSPO-AT〉/TPI認定(Fitness 2/Power 2)|累計20,000セッション以上)
公開日:2026-07-22 / 最終更新日:2026-07-22

フライングエルボーとは
——「深さ」の代償

機能的なバックスイングでは、トレイル肘は下向きのままたたまれ、体の回旋がトップの「深さ」を作ります。フライングエルボー(Flying Elbow)は、この肘が体から離れて外へ・上へ浮いていく形。見かけ上はトップが深く見えますが、実際には胸郭の回旋不足を腕の挙上で水増しした状態です。

なお、フライングエルボーはTPIが定義する代表的スイング特性(ビッグ12)には含まれない、実務上よく観察される項目です。当店では16項目の身体評価とあわせてアドレス〜トップの観察項目として扱っています。肘の形そのものに唯一の正解はなく——ジャック・ニクラウスのように高い肘で偉大な成績を残した選手もいます——問題になるのは、再調整が必要になるほど身体条件と噛み合っていない場合です。

症状何が起きているか
プッシュ・スライストップでクラブがクロスし、そのまま降りるとフェースが開いて右へ
ひっかけとの混在切り返しで肘を戻す「再調整」の量が日によって変わり、補正しすぎると左へ
オーバーザトップへの連鎖浮いた肘を戻せないまま上から下ろすと、アウトサイドイン軌道になる
調子の波が激しい再調整はタイミングそのもの。練習間隔が空くと大きく崩れる
Did You Know?

フライングエルボーは野球経験者に多いと言われます。野球のテイクバックはトレイル肘を高く上げる動きが自然だからです。ただし「野球癖だから仕方ない」で終わらせるのは早計で、実際に測るとトレイル肩の外旋や胸椎回旋の可動域不足が見つかるケースが多くあります。パターンの記憶と身体の制限、両方に手を打つのが近道です。

なぜミスにつながるのか

トップで浮いた肘は、インパクトまでに体側へ戻す必要があります。この「戻す」工程がタイミング依存を生みます。戻し切れなければクラブは外から(オーバーザトップ)、戻しすぎればインから極端に——切り返しごとに答え合わせをするスイングになり、コースの緊張感の中で最も崩れやすい構造です。

また、肘の挙上で作った「見せかけの深さ」は捻転差のエネルギーを持ちません。胸郭と骨盤の間に捻転差がなければ、飛距離の源泉も細くなります。上流にあるのは肩と胸椎——次のセクションで具体的に見ていきます。

原因となる身体制限
——評価テストとの対応

テスト見ているもの制限があると
肩関節外旋(90/90)トレイル肩の外旋可動域・左右差肩が外旋で「たたむ」動きを作れず、肘が外へ逃げて浮く
胸郭回旋/座位体幹回旋胸椎の回旋可動性回旋で深さを作れず、腕の挙上で代償する
リーチ・ロール・リフト(胸椎伸展)胸椎伸展・肩甲骨周囲のコントロール肩甲骨が背中に安定せず、腕だけが独立して上がる

※対応関係は当店で使用しているスクリーニング基準に基づく整理です(フライングエルボーはTPIビッグ12外の実務観察項目のため、テスト対応は当店の運用基準です)。

TPI Screening

「肘の形」ではなく「肘がそうなる理由」を
知りたい方へ

Disport Worldでは、TPI認定(Fitness 2/Power 2)トレーナーの岡本隼人が16項目のフィジカルスクリーンで肩の外旋・胸椎回旋・肩甲骨コントロールを左右差まで評価し、あなたの肘が浮く身体的背景に優先順位をつけて矯正プログラムをご提案します。

LINEで体験セッションを予約する

六本木駅徒歩4分/体験90分 ¥15,000→¥7,500(税込)

自宅でできるセルフチェック3種

90/90肩外旋——右肩は後ろへ倒れるか

仰向けで肩・肘を90度に開き、前腕を頭側へゆっくり倒します。右(トレイル側)が床から大きく浮く・左右差がある場合、肘を「たたむ」ための肩外旋が不足しています。

座位胸郭回旋——骨盤を止めて45度回せるか

椅子で骨盤を固定し、腕を胸の前で組んで右回旋。45度に届かない場合、トップの深さを回旋で作れず、腕の挙上で代償しやすい状態です。

タオル脇挟みトップ——肘をたたんだトップを作れるか

右脇にタオルを軽く挟み、落とさずにトップまで上げられるかを試します。どうしても落ちる・窮屈で上がらない場合、現在の可動域では「たたんだトップ」の選択肢がありません(※このドリルは判定用です。タオルを挟んだまま打つ練習は窮屈さの原因になるため推奨しません)。

※本セルフチェックは運動機能の簡易確認であり、医学的診断ではありません。肩に痛みや不安定感がある方は、先に医療機関にご相談ください。

矯正エクササイズ——3段階

順序は「肩・胸椎の可動性 → 肩甲骨の安定 → たたんだトップの再学習」。週3回・1回15分が目安です。

Phase 1|可動性(Mobility)

1. 90/90外旋ストレッチ(右側中心・30秒×2)2. オープンブック(左右8回)3. ソラシックローテーション(四つ這い胸椎回旋・左右8回)
肘をたたむための肩外旋と、深さを作るための胸椎回旋を引き出します。

Phase 2|肩甲骨の安定(Stability)

4. プローンWレイズ(10回×2セット)5. スキャプラプッシュアップ(10回)
肩甲骨を背中にとどめる筋群を起こし、腕が単独で暴れない土台を作ります。

Phase 3|トップの再学習(Integration)

6. ミラートップドリル(8回)
鏡の前でゆっくりトップを作り、右肘が「下を向いたまま・体幹の幅の中」に収まる位置を目で確認して反復します。

7. ハーフ→スリークォーター素振り(10スイング)
たたんだ肘のまま振り幅を少しずつ広げます。深さは肘ではなく胸の回旋で作る感覚へ。

Caution

肩の外旋ストレッチは痛みの出る手前で止め、反動をつけないでください。フォームを大きく変えた直後は一時的に飛距離が落ちることがありますが、再調整の消えたスイングは数週間で安定に転じるのが通常です。

8週間ロードマップと効果測定

W1-2

評価と可動性

セルフチェック記録
後方からトップ撮影
Phase 1を毎回実施

W3-4

肩甲骨の安定

Phase 1+2
肩外旋の再測定
ミラートップ導入

W5-6

再学習

Phase 1〜3を通し
振り幅を段階拡大
ハーフスイング実打

W7-8

再評価

トップの肘位置比較
プッシュ頻度を記録
フルスイングへ展開

効果測定は3つ。① 後方動画でのトップの肘位置とシャフトクロスの程度、② 90/90外旋の左右差、③ プッシュ・スライスの頻度。可動性は4〜8週間で変化が出始めるのが一般的な目安です。

Disport WorldのTPI評価

フライングエルボーは「直すべきか、活かすべきか」の判断から始まる特性です。身体条件と噛み合っていれば個性として機能し、噛み合っていなければ再調整の温床になる——その切り分けには測定が必要です。Disport WorldではTPIの16項目フィジカルスクリーンで肩・胸椎・肩甲骨を評価し、あなたのトップに最適な方針を設計します。評価項目の全体像はTPI 16項目の全解説をご覧ください。

体験セッション(90分)の内容

① カウンセリング(球筋の傾向・野球等の競技歴・肩の既往確認)
② TPIフィジカルスクリーン(肩外旋90/90・胸郭回旋・胸椎伸展を含む16項目)
③ 結果のご説明——あなたのトップと身体の対応関係
④ 矯正エクササイズの体験と、今後のプログラムのご提案

よくある質問

フライングエルボーは必ず直すべきですか?

必ずではありません。高い肘で成功した名選手も存在し、肘の形そのものに唯一の正解はありません。判断基準は「再調整が必要になっているか」——切り返しでの戻し量が大きく、球筋が日替わりになっているなら、身体条件と噛み合っていないサインです。その場合は可動域側を整える価値があります。

野球をやっていたのでトップが野球打ちになります。

野球経験者のフライングエルボーは、運動パターンの記憶と、ゴルフ特有の前傾姿勢での回旋可動域不足が重なっていることが多いです。パターンの修正(ミラートップドリル)と身体側(肩外旋・胸椎回旋)の両方に取り組むと、野球の出力の高さがゴルフの武器に変わります。

脇を締めろと言われますが、窮屈になります。

「脇を締める」を力で行うと、腕の通り道が消えて振り遅れや詰まりが出ます。目指すのは締め付けではなく、肩の外旋と胸椎の回旋で「自然に肘が収まる」状態です。タオルを挟んだまま打ち続ける練習も同じ理由で推奨していません。

どのくらいで改善しますか?

肩・胸椎の可動性は週3回程度のエクササイズで4〜8週間から変化が出始めるのが一般的な目安です。トップの形の再学習まで含めて8週間を1クールとし、後方動画で定点比較してください。

トップでシャフトがクロスしているか自分で分かりますか?

後方(飛球線後方)からのスイング動画で、トップ時のシャフトがターゲットラインと平行か、右(クロス)を向いているかを確認できます。スマートフォンを地面と水平に固定して撮影すると判定しやすくなります。判定に迷う場合は評価時にご一緒に確認します。

体験のご案内

「直すか、活かすか」。フライングエルボーはその判断から始まります。あなたの肩と胸椎が今のトップを支えられているか——左右差まで測るところから始めてください。

First Trial

あなたのトップを「直すか活かすか」、
測定から判断する90分

カウンセリング・TPI16項目スクリーニング・矯正エクササイズ体験まで。体験後に入会を決めていただく必要はありません。岡本隼人が直接対応します。

¥15,000¥7,50090分・税込

手ぶらOK | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分

岡本隼人
岡本 隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified NASM-PES INDIBA PRO MAX

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPIのFitness 2/Power 2プログラムを修了・認定(TPI Certified Fitness 2 / Power 2)。NASM-PES、INDIBA PRO MAX。指導歴23年・累計20,000セッション超。少年野球チーム「船橋フェニックス」監督として育成年代の指導にも携わる。Disport World(六本木3-15-21 鶯ビルB1)代表。

主な参考
  1. Disport World — TPI評価システム運用基準(フライングエルボーの観察・テスト対応)
  2. Titleist Performance Institute — Swing Characteristics(関連特性: Over the Top ほか)
  3. TPI Certified Fitness/Power プログラム教材 — Body-Swing Connection