同じ学年でも、体の発育の進み具合は一人ひとり大きく違います。学年や誕生日(暦の年齢)ではなく、体の発育の段階(発育の年齢)で練習を考える理由と、急に伸び始めたことへの気づき方、その間の練習の量と中身の変え方を、学会の声明と研究をもとにまとめました。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)で、TPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)の岡本隼人が、成長期の子どもの身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのはスイングの技術ではなく、体の側の話です。ジュニアゴルファーのトレーニング(何歳から・何をやるか)→
・暦の年齢は生まれてからの年数、発育の年齢は体がどこまで大人に近づいたか。同じ学年でも後者は大きくずれる
・身長が急に伸びる時期は、骨の伸びに筋肉と腱が追いつかず、動きが一時的にぎこちなくなることがある
・気づく方法は、同じ条件で身長を3〜4か月ごとに測り、1年あたりの伸びに直して見ること
・伸びている間は、球数や記録を追わず、軽い負荷で基本の動きを学び直す
・早く伸びる子も遅く伸びる子も、今の飛距離やスコアで将来を決めない
暦の年齢と発育の年齢は、何が違うのか?
結論から言うと、暦の年齢は生まれてからの年数で、発育の年齢は体がどこまで大人に近づいているかです。同じ学年の子どうしでも発育の年齢は大きくずれるため、練習の量と中身は学年ではなく、発育の段階を見て決めます。
米国のNSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)は、子どもの長期的な育成についての声明(2016年)で、同じ暦の年齢でも体の成熟の度合いは大きく異なり、始まる時期・進む速さ・変化の大きさのどれにも個人差があると述べています。カナダの子ども152名を思春期まで追った研究(Mirwald 2002)も、暦の年齢が同じ子どもの間の差は、思春期に身長が急に伸びる時期(成長スパート)の前後で特に大きくなるとしています。
男女でも時期が違い、NSCAの別の声明(2009年)は、二次性徴が現れる前の時期を女子はおよそ11歳まで、男子はおよそ13歳までとしています。
| 項目 | 暦の年齢 | 発育の年齢 |
|---|---|---|
| 表しているもの | 生まれてからの年数・学年 | 体がどこまで大人に近づいているか |
| 同じ学年での差 | 最大で1年(早生まれ・遅生まれ) | 大きく開くことがある(とくに成長スパートの前後) |
| 知る方法 | 誕生日を見れば分かる | 身長の伸びの記録などから推し量る(正確に知るのは難しい) |
| 練習での使い方 | 大会の区分や学校行事の目安 | 練習の量・強度・中身を決める目安 |
TPI(Titleist Performance Institute。ゴルファーの身体評価と育成を教える機関)のジュニアの育成の講座、Junior Level 2でも、この違いは柱の一つです。公式の講座ページは、ジュニアが「小さな大人」として教えられがちだと指摘し、誕生日でグループを分けるやり方に対して根拠と代わりの方法を示す、と紹介しています。講座の対象年齢も発育の年齢で書かれ、11〜13歳(発育の年齢)は急な成長スパートのために多くのコーチが苦労する年代だ、と説明されています。
身長が急に伸びる時期、体の中では何が起きているのか?
結論として、骨が先に、速く伸び、筋肉と腱が後から追いかけます。体重と重心の高さが増えるのに、それを支える筋力がすぐには追いつかないため、動きが一時的にぎこちなくなったり、関節のまわりに負担が集まったりしやすい時期です。
NSCAの2016年の声明によると、この時期は骨が筋肉や腱より早く伸びるため、関節のまわりの違和感や柔軟性の低下が起きることがあります。体重と重心の高さが急に増えても筋力はすぐには追いつかず、跳ぶ・止まる・切り返す動作で負担が大きくなりえます。骨の中身の充実(石灰化)も長さの伸びに遅れます。そのため、とくに下肢のケガのリスクは成長スパートのころに最も高くなる、としています。
伸びる量も大きく、サッカーの育成年代を扱った総説(Towlson 2021)は、この時期の男子は1年に7〜12cmほど伸びることがある、と紹介しています。手足と胴体が長くなっても、筋肉や腱がその大きさと重さにまだ慣れていないために動きが崩れる現象は、「思春期のぎこちなさ(adolescent awkwardness)」と呼ばれます。
ただし、ぎこちなさは全員に起きるわけではありません。33研究をまとめたシステマティックレビュー(Quatman-Yates 2012)は、少なくとも一部の子どもで動きを操る仕組みに一時的な遅れや後戻りが見られる、としています。ケガとの関係では、才能のあるサッカー選手26名を成長スパートの前後3年間追った研究(van der Sluis 2014)で、外傷の件数が、成長スパートの前の年の1人あたり0.81件から、スパートの年には1.41件に増えていました。少人数のサッカーの研究で、そのままゴルフには当てはめられませんが、この時期を特別扱いする理由の一つです。
急に伸びる時期に入ったことに、どう気づけばいいのか?
結論として、いちばん確かな手がかりは身長の記録です。同じ条件で3〜4か月ごとに測り、1年あたりの伸びに直して見ていくと、伸びるペースが急に上がった時期が分かります。
Towlson 2021の総説は、育成年代の選手の成熟度の見積もりを、シーズン中に3〜4か月ごとに行い、成長スパートに近づいている選手とその最中の選手には特に注意を向けるよう勧めています。スパートの始まりと終わりをとらえるために、その時期は毎月に増やすことも提案し、測るときは同じ時間帯に、同じ人が、同じやり方で測ることを挙げています。ご家庭でも、次の3つで十分に役立つ記録になります。
同じ条件で測る
時間帯(たとえば朝)と測る人を決めます。靴下を脱ぎ、かかと・お尻・背中を壁につけ、頭の上に本などを水平に当てて印をつけます。身長は1日の中でも変わるので、条件をそろえることが大事です。
3〜4か月ごとに記録する
日付と身長を、同じノートや表に残します。伸び方が速くなってきたと感じたら、間隔を毎月に縮めます。学校の健康診断の記録も、1年ごとの伸びを見る材料になります。
1年あたりの伸びに直して比べる
3か月の伸びを4倍すると、1年あたりのおよそのペースになります。前の1年よりペースがはっきり上がっていれば、急に伸びる時期に入った目安です。ズボンの丈がすぐ合わなくなるのも手がかりです。
成長スパートの時期を計算で予測する式もありますが、同じ総説は誤差がおよそ±1年あり、多くが欧米の子どものデータから作られていると示しています。式を作った研究(Mirwald 2002)自身も、結果は大まかな区分として使うよう勧めています。私たちも、式より実際の記録の変化を重く見ます。
代表の岡本隼人は、TPI(Titleist Performance Institute)のJunior Level 2の認定を受けています。暦の年齢ではなく体の発育の段階に合わせた育て方、筋力トレーニングを始める時期、保護者との伝え方——Junior 2で学んだことを、資格のページでお伝えしています。
Junior Level 2で学んだことを見る伸びている間、練習の量と中身はどう変えればいいのか?
結論として、量と強度を一時的に少し落とし、記録を追わず、軽い負荷で基本の動きを学び直す時間を増やします。休ませるというより、練習の中身を入れ替える考え方です。痛みがある場合は、練習の工夫より先に受診してください。
NSCAの2016年の声明は、成長スパートで動きの協調が一時的に乱れた子には、負荷を下げて動き方を修正する機会を与えるよう求めています。Towlson 2021の総説も、急に止まる・向きを変える繰り返しを減らし、技術的な動きの練習に置き換えることを提案しています。ゴルフの練習に置き換えると、次のようになります。
| 練習の項目 | 伸びている間の変え方 | 理由 |
|---|---|---|
| 打つ球数・振る回数 | 増やして取り返そうとしない。必要なら一時的に減らす | 同じ量でも体への負担が大きくなりうる時期のため |
| 飛距離・スピードの記録 | 記録の更新を目標にしない | 動きを操る力が一時的に乱れることがあり、記録が伸びにくいのは自然なため |
| 基本の動き | 片脚で立つ、しゃがむ、着地して止まる、を軽い負荷でやり直す | 長くなった手足と重くなった体に、動き方を合わせ直すため |
| 跳ぶ・切り返す動き | 反復の量を増やしすぎない | 下肢のケガのリスクが高い時期のため |
| 柔軟性 | 落ちていないかを定期的に測って確かめる | 骨の伸びに筋肉と腱が追いつかない時期のため |
| 筋力トレーニング | 重さを増やすより、正しい動きを保つことを優先する | 体の大きさの変化に筋力がすぐには追いつかないため |
Disport Worldはスイングの技術指導をしておらず、ジムでボールも打ちません。お伝えするのは「いまの体だと、この動きがしにくい」という体の側の事実までで、スイングの方針はコーチと相談していただきます。柔軟性の変化そのものについては、子どもの体が硬いときの測り方と、小学生アスリートのトレーニングでも扱っています。
・膝のお皿の下、かかと、腰、肘、手首などに、練習のあとや翌朝の痛みが続く
・腰を反らせると痛む、痛みが2週間以上続く
・関節が腫れる、熱をもつ、ひっかかって動かない
・手足にしびれが出る、力が入りにくい
また、身長の伸びが極端に少ない、急に止まった、周りと比べて明らかに早すぎるといった心配がある場合は、小児科に相談してください。痛みがある状態で練習を続けることはすすめません。再開の時期と内容は主治医と相談してください。成長期の膝の痛みはオスグッドの解説、腰の痛みは子どもの腰椎分離症の解説にまとめています。
早く伸びる子と遅く伸びる子、それぞれ何に気をつけるのか?
結論として、早く伸びる子は体の大きさに頼った結果で満足しないこと、遅く伸びる子は練習量で追いつこうとしないことです。どちらの場合も、今の飛距離やスコアで将来を決めつけないことが大切です。
早く伸びる子は体が大きく力も出るため、動きの質を磨く前に結果が出てしまうことがあります。遅く伸びる子は体が小さく、飛距離で差をつけられがちです。そこで練習量を増やして追いつこうとすると、体への負担が先に大きくなります。先ほどのサッカー選手26名の研究(van der Sluis 2015)では、成長スパートが遅い子のグループのほうが、スパートの前の年とスパートの年に、使いすぎによるケガの発生率が高くなっていました(スパートの前の年で、練習・試合1,000時間あたり3.53件対0.49件)。
英国のサッカーのアカデミーで、年齢ではなく成熟度でチームを分けた大会に出た11〜14歳の選手66名への聞き取り(Cumming 2018)では、早く成熟した選手は技術と戦術を工夫する必要を感じ、遅く成熟した選手は自分の技術を試す機会が増えたと答えていました。TPIのJunior Level 2でも、発育の段階ごとに帽子とブレスレットの色でグループを分ける仕組みを扱う、と講座ページに書かれています。
現場で見えていること——学年ではなく、発育の段階で決める
結論として、私たちはジュニアのトレーニングの内容と負荷を、学年ではなく、その子の発育の段階を見て決めています。そして測った結果とその日に見たことは、トレーニングのたびに保護者の方へ口頭でお伝えしています。進め方は次のとおりです。
伺う
最近の身長の伸び(記録があればお持ちください)、ゴルフの練習量、ほかの運動、痛いところと過去に痛めたところを、保護者の方とお子さんから伺います。
測る
姿勢、関節の可動域、筋力のバランス、ジャンプと着地、基本の動作を見ます。左右に分かれる項目は両側を測ります。
決める
学年ではなく発育の段階から、何を優先し、どのくらいの負荷にするかを決めます。伸びている時期の子には、重さや回数を増やすより、動きの学び直しを多くします。
伝える
その日に測ったこと、変わったこと、家や練習の前後で気をつけることを、保護者の方に口頭でお伝えします。
痛みがある場合は、トレーニングより受診を先にお願いしています(診断や治療は行いません)。年代ごとに何を育てるかの全体像は、ジュニアゴルファーのトレーニング|何歳から・何をやるかにまとめています。
よくある質問
身長が急に伸びる時期は、何歳ごろですか?
決まった年齢はなく、個人差が大きいです。平均すると女子のほうが早く、NSCAの声明(2009年)は二次性徴が現れる前の時期を女子でおよそ11歳まで、男子でおよそ13歳までとしています。サッカーのアカデミー選手では、急に伸びる時期が10.7歳から15.2歳の間に来ていたと総説(Towlson 2021)が紹介しています。学年ではなく、身長の記録で判断してください。
成長期は、ゴルフの練習を休ませたほうがいいですか?
痛みがなければ、休ませるより練習の中身を入れ替えることをおすすめします。球数や記録を追う練習を一時的に減らし、基本の動きを軽い負荷でやり直します。痛みが続く場合は、練習を休んで整形外科を受診してください。
同じ学年の子より体が小さく、飛距離で負けています。練習を増やすべきですか?
練習量で追いつこうとするのはおすすめしません。体の小ささは発育の時期の違いによることもあり、サッカー選手26名の研究では、成長スパートが遅い子のほうが、スパートの前の年とその年に使いすぎによるケガが多かったと報告されています。今の飛距離で将来を決めず、動きの質と体の土台を育てることを優先してください。
身長の伸びは、どうやって記録すればいいですか?
同じ時間帯に、同じ人が、同じやり方で、3〜4か月ごとに測って記録します。伸びが速くなってきたら毎月に縮めます。3か月の伸びを4倍すると1年あたりのおよそのペースになり、前の1年より明らかに速ければ、急に伸びる時期に入った目安です。
Disport Worldでは、ジュニアのスイングも見てもらえますか?
いいえ。私たちはスイングの技術指導をしておらず、ジムでボールも打ちません。見るのは姿勢、関節の可動域、筋力のバランス、ジャンプと着地といった体の側で、内容と負荷は発育の段階から決めます。
ジュニアゴルファーの体づくりのご案内
身長が急に伸びる時期は誰にでも来ますが、時期と速さは一人ひとり違います。学年で比べて焦るより、記録で今の段階を知り、その段階に合った練習に入れ替えることが、長くゴルフを続ける体につながります。代表の岡本がTPIのJunior Level 2で学んだことは資格のページに、お子さんの体についてのご相談はLINEで受け付けています。
TPI Junior 2
身長が伸びる時期の体を、
発育の段階から考える
担当は基本的に代表の岡本隼人。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)で、TPI(Titleist Performance Institute)のJunior Level 2の認定を受けています。学年や暦の年齢ではなく、その子の発育の段階を見て、何をどの順番で育てるかを考えます。スイングの技術指導はしていません。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 初回は保護者の方の同席をお願いしています
主な参考(タップで開く)
- Titleist Performance Institute. Junior Level 2(講座ページ). https://www.mytpi.com/certification/junior-level-2(2026年10月27日閲覧).
- Lloyd RS, Cronin JB, Faigenbaum AD, Haff GG, Howard R, Kraemer WJ, Micheli LJ, Myer GD, Oliver JL. National Strength and Conditioning Association Position Statement on Long-Term Athletic Development. J Strength Cond Res. 2016;30(6):1491-1509.(NSCAの声明。本文で確認・2026年10月27日閲覧)
- Faigenbaum AD, Kraemer WJ, Blimkie CJ, Jeffreys I, Micheli LJ, Nitka M, Rowland TW. Youth resistance training: updated position statement paper from the National Strength and Conditioning Association. J Strength Cond Res. 2009;23(5 Suppl):S60-S79.(NSCAの声明。要旨で確認・2026年10月27日閲覧)
- Mirwald RL, Baxter-Jones AD, Bailey DA, Beunen GP. An assessment of maturity from anthropometric measurements. Med Sci Sports Exerc. 2002;34(4):689-694.(カナダの子ども152名。要旨で確認・2026年10月27日閲覧)
- Quatman-Yates CC, Quatman CE, Meszaros AJ, Paterno MV, Hewett TE. A systematic review of sensorimotor function during adolescence: a developmental stage of increased motor awkwardness? Br J Sports Med. 2012;46(9):649-655.(33研究のシステマティックレビュー。要旨で確認・2026年10月27日閲覧)
- Towlson C, Salter J, Ade JD, Enright K, Harper LD, Page RM, Malone JJ. Maturity-associated considerations for training load, injury risk, and physical performance in youth soccer: One size does not fit all. J Sport Health Sci. 2021;10(4):403-412.(総説。本文で確認・2026年10月27日閲覧)
- van der Sluis A, Elferink-Gemser MT, Coelho-e-Silva MJ, Nijboer JA, Brink MS, Visscher C. Sport injuries aligned to peak height velocity in talented pubertal soccer players. Int J Sports Med. 2014;35(4):351-355.(サッカー選手26名・3年間。要旨で確認・2026年10月27日閲覧)
- van der Sluis A, Elferink-Gemser MT, Brink MS, Visscher C. Importance of peak height velocity timing in terms of injuries in talented soccer players. Int J Sports Med. 2015;36(4):327-332.(サッカー選手26名。要旨で確認・2026年10月27日閲覧)
- Cumming SP, Brown DJ, Mitchell S, et al. Premier League academy soccer players' experiences of competing in a tournament bio-banded for biological maturation. J Sports Sci. 2018;36(7):757-765.(11〜14歳の選手66名。要旨で確認・2026年10月27日閲覧)


