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フェアウェイからの眺め。身体の開きは順序の問題であって開くこと自体は正常
Golf Performance / Biomechanics

ゴルフで「身体が開く」「開きが早い」「突っ込む」の本当の原因
——インパクトで開くのは正常。問題は順序と、開かざるを得ない身体

「身体が開いている」「開きが早い」「右肩が突っ込む」。スライスや振り遅れの原因としてよく指摘される言葉ですが、まず前提を1つ正します。インパクトで身体が開くこと自体は正常です。プロは30ハンディキャップのゴルファーより、インパクトで約20度も目標に対して開いており、腰は30〜40度開いています。問題は「開くこと」ではなく、「骨盤より先に上体が開くこと」と「開かないと打てない身体」にあります。この記事では、開きの正常値、早い開きの正体、突っ込みとの違い、TPIが挙げる身体側の原因、テストと練習の順序をまとめました。

この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、TPI認定(Fitness 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、ゴルファーの身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。ゴルフの身体づくり(記事一覧・体験)→

2026.09.19 読了 約11分
この記事の要点

・インパクトで開くのは正常。プロは30ハンディより約20度多く開き、腰は30〜40度開いている(GOLFTECの計測)。アマ100名の実測でも骨盤はインパクトで29〜38度開く
・「開きが早い」の正体は、骨盤より先に上体(胸郭)が回ること。上級者は骨盤が先に動いて捻転差が一瞬広がるが、アマは上体から切り返す(オーバーザトップ)
・上級13名と初級17名の比較:上級は骨盤の回転と左足への体重移動が早く、初級はフォローで上体を回しすぎている(−43.3度対−55.2度)
・「突っ込む」は2種類。上体・頭が目標方向へ動く(スライド系)と、下半身がボール方向へ出る(アーリーエクステンション)
・身体側の原因(TPI):股関節の内旋不足、上体と骨盤の分離不足、殿筋・腹筋の安定性不足、広背筋の硬さ。開かないと打てない身体は、意識で直らない
・順序は「骨盤と上体を分離して動かせる → 骨盤が先に動ける下半身 → 切り返しの順序(レッスン)」

インパクトで身体が開くのは正常——数値で確認

結論から言うと、開かないゴルファーはいません。GOLFTECが計測システムで比べたデータでは、プロは30ハンディキャップのゴルファーより、インパクトで目標に対して約20度多く開いており、肩はインパクトで約39度右に傾き、腰は目標方向へ約1.5インチ動いています。ツアー平均の腰の開きは30〜40度です。アマチュア100名の3D実測(Myers ら、2008)でも、インパクトの骨盤はボール初速の低い群で29.4度、高い群で38.3度開いていました。

指標出典
腰の開き(ツアー平均)30〜40度GOLFTEC(Nick Clearwater)
プロと30ハンディの開きの差プロが約20度多く開くGOLFTEC SwingTRU
肩の傾き(インパクト)約39度右に傾くGOLFTEC SwingTRU
骨盤の開き(アマ100名)29.4度(低初速群)〜38.3度(高初速群)Myers 2008
胸郭の側屈(ドライバー・インパクト)約32度、骨盤は約10度TPIの値として紹介されているもの

つまり、上手い人ほどインパクトで開いています。「身体が開いている」という指摘は、開いていること自体ではなく、開き方(順序)と、開くときの上体の傾き(側屈)を問題にしているのだと理解する必要があります。

「開きが早い」の正体は順序

結論から言うと、「開きが早い」とは、骨盤より先に上体(胸郭)が回り始めることです。上級者は切り返しで骨盤が先に動き、上体はまだトップに残っているので、捻転差が一瞬広がります(X-Factorストレッチ。TPIのツアー平均は約5度)。アマは上体から切り返すので、捻転差は広がるどころか切り返しの瞬間に消え、上体が先に目標を向きます。これがTPIの言うオーバーザトップで、「ダウンスイングでの上半身の過剰使用によって起きる」「トランジションで下半身の始動がないと、トップから上半身の投げでダウンスイングを支配してしまう」と説明されています。

上級者13名(HC0.8)と初級者17名(HC30.8)を比べた研究(Okuda ら、2010)では、上級者は「ダウンスイングでより早い骨盤の水平回転と、より早い左足への体重移動」を示し、ダウンスイング中の事象での骨盤回転は上級10.1度に対し初級20.7度。フォローでの上体回転は上級−43.3度、初級−55.2度で、初級者ほど上体を回しすぎていました。開きが早い人は、下半身が先に動けないから上体で回している。順序の問題です。この順序については下半身リードとは何かで詳しく扱っています。

「突っ込む」は2種類ある

「突っ込む」という言葉は、2つの別の動きに使われています。どちらかで直し方が変わります。

「突っ込む」の種類何が動いているかTPIの分類身体側の原因
上体・頭が目標方向へ動くダウンで身体全体が左に流れ、頭がボールより前に出るスライド/リバーススパインアングルと関連左股関節の内旋不足、中殿筋の弱さ、上下の分離不足
下半身がボール方向へ出るダウンで腰が前に出て、前傾が起き上がるアーリーエクステンション深いスクワット・ヒップヒンジができない、左股関節で回れない、殿筋・腹筋の安定性不足

日本のレッスン記事では、突っ込みを「ダウンスイングの段階で体や頭が目標方向に動いてしまうこと」と定義し、原因に腰の回転タイミングの早さ、前傾の深さ、体の硬さを挙げているものがあります。これは上の表の1つ目です。「右肩が突っ込む」と言われるものは、上体が先に回るオーバーザトップと、この1つ目が組み合わさった形が多い。TPIはスライドについて「リード股関節の内旋が最も重要」「横の安定は中殿筋が王様」、アーリーエクステンションについて「骨盤がリード股関節の上で回れなければ、前方と横方向の動きが支配する」と説明しています。

開かざるを得ない身体——TPIが挙げる原因

「開くな」「左肩を残せ」と言われて直らない人は、開かないと打てない身体になっていることが多い。TPIがオーバーザトップの改善に必要な身体要素として挙げるのは、「良い股関節の可動性、強い体幹と下半身(殿筋と腹筋)」と、上体と骨盤を分離して動かす能力です。

上体と骨盤を分離できない

骨盤を止めて上体だけを回す、上体を止めて骨盤だけを回す。これができなければ、切り返しで骨盤を先に動かすことは構造的に不可能で、上体と骨盤が一緒に回るしかありません。一緒に回れば、上体は骨盤と同時に開きます。TPIはこの分離不足の原因を「脊柱の可動性低下と広背筋の短縮」としています。

股関節の内旋が足りない

骨盤が先に回るには、右股関節(バックスイング)と左股関節(ダウン)の上で骨盤が回旋できる可動域が必要です。回れなければ横に流れ、その流れが「突っ込み」になります。詳しくは股関節の使い方で。

殿筋・腹筋が骨盤を支えられない

骨盤を先に動かしても、それを支える殿筋と腹筋がなければ、骨盤は回らずに流れるか、上体が代わりに回ります。TPIは殿筋の主な役割を「骨盤の安定」とし、中殿筋を横の安定の「王様」と呼んでいます。

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「開くな」で直らないのは、分離か、股関節か、殿筋か——16項目で切り分ける90分

上体回旋テスト、骨盤回旋テスト、下半身回旋テスト(基準60度)、片脚バランス、ブリッジを含む16項目を実測し、開かざるを得ない身体の原因を左右差まで数値でレポートPDFにしてお渡しします。

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90分 ¥19,800(税込)・単発で完結、入会不要・担当は代表の岡本隼人(TPI Certified Fitness 2 / Power 2)

レッスンの言葉と身体の対応

レッスンでよく言われること身体の側で必要な条件条件がないとどうなるか
「左肩をボールに残せ」骨盤を先に動かしながら上体を残す=上下の分離分離できなければ、肩を残そうとして骨盤も止まり、手打ちになる
「下半身リードで」股関節の内旋、殿筋、片脚の安定性下半身が支えられず、骨盤が流れる(突っ込み)
「左の壁を作れ」左股関節の内旋と左脚の安定性左に乗れず、乗ろうとすると流れる(スライド)か右に残る
「右肩を下げて」胸郭の側屈と、前傾を保つ殿筋・腹筋側屈できず、肩が水平に回る(フラットショルダープレーン)か上体が起きる
「打ち急ぐな」切り返しで下半身から動ける身体下半身が動けないので、上体で始動するしかない

日本のレッスン記事の多くは、開きの原因を「腕が先行する」「上半身が遅れる」「切り返しの打ち急ぎ」と説明し、対策を「左肩を残す」「下半身リード」としています。どれも正しい。ただし表の中列の条件がない人には、実行できない指示です。スライスとの関係はスライスの原因は手ではなく身体、アウトサイドインはオーバーザトップの直し方で扱いました。

自宅で確かめる3つのテスト

上体回旋テスト/骨盤回旋テスト——分離

アドレス姿勢で腕を胸の前で組み、骨盤を動かさずに胸と肩だけを左右に回す。次に上体を動かさずに骨盤だけを回す。TPIの合格は「ベルトラインより下がまったく動かない」「ベルトラインより上がまったく動かない」こと。どちらかで一緒に動けば分離ができていません。

下半身回旋テスト——股関節の内旋

片脚に全体重を乗せ、両手を腰に置いて骨盤を左右に回す。基準は左右60度以上。左脚立ちで回れない人は左に乗って回れず、スライドか右残りが出ます。

片脚バランス/ブリッジ——殿筋と安定性

片脚で太ももを水平に上げて目を閉じ、25秒以上保てるか。仰向けのブリッジで片膝を伸ばして10秒、骨盤が落ちないか。落ちる側の殿筋が働いていません。

3つとも合格なら、開きの課題は切り返しの順序(技術)にあり、レッスンで直ります。1つでも不合格なら、「開くな」と言われても身体がそれを実行できません。16項目全体はTPI 16項目の全解説にまとめています。

練習の順序——分離、下半身、切り返し

分離を作る

胸椎の回旋(オープンブック)と広背筋のストレッチで可動域を出したうえで、上体回旋・骨盤回旋テストをそのまま毎日のドリルにする。「骨盤を止めて上体を回す」「上体を止めて骨盤を回す」が両方できて、初めて切り返しで骨盤が先に動けます。胸椎は胸椎の回し方で。

骨盤が先に動ける下半身を作る

股関節の90/90、クラムシェル、片脚ブリッジ、片脚デッドリフト。骨盤を先に動かしても流れない支えを作ります。

切り返しの順序(レッスンの領域)

トップで一瞬止まり、骨盤から動き始める素振り。①②が整っていれば、「左肩を残す」「下半身リード」の指示はそのまま実行できます。地面を押す力との関係は地面反力の記事で。

現場で見えていること

「身体が開く」で来られる方を測ると、上体回旋テストで骨盤が一緒に回ってしまう方が大半です。可動域はあっても、上下を分けて動かしたことがない。この方に「左肩を残せ」と言うと、肩を残そうとして骨盤も止まり、今度は手打ちになります。分離のドリルを2〜3週間続けると、同じ指示が初めて実行できるようになります。

もう1つ多いのが、「突っ込む」と言われている方の左股関節の内旋が右より明らかに少ないパターン。左に乗って回れないので、乗ろうとすると流れる。この方に「左の壁を作れ」と言っても、壁になる関節が動かない。可動域を出してから壁を作る練習をすると、突っ込みが消えていきます。同じ「開く」「突っ込む」でも、分離が原因か、股関節が原因か、殿筋が原因かで手当てが変わる。映像だけでは判断できず、身体を測る必要がある理由です。レッスンコーチとの連携も可能で、役割の分担はゴルフのパーソナルトレーニングにまとめました。

※本記事のテストとエクササイズは運動機能の簡易確認であり、医学的診断ではありません。腰・股関節・肩に痛みがある方、しびれを伴う方は、先に医療機関にご相談ください。

よくある質問

インパクトで身体が開いてはいけないのですか?

開くのは正常です。ツアー平均で腰は30〜40度開き、プロは30ハンディより約20度多く開いています。問題は開くこと自体ではなく、骨盤より先に上体が開く「順序」と、開くときに上体が起き上がる・流れる動きです。

「開きが早い」とは具体的に何が早いのですか?

骨盤より先に上体(胸郭)が回り始めることです。上級者は切り返しで骨盤が先に動き、上体はトップに残るので捻転差が一瞬広がります。アマは上体から切り返すため、捻転差が消えて上体が先に目標を向きます。TPIはこれをオーバーザトップと呼び、上半身の過剰使用が原因だとしています。

「左肩を残せ」と言われてもできません。

骨盤を先に動かしながら上体を残す、つまり上下を分離して動かす能力が必要です。上体回旋テストと骨盤回旋テストで、片方を動かすともう片方が一緒に動く人は、意識では残せません。分離のドリルから始めてください。

「突っ込む」と「開く」は同じことですか?

別です。「開く」は回旋の順序の問題、「突っ込む」は身体が目標方向(スライド)かボール方向(アーリーエクステンション)へ移動する問題です。突っ込みには2種類あり、それぞれ左股関節の内旋不足・中殿筋の弱さ、深くしゃがめない・左股関節で回れない、が主な原因です。

スライスは身体の開きが原因ですか?

上体から切り返すオーバーザトップはアウトサイドインの軌道を作り、スライスの一因になります。ただし原因は「開く意識」ではなく、下半身が先に動けない身体にあることが多いです。股関節の内旋、上下の分離、殿筋の安定性を確認してください。

体験のご案内

「開くな」「突っ込むな」と言われ続けて直らないなら、開かざるを得ない身体になっていないかを一度確かめてください。体験セッションでは、上体と骨盤の分離、股関節の可動域、殿筋と片脚の安定性を測り、何から手を付けるべきかをその場でお伝えします。

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身体から見つける90分

カウンセリング・身体評価・トレーニング体験まで。体験後に入会を決めていただく必要はありません。基本的に代表の岡本隼人が担当します。

¥15,000¥7,50090分・税込

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主な参考
  1. Okuda I, Gribble P, Armstrong C. Trunk rotation and weight transfer patterns between skilled and low skilled golfers. J Sports Sci Med. 2010;9(1):127-133.(上級13名・初級17名)
  2. Myers J, et al. The role of upper torso and pelvis rotation in driving performance during the golf swing. J Sports Sci. 2008;26(2):181-188.(n=100。インパクトの骨盤29.4〜38.3度)
  3. GOLF.com/GOLFTEC SwingTRU. 3 differences between pro golfers and amateurs at impact/How much tour players turn their hips at impact.(プロは30ハンディより約20度開く、腰30〜40度、肩の傾き約39度)
  4. Titleist Performance Institute. The Difference between X-Factor and X-Factor Stretch/Over the Top/Early Extension/Slide/Sway/Loss of Posture/The Torso Rotation Test/The Pelvic Rotation Test/The Lower Quarter Rotation Test(mytpi.com)。
岡本隼人
岡本 隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified NASM-PES INDIBA®コース修了

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPIのFitness 2/Power 2プログラムを修了・認定(TPI Certified Fitness 2 / Power 2)。NASM-PES。INDIBA®ベーシックコース修了(INDIBA Japan)。2002年から指導、のべ指導実績40,000人以上。自身のゴルフはヘッドスピード54m/s・ボール初速78m/s(FlightScope計測・自己最速)。2022年から少年野球チーム「船橋フェニックス」監督(2026年 全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント 3位)。Disport World(六本木3-15-21 鶯ビルB1)代表。