運動が久しぶりの人がダイエットでつまずきやすいのは、最初の1〜2週間で量を詰め込み、疲れや関節の負担で止まってしまうことです。この記事では、運動と食事がそれぞれ体重にどう関わるか、始める前に確かめること、最初の4週間を週ごとにどう組み立てるかを、論文と国のガイドをもとに整理します。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、身体を実際に測ってきた経験から書いています。大人のダイエット(会食・お酒・筋力)のページを見る→
・運動だけで体重を大きく落とすのは難しい(Swift ら、2014)。体重は食事、筋肉を残すのは運動、と役割を分ける
・持病や症状がある人は、始める前に医師に相談する。運動前の確認は「今の運動習慣・病気や症状・これからの運動の強さ」で考える(Riebe ら、2015)
・最初の4週間は「測る→小さく始める→少し増やす→振り返る」の順。筋トレは週2回、軽い負荷とフォームから
・習慣が自動的になるまでの日数は、研究の推定で中央値66日・幅18〜254日(Lally ら、2010)。4週間は結果を出し切る期間ではなく、続く形をつくる期間
運動が久しぶりの人のダイエットは、何から始めればいい?
最初にやるのは、運動ではなく「今を測ること」です。1週間の歩数、体重、食事の中身、睡眠を記録してから、無理なく足せる運動と、変えやすい食事を1つずつ選びます。
離れていた期間が長いほど、最初から量を増やしたくなります。けれども、使っていなかった筋肉や関節にいきなり週4〜5回の運動を課すと、筋肉痛や疲れで止まりやすく、「やっぱり続かなかった」という記憶だけが残ります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、強度や量は個人差を踏まえて調整し、可能なものから取り組むこと、今より少しでも多く身体を動かすことを基本に置いています。久しぶりの人にとっての正解は、「目安に届く量」ではなく「今より少し多い量」から始めることです。
運動だけで痩せられる?——運動と食事の役割の違い
運動だけで体重を大きく落とすのは、運動量がよほど多くない限り難しいとされています。体重を動かす中心は食事で、運動は減量中の筋肉を残し、減らした体重を保つ側で大きな役割を持ちます。
運動と減量の研究をまとめた総説(Swift ら、2014)は、公衆衛生の推奨に沿った量の有酸素運動で期待できる減量は最大でおよそ2kgで、個人差が大きいとしています。米国スポーツ医学会(ACSM)の見解(Donnelly ら、2009)でも、中強度の運動が週150〜250分では減量はわずかで、週250分を超える量で臨床的に意味のある減量と関連したとされています。久しぶりの人がいきなり目指す量ではありません。
一方で、運動の価値は体重計の数字だけではありません。減量中の筋肉について調べた総説(Cava ら、2017)は、食事だけで体重を落とすと筋肉の量も減ること、持久系の運動も筋力トレーニングも減量中の筋肉を残すのに役立ち、筋力トレーニングは筋力も高めることをまとめています。同じ総説は、たんぱく質を多めにとると除脂肪量を保ちやすいとしたうえで、十分に(過剰ではなく)とることをすすめています。
| 資料 | 扱ったこと | わかったこと | 久しぶりの人への読み替え |
|---|---|---|---|
| Swift ら、2014(総説) | 運動・身体活動と減量・維持 | 推奨どおりの有酸素運動での減量は最大2kg前後。個人差が大きい。体重が減らなくても健康上の利点は多い | 運動だけで体重を落とそうとしない |
| Donnelly ら、2009(ACSMの見解) | 減量と体重を戻さないための運動量 | 中強度で週150〜250分は減量わずか、週250分超で臨床的に意味のある減量と関連 | いきなり大きな運動量を目指さず、体重は食事と組み合わせて動かす |
| Cava ら、2017(総説) | 減量中に筋肉を守る方法 | 食事だけの減量では筋肉も減る。運動は筋肉を残すのに役立ち、筋力トレーニングは筋力も高める | 最初から筋力トレーニングを入れる |
40代からの体づくり全体の考え方は40代からの体づくり戦略にまとめています。この記事は「運動が久しぶりの人が、減量の最初の1か月をどう組むか」に絞ります。
始める前に確かめることは?——医師に相談したほうがいい人
心臓・血管、糖尿病などの代謝、腎臓の病気がある方や、その兆候がある方は、運動を始める前に主治医に相談してください。そうした病気や症状がなく、軽い運動から少しずつ始める場合は、まず自分で今の状態を確かめるところから進められます。
ACSMは2015年に、運動を始める前の確認の考え方を改め(Riebe ら、2015)、危険因子の数で判断するのをやめて、①今ふだん運動しているか、②心臓・血管、代謝、腎臓の病気やその兆候があるか、③これからどの強さの運動をしたいか、の3つで考える形にしています。運動が久しぶりの人は①に当てはまらないので、②と③を自分に当てはめて確かめます。
自分でできる確認としては、階段や早歩きで胸の痛みや強い息切れが出ないか、膝や腰に痛みがないか、健康診断で血圧や血糖の指摘を受けていないか、を書き出しておきます。血圧が気になる方は筋トレで血圧が上がるは本当か?も参考にしてください。今の体力をざっくり知りたい方は、オンラインの身体年齢チェックから始められます。
カウンセリング・身体評価・トレーニングを90分で体験し、姿勢・可動域・動作の評価結果はその場で全て開示します。体組成計(InBody)で体組成も測れます。体験後にその場で入会を決めていただく必要はありません。
LINEで体験を予約する最初の4週間はどう組み立てる?——週ごとの進め方
4週間は「測る→小さく始める→少し増やす→振り返る」の順に組みます。1週ごとに変えるのは1つか2つだけにして、増やすときは前の週を無理なくこなせたことを確かめてからにします。
1週目:測る
スマートフォンで歩数を記録し、平日と休日を分けて平均を見ます。体重は朝、トイレのあとなど同じ条件で量り、おへその高さの腰回りも測ります。食事は写真で残すだけで十分です。運動は、今より少し多く歩くことだけにします。
2週目:小さく始める
筋力トレーニングを週2回、軽い負荷でフォームを覚えることから始めます。種目はスクワット、ヒップヒンジ(膝を軽く曲げたまま、お尻を後ろへ引いて股関節から上体を前に倒す動き)、壁や台に手をついた腕立て伏せなど。どれも余力を残して終えます。食事は、毎食にたんぱく質のおかずを1品入れることから。
3週目:少し増やす
2週目を無理なくこなせたら、筋力トレーニングの回数かセット数の「どちらか1つ」を少し増やします。歩く量は1日約8,000歩の目安に近づけていきます。食事は、甘い飲み物や夜の間食など、記録で目立ったものを1つだけ見直します。
4週目:振り返る
1週目と比べて、歩数の平均、体重の週平均、腰回り、筋力トレーニングでできた回数、睡眠の時間を並べます。続けられたこと、きつかったことを書き出し、次の4週間で変える1〜2点を決めます。
ここで「週2回」「約8,000歩」としているのは、厚生労働省のガイド2023が成人に推奨している、筋力トレーニングを週2〜3日、歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)、という目安に合わせています。4週間で全部に届く必要はありません。目安は向かう先で、出発点ではありません。
運動が久しぶりの方は、最初の数週間は軽めの負荷でフォームを覚えることを優先してください。数日続く筋肉の張りは起こりえますが、関節の鋭い痛み、動かすと強くなる痛み、しびれが出た場合は中止し、その種目を続けないでください。胸の痛み、強い息切れ、めまいが出たらすぐに運動をやめてください。重さや回数を一度に大きく増やすことは避けてください。
筋トレと歩くこと、どちらを優先する?
どちらか一方ではなく、筋力トレーニングは週2回、歩くことは日々の生活で少しずつ、と役割を分けて両方を入れます。筋力トレーニングは減量中の筋肉を残すため、歩くことは日々の消費を積み上げるためです。
減量中の筋肉の研究(Cava ら、2017)がすすめるのは、エネルギーを控えめにした食事に、十分なたんぱく質と、筋力トレーニングを中心とした身体活動を組み合わせることでした。運動が久しぶりの人ほど、減量で筋肉まで落としやすい条件にあります。だからこそ、最初の週から筋力トレーニングを「軽く」入れておく意味があります。
歩くことは、1駅分歩く、階段を使うなど、通勤や昼休みの使い方で増やせ、運動の時間を取れない日にも積み重ねられます。
減量ではなく筋力づくりそのものを目的に、最初の3か月の進め方を知りたい方は40代の筋トレ初心者は何から始める?最初の3か月で詳しく扱っています。週に何回トレーニングするかの考え方は週2回と週4回、どちらが効果的?をご覧ください。
4週間で何を見れば「進んでいる」とわかる?
体重の数字だけで判断せず、行動の記録と身体の変化を並べて見ます。4週間で見るべきなのは「どれだけ落ちたか」より、「続けられる形ができたか」です。
体重は食べた物や飲んだ量、塩分、睡眠などで日ごとに上下するので、週の平均で比べます。運動を始めたばかりの時期は、運動だけで大きく減ることは期待しにくいことも、前に見たとおりです(Swift ら、2014)。
4週目には、歩数の週平均、筋力トレーニングを予定どおりできたか、同じフォームでできる回数、階段や早歩きの楽さ、腰回りを並べます。体組成計があれば体重の中身(脂肪と除脂肪)も見ます。どれか1つでも前に進んでいれば、次の4週間の土台はできています。
4週目以降も続けるには、何を決めておけばいい?
「いつ・どこで・何をするか」を決めて、同じ場面で繰り返すことです。習慣になるまでには、4週間より長い時間がかかるのがふつうだと考えておくと、途中で焦らずに済みます。
習慣ができるまでを追った研究(Lally ら、2010)では、96名が食事・飲み物・運動の行動を1つ選び、毎日同じ場面で12週間繰り返しました。曲線がよく当てはまった39名の推定では、行動が「考えなくてもできる」状態に近づくまでの日数は中央値66日、人によって18〜254日と大きな幅がありました。1日実行できなかった日があっても、その後の習慣づくりに大きな影響はなかったと報告されています。ただし対象は少人数で、自己評価に基づく結果です。
もう1つ決めておきたいのが、睡眠です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人に6時間以上の睡眠を目安としています。過体重の成人10名に14日間、同じように食事を控えてもらい、寝床にいる時間を8.5時間と5.5時間に分けて比べた研究(Nedeltcheva ら、2010)では、減った脂肪は8.5時間で1.4kg、5.5時間で0.6kg、減った除脂肪量は1.5kgと2.4kgでした。少人数・短期間の研究ですが、睡眠を削って運動の時間をつくるのはすすめません。
減らした体重を戻しにくくする条件は、リバウンドはなぜ起きる?で詳しく整理しています。最初の4週間から、維持の段階まで見通しておくことが大切です。
現場で見えていること
運動が久しぶりの方の体験では、まずカウンセリングで、ふだんの生活、仕事の時間、食事やお酒、睡眠の様子を伺います。そのうえで姿勢・関節の可動域・動作を評価し、評価結果はその場で全て開示します。体組成計(InBody)があり、体験の中でも体組成を測れます。どこから始めるかは、この結果と生活の様子を合わせて一緒に決めます。
運動が久しぶりの方の動作を見ると、スクワットで股関節がうまく曲がらず膝や腰で代わりに動いている方や、片脚で立つと身体が大きく揺れる方もいます。その状態で回数や重さを増やすと、筋肉を使う前に関節がつらくなり、続きません。だから私たちは、最初は量より動き方をそろえることを優先し、その方の生活で続けられる頻度を決めます。
食事は、料金の中で、初回に食事の基本をお話しし、その後はLINEなどで必要なときにご相談いただけます。特定の食事制限を前提にせず、目標に合わせて話をしながら、最終的にはご自身で食べる量や中身を調整できるようになることを目指しています。
よくある質問
運動が久しぶりでも、ダイエットに筋トレは必要ですか?
入れることをすすめます。減量中の筋肉の研究をまとめた総説では、食事だけで体重を落とすと筋肉も減り、運動、とくに筋力トレーニングは筋肉を残し筋力も高めるとされています。最初は週2回、軽い負荷でフォームを覚えることから始めれば十分です。
運動だけで痩せることはできますか?
運動量がよほど多くない限り、運動だけで体重を大きく落とすのは難しいとされています。推奨どおりの有酸素運動での減量は最大2kg前後で、個人差が大きいという総説があります。体重は食事の調整と組み合わせて動かし、運動は筋肉を残すために使う、と考えるのが現実的です。
最初の1か月で何kg痩せられますか?
人によって大きく違うため、数字はお約束できません。体重は日ごとに上下するので、週の平均で比べ、歩数や筋力トレーニングの記録、腰回りなどと合わせて見ることをすすめます。最初の4週間は、続けられる形をつくる期間と考えてください。
運動を始める前に病院に行ったほうがいいですか?
心臓・血管、糖尿病などの代謝、腎臓の病気がある方、その兆候がある方、健康診断で血圧や血糖の指摘を受けている方は、始める前に主治医に相談してください。そうした病気や症状がなく、軽い運動から少しずつ始める場合は、今の状態を自分で確かめながら進められます。
筋肉痛が出たら休んだほうがいいですか?
数日続く筋肉の張り程度なら、軽く歩くなど負荷の低い活動にとどめ、同じ部位の筋力トレーニングは張りが引いてから行います。関節の鋭い痛み、動かすと強くなる痛み、しびれがある場合は運動をやめ、続くようなら医療機関に相談してください。
体験のご案内
頑張る量を決める前に、まず今の身体を測ってください。体験トレーニングでは、生活の様子を伺い、姿勢・可動域・動作を評価したうえで、最初の4週間に何から始めるかを一緒に考えます。運動が久しぶりの方の通い方については、大人のダイエットのページの「運動が久しぶりの初心者でも、大丈夫ですか?」にまとめています。料金は料金ページで、体験の流れは体験トレーニングのページでご確認いただけます。
First Trial
久しぶりの運動を、
最初の90分で身体を測ってから
体験は基本的に代表の岡本隼人が担当します。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)、TPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)として、姿勢・可動域・動作を評価し、結果はその場で全て開示します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
先着枠は毎月1日起算、定員後は通常¥15,000です。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 体験の流れを見る
主な参考(タップで開く)
- Swift DL, Johannsen NM, Lavie CJ, Earnest CP, Church TS. The role of exercise and physical activity in weight loss and maintenance. Prog Cardiovasc Dis. 2014;56(4):441-447.(総説)
- Donnelly JE, Blair SN, Jakicic JM, Manore MM, Rankin JW, Smith BK; American College of Sports Medicine. Appropriate physical activity intervention strategies for weight loss and prevention of weight regain for adults. Med Sci Sports Exerc. 2009;41(2):459-471.(ACSMの見解・文献の総括)
- Cava E, Yeat NC, Mittendorfer B. Preserving healthy muscle during weight loss. Adv Nutr. 2017;8(3):511-519.(総説)
- Riebe D, Franklin BA, Thompson PD, et al. Updating ACSM's recommendations for exercise preparticipation health screening. Med Sci Sports Exerc. 2015;47(11):2473-2479.(ACSMの円卓会議による提言)
- Lally P, van Jaarsveld CHM, Potts HWW, Wardle J. How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. Eur J Soc Psychol. 2010;40(6):998-1009.(96名、うち解析82名)
- Nedeltcheva AV, Kilkus JM, Imperial J, Schoeller DA, Penev PD. Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity. Ann Intern Med. 2010;153(7):435-441.(過体重の成人10名・14日間×2条件)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月)。
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月)。


