お酒が体重に響く理由は、お酒そのもののエネルギーと、飲むと食べる量が増えやすいことの2つです。どちらも「どれだけ飲んだか」で大きさが変わります。そこでこの記事では、厚生労働省の飲酒ガイドラインにある純アルコール量の計算式を使って、飲む日の上限の決め方、お酒の選び方、飲む日の進め方を順に整理します。飲酒をすすめる記事ではありません。飲まない方が、飲むために始める理由はありません。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、身体を実際に測ってきた経験から書いています。大人のダイエットについて →
・純アルコール量(g)=飲む量(ml)×度数(%÷100)×0.8。ビール500ml(5%)は20g(厚生労働省 2024)
・生活習慣病のリスクを高める量は、1日平均で男性40g以上、女性20g以上。減量中の上限はこれより下で、自分で決める
・アルコールは1gあたり約7.1kcal(e-ヘルスネット)。ビール500mlなら、アルコール分だけで約140kcal
・22研究・701名のメタ分析では、お酒を飲んだ条件のほうが食事のエネルギーが平均約80kcal多く、合計では約260kcal多かった(Kwok ら、2019)
・決めるのは「週に何日飲むか」と「1回何gまでか」。種類はグラムで比べ、つまみと水を先に決めておく
お酒をやめずに痩せることはできる?
やめずに減量を目指すことはできます。ただし「今までどおり飲みながら」ではなく、「量と日数を決めて飲む」ことが前提です。体重は、食事とお酒から入るエネルギーと、日々使うエネルギーの差で動きます。お酒はその「入る側」に、お酒そのものと、つまみの両方で加わります。
「お酒をやめる」か「やめない」かの二択で考えると、多くの人は続きません。やめると決めた人は会食や付き合いで崩れ、やめないと決めた人は量が決まらないまま飲み続けます。そこで現実的なのが、3つ目の選択肢として「飲む日と量を、数字で先に決めておく」ことです。その数字に使うのが、次の章で説明する純アルコール量です。
食事を極端に削ってお酒の分を帳尻合わせする方法はすすめません。食べない減量の考え方は食べないダイエットの落とし穴で、血糖の上がり方と食事の組み立ては血糖値とダイエットの記事で扱っています。
なぜお酒を飲むと痩せにくくなるの?
理由は大きく2つです。お酒そのものにエネルギーがあること、そしてお酒を飲むと食べる量が増えやすいことです。後者のほうが見落とされがちです。
| 経路 | 確かめられていること | 出典 |
|---|---|---|
| お酒そのもののエネルギー | アルコールは1gあたり約7.1kcal。体に蓄えられないことから「エンプティカロリー」とも言われるが、ゼロではない。実際に利用されるのは70%程度(1gあたり約5kcal)ではないかと言われている | e-ヘルスネット(厚生労働省) |
| 他の栄養素の使われ方 | アルコールの代謝でエネルギーが作られている間は、他の栄養素が脂肪として蓄えられやすい。肥満には、お酒のエネルギーに加えて脂っこいつまみや食欲の増加も関わる | e-ヘルスネット(厚生労働省) |
| 食べる量が増える | 22研究・701名の系統的レビュー。12研究のメタ分析で、お酒を飲んだ条件は飲まない条件より食事のエネルギーが平均343kJ(約80kcal)、お酒を含む合計で1,072kJ(約260kcal)多かった。お酒の分だけ食事を減らす「埋め合わせ」は起きていなかった | Kwok ら、2019 |
| 食べ物への反応 | 非肥満の女性35名で、アルコールを点滴した条件は生理食塩水の条件より食事量が多く、食べ物の匂いに対する視床下部周辺の反応が強かった | Eiler ら、2015 |
ここから言えるのは、「お酒のカロリーを計算して食事を減らせば済む」とは限らないということです。飲むと食べる量が増えやすい以上、つまみを含めた1回の量をあらかじめ決めておくほうが現実的です。なお、Kwok らのレビューに入った研究の多くは18〜37歳の若い成人を対象に1回の食事を測る短期の実験で、Eiler らの研究は点滴でアルコールを入れた女性の実験です。長い期間の体重の変化をそのまま示したものではありません。
「飲む日」の上限はどう決める?——純アルコール量の計算
上限は「杯数」ではなく「純アルコールのグラム数」で決めます。厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年)は、お酒の量を純アルコール量で把握することが重要だとしていて、計算式は次のとおりです。
純アルコール量(g)=飲む量(ml)×アルコール度数(%÷100)×0.8(アルコールの比重)
ガイドラインでの例は、ビール500ml(5%)で500×0.05×0.8=20gです。同じガイドラインは、1日あたりの平均の純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の飲酒を「生活習慣病のリスクを高める量」としています。また、一度に純アルコール60g以上を飲むことを「一時多量飲酒」として避けるべき飲み方に挙げ、女性や高齢者、お酒で顔が赤くなりやすい体質の人は、より少ない量が適当としています。
大事なのは、40g・20gは「ここまでなら安全」という線ではなく、リスクを高める量の目安だという点です。減量中の上限は、この数字より下で自分で決めます。決め方は次の3段階です。
今の1週間の合計を出す
先週飲んだお酒を思い出し、1回ずつ計算式でグラムに直して足します。「ビール2本と酎ハイ1本を週4日」のように、杯数のままでは比べられません。まず現在地を数字にします。
「飲む日」の数を先に決める
ガイドラインは健康に配慮した飲み方の1つとして、1週間のうち飲酒をしない日を設けることを挙げています。会食の予定が決まっている日を「飲む日」に回し、それ以外を飲まない日にすると、週の合計が自然に下がります。
1回の上限をグラムで決める
「飲む日も40g(女性は20g)より下」を前提に、1回あたりの上限を決めます。例えば男性で「1回20gまで」と決めれば、ビールならロング缶1本、日本酒ならほぼ1合です。女性はそれより少なく、例えば「1回14gまで(ビール350ml缶1本)」と決めます。決めた数字は、飲み始める前に一緒に飲む人や店に伝えておくと守りやすくなります。
計算例です。ビール500mlを2本(40g)、週4日飲んでいる人は、週160g。アルコール分のエネルギーだけで、1gあたり7.1kcalとして週約1,140kcalです。これを「週2日・1回20g」にすると週40gで、約280kcalになります。ここに、飲む日に増えやすいつまみの分の差も加わります。何kg変わるかは食事や活動量によって違うので、この計算は「入る側がどれだけ動くか」の目安として使ってください。
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LINEで体験を予約するどのお酒を選べば量を管理しやすい?
「ビールは太る、焼酎なら太らない」のように種類で決めるより、1杯あたりのグラム数で比べるほうが確かです。同じ「1杯」でも、度数と量でグラムは大きく変わります。下の表は、ガイドラインの計算式に一般的な度数と量を当てはめた計算例です。実際の度数は缶やボトルの表示で確かめてください。
| お酒(度数・量の例) | 純アルコール量 | アルコール分のエネルギー(7.1kcal/gで計算) |
|---|---|---|
| ビール 5%・350ml | 14g | 約99kcal |
| ビール 5%・500ml | 20g | 約142kcal |
| 酎ハイ 7%・350ml | 約20g | 約139kcal |
| 酎ハイ 9%・500ml | 36g | 約256kcal |
| 日本酒 15%・180ml(1合) | 約22g | 約153kcal |
| ワイン 12%・120ml(グラス1杯) | 約12g | 約82kcal |
| 焼酎 25%・100ml | 20g | 約142kcal |
| ウイスキー 40%・30ml(シングル) | 約10g | 約68kcal |
表のエネルギーはアルコール分だけで、糖質などは含みません。ここから分かることは3つです。1つ目は、度数の高い酎ハイのロング缶は1本で36gと、女性の「リスクを高める量」の20gを1本で超え、男性の40gにも近いこと。2つ目は、「糖質ゼロ」のお酒でもアルコール分のエネルギーは残ること。3つ目は、ウイスキーや焼酎は1杯のグラムが小さく見えても、割って何杯も飲めば合計は増えることです。選ぶ基準は「種類」ではなく、「決めたグラムの中に何杯入るか」です。
飲む日はどう進める?——前・最中・翌日の5つの手順
飲む日は、上限を決めたうえで「飲む前」「飲んでいる間」「翌日」の順に手順を決めておくと崩れにくくなります。ガイドラインが健康に配慮した飲み方として挙げている「あらかじめ量を決めて飲む」「飲酒前または飲酒中に食事をとる」「飲酒の合間に水(または炭酸水)を飲む」を、減量の手順に組み込みます。
飲む前:グラムと杯数を決める
「今日は20gまで=ビールのロング缶1本」(女性なら「14gまで=350ml缶1本」)のように、グラムを杯数に直して決めます。店で頼むときに迷わないよう、何をいくつまでと決めておきます。
飲む前:空腹のまま始めない
ガイドラインは、飲酒前または飲酒中に食事をとることを挙げています。最初の1皿は、たんぱく質と野菜のものにしておくと、後から揚げ物や締めに流れにくくなります。
最中:1杯ごとに水を1杯
お酒と同じ数だけ水か炭酸水を頼みます。ガイドラインが挙げる「飲酒の合間に水を飲む」の実践で、1杯を飲むペースも自然に落ちます。
最中:つまみの「追加」を決めておく
飲むと食べる量が増えやすいことは、前の章のとおりです。追加の注文は1回まで、締めは頼まない、など先に決めておきます。
翌日:記録して、次の「飲まない日」を確かめる
飲んだお酒をグラムで記録し、週の合計が決めた量に収まっているかを見ます。翌日の食事を抜いて帳尻を合わせるより、次の飲まない日を守るほうを優先します。
飲んだ後に「取り返そう」とトレーニングや長風呂をするのは避けてください。酔いが残った状態の運動は、転倒やケガ、体調の急変につながります。トレーニングは、お酒が抜けて体調が戻った日に行ってください。
現場で見えていること
減量の相談では、「お酒はやめないといけませんか」という質問がよく出ます。そして飲む量を伺うと、「ビール何杯」「ワイン何本」と杯数で答える方がほとんどで、グラムで把握している方はあまりいません。杯数のままだと、酎ハイの度数やグラスの大きさの違いが見えず、「減らしたつもり」で合計が変わっていないことが起こります。
入会後の食事サポートは、料金に含まれています。初回に食事の基本をお話しし、その後はLINEなどで必要なときに相談できます。方針は目標に応じて話しながら決め、最終的にはご自身で調整できるようになることを目指します。お酒も「やめるか、やめないか」ではなく、「週に何日、1回何gまでにするか」を自分で決められるようになることが目標です。体組成計(InBody)で体組成の変化を確かめられるので、体重だけでなく、筋肉量と体脂肪の動きを見ながら決めた量を見直せます。
もう1つ多いのが、飲む日の翌日に食事を抜いたり、急にきつい運動をしたりして帳尻を合わせようとするパターンです。これは長く続きません。量を先に決めること、そして運動は筋力を落とさない内容を淡々と続けることのほうが、減量の土台になります。食事・お酒・筋力を含めた大人の減量の進め方は大人のダイエットに、血糖値の波から考える食事の整え方は血糖値とダイエットの記事にまとめています。
よくある質問
お酒をやめなくても痩せられますか?
やめずに減量を目指すことはできます。条件は、飲む日の数と1回の量を純アルコールのグラム数で先に決めておくことです。お酒はそれ自体にエネルギーがあり、飲むと食べる量も増えやすいため、決めずに飲むと減量は進みにくくなります。
ダイエット中は1日何杯までなら飲んでいいですか?
「ここまでなら大丈夫」という杯数はありません。厚生労働省のガイドラインは、1日平均の純アルコールで男性40g以上、女性20g以上を生活習慣病のリスクを高める量としています。減量中はこれより下で、例えば男性なら「1回20gまで(ビール500ml1本)」、女性なら「1回14gまで(ビール350ml1本)」のように自分で上限を決めてください。
糖質ゼロのお酒なら太りませんか?
糖質ゼロでも、アルコールそのものに1gあたり約7.1kcalのエネルギーがあります。度数が高い糖質ゼロの酎ハイは、1本のグラム数がかえって多いこともあります。種類や表示より、度数と量からグラムを計算して比べてください。
休肝日は週に何日つくればいいですか?
ガイドラインは、1週間のうち飲酒をしない日を設けることを健康に配慮した飲み方の1つとして挙げています。減量では、週の合計グラムを決めてから、会食などで飲む日を先に置き、残りを飲まない日にすると決めやすくなります。
飲み会のあとに運動すれば取り返せますか?
酔いが残った状態での運動は、転倒やケガ、体調の急変につながるのですすめません。飲んだ分を運動で取り返す発想より、飲む前に量を決めておくほうが確かです。トレーニングは、お酒が抜けて体調が戻った日に行ってください。
体験のご案内
お酒の量を決めるのと同じように、身体もまず今の状態を数字で知ることから始めてください。体験では、姿勢・可動域・動作を評価し、体組成計(InBody)で体組成も測れます。お酒との付き合い方を含めた大人のダイエットの考え方は、大人のダイエットのページ(お酒の章)にまとめています。体験の流れは体験セッションのご案内、料金は料金ページ、場所はアクセスでご確認いただけます。
First Trial
お酒をやめる前に、
今の身体を90分で測る
体験は基本的に代表の岡本隼人が担当します。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)、TPI認定(Fitness 2/Power 2)として、姿勢・可動域・動作を評価し、結果はその場で全て開示します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
先着枠は毎月1日起算、定員後は通常¥15,000です。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 体験の流れを見る
主な参考(タップで開く)
- 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」2024年2月。(純アルコール量の計算式、生活習慣病のリスクを高める量=1日平均男性40g以上・女性20g以上、一時多量飲酒=一度に60g以上、健康に配慮した飲酒の仕方)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールのエネルギー(カロリー)」。(1gあたり7.1kcal、利用されるのは70%程度)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールとメタボリックシンドローム」。(アルコールの代謝と脂肪の蓄積、つまみ・食欲)
- Kwok A, Dordevic AL, Paton G, Page MJ, Truby H. Effect of alcohol consumption on food energy intake: a systematic review and meta-analysis. Br J Nutr. 2019;121(5):481-495.(22研究・701名。うち12研究でメタ分析)
- Eiler WJ 2nd, et al. The apéritif effect: Alcohol's effects on the brain's response to food aromas in women. Obesity (Silver Spring). 2015;23(7):1386-1393.(非肥満の女性35名・アルコール点滴と生理食塩水の比較)


