骨密度の低い閉経後の女性101名の試験では、監督のもとで重さと衝撃を段階的に上げた週2回・30分の運動で、腰の骨の骨密度が保たれ、わずかに増えました。一方で、運動で骨折そのものが減ると言えるだけの証拠は、まだそろっていません。この記事では、一次資料で確かめられた範囲で、骨に効く運動の条件と、40〜50代が安全に始める順番を整理します。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、身体を実際に測ってきた経験から書いています。体験トレーニング(90分)のご案内→
・骨は、動きのある・短い・ふだんと違う刺激に応える(Turner、1998)。慣れた歩行だけでは刺激が足りなくなりやすい
・閉経後の女性の運動の試験43本・4,320名をまとめた解析では、運動で腰の骨密度に小さな差が出たが、骨折の数には差が見られなかった
・LIFTMOR試験(101名)では、高い強度の筋トレと衝撃の運動を週2回・8か月行い、腰の骨密度が+2.9%(対照は−1.2%)だった
・始める順番は「測る→フォーム→重さ→衝撃」。骨粗しょう症の診断や服薬がある方、背骨の骨折がある方は、先に主治医と運動の範囲を決める
骨密度は筋トレで守れるのか?
守るための有力な手段にはなります。ただし、効き方は小さく、条件しだいです。閉経後の女性を対象にした運動の試験をまとめた解析では、運動をした群で腰の骨密度に小さな差が出ましたが、骨折の数には差が見られませんでした。
Cochrane のレビュー(Howe ら、2011)は、閉経後の女性を対象にした43のランダム化比較試験・4,320名を集めて解析しました。運動の中で腰の骨密度への効き方が最も大きかったのは、筋トレや体重のかかる運動を組み合わせたプログラムでした。一方で、骨折の数については差がはっきりせず、試験の書き方の質が低い点も著者らが指摘しています。
アメリカスポーツ医学会(ACSM)の見解(Kohrt ら、2004)も、体重のかかる運動は骨の健康に役立つとしながら、大人が運動で骨密度をどこまで増やせるかははっきりしないと書いています。そのうえで、骨量と骨の強さを高め、高齢者の転倒の危険も下げうる手段は身体活動だけだとも述べています。「筋トレをすれば骨が増える」ではなく、「減っていく流れを、条件をそろえた運動で緩める」と考えるのが、いまの証拠に合った見方です。年齢とともに筋肉がどう減るかは筋肉量の低下の記事で扱っているので、ここでは骨に絞ります。
骨はどんな刺激で強くなるのか?
骨が応えるのは、動きのある刺激、短くても強い刺激、そしてふだんと違う刺激です。じっと支え続ける力や、毎日くり返して慣れた動きは、骨にとって新しい刺激になりにくいと考えられています。
骨の研究者 Turner(1998年)は、骨が力学的な刺激に適応するときの3つの原則を示しました。1つ目は、止まった力より動きのある力に応えること。2つ目は、長い時間でなく短い刺激でも反応が始まること。3つ目は、骨の細胞はいつもの刺激に慣れ、ふだんと違う刺激で形を変えることです。厚生労働省の e-ヘルスネットも、骨は腱を通して筋肉とつながっているため、筋力トレーニングは骨に直接刺激を与える方法として効果的だと説明しています。
| 運動 | 骨への刺激の特徴 | 40〜50代での位置づけ |
|---|---|---|
| 重さを扱う筋トレ | 筋肉が骨を引っぱる力と、重さが骨にかかる力の両方が加わる | 骨のための運動の中心。重さは段階的に上げる |
| 衝撃のある運動(小さな跳躍・着地など) | 短い時間に大きな力が骨にかかる | 筋トレに慣れてから少しずつ。関節や骨折歴によっては行わない |
| ウォーキング | 体重はかかるが、毎日くり返すと骨には慣れた刺激になりやすい | 体を動かす土台として続ける。骨のためにはそれだけに頼らない |
| 水泳・水中運動 | 浮力で体重の負荷が小さい | 心肺や関節への負担の少なさでは利点がある。骨への刺激は小さい |
水泳の行は、負荷の小さい水泳の選手は、陸上でグラウンドを使うスポーツの選手より骨密度が低いといわれる、という e-ヘルスネットの説明に基づきます。水泳が悪いのではなく、骨のためには別の運動を組み合わせる、ということです。
どのくらいの重さで、骨密度は変わったのか?
はっきり結果が出た試験では、かなり重い負荷を、専門家の監督のもとで段階的に扱っていました。軽い運動を長く続けるより、重さと衝撃を段階的に上げることが、骨への刺激の条件だったと読めます。
オーストラリアの LIFTMOR 試験(Watson ら、2018)は、骨密度が低い閉経後の女性101名を2つに分けました。一方は、週2回・30分の監督つきで、1回で持ち上げられる最大の重さの85%を超える負荷を5回×5セット扱う筋トレと、衝撃の運動を8か月行いました。もう一方は、自宅での低い強度の運動です。結果は次のとおりでした。
| 測った場所 | 高強度の筋トレ+衝撃の群 | 自宅の低強度運動の群 |
|---|---|---|
| 腰の骨(腰椎)の骨密度 | +2.9% | −1.2% |
| 太ももの付け根(大腿骨頸部)の骨密度 | +0.3% | −1.9% |
読み方の注意が3つあります。1つ目は、増えた量そのものより、対照の群が減っている中で減らなかったことに意味がある点です。2つ目は、試験では専門家が監督し、段階的に重さを上げていた点です。報告された有害事象は、腰の軽い筋肉のけいれん1件でした。3つ目は、8か月の試験で、骨折が減ったかまでは確かめていない点です。同じ試験の追加の解析(Watson ら、2019)では、高い強度の群で新しい背骨の骨折は出ず、背中の丸まり(胸椎の後弯)が対照より改善していましたが、人数は多くありません。
カウンセリング・身体評価・トレーニングを90分で体験し、評価結果はその場で全て開示します。姿勢・関節の可動域・動作を確かめたうえで、無理なく重さを上げていける始め方を一緒に考えます。体験後にその場で入会を決めていただく必要はありません。
LINEで体験を予約する男性や、まだ骨密度が低くない人にも関係があるのか?
関係があります。男性を対象にした同じ型の試験でも、高い強度の筋トレと衝撃の運動は、骨と体の機能を比べた群より大きく改善していました。骨密度がゆるやかに下がり始め、女性では閉経の前後で減り方が速くなる40〜50代は、骨を減らさない土台を作っておく時期と考えられます。
LIFTMOR-M 試験(Harding ら、2020)は、骨密度が低い(骨量減少〜骨粗しょう症の)中高年の男性93名(平均67.1歳)を対象に、同じ高い強度の筋トレと衝撃の運動を、機械で骨に圧をかける運動や、ふだんどおりの生活を続けた対照と比べました。高い強度の群は運動によく耐え、骨・体の機能・骨折の危険の指標で、ほかの2つより大きな改善を示しました。
ただし、LIFTMOR も LIFTMOR-M も、骨密度がすでに低い人を対象にしていて、40〜50代の骨密度が正常な人での結果ではありません。それでも、骨密度が低くなってから慌てるより、先に筋トレに慣れておくほうが、選べる運動の幅は広く残ります。運動が久しぶりで、筋トレそのものの始め方から知りたい方は運動が久しぶりの方の筋トレの始め方をご覧ください。
ウォーキングや水泳だけでは足りないのか?
骨のためだけで言えば、足りなくなりやすいです。歩くことや泳ぐことは体を動かす土台として価値がありますが、骨にとっては慣れた刺激になりやすく、筋トレと衝撃の運動を組み合わせるほうが、いまの推奨に沿っています。
イギリスの専門家による合意(Brooke-Wavell ら、2022。英国骨粗鬆症協会が承認)は、骨粗しょう症の人に向けて、骨を強くするための筋トレと衝撃の運動、転倒を防ぐための筋力とバランスの運動、姿勢のための背中を伸ばす運動の3つをすすめています。安全面では、運動中も日常生活でも、背中を大きく丸める姿勢を避けるよう書いています。また、背骨の骨折や、軽い力での骨折をくり返した人は、衝撃の強さを早歩き程度までにとどめるのが通常としています。
40〜50代の方に伝えたいのは、骨のためにウォーキングをやめる必要はないということです。歩く日は続け、そこに週2回の筋トレを足す形をすすめます。平日に時間が取りにくい方は、週末だけの運動の組み方も参考にしてください。
骨のための筋トレは、どんな順番で始めればいい?
「測る→フォームを覚える→重さを上げる→衝撃を足す」の順です。いきなり重い負荷やジャンプから入らず、段階を踏むことが、骨に刺激を入れながらケガを避ける条件になります。
測る——骨と体の今を知る
骨密度は医療機関や自治体の検診で測ります。あわせて、姿勢、股関節や背中の動き、片脚で立てるかなど、筋トレを安全に行うための体の状態を確かめます。
フォームを覚える——軽い重さで、背中を丸めずに
しゃがむ、股関節から上体を倒して持ち上げる、押す、引くといった基本の動きを、軽い重さで覚えます。背中を大きく丸めて物を持ち上げる動きは、骨のためにも避けます。
重さを上げる——週2回、少しずつ
フォームが安定したら、段階的に負荷を上げます。骨粗しょう症の方について、イギリスの合意は「8〜12回で限界になる重さ」を目安にしています。数回でしか上がらない重さは、LIFTMOR のように専門家の監督のもとで、少しずつ上げて扱います。
衝撃を足す——小さく、低く、着地を整えて
筋トレに慣れ、関節に痛みがなければ、かかとを落とす、低い段差から降りるなど小さな衝撃から加えます。骨折歴や関節の痛みがある方は、この段階を医師と相談して決めます。
転ばない体を作る——バランスと背中を伸ばす力
骨が弱い人にとって、転倒は骨折のきっかけになります。イギリスの合意も転倒を防ぐ運動をすすめています。片脚で支える運動と、背中を伸ばす筋肉の運動を組み合わせ、転びにくく、丸まりにくい体を作ります。
しばらく運動から離れていた方は、最初の数週間は軽い重さでフォームを覚えることを優先してください。重い負荷や衝撃の運動は、ひとりで急に始めず、フォームを見てもらえる環境で段階的に行ってください。運動中や運動後に背中や腰、股関節に鋭い痛みが出たら、すぐに中止してください。痛みがある状態で運動を続けることはおすすめしません。
頻度は、国の目安と同じく週2〜3回の筋トレが基本です。自分の体力の今を先にざっくり知りたい方は、体力年齢の測り方や身体年齢チェックから始めると、どこから手をつけるかが見えやすくなります。
骨粗しょう症と言われたら、運動はどうすればいい?
運動を始める前に、主治医と運動の範囲を決めてください。運動は骨を守る手段の1つですが、医師がすすめる薬や食事の代わりにはなりません。診断や服薬の判断は医師が行い、運動はその方針の中で組み立てます。
日本では、日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団による「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」(2025年版)が医師の診療の拠りどころになっています。e-ヘルスネットも、骨折の経験や関節の痛みがある場合は整形外科医に相談してから運動を始めるよう書いています。背骨の骨折がある方は、前の章の合意のとおり衝撃に上限があり、上体を丸めて起こす腹筋運動のような、背中を大きく丸める動きは避けます。
現場で見えていること
私たちのジムでは、骨密度そのものは測れません。そのため、骨のために運動を始めたい方には、医療機関や検診で測った結果があれば体験のカウンセリングで伺い、主治医から言われていることを確かめたうえで進めます。そのうえで、姿勢・関節の可動域・動作を評価し、どの動きから重さを扱えるかを決め、評価の結果はその場で全て開示しています。
骨を気にされる方は、重いものを持つこと自体に不安を持っていることが少なくありません。また、背中を丸めたまま床の物を持ち上げる癖や、片脚で立つと骨盤がぐらつくといった、骨より先に整えたい動きが見つかることもあります。だから私たちは、いきなり重さを上げず、フォームと支える力を整えてから負荷を上げる順番を取っています。40〜50代の体づくり全体の考え方は40代からの体づくりにまとめています。
よくある質問
骨密度は筋トレで上がりますか?
大きく上がるとは言えませんが、保つ・わずかに増やす効果は報告されています。骨密度の低い閉経後の女性101名の LIFTMOR 試験では、高い強度の筋トレと衝撃の運動を8か月行った群で腰の骨密度が+2.9%、対照の群は−1.2%でした。条件は、重さを段階的に上げることと、専門家の監督でした。
骨密度のためにはウォーキングだけで足りますか?
骨への刺激としては足りなくなりやすいです。骨はふだんと違う刺激に応えるため、毎日の歩行には慣れてしまいます。ウォーキングは続けながら、週2回ほどの筋トレを足すことをすすめます。
骨密度が低いと言われましたが、重い筋トレをしても大丈夫ですか?
まず主治医に相談し、運動の範囲を確かめてください。LIFTMOR 試験では骨密度の低い方が重い負荷を扱いましたが、専門家の監督のもとで段階的に重さを上げていました。ひとりで急に重い負荷を扱うことはすすめません。
骨のための筋トレは週何回が目安ですか?
LIFTMOR 試験は週2回・30分でした。国の目安でも筋トレは週2〜3回です。まず週2回から始め、フォームが安定してから重さを上げていくのが現実的です。
男性も骨密度を気にしたほうがいいですか?
はい。骨密度が低い中高年の男性93名の LIFTMOR-M 試験でも、高い強度の筋トレと衝撃の運動で、骨と体の機能の指標が比べた群より改善しました。気になる方は、医療機関や人間ドックなどで骨密度を一度測っておくことをすすめます。
体験のご案内
骨のための筋トレは、重さを扱うほど、始める前の身体の確認が大切になります。まず今の身体を測り、どの動きから、どのくらいの重さで始めるかを決めてください。体験トレーニングでは、カウンセリングで骨密度の結果や主治医から言われていることを伺い、姿勢・可動域・動作を評価したうえで、続けられる始め方を一緒に考えます。料金や通い方は料金ページで、体験の流れは体験トレーニングのご案内でご確認いただけます。
First Trial
骨に効く重さは、
最初の90分で身体を測ってから
体験は基本的に代表の岡本隼人が担当します。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)、TPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)として、姿勢・可動域・動作を評価し、結果はその場で全て開示します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
毎月1日から数えて先着3名さまは¥7,500です。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 体験の流れを見る
主な参考(タップで開く)
- Watson SL, Weeks BK, Weis LJ, Harding AT, Horan SA, Beck BR. High-intensity resistance and impact training improves bone mineral density and physical function in postmenopausal women with osteopenia and osteoporosis: the LIFTMOR randomized controlled trial. J Bone Miner Res. 2018;33(2):211-220. doi:10.1002/jbmr.3284(骨密度の低い閉経後の女性101名・8か月)
- Watson SL, Weeks BK, Weis LJ, Harding AT, Horan SA, Beck BR. High-intensity exercise did not cause vertebral fractures and improves thoracic kyphosis in postmenopausal women with low to very low bone mass: the LIFTMOR trial. Osteoporos Int. 2019;30(5):957-964. doi:10.1007/s00198-018-04829-z(LIFTMOR の追加解析)
- Harding AT, Weeks BK, Lambert C, Watson SL, Weis LJ, Beck BR. A comparison of bone-targeted exercise strategies to reduce fracture risk in middle-aged and older men with osteopenia and osteoporosis: LIFTMOR-M semi-randomized controlled trial. J Bone Miner Res. 2020;35(8):1404-1414. doi:10.1002/jbmr.4008(骨密度の低い男性93名・平均67.1歳)
- Howe TE, Shea B, Dawson LJ, et al. Exercise for preventing and treating osteoporosis in postmenopausal women. Cochrane Database Syst Rev. 2011;(7):CD000333.(43のランダム化比較試験・4,320名)
- Kohrt WM, Bloomfield SA, Little KD, Nelson ME, Yingling VR. American College of Sports Medicine Position Stand: physical activity and bone health. Med Sci Sports Exerc. 2004;36(11):1985-1996. doi:10.1249/01.MSS.0000142662.21767.58
- Turner CH. Three rules for bone adaptation to mechanical stimuli. Bone. 1998;23(5):399-407.
- Brooke-Wavell K, Skelton DA, Barker KL, et al. Strong, steady and straight: UK consensus statement on physical activity and exercise for osteoporosis. Br J Sports Med. 2022;56(15):837-846.(多職種の専門家による合意・英国骨粗鬆症協会承認)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を」。
- 日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版」(ライフサイエンス出版)。
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月。筋力トレーニングについて)。


