WHO(2020)は「10分以上続けた運動だけを数える」条件をなくし、厚生労働省のガイド2023も短い時間の積み重ねで健康増進効果が得られるとしています。ただし午後への効果は主に気分と疲れの感じ方に出るもので、テストで測る頭の働きへの効果は小さい。汗・着替え・食事の順番まで含めて、港区のオフィスで回せる組み方を整理しました。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのは医療ではなく、仕事の日の運動の組み方です。体験トレーニングの流れ →
・昼休みの短い運動も数に入る。WHO(2020)は「10分以上」の条件をなくし、厚生労働省のガイド2023も最短の持続時間はないとしている
・日本の職場で昼休みに10分の運動を週3回・10週間続けた研究(59人)で、活力や仕事の満足度などが改善した
・午後への効果は主に気分と疲れの感じ方。テストで測る頭の働きへの効果は小さい
・食後の血糖を抑えたいなら「食べてから、すぐ歩く」。筋トレや汗をかく運動は「動いてから食べる」
・やや速歩20分を週3回で、ガイドの「運動 週4メッツ・時」に届く計算
昼休み30分の運動に意味はあるか?
意味はあります。WHOの2020年のガイドラインは、中強度以上の身体活動を続けた長さを問わず週の合計に数えるとし、2010年版の「10分以上続けたものだけ」という条件をなくしました。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、最短の持続時間は「ありません」とし、短い時間の積み重ねでも健康増進効果は得られるとしています。
| 項目 | WHO(2020) | 厚生労働省(ガイド2023) |
|---|---|---|
| 有酸素の活動 | 中強度で週150〜300分、または高強度で週75〜150分 | 3メッツ以上の身体活動を1日60分以上(約8,000歩)。うち息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上 |
| 筋力トレーニング | すべての主な筋群を使う中強度以上を週2日以上 | 週2〜3日 |
| 座りっぱなし | 座る時間を減らす。どの強度の活動に置き換えても利益がある | 長くなりすぎないように注意する |
| 1回の長さ | 問わない(2010年版の「10分以上」をなくした) | 最短の持続時間はない |
労働基準法は、労働時間が8時間を超える日に1時間以上の休憩を定めています(6時間超は45分以上)。1時間の昼休みなら、30分を運動に回しても食事の時間は残ります。着替えや汗の始末を除くと、動けるのは15〜20分ほどが目安です。それでも「やや速歩」(4.3メッツ)を20分・週3回で約4.3メッツ・時となり、ガイドの「運動 週60分(週4メッツ・時)以上」に届く計算です。
10分の積み重ねでも効果はあるか?
あります。同じ強度・同じ合計時間の運動を、1回で続けた場合と1日の中で分けた場合を比べた19研究(1,080人)のメタ解析では、体力、血圧、空腹時の血糖とインスリン、総コレステロールや中性脂肪に差がありませんでした(Murphy ら、2019)。
10分未満の細切れについては、米国の身体活動ガイドライン諮問委員会の系統的レビュー(29論文)が、長さを問わず身体活動は健康指標の改善と関連していると結論しています(Jakicic ら、2019)。ただし無作為化試験で調べられたのは10分以上の運動だけで、10分未満は「関連がある」という段階です。厚生労働省のガイドでは、1日10分の身体活動を増やすと生活習慣病の発症や死亡のリスクが約3%下がると推測されています。
座りっぱなしを区切ると何が変わるか?
座っている途中に短く歩くと、食後の血糖とインスリンの上がり方が小さくなることが、実験で繰り返し示されています。昼休みは、午前から続いた座位を大きく区切る機会です。
日本人の座る時間は、20か国・49,493人の比較(2002〜04年の調査)で最も長い国の一つ(平日の中央値360分以上)でした(Bauman ら、2011)。平成25年国民健康・栄養調査では、平日の総座位時間が8時間以上の人が男性38%、女性33%です(厚生労働省 ガイド2023)。
過体重・肥満の45〜65歳19人の実験では、ブドウ糖と脂質を含む飲料のあとの5時間、20分ごとに2分歩くと、血糖の増加分の面積(mmol/L・時)が座りっぱなしの6.9に対して軽い歩行で5.2、中強度の歩行で4.9と小さく、インスリンも低くなりました(Dunstan ら、2012)。7試験の解析では、立つだけでも食後血糖は下がり、軽く歩くほうが血糖とインスリンをより大きく下げています(Buffey ら、2022)。ただし多くは1日だけの実験で、職場で長く続けた効果は確かめきれていません。昼休みの運動を「大きな区切り」、会議の合間に立って歩くことを「小さな区切り」として、両方を使ってください。
カウンセリング・身体評価・トレーニングを90分で体験し、評価結果はその場で全て開示します。短い時間に何を優先するかも、評価結果をもとに一緒に考えます。体験後にその場で入会を決めていただく必要はありません。
LINEで体験を予約する昼休みの運動で午後の仕事は変わるか?
変わりやすいのは「気分」と「疲れの感じ方」です。昼休みの散歩や短い運動で、仕事中の活力や午後の集中の自己評価が上がり、疲労感が下がったという研究がある一方、テストで測る頭の働きへの効果は小さいか、はっきりしません。
| 研究 | 対象 | したこと | 結果 |
|---|---|---|---|
| Michishita ら、2017 | 日本のホワイトカラー59人(職場単位で割り付け) | 昼休みに10分の運動を週3回、10週間 | 活力・対人ストレス・仕事の満足度などが改善。群の差は小さく、参加は29回中平均18.2回 |
| Thøgersen-Ntoumani ら、2015 | 運動習慣のない英国の大学職員56人 | 昼休みに30分の集団ウォーキングを週3回、10週間 | 職場での熱意とリラックスが高まり、緊張が和らいだ(分析方法で出方は異なる) |
| Sianoja ら、2018 | 公園散歩51人・リラクセーション46人 | 昼休みに15分、10勤務日 | 散歩した日は、昼休みの楽しさを介して午後の集中が高く、疲労感が低かった |
| Wennberg ら、2016 | 過体重・肥満の19人(実験室) | 座位の途中、30分ごとに3分歩く | 疲労感が下がった。実行機能と記憶のテストは差なし |
1回の運動と認知機能のテストを調べた79研究のメタ解析でも、効果は「小さいがプラス」でした(Chang ら、2012)。公園散歩の研究では、リラクセーションの群も午後の集中や疲労感によい関連を示しています。午後を楽にするのが目的なら、激しい運動は要りません。午後の集中力そのものは午後3時で集中力が切れる経営者へで扱っています。
食事は運動の前か後か?
目的で決めます。食後の血糖の上がり方を抑えたいなら「食べてから、すぐ歩く」。筋トレや汗をかく運動は「動いてから食べる」が組みやすい順番です。
食前と食後の運動を同じ条件で比べた8試験(116人、うち2型糖尿病47人)のメタ解析では、食後の運動は食前の運動や運動なしより食後血糖の上昇を小さくし、食前の運動は運動なしと差がありませんでした。食事からの間隔が短いほど効果が大きく、糖尿病のない人に限っても食後が有利でした(Engeroff ら、2023。各試験の偏りのリスクは高い)。
一方、しっかり食べた直後に強く動くのは避けます。持久系の競技者のレビューでは、食物繊維・脂質・たんぱく質などの摂取が運動中の胃腸症状と関連づけられています(de Oliveira ら、2014)。空腹で動いて強い空腹感やふるえが出たら、厚生労働省のガイドが挙げる中止のサインです。食事全体の組み立ては血糖値の波をならす食事と運動で。
汗と着替えはどうするか?
汗をかけない日は歩行程度の強度にとどめ、汗をかく日は着替えと汗の始末の時間を先に確保します。ガイドが「運動」の目安を「息が弾み汗をかく程度」としているとおり、強度を上げれば汗は出ます。汗の量は個人差が大きいので(米国スポーツ医学会、2007)、自分のかき方を基準に選んでください。
| 動き(ガイドのメッツ表) | メッツ | 着替えの目安(季節・室温で変わる) | 使い方 |
|---|---|---|---|
| ストレッチング | 2.3 | 不要なことが多い | 固まった所を動かす。3メッツ未満なので週4メッツ・時の計算には入らない |
| 普通歩行(分速67m) | 3.0 | 季節と室温による | 食後すぐの散歩。スーツの日の基本 |
| やや速歩(分速93m) | 4.3 | 汗ばむことがある | 20分×週3回で週4メッツ・時 |
| 筋トレ(スクワット) | 5.0 | 汗をかく。上の着替えを用意 | 動いてから食べる日に |
段取りは3つです。替えのインナーと汗拭きを職場に置く。ある程度の強度で動いたら、ガイドのとおり5〜10分の整理運動をとる(オフィスまでゆっくり歩いて戻る時間をあてれば、時間を足さずに済みます)。水分は運動中も15分に1回程度とる(同ガイド)。六本木は坂が多いので、汗をかけない日は平らな道を選んでください。
昼休み30分の組み方——3つの型
「食べてから歩く」「動いてから食べる」「10分だけ動く」の3つの型を、午後の予定と服装で使い分けます。
食べてから歩く(汗をかけない日)
食べ終わったらすぐに15〜20分。遠回りしてオフィスに戻る、近くの公園を一周するなど、普通歩行からほどほどの速さ(3.0〜3.5メッツ)で歩きます。
動いてから食べる(筋トレの日)
準備3分、自重の筋トレ15分、整理運動と汗の始末・着替え10分で約30分。スクワット、動かない机に手をついた腕立て伏せ、ランジなどで大きな筋群をまんべんなく使い、息をこらえずに行います。食事は残りの時間で。
10分だけ動く(時間がない日)
日本の職場の研究のプログラムは、ストレッチ・頭を使う課題を含む運動・有酸素運動・自重の筋トレ・整理運動を10分に収め、強度は「適度に汗ばむ程度」でした。食後に10分歩くだけでも1回に数えます。
例えば月・金は②、水は速歩20分、火・木は食後に10分歩く。これで筋トレは週2日(ガイドの週2〜3日)です。昼休みだけでWHOの週150〜300分や1日約8,000歩を満たそうとせず、通勤の歩きと合わせて数えてください(ガイドは60分の歩行を約6,000歩としています)。研究でも参加は29回中平均18.2回でした。休んだ週を失敗と数えず、型に戻ることを優先します。
熱がある、体がだるい、睡眠不足や過労・二日酔いで体調が悪い、頭痛やめまいがする、少し動いただけで息切れや動悸がする、胸が痛い、熱中症警報が出ている——どれかに当てはまる日は休みます(厚生労働省 ガイド2023の運動前チェックの一部)。運動中に胸の痛み、動悸、めまいやふらつき、冷や汗、強い空腹感やふるえ、関節や筋肉の強い痛みが出たら、すぐに中止してください。
現場で見えていること
Disport Worldの体験では、カウンセリングで目標と生活習慣を伺い、身体機能のチェックで姿勢・可動域・動作を確認してから、結果に沿ってトレーニングを組みます。昼休みの10分に何を入れるかも同じ順番で、「何分できるか」より先に「どこが動いていないか」を見ます。
デスクワークが長い方を測ると、股関節の前側や胸椎(背中の上の方)の動きが小さい方、片脚で立つと骨盤が横に揺れる方をよく見かけます。この状態で速いスクワットやジャンプを繰り返すと、動きにくい関節の分を腰や膝が肩代わりしやすい。短い時間ほど、最初の数分を可動域を出す動きにあててから筋トレに進む順番を勧めています。昼休みの運動が止まるきっかけも、きつさより会議や着替えといった段取りの側にあることが多いので、「汗をかかない型」を1つ持っておいてください。仕事帰りに通う場合の考え方は仕事帰りに通えるパーソナルジムの条件に、自分の現在地を知るには10項目の身体年齢セルフチェックをどうぞ。
よくある質問
昼休みの運動は何分やれば意味がありますか?
10分でも意味があります。WHO(2020)は中強度以上の身体活動を長さを問わず数え、厚生労働省のガイド2023も最短の持続時間はないとしています。日本の職場の研究では、昼休みに10分の運動を週3回・10週間続けた群で活力などが改善しました。
昼休みの運動は食前と食後どちらがいいですか?
目的で決めます。食後の血糖を抑えたいなら食べ終わってすぐ歩くほうが有利で、8試験のメタ解析では食前の運動は運動しない場合と差がありませんでした。筋トレや汗をかく運動は、動いてから食べる順番が組みやすいです。
昼休みに運動すると午後に疲れませんか?
散歩程度の強度なら、午後の疲労感はむしろ低かったという研究があります。昼休みに15分公園を歩いた研究では、散歩の楽しさを通じて午後の疲労感の低さと関連し、座位の途中に3分歩いた実験でも疲労感が下がりました。大事な予定がある日は、歩く程度にとどめてください。
昼休みの運動で汗をかかないようにするには?
強度を普通歩行(3.0メッツ)前後にとどめ、食後に平らな道を歩くのが基本です。速歩や上り坂、スクワットは着替えの用意がある日に回します。汗の量は個人差が大きいので、自分のかき方を基準にしてください。
昼休みの運動だけで運動不足は解消できますか?
昼休みだけで推奨量を満たすのは難しいです。WHOは中強度で週150〜300分、厚生労働省は1日60分の身体活動(約8,000歩)を勧めているので、通勤の歩きや階段と合わせて数えてください。
体験のご案内
昼休みの10分に何を入れるかは、身体のどこが動いていないかで変わります。体験トレーニングでは、カウンセリングで仕事の日の過ごし方を含む生活習慣を伺い、姿勢・可動域・動作を確認して、結果をその場でお伝えします。体験の流れは体験トレーニングのご案内で。
First Trial
昼休みの10分を決める前に、
90分で身体を評価します
体験は基本的に代表の岡本隼人が担当します。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)、TPI認定(Fitness 2/Power 2)として、姿勢・可動域・動作を評価し、結果はその場で全て開示します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
先着枠は毎月1日起算、定員後は通常¥15,000です。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 体験の流れを見る
主な参考(タップで開く)
- World Health Organization. WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Geneva: WHO; 2020./Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, et al. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Br J Sports Med. 2020;54(24):1451-1462.
- 厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 2024年1月.(成人版、筋力トレーニング、働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント、安全に行うためのポイント、メッツ表)
- Murphy MH, Lahart I, Carlin A, Murtagh E. The effects of continuous compared to accumulated exercise on health: a meta-analytic review. Sports Med. 2019;49(10):1585-1607.(19研究・1,080人)
- Jakicic JM, Kraus WE, Powell KE, et al. Association between bout duration of physical activity and health: systematic review. Med Sci Sports Exerc. 2019;51(6):1213-1219.(29論文)
- Bauman A, Ainsworth BE, Sallis JF, et al. The descriptive epidemiology of sitting: a 20-country comparison using the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ). Am J Prev Med. 2011;41(2):228-235.(20か国・49,493人)
- Dunstan DW, Kingwell BA, Larsen R, et al. Breaking up prolonged sitting reduces postprandial glucose and insulin responses. Diabetes Care. 2012;35(5):976-983.(過体重・肥満の成人19人)
- Buffey AJ, Herring MP, Langley CK, Donnelly AE, Carson BP. The acute effects of interrupting prolonged sitting time in adults with standing and light-intensity walking on biomarkers of cardiometabolic health in adults: a systematic review and meta-analysis. Sports Med. 2022;52(8):1765-1787.(7試験)
- Michishita R, Jiang Y, Ariyoshi D, et al. The practice of active rest by workplace units improves personal relationships, mental health, and physical activity among workers. J Occup Health. 2017;59(2):122-130.(日本のホワイトカラー59人)
- Thøgersen-Ntoumani C, Loughren EA, Kinnafick FE, et al. Changes in work affect in response to lunchtime walking in previously physically inactive employees: a randomized trial. Scand J Med Sci Sports. 2015;25(6):778-787.(56人)
- Sianoja M, Syrek CJ, de Bloom J, Korpela K, Kinnunen U. Enhancing daily well-being at work through lunchtime park walks and relaxation exercises: recovery experiences as mediators. J Occup Health Psychol. 2018;23(3):428-442.(公園散歩51人・リラクセーション46人)
- Wennberg P, Boraxbekk CJ, Wheeler M, et al. Acute effects of breaking up prolonged sitting on fatigue and cognition: a pilot study. BMJ Open. 2016;6(2):e009630.(19人)
- Chang YK, Labban JD, Gapin JI, Etnier JL. The effects of acute exercise on cognitive performance: a meta-analysis. Brain Res. 2012;1453:87-101.(79研究)
- Engeroff T, Groneberg DA, Wilke J. After dinner rest a while, after supper walk a mile? A systematic review with meta-analysis on the acute postprandial glycemic response to exercise before and after meal ingestion in healthy subjects and patients with impaired glucose tolerance. Sports Med. 2023;53(4):849-869.(8試験・116人)
- de Oliveira EP, Burini RC, Jeukendrup A. Gastrointestinal complaints during exercise: prevalence, etiology, and nutritional recommendations. Sports Med. 2014;44(Suppl 1):S79-S85.
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- 労働基準法 第34条(休憩)。


