ゴルフは、送り迎えや練習場・大会への付き添いなど、保護者の関わりが大きい競技です。声のかけ方、練習量の見守り方、痛みのサイン、コーチとの役割分担の4つを、TPIのジュニアの講座の考え方と研究をもとにまとめました。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)でTPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)の岡本隼人が、成長期の子どもの身体を測ってきた経験から書いています。扱うのはスイングの技術ではなく、体と、保護者の方の関わり方です。ジュニアゴルファーのトレーニング(何歳から・何をやるか)→
・技術はコーチ、続けられる環境は保護者、と役割を分けると、子どもが迷いにくい
・子どもが保護者に望むのは、技術の助言より、努力と態度へのひと言(ジュニアのテニス選手42名への聞き取り)
・練習量は「1週間の記録」で見守る
・痛みは言い出しにくいもの。聞き方と、家で見えるサインを知っておく
・コーチには、技術の注文ではなく、体の変化と家での様子を伝える
ジュニアゴルフで、保護者の役割は何から考えればいい?
結論から言うと、まず「誰が何を担当するか」を分けます。技術はコーチ、体の状態は体を見る専門家、保護者の方は安心して続けられる環境と日々の変化に気づく役割です。役割が分かれていると、子どもは誰の言うことを聞けばいいかで迷いません。
ご自身がゴルフをされる保護者の方ほど、つい一言アドバイスをしたくなるものです。下の表は、私たちが考える役割の分け方です。保護者の方の欄に「技術」が入っていないことに注目してください。
| だれ | 主に担うこと | 担わないほうがよいこと |
|---|---|---|
| 子ども本人 | 練習に取り組む・痛みや疲れを伝える | 痛みを我慢して練習を続けること |
| 保護者の方 | 日程・食事・睡眠の管理、取り組みを認める声かけ、練習量と体の変化の見守り | 技術や作戦の指示、結果だけの評価 |
| コーチ(スクール・レッスン) | スイングの技術・コースでの判断・練習の組み立て | 家庭の様子を知らないまま練習量を決めること |
| 体を見る専門家(トレーナー・医療機関) | 発育の段階と体の使い方の評価(診断と治療は医療機関) | スイングの技術の指導 |
スクールとジムがそれぞれ何を見るのかは、ジュニアゴルファーのトレーニング|何歳から・何をやるかで整理しています。この記事では、保護者の方が何をすればいいかに絞ります。
TPIのジュニアの講座は、保護者の関わりをどう位置づけている?
TPIのジュニアゴルファーの育成の講座(Junior Level 2)は、保護者の方への伝え方と保護者への教育を、講座のテーマとして扱っています。公式の講座ページは、保護者への教育を、ジュニアのプログラムがうまくいくために「おそらく最も重要」な題材としています。
TPI(Titleist Performance Institute)は、ゴルファーの身体評価とトレーニングを指導者に教えている米国の団体です(TPIとは?)。公式の講座ページで確認できる、保護者に関わる内容は次のとおりです(2026年10月27日閲覧)。
子どもを「小さな大人」として教えない
講座の紹介文は、ジュニアが小さな大人のように教えられがちだと指摘し、暦の年齢と発育の段階の両方に合わせた指導が要るとし、保護者はレッスンが年齢と技能の段階に合っているかを知りたがっている、と書いています。
本人と保護者の両方に伝える(Communication)
ジュニア本人と保護者の両方に伝え、全員が同じ方向を向けるようにすることが講座の柱のひとつです。
保護者への教育(Parent Education)
地域からの支えと子ども自身の取り組む気持ちを得る方法、保護者向けの説明会の開き方を扱う、講座の最後の章です。
安全(Safety)を最優先にする
子どもの安全を最も優先し、見落とされやすい危険と防ぎ方を扱います。
ジュニアの指導は、保護者の方を含めた3者で進めるもの、という考え方です。代表の岡本は2026年10月27日にこの講座の認定を受けました。講座で学んだことは資格のページ(Junior Level 2で学んだこと)にまとめています。
練習や試合のあと、どんな言葉をかければいい?
結論は、スコアや結果より先に、取り組みと態度に触れることです。スイングの技術や作戦の話は、コーチに任せます。子ども自身が保護者に望んでいるのも、そういう言葉だという研究があります。
Knightらは、カナダの競技レベルのジュニアテニス選手42名(平均13.5歳)に、試合の場で保護者にどうしてほしいかをグループで聞き取りました。子どもたちが望んだのは、技術や作戦の助言はしないこと、努力と態度について声をかけること、実際的な助言をすること、競技のマナーを守ること、そして言葉と表情や態度をそろえることでした。ゴルフと同じく、ひとりで戦う競技での結果です。
また、チームスポーツの男子336名を調べたCoutinhoらの研究では、学ぶことと楽しむことを大切にする雰囲気を保護者がつくっていると感じている子ほど、失敗への恐れとの関係は小さく、結果への心配をあおる雰囲気や、努力しないで成功することをよしとする雰囲気を感じている子ほど、失敗への恐れとの関係が強く出ました。ある時点での関係を見た研究で、因果を示したものではありませんが、家での言葉の向きを考える手がかりになります。
| 場面 | 避けたい言い方 | 置き換えの例 |
|---|---|---|
| スコアが悪かった日 | 「なんであそこで池に入れたの」 | 「最後まで集中してたね。自分では、今日はどうだった?」 |
| スイングが崩れていた日 | 「頭が上がってた。もっとこう振って」 | 「気になったところがあれば、次のレッスンでコーチに聞いてみよう」 |
| うまくいった日 | 「ほら、言ったとおりにしたら打てた」 | 「今日の練習で工夫したことが出てたね」 |
| 帰りの車の中 | すぐに反省会を始める | まず食べる・休む。話は本人が始めたら聞く |
ポイントは、評価を言う前に「自分ではどうだった?」と聞き、本人に先に話してもらうことです。出てきた技術の悩みは、メモしてコーチへ持っていけば十分です。
代表の岡本隼人は、TPI(Titleist Performance Institute)のJunior Level 2の認定を受けています。講座では、発育の段階に合わせた育て方とあわせて、子ども本人と保護者の方への伝え方も扱います。学んだことを資格のページでお伝えしています。
Junior Level 2で学んだことを見る練習量は、どう見守ればいい?——1週間の記録をつける
結論は、感覚ではなく1週間の記録で見ることです。ゴルフとほかのスポーツの時間、痛みや疲れの様子を書いておくと、増えすぎに早く気づけます。
1週間の競技の時間と年齢の関係や、決まった練習と自由な遊びのつり合いを見た研究の目安は、ジュニアゴルファーは早くゴルフだけにしぼるべき?で紹介しています。この記事では、その目安を家で確かめられるように、記録のつけ方に絞ってお伝えします。
米国小児科学会(AAP)の臨床報告(2024年)も、使いすぎによるケガは、十分な回復のないまま同じ負担がくり返されることで起こりうるとし、練習の負担と回復のつり合いを重く見ています。同じ向きに回る動きをくり返すゴルフでも、量の把握は欠かせません。
| 書いておく項目 | 書き方の例 | 見るポイント |
|---|---|---|
| ゴルフの練習(レッスン・練習場・自主練習) | 「火 レッスン60分」「土 練習場90分」 | 先週より急に増えていないか |
| ラウンド・大会 | 「日 9ホール」 | 大会の前後で練習を足しすぎていないか |
| ほかのスポーツ・運動 | 「水 サッカー90分」 | ゴルフと合わせた合計が、年齢の数を超えていないか |
| 自由な遊び | 公園・外遊びの時間 | 決まった練習ばかりになっていないか |
| 痛み・違和感 | 場所と、いつ痛むか。「左の腰、振ったあと」 | 同じ場所が続いていないか |
| 睡眠・疲れ・気分 | 寝た時間、練習に行きたがるか | 楽しそうか、疲れが抜けているか |
カレンダーに一言ずつ書くだけでも、大会前に練習が急に増えた、同じ側の腰を何度も気にしていた、といった変化が見えてきます。この記録は、コーチや体を見る専門家に相談するときの材料になります。
子どもが「痛い」と言えるようにするには?——家で見えるサイン
結論は、「痛いと言っても、怒られない・試合を外されない」と子どもが感じられる聞き方をすることと、言葉にならないサインを家で見ておくことです。痛みは、真面目な子ほど言い出しにくいものです。
「痛くないよね?」と聞くと、子どもは「大丈夫」と答えがちです。「どこか気になるところはある?」のように、「はい・いいえ」で終わらない聞き方をすると、小さな違和感も出てきやすくなります。言ってくれたら、まず「教えてくれてありがとう」と受け止めます。
体を触る・かばう
練習のあとや食事中に、腰・手首・ひじ・膝を触っている。片側をかばうように歩く、座り方が変わった。
翌朝まで残る
練習の翌朝も同じ場所を気にしている。寝起きに体を反らせたり、ひねったりするのを避けている。
練習の中身が変わる
ドライバーだけ打たなくなった、素振りの回数が減った、フィニッシュを最後まで取らなくなった。
楽しそうでなくなる
練習に行きたがらない、疲れた様子が続く、好きだったゴルフの話をしなくなった。
④は痛みではありませんが、見落としたくないサインです。AAPの臨床報告は、燃え尽き(バーンアウト)を、体や心の疲れ果てと達成感の低下から競技の価値を感じなくなる状態とし、子どもがスポーツをやめる主な理由のひとつに挙げています。
腰の痛みは、ジュニアゴルファーでとくに注意が要ります。受診の目安は子どもの腰椎分離症にまとめています。
・同じ場所の痛みが続く、または練習のたびにくり返す
・体を反らせる、ひねる動きで痛む
・夜や安静にしていても痛む、しびれがある、力が入りにくい
・関節が腫れる、熱をもつ
・痛みのために、スイングや歩き方が変わっている
Disport Worldでは診断や治療は行いません。痛みがある状態で練習やトレーニングを続けることはすすめません。再開の時期と内容は主治医と相談してください。
コーチとの役割分担は?——保護者から伝えたいこと
結論は、技術の注文ではなく、コーチからは見えない「家での様子」を伝えることです。コーチが子どもを見ているのはレッスンの時間だけです。
体の変化を伝える
身長が急に伸びている、どこかを気にしている。スイングの感覚が変わる理由が体の側にあることもあります。
ほかの予定を伝える
ほかのスポーツや学校の行事。練習の上乗せを防げます。
子どもの言葉を伝える
本人が話した悩みや目標を、保護者の方の解釈を加えずに伝えます。
方針はコーチに聞く
方針に疑問があれば、子どもの前ではなく、コーチに直接たずねます。
体を見る専門家に相談するときも、1週間の記録と本人の言葉が役に立ちます。家でできる体の確かめ方は子どもの体が硬いときは何から始める?、小学生の年代のトレーニングの全体像は小学生アスリートのトレーニングでもお伝えしています。
現場で見えていること——保護者の方と一緒に進める理由
結論として、私たちはジュニアのトレーニングを、保護者の方と一緒に進めるものと考えています。子どもが過ごす時間は、トレーニングより家と学校のほうがずっと長いからです。
Disport Worldのジュニアのトレーニング(小学1年生〜中学3年生)では、学年ではなく、その子の発育の段階を見て、内容と負荷を決めます。初回は保護者の方の同席をお願いしており、測った結果と、その日に見たことは、トレーニングのたびに保護者の方へ口頭でお伝えしています。ゴルフのスイングの技術指導はしておらず、ジムでボールを打つこともありません。
口頭でお伝えするのは、保護者の方がその内容を家で子どもに、そしてコーチに伝えられるようにするためです。反対に、家での様子(よく眠れているか、どこを気にしているか、練習が増えた週はいつか)を伺うと、測った結果の読み方が変わることがあります。
よくある質問
子どものゴルフの練習や試合のあと、親は何と声をかければいいですか?
スコアや結果より先に、取り組みと態度に触れるのがおすすめです。ジュニアのテニス選手42名への聞き取りでも、子どもが望んだのは技術の助言ではなく、努力と態度へのひと言でした。
ゴルフ経験のある親が、子どもにスイングを教えてもいいですか?
スクールやレッスンに通っているなら、技術の指示はコーチに任せるほうが、子どもが迷いにくくなります。気になる点はメモしてコーチに相談し、保護者の方は取り組みを認める声かけと、練習量や体の変化の見守りに回るのがおすすめです。
ジュニアゴルファーの練習量は、どのくらいが目安ですか?
一律の正解はありません。研究で示されている目安は、ジュニアゴルファーは早くゴルフだけにしぼるべき?で紹介しています。ゴルフとほかのスポーツの時間を1週間分記録し、合計と急な増え方を見てください。
子どもが痛みを言わないとき、親はどこを見ればいいですか?
練習のあとに腰や手首を触っている、翌朝まで同じ場所を気にしている、特定のクラブを打たなくなった、練習に行きたがらない、といった変化です。「どこか気になるところはある?」と聞くと、小さな違和感も出てきやすくなります。痛みが続く場合は、練習を休ませて整形外科を受診してください。
コーチの方針と親の考えが違うときは、どうすればいいですか?
子どもの前で方針を否定せず、コーチに直接たずねるのがおすすめです。あわせて、体の変化やほかの予定など、コーチからは見えない家での様子を伝えると、話が進みやすくなります。
Disport Worldでは、保護者は同席できますか?
はい。完全個室で、初回は保護者の方の同席をお願いしています。測った結果と、その日に見たことは、トレーニングのたびに保護者の方へ口頭でお伝えします。
まず今の体を知ることから——ご相談のご案内
保護者の方にできることは、技術を教えることよりも、取り組みを認める言葉と、練習量と体の変化を見守ることです。そのうえで、今の体がどの発育の段階にあり、どこに負担がかかっているのかは、測ってみないと分かりません。1週間の記録をお持ちいただければ、そこから一緒に考えます。「一生つきあう体、どうする?」——子どものゴルフにも、私たちは同じ問いを向けています。
TPI Junior 2
ジュニアゴルファーの体を、
保護者の方と一緒に見ていく
担当は基本的に代表の岡本隼人。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)で、TPI(Titleist Performance Institute)のJunior Level 2の認定を受けています。学年や暦の年齢ではなく、その子の発育の段階を見て、何をどの順番で育てるかを考え、その日に見たことは保護者の方へ口頭でお伝えします。スイングの技術指導はしていません。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 初回は保護者の方の同席をお願いしています
主な参考(タップで開く)
- Titleist Performance Institute. Junior Level 2(Junior 2 Certification)講座ページ。https://www.mytpi.com/certification/junior-level-2(2026年10月27日閲覧)
- Knight CJ, Boden CM, Holt NL. Junior tennis players' preferences for parental behaviors. J Appl Sport Psychol. 2010;22(4):377-391. doi:10.1080/10413200.2010.495324(カナダの競技レベルのジュニアテニス選手42名・平均13.5歳・フォーカスグループ11回。2026年10月27日閲覧)
- Coutinho P, Bessa C, Dias C, Mesquita I, Fonseca AM. Unveiling players' perceptions of mother- and father-initiated motivational climates and fear of failure in youth male team sports. Sports (Basel). 2024;12(9):244. doi:10.3390/sports12090244(チームスポーツ5種目の男子336名・質問紙による横断研究。2026年10月27日閲覧)
- Brenner JS, Watson A; Council on Sports Medicine and Fitness. Overuse injuries, overtraining, and burnout in young athletes. Pediatrics. 2024;153(2):e2023065129. doi:10.1542/peds.2023-065129(米国小児科学会の臨床報告。2026年10月27日閲覧)
- Disport World のジュニアのトレーニングの進め方(発育の段階で内容と負荷を決める・結果はトレーニングのたびに保護者の方へ口頭で)は、資格のページ(https://disport.world/okamoto-hayato/credentials/#s6)の記載に基づきます。


