ダイエットで筋トレをする理由は、体重計の数字より「減った中身」にあります。この記事では、食事だけで減量したときに何が減るのか、筋トレを組み合わせるとどう変わるのか、減量中に筋肉を守るための条件は何かを、論文と国のガイドで確かめられた範囲で整理します。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、身体を実際に測ってきた経験から書いています。大人のダイエット(会食・お酒・筋力)のページを見る→
・食事を減らすだけの減量では、脂肪だけでなく筋肉などの除脂肪量も減りやすい(Cava ら、2017 の総説)
・65歳以上の160人の試験(Villareal ら、2017)では、体重はどの運動群も約9%減ったが、除脂肪量の減り方は有酸素運動だけの群が約5%、筋トレを含む群は約2〜3%だった
・筋トレそのものは体重を大きく減らす手段ではない(ACSM、2009)。役割は、減量中に筋肉を残し、筋力を保つこと
・筋肉を守る条件は、ゆるやかなエネルギー不足・週2〜3回の筋トレ・足りるたんぱく質・十分な睡眠の4つ
・始める前に、今の体重と体組成、動ける範囲を測っておくと、減った中身を確かめながら進められる
ダイエットなのに筋トレをするのはなぜ?——守りたいのは「減る中身」
結論から言うと、ダイエット中の筋トレは、体重を減らすためというより、減量で筋肉まで落とさないために行います。体重が同じだけ減っても、脂肪が中心に減ったのか、筋肉も一緒に減ったのかで、その後の身体は大きく違ってきます。
体重は、脂肪と、それ以外の重さ(除脂肪量=筋肉・骨・内臓・水分など)を合わせた数字です。食事の量を減らすと、身体は足りないエネルギーを脂肪だけでなく筋肉などからもまかないます。この違いは体重計の数字には出ません。
筋肉が減ると、安静時の消費エネルギーを支える除脂肪量が小さくなります。体重は減ったのに体脂肪率があまり下がらず、思っていた見た目にならないこともあります。腹筋の形が見えるところまで脂肪を落とす上級編は腹筋を割るまでのロードマップで扱っています。この記事はその手前の、一般的な減量で筋肉を守る話です。
食事だけで痩せると、何が減るのか?
食事を減らすだけの減量では、脂肪と一緒に除脂肪量も減ります。減量中に筋肉を守る方法をまとめた総説(Cava ら、2017)は、食事による減量で筋肉量が減ることを前提に、そのうえで筋肉を残す手だてを整理しています。
中高年の過体重・肥満の人を対象に、食事制限と運動が除脂肪量に与える影響を52の研究で調べた系統的レビュー(Weinheimer ら、2010)は、運動を組み合わせることが、食事制限による減量のあいだに除脂肪量を残す助けになると結論づけています。ただし、研究ごとの方法がそろわず、数字をまとめて計算する解析(メタ解析)まではできなかったことを著者自身が書いています。
除脂肪量が減ることの意味は、安静時の消費エネルギーから考えるとわかりやすくなります。英国の成人150名の基礎代謝を測った研究(Johnstone ら、2005)では、人による違いのうち、除脂肪量で説明されたのが63%、年齢で説明されたのは2%でした。除脂肪量が減れば、安静時に使うエネルギーもそのぶん小さくなりやすい。減量を終えたあとに体重を戻しやすくなる背景の1つとして、減量後の身体の反応はリバウンドはなぜ起きる?で詳しくまとめています。
| 研究 | 対象 | 調べたこと | わかったこと |
|---|---|---|---|
| Villareal ら、2017 | 肥満のある65歳以上の160人(6か月) | 減量に有酸素運動・筋トレ・両方を組み合わせて比べた | 体重はどの運動群も約9%減。除脂肪量の減りは有酸素だけ約5%、両方約3%、筋トレだけ約2% |
| Weinheimer ら、2010 | 中高年の過体重・肥満を対象にした52の研究 | 食事制限と運動が除脂肪量に与える影響 | 運動の組み合わせは、減量中の除脂肪量を残す助けになる(数字の統合はできず) |
| Johnstone ら、2005 | 英国の成人150名 | 基礎代謝の個人差を説明するもの | 除脂肪量63%、脂肪量6%、年齢2% |
| Nedeltcheva ら、2010 | 過体重の成人10人(平均41歳・14日間) | 食事制限中、寝床の時間8.5時間と5.5時間の比較 | 5.5時間では除脂肪量の減りが1.5kgから2.4kgに増え、脂肪の減りは1.4kgから0.6kgに |
カウンセリング・身体評価・トレーニングを90分で体験し、評価結果はその場で全て開示します。体験では体組成計(InBody)で体組成も測れます。体験後にその場で入会を決めていただく必要はありません。
LINEで体験を予約する筋トレを組み合わせると、減量中の筋肉はどのくらい守られるのか?
減量に筋トレを組み合わせると、同じように体重が減っても、除脂肪量の減り方が小さくなることが試験で示されています。ただし「まったく減らない」わけではなく、減り方を小さくできる、という理解が正確です。
2017年に医学誌 New England Journal of Medicine に載った Villareal らの試験では、肥満のある65歳以上の160人を、減量プログラムに有酸素運動を加える群、筋トレを加える群、両方を加える群、減量も運動もしない群の4つに分け、6か月間比べました。体重は運動を加えた3つの群でいずれも約9%減りましたが、除脂肪量の減り方は、有酸素運動だけの群が約5%だったのに対し、両方の群は約3%、筋トレだけの群は約2%でした。筋力の伸びも、筋トレを含む2つの群のほうが大きく出ています。
読むときの注意が2つあります。1つは、対象が65歳以上で、40〜50代にそのまま当てはまるとは限らないこと。もう1つは、両方を行う群は運動の総時間が長く、運動の量をそろえた比較ではないと指摘されていることです。それでも「同じだけ体重が減るなら、筋トレを入れたほうが除脂肪量の減りは小さかった」という結果は、減量中に筋トレを入れる理由になります。
筋トレだけで体重は落ちるのか?——食事・運動・睡眠の役割分担
筋トレだけで体重を大きく落とすのは難しい、というのが一次資料の見方です。体重を減らす主役は食事によるエネルギーの調整で、筋トレの役割は、その間に筋肉と筋力を残すことです。
米国スポーツ医学会(ACSM)の減量と運動に関する公式見解(Donnelly ら、2009)は、筋トレは体重の減少を大きくはしないものの、除脂肪量を増やし、脂肪量の減少を増やす可能性があり、健康上のリスクの低下とも関係すると整理しています。つまり、体重計の数字だけを見ると筋トレの効き目は見えにくく、体組成で見て初めて違いがわかる、ということです。それぞれの役割を表にすると次のようになります。
| 要素 | 主な役割 | 目安・考え方 |
|---|---|---|
| 食事 | エネルギーの不足をつくり、体重を減らす主役 | 極端に減らさず、続けられる幅で調整する。たんぱく質は減らしすぎない |
| 筋力トレーニング | 減量中に筋肉と筋力を残す | 国のガイドは成人に週2〜3日を推奨。自重の運動も含む |
| 歩く・有酸素運動 | 消費を増やし、健康を保つ | 国のガイドは歩行と同等以上の活動を1日60分以上(約8,000歩以上)と推奨 |
| 睡眠 | 減量中の除脂肪量を残す土台 | 睡眠を削った減量では、除脂肪量の減りが増えたという試験がある |
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨し、マシンやダンベルだけでなく、腕立て伏せやスクワットのような自重の運動も筋トレに含めています。会食やお酒をやめずに体重を整えたい方は、会食が多い人の体重管理とお酒とダイエットもあわせて読んでみてください。
減量中に筋肉を守る条件は何か?
減量中に筋肉を守る条件は、急ぎすぎないエネルギー不足、週2〜3回の筋トレ、足りるたんぱく質、十分な睡眠の4つです。Cava らの総説も、ほどほどのエネルギー不足に、過不足のないたんぱく質と、筋トレを中心とした身体活動を組み合わせることをすすめています。
エネルギー不足を急ぎすぎない
短期間で大きく落とすより、続けられる幅で減らすほうが、筋トレや仕事、睡眠と両立しやすくなります。
筋トレを週2〜3回、減量中も続ける
減量を始めたら筋トレをやめる、ではなく、減量中こそ続けます。重さは少し余力を残す程度から始め、フォームが安定してから段階的に上げます。頻度の考え方はトレーニングの頻度で詳しく扱っています。
たんぱく質を減らしすぎない
食事全体を減らすと、たんぱく質も一緒に減りがちです。Cava らの総説は、多めのたんぱく質が減量中の筋肉量を残す助けになるとしつつ、過剰には注意を促しています。毎食に肉・魚・卵・大豆製品・乳製品のどれかが入っているかを、まず確かめてみてください。
睡眠を削らない
平均41歳の10人が14日間、同じ食事制限で寝床の時間8.5時間と5.5時間を比べた試験(Nedeltcheva ら、2010)では、5.5時間のほうが除脂肪量の減りが大きく、脂肪の減りは小さくなりました。人数が少なく短い試験ですが、減量中に睡眠を削る理由はありません。
たんぱく質については、エネルギーを約4割減らし、強度の高い筋トレなどを毎日のように行った若い男性40人の4週間の試験(Longland ら、2016)で、体重1kgあたり1日2.4gのたんぱく質をとった群のほうが、1.2gの群より除脂肪量が増え、脂肪が減ったと報告されています。ただしこれは運動量のかなり多い条件での結果で、一般の方がそのまま同じ量を目指す根拠にはなりません。腎臓の病気などで食事の指導を受けている方は、たんぱく質を増やす前に主治医に相談してください。
しばらく運動から離れていた方が、減量と同時にいきなり重い重量や回数を目指すと、関節や腰に負担がかかります。食事を減らしている時期は疲れやすくもなります。最初の数週間は軽めの負荷でフォームを覚えることを優先し、運動中や運動後に鋭い痛み、胸の痛み、息苦しさ、めまいが出たら中止してください。持病のある方、服薬中の方は、運動や食事の内容を変える前に主治医に相談してください。
減量中の筋トレは、何から始めればいいか?
最初にやるのは、重い重量を持つことではなく、今の身体を測り、下半身を中心とした基本の動きを正しいフォームで覚えることです。大きな筋肉を使う種目から始めると、少ない種目数で全身を使えます。
今の状態を測る
体重だけでなく、体組成計があれば体脂肪率と筋肉量の目安も記録します。あわせて、しゃがむ・片脚で立つといった動きで、どこが動かしにくいかを確かめておきます。
基本の動きを覚える
スクワット、ヒップヒンジ(お尻を後ろに引いて股関節から曲げる動き)、押す動き、引く動き。この4つを、軽い負荷や自重でフォームが崩れない範囲から始めます。
少しずつ負荷を上げる
フォームが安定したら、回数や重さを少しずつ増やします。減量中は疲れやすいので、限界まで追い込むより、続けられる強さを優先します。
体重と体組成を一緒に見る
体重が減らない週でも、体組成や扱える重さを見ると進み具合がわかることがあります。数週間単位の流れで判断します。
運動が久しぶりの40代からの始め方は40代の筋トレ初心者は何から始める?に、年齢と代謝の関係は基礎代謝は40代で落ちるのかにまとめています。
現場で見えていること
減量の相談では、「まず食事を減らして、体重が落ちてから筋トレを始めたい」という声をよく伺います。気持ちはよくわかりますが、ここまで見てきたとおり、筋肉を守る意味では、減量の最初から筋トレを並行させるほうが理にかなっています。私たちは、体験の中で生活の様子を伺い、姿勢・関節の可動域・動作を評価し、体組成計(InBody)で体組成を測ることもできます。そのうえで、その方の生活に合う頻度と量を決めるようにしています。
もう1つよく見るのが、体重は減っているのに、階段や長時間の立ち仕事がつらくなった、という変化です。食事だけで頑張ってきた方に多い傾向で、筋力の指標と体組成をあわせて見ると、何が起きているかを一緒に確かめやすくなります。食事については、料金に含まれるサポートとして、初回に食事の基本をお話しし、その後はLINEなどで必要なときに相談していただけます。特定の制限法を前提にせず、目標に応じて話しながら、ご自身で調整できるようになることを目指しています。
よくある質問
ダイエットで筋トレをするのはなぜですか?
減量中に筋肉を残すためです。食事を減らすだけの減量では、脂肪と一緒に筋肉などの除脂肪量も減りやすくなります。肥満のある65歳以上の160人の試験では、体重の減り方が同じくらいでも、筋トレを含む群は除脂肪量の減りが小さく出ました。
筋トレだけで痩せられますか?
筋トレだけで体重を大きく減らすのは難しいと考えられています。米国スポーツ医学会の公式見解も、筋トレは体重の減少を大きくはしないが、除脂肪量を増やし脂肪の減少を増やす可能性がある、と整理しています。体重を減らす主役は食事の調整で、筋トレはその間に筋肉を守る役割です。
筋トレと有酸素運動、ダイエットにはどちらがいいですか?
役割が違うので、どちらか一方ではなく組み合わせて考えます。歩く・有酸素運動は消費を増やし健康を保つのに役立ち、筋トレは減量中の筋肉と筋力を残すのに役立ちます。国のガイドは成人に、歩行と同等以上の活動を1日60分以上と、筋トレを週2〜3日推奨しています。
ダイエット中の筋トレは週に何回がいいですか?
厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023は、成人に筋トレを週2〜3日推奨しています。減量中は疲れやすいので、まずは週2回、下半身を中心とした基本の種目を正しいフォームで続けることから始めるのが現実的です。
筋トレをすると体重が増えて見えることはありますか?
ありえます。体重は脂肪と除脂肪量の合計なので、脂肪が減っても筋肉などが残ったり増えたりすると、体重の減り方は小さく見えます。体重だけで判断せず、体組成や扱える重さ、服のサイズなどもあわせて見ることをおすすめします。
体験のご案内
ダイエットで筋トレをする理由は、減らしたいのは体重ではなく脂肪で、筋肉は残したいからです。そのためにも、まず今の身体の中身と動ける範囲を測るところから始めてください。食事・お酒・筋トレを組み合わせた大人のダイエットの進め方は、大人のダイエットのページ(筋力の節)にまとめています。料金や通い方は料金ページで、体験の流れは体験トレーニングのご案内でご確認いただけます。
First Trial
減らす前に、
最初の90分で身体の中身を測る
体験は基本的に代表の岡本隼人が担当します。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)、TPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)として、姿勢・可動域・動作を評価し、結果はその場で全て開示します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
先着枠は毎月1日起算、定員後は通常¥15,000です。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 体験の流れを見る
主な参考(タップで開く)
- Villareal DT, Aguirre L, Gurney AB, et al. Aerobic or Resistance Exercise, or Both, in Dieting Obese Older Adults. N Engl J Med. 2017;376(20):1943-1955.(肥満のある65歳以上の160人・6か月の無作為化試験)
- Weinheimer EM, Sands LP, Campbell WW. A systematic review of the separate and combined effects of energy restriction and exercise on fat-free mass in middle-aged and older adults: implications for sarcopenic obesity. Nutr Rev. 2010;68(7):375-388.(中高年の過体重・肥満を対象にした52研究)
- Cava E, Yeat NC, Mittendorfer B. Preserving Healthy Muscle during Weight Loss. Adv Nutr. 2017;8(3):511-519.(総説)
- Donnelly JE, Blair SN, Jakicic JM, et al. American College of Sports Medicine Position Stand. Appropriate physical activity intervention strategies for weight loss and prevention of weight regain for adults. Med Sci Sports Exerc. 2009;41(2):459-471.(公式見解)
- Johnstone AM, Murison SD, Duncan JS, Rance KA, Speakman JR. Factors influencing variation in basal metabolic rate include fat-free mass, fat mass, age, and circulating thyroxine but not sex, circulating leptin, or triiodothyronine. Am J Clin Nutr. 2005;82(5):941-948.(英国の成人150名)
- Nedeltcheva AV, Kilkus JM, Imperial J, Schoeller DA, Penev PD. Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity. Ann Intern Med. 2010;153(7):435-441.(過体重の成人10人・14日間の交差試験)
- Longland TM, Oikawa SY, Mitchell CJ, Devries MC, Phillips SM. Higher compared with lower dietary protein during an energy deficit combined with intense exercise promotes greater lean mass gain and fat mass loss: a randomized trial. Am J Clin Nutr. 2016;103(3):738-746.(若い男性40人・4週間)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月)。


