ゴルフをする子どもの筋力づくりについて、「何歳から」「何を」「どう進めるか」「ゴルフの練習とどう組み合わせるか」を、青少年の筋力トレーニングについての専門団体の声明と総説、TPI 公式の講座ページの範囲でまとめました。スイングの技術の話はしません。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)で、TPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)を受けている岡本隼人が、成長期の子どもの身体を実際に測ってきた経験から書いています。ジュニアゴルファーのトレーニング(何歳から・何をやるか)→
・筋トレを始められるかは、年齢の数字より「指示を聞いて守れるか」と「資格のある大人がそばで見るか」で決まる
・ここでいう筋トレは、自分の体重・チューブ・ボールなどを使う幅広い運動のこと。重さを競う競技とは別物
・成長軟骨のケガの報告は、正しくないやり方・重すぎる負荷・大人の目がない場面に集中している
・始める順番は、測る→自分の体重で正しい動き→軽い道具→負荷を少しずつ→測り直す
・ゴルフの練習やラウンドの量と合わせて、全体の負担で考える
ジュニアゴルファーの筋トレは、何歳から始められるのか?
「何歳になったら」という一つの線はありません。青少年の筋力トレーニングを調べた総説(Faigenbaum & Myer, 2010)は、始める条件として、コーチの指示を受け入れて守れる気持ちの成熟と、子どもの運動を理解した資格のある大人がそばで見て教えることを挙げています。6〜8歳で取り組んでいる子どももいると紹介しています。
米国のNSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)の声明(2009)は、大人の筋力トレーニングで得られる効果の多くは、年齢に合った指針に従えば子どもや思春期の若者にも得られるという立場です。また、米国小児科学会(AAP)は2020年に子どもと思春期の筋力トレーニングについての報告を改訂し、今の子どもの筋力の低下を背景に、競技をしている子だけでなく、していない子にも筋力トレーニングが必要だとしています。
誤解されやすいのは「筋トレ」という言葉の幅です。下の表のように、研究や声明でいう筋力トレーニングは、重さを競う競技とは分けて考えられています。
| 呼び方 | 目的 | 使うもの・やり方 |
|---|---|---|
| 筋力トレーニング(レジスタンストレーニング) | 健康・体力・競技の動きを高める | 自分の体重、チューブ、メディシンボール、ダンベル、マシンなど。負荷を少しずつ上げる |
| ウエイトリフティング・パワーリフティング | 競技として、持ち上げる重さの最大を競う | 重い負荷での練習と、試合での最大挙上 |
| ボディビル | 筋肉の大きさ・左右のつり合い・見た目 | 見た目を目的にした練習 |
NSCAの声明は、「子ども」を二次性徴が始まる前(女子はおよそ11歳、男子はおよそ13歳ごろまで)と、年齢の目安だけでなく体の成熟の段階で定義しています。同じ学年でも体の発育の段階は違う、という前提です。発育の段階とゴルフの練習の関係は、ジュニアゴルファーのトレーニング|何歳から・何をやるかで年代別に整理しています。
筋トレで背が伸びなくなる、成長軟骨を痛める、は本当か?
「筋トレで背が伸びなくなる」ことを示す根拠はない、というのが総説の結論です。成長軟骨(骨の端の、骨が伸びる部分)のケガは心配されてきましたが、報告の多くは、正しくない持ち上げ方、合わない重さの選び方、大人の目がない場面で起きていました。
Faigenbaum & Myer(2010)は、成長軟骨は周りの結合組織より3〜5倍弱いことがあると紹介したうえで、専門家が指導した前向きの研究では成長軟骨のケガは報告されていないこと、筋力トレーニングが子どもや思春期の身長の伸びに悪い影響を与えるという証拠はないことをまとめています。むしろ、競技中に跳んだり着地したりするときには体重の5〜7倍の力が地面から返ってくるとされ、成長軟骨への負担はそちらのほうが大きいかもしれない、と述べています。
ただし、条件は、正しいやり方を先に覚えること、重さを競わないこと、大人がそばで見て負荷を決めることです。野球の子どもの筋トレについては野球に必要な筋トレ(年代別メニュー)で詳しく書いているので、ここではゴルフに話を絞ります。
子どもの筋トレのケガは、どんな場面で起きているのか?
多くは、事故、正しくないやり方、資格のある大人の目がないこと、の3つから起きています。同じ総説が紹介する米国の救急受診のデータを調べた研究では、8〜13歳のケガの3分の2が手と足で、器具を「落とす」「はさむ」に関するものが多くありました。家で年上のきょうだいのバーベルで遊んでいて起きた重い事故の報告もあります。
総説は、健康な子どもが筋力トレーニングをするときの注意として、次のような点を挙げています。家庭で取り入れるときの目安にもなります。
指示を聞いて守れる
コーチの指示を受け入れて守れる気持ちの成熟があること。年齢より、ここを先に見ます。
重さより、正しいやり方
持ち上げた重さではなく、正しいやり方を覚えることに重点を置く。準備運動は動きのある運動から始める。
資格のある大人が見る
子どもの筋力トレーニングを理解した大人がそばで見て教え、その子が負荷に耐えられているかを見ながら内容を変える。
全身を、安全な場所で
股関節・おなか・腰を含む全身の大きな筋肉を使う。動きやすい服と、滑りにくい運動靴で、危ないものがない場所で行う。
食事・水分・睡眠も
体の変化を左右する生活の面、食事・水分・睡眠にも目を向ける。
家で、子どもだけで重い器具を使わせないでください。大人のバーベルやダンベルを子どもだけで扱うことは、落とす・はさむといった事故につながります。家でやるなら、自分の体重を使う運動を、大人が見ている時間に、痛みのない範囲で行ってください。
代表の岡本隼人は、TPI(Titleist Performance Institute)のJunior Level 2の認定を受けています。講座で扱う「筋力トレーニングを何歳から、どんな内容で始めるか」を含め、Junior 2で学んだことを資格のページでお伝えしています。
Junior Level 2で学んだことを見るゴルフをする子どもに、筋力は何のために要るのか?
一番の目的は、飛ばすことより先に、ゴルフの練習やほかの運動を、ケガをせずに続けられる体をつくることです。NSCAの長期的な競技者育成の声明(Lloyd ら, 2016)は、今の子どもの体は競技や運動の負担に耐える準備ができていないことが多いとし、すべての子どもを「アスリート」と見て、一人ひとりに合わせて体の力を育てることをすすめています。
TPI 公式の Junior Level 2 の講座ページも、講座で扱う問いの一つとして「ジュニアは筋力トレーニングをすべきか。何歳から始め、どんな内容か」を挙げています。同じページは、子どもが「小さな大人」として教えられがちなことを問題にし、暦の年齢だけでなく体の発育の段階に合わせた仕組みが要るとしています。講座の中のスクールは発育の年齢で5〜7歳、8〜10歳、11〜13歳、14〜17歳に分かれ、子どもの体と技術の両方を測ってプログラムを変えること、子どもの安全を最優先にすることが紹介されています。
ゴルフは、同じ向きに体をひねる動きを何度もくり返す競技です。その偏りがどこに出やすいかはジュニアゴルファーのトレーニングで書いたので、ここでは筋力の面だけを挙げます。構えた姿勢を保つ、片脚で体を支える、下半身で地面を押す、おなかまわりでひねりを受け止める。こうした力は、ゴルフの練習だけでは左右や部位に偏って育ちやすいため、筋力トレーニングで全身を均等に育てる意味があります。
「筋トレをすれば飛距離が伸びる」とは約束できません。飛距離は体の状態、発育の段階、練習によって変わり、個人差が大きいからです。私たちが筋力づくりで目指すのは、練習を続けられ、成長に合わせて伸びていける土台です。TPI の考え方そのものはTPIとはにまとめています。
何から始めて、どう進めるのか?——5つの段階
順番は、測る、自分の体重で正しい動きを覚える、軽い道具を加える、負荷を少しずつ上げる、測り直す、の5段階です。どこまで進むかは、年齢ではなく、その子が正しい動きを保てているかで決めます。
測る:今の体と、痛みの有無
しゃがむ、片脚で立つ、体をひねるといった基本の動きを、左右別々に見ます。痛む場所、過去のケガ、ゴルフとほかの運動の量も先に確かめます。痛みがあれば、筋トレより先に医療機関の受診をすすめます。
自分の体重で、正しい動きを覚える
しゃがむ、片脚で支える、押す、引く、おなかまわりを固めて姿勢を保つ。回数より、形が崩れないことを優先します。動きのある準備運動から始めます。
軽い道具を加える
チューブ、軽いメディシンボール、軽いダンベルなど。正しい形のまま最後までできる重さだけを使います。
負荷を少しずつ上げ、ゴルフの形につなぐ
形が安定し、指示を守れ、発育の段階が進んでから、負荷を段階的に上げます。構えに近い前傾した姿勢での動きや、体をひねって投げる動きに置き換えていきます。スイングそのものの技術は扱いません。
測り直す
同じやり方で測り直し、変わったところと残ったところを確かめます。疲れや痛みが出ていれば、量と内容を見直します。
大事なのは、上の段階を年齢や学年で決めないことです。前の段階が崩れたまま重さを乗せると、弱いところに負担が集まります。
ゴルフの練習やラウンドと、どう組み合わせるのか?
筋トレは、ゴルフの練習・ラウンド・ほかの運動に「足される」負担として考えます。総説は、筋力トレーニングを加えるときは、すでにある練習や試合、遊びの量と合わせた全体の負担を考える必要があり、強さ・量・回数が、正しい形を保てる範囲や回復できる範囲を超えると、ケガや体調不良につながると注意しています。
| こんなとき | 筋力トレーニングの考え方 | 見ておきたいこと |
|---|---|---|
| 練習やラウンドが多い週 | 量を減らし、正しい形の確認と、動きの準備を中心にする | 疲れが抜けているか、形が崩れていないか |
| 大会の前 | 新しい種目や重さの上げ下げを避け、慣れた内容を軽めに | 睡眠と食事、本人の疲れの訴え |
| 練習が少ない時期 | 正しい形を確かめながら、負荷を少しずつ上げやすい時期 | 前の段階の形が保てているか |
| 身長が急に伸びている時期 | 一律に休むのではなく、負荷と量を見直す | 動きのぎこちなさ、膝・かかと・腰の痛み |
| どこかが痛むとき | 筋トレで何とかしようとせず、まず医療機関を受診する | 痛みの場所と続いている期間 |
総説は、子どものスポーツのケガに関わる要因として、思春期の急な成長、年齢、体の成熟の度合い、体の大きさ、指導の質、体力、過去のケガを挙げています。ゴルフの練習量が増える時期ほど、筋トレの量を増やすことより、全体の負担を見直すことが先になります。
現場で見えていること
私たちのジュニアのトレーニング(小学1年生〜中学3年生)では、学年ではなく、その子の発育の段階を見て、内容と負荷を決めています。「何歳だから、この重さ」という決め方はしていません。
測った結果と、その日に見たことは、トレーニングのたびに保護者の方へ口頭でお伝えしています。家で何をどこまでやってよいかを、保護者の方が判断しやすくするためです。初回は保護者の方の同席をお願いしています。
スイングの技術指導はしていません。ジムではボールも打ちません。ゴルフの練習はスクールやコーチのもとで続けていただき、私たちはその練習を続けられる体の側を担当します。痛みや不安がある場合は、痛みの出方と受診の状況を伺い、医療機関の受診を先におすすめします。代表の岡本が Junior Level 2 で学んだことは、資格のページのJunior Level 2の節にまとめています。
・腰、膝、かかと、肘、手首などの痛みが、練習のあとや翌朝まで続く
・安静にしていても痛む、夜に痛む
・しびれがある、力が入りにくい
・関節が腫れる、熱をもつ、引っかかって動かない
・痛みをかばって、動き方やスイングが変わった
痛みがある状態で筋トレや練習を続けることはすすめません。治療中の方は、運動を再開する時期と内容を主治医と相談してください。
よくある質問
ジュニアゴルファーは何歳から筋トレを始められますか?
年齢の一つの線はありません。青少年の筋力トレーニングの総説は、コーチの指示を受け入れて守れることと、資格のある大人がそばで見て教えることを条件に挙げており、6〜8歳の子どもも取り組んでいると紹介しています。まずは自分の体重を使う運動で、正しい動きを覚えるところから始めます。
筋トレをすると背が伸びなくなりませんか?
筋力トレーニングが子どもや思春期の身長の伸びに悪い影響を与えるという証拠はない、と総説はまとめています。成長軟骨のケガの報告は、正しくないやり方、重すぎる負荷、大人の目がない場面に集中していました。重さを競わず、大人が見て負荷を決めることが条件です。
家で子どもにダンベルやバーベルを使わせても大丈夫ですか?
子どもだけで重い器具を使わせることはすすめません。8〜13歳の筋トレのケガは、器具を落とす・はさむといった事故が多いと報告されています。家でやるなら、自分の体重を使う運動を、大人が見ている時間に、痛みのない範囲で行ってください。
筋トレをすれば、ジュニアゴルファーの飛距離は伸びますか?
飛距離が伸びるとはお約束できません。飛距離は体の状態、発育の段階、練習によって変わり、個人差が大きいからです。筋力づくりの目的は、まず練習を続けられる体の土台をつくることで、その上でゴルフの動きにつながる力を段階的に育てていきます。
ゴルフの練習が多い週は、筋トレをどうすればいいですか?
量を減らし、正しい形の確認や動きの準備を中心にします。筋トレは練習やラウンドに足される負担なので、全体の量で考えます。疲れが抜けない、形が崩れる、痛みが出るといったときは、筋トレも練習も量を見直してください。
腰や膝に痛みがあります。筋トレで何とかなりますか?
痛みがあるときは、筋トレより先に整形外科などの医療機関を受診してください。私たちは診断や治療は行いません。医師から運動の許可が出たあとに、痛みが出ない範囲を確かめながら、内容と負荷を決めていきます。
ジュニアゴルファーの筋力づくりのご相談のご案内
ジュニアゴルファーの筋トレは、「何歳から」より「どの段階から」で考えます。指示を守れるか、正しい動きができているか、今どこかが痛くないか。始める前に、まず今の体を見ることが出発点です。代表の岡本が Junior Level 2 で学んだことは資格のページで、筋力づくりの進め方や今の練習との組み合わせについてのご相談は LINE で受け付けています。代表の岡本の経歴はプロフィールをご覧ください。
TPI Junior 2
筋力トレーニングを始める時期を、
発育の段階から考える
担当は基本的に代表の岡本隼人。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)で、TPI(Titleist Performance Institute)のJunior Level 2の認定を受けています。学年や暦の年齢ではなく、その子の発育の段階を見て、筋力づくりの内容と負荷、進める順番を考えます。スイングの技術指導はしていません。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 初回は保護者の方の同席をお願いしています
主な参考(タップで開く)
- Titleist Performance Institute. Junior Level 2 | Certification. https://www.mytpi.com/certification/junior-level-2(2026年10月27日閲覧。講座の紹介・Physical Training・Course Overview・Screening Juniors・Safety の各項)
- Faigenbaum AD, Myer GD. Resistance training among young athletes: safety, efficacy and injury prevention effects. Br J Sports Med. 2010;44(1):56-63.(文献レビュー。全文 PMC3483033 を2026年10月27日閲覧)
- Faigenbaum AD, Kraemer WJ, Blimkie CJ, Jeffreys I, Micheli LJ, Nitka M, Rowland TW. Youth resistance training: updated position statement paper from the National Strength and Conditioning Association. J Strength Cond Res. 2009;23(5 Suppl):S60-79.(NSCAの声明。PubMed 掲載の冒頭部分を2026年10月27日閲覧)
- Stricker PR, Faigenbaum AD, McCambridge TM; Council on Sports Medicine and Fitness. Resistance Training for Children and Adolescents. Pediatrics. 2020;145(6):e20201011.(米国小児科学会の臨床報告。2008年の声明の改訂。要旨を2026年10月27日閲覧)
- Lloyd RS, Cronin JB, Faigenbaum AD, Haff GG, Howard R, Kraemer WJ, Micheli LJ, Myer GD, Oliver JL. National Strength and Conditioning Association Position Statement on Long-Term Athletic Development. J Strength Cond Res. 2016;30(6):1491-1509.(NSCAの声明。要旨を2026年10月27日閲覧)
- ジュニアのトレーニングの対象(小学1年生〜中学3年生)・進め方・保護者の方へのお伝えの仕方は、Disport World の資格のページの記載に基づきます(2026年10月時点)。


