睡眠不足で太るかどうかは、「睡眠が短い人ほど体重が多い」という観察の結果と、「睡眠を削ると何が変わるか」を調べた試験の結果を分けて読むと整理できます。どこまでが分かっていて、どこからが分かっていないのか、ダイエット中に何から見直すのかを、論文と国のガイドをもとに書きます。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのは医療の判断ではなく、睡眠・食事・運動の組み立て方です。大人のダイエット(会食・お酒・筋力)のページを見る→
・睡眠が短い人ほど肥満が多いという関連は、世界の調査をまとめた分析で見られる。ただし観察の結果で、睡眠不足が原因と言い切れるものではない
・睡眠を削った試験では、食べる量が1日あたり平均385kcal増え、消費量は変わらなかった(11研究・172名の統合)
・減量中にベッドにいる時間を5.5時間にした試験では、体重の減り方は同じでも、減った脂肪は1.4kgから0.6kgに少なくなり、除脂肪量の減少が増えた(10名・14日間)
・睡眠が短い人が睡眠を約1.2時間延ばした試験では、いつもどおりの群より食べる量が1日あたり約270kcal少なかった(80名)
・成人は6時間以上が目安。まず今の睡眠時間を記録し、体重と体組成と並べて見ることから始める
睡眠不足で太るのは本当か?
「睡眠不足は太りやすさと関係する」までは、かなり確かな話です。睡眠を削った試験では食べる量が増え、減量中は脂肪が落ちにくくなる結果が出ています。一方で、睡眠不足だけで何kg太るのか、長い期間でどれだけ効くのかは、まだはっきりしていません。
この話を読むときは、研究の種類を分けて考えます。1つは、たくさんの人の睡眠時間と体重を調べて、関連を見る観察の研究です。もう1つは、同じ人や比べる群に睡眠を削る・延ばすといった条件をつけて、何が変わるかを見る試験です。観察の研究は人数が多い代わりに、「睡眠が短いから太った」のか「太っている人や忙しい人が、結果として睡眠が短い」のかを区別できません。試験は原因に近づけますが、人数が少なく、期間も数日から数週間です。
この記事は、この2つの結果を並べて、ダイエット中の睡眠をどう扱うかを考えます。競技者の睡眠と体の回復の話はアスリートの睡眠改善の記事にまとめているので、ここでは体重と体脂肪に絞ります。
睡眠が短い人は、本当に体重が多いのか?
多い傾向があります。世界の調査をまとめた分析では、睡眠が短い大人は肥満である割合が高いという関連が見られました。ただし、これは関連で、睡眠不足が肥満の原因だと示したものではありません。
子どもと大人の睡眠時間と肥満を調べた研究をまとめたメタ解析(Cappuccio ら、2008)は、世界の30研究・約63万人のデータを統合し、睡眠が短い大人では肥満のオッズ比が1.55、子どもでは1.89でした。著者らは同時に、重要な影響を十分に取り除けていない研究が多く、時間の前後関係も一貫しないため、原因と結論するのは難しいと述べています。
米国の地域住民1,024名を調べた研究(Taheri ら、2004)では、ふだんの睡眠が5時間の人は8時間の人に比べて、食欲を抑える働きのあるレプチンが15.5%低く、採血の前夜に測った睡眠が5時間だった人は8時間の人に比べて、空腹時に増えるグレリンが14.9%高いと推定されました。体格(BMI)と睡眠時間の関係は、短すぎても長すぎても高いU字型でした。ホルモンの違いが食欲を高め、体格の差につながっている可能性を著者らは挙げていますが、これも観察の結果です。原因に近づくには、次の試験の結果を見る必要があります。
寝不足の日は、なぜ食べる量が増えるのか?
睡眠を削ると、食欲に関わるホルモンと空腹感が変わり、実際に食べる量も増えることが試験で示されています。一方で、起きている時間が長くなっても、消費するエネルギーはそれほど増えません。差し引きで、エネルギーが余る方向に傾きます。
| 研究 | 対象と条件 | わかったこと | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| Spiegel ら、2004 | 健康な若い男性12名。ベッドにいる時間4時間と10時間を2晩ずつ比べた | 短い条件ではレプチンが18%低く、グレリンが28%高く、空腹感が24%強かった | 2晩だけ・少人数。測ったのはホルモンと空腹感 |
| Markwald ら、2013 | 成人16名の入院試験。食事は自由に食べられる条件で、ベッドにいる時間5時間と9時間を5日間ずつ比べた | 5時間の5日間で体重が平均0.82kg増え、とくに夕食後の食べる量が増えた。ただし9時間の条件でも平均では体重が増えており、増え方は5時間の条件のほうが大きかった | 5日間の短期。体重の増加が脂肪かどうかは区別していない |
| Al Khatib ら、2017 | 睡眠を部分的に削った試験のメタ解析(17研究、うち11研究・172名を統合) | 食べる量が1日あたり平均385kcal増え、1日の消費量と安静時の代謝は変わらなかった | 多くは2週間以内の実験室の研究 |
Al Khatib らの統合では、増えた分は脂質が多く、たんぱく質が少ない方向でした。Spiegel らの試験でも、短い睡眠のあとは、エネルギーの多い食べ物を欲しくなる傾向が報告されています。つまり、寝不足の日に甘いものや揚げ物が欲しくなるのは、気のせいだけではない可能性があります。
ただし、どの試験も数日から2週間ほどで、何か月も続けたときに同じ差が積み上がるかは確かめられていません。会食で帰りが遅くなり、睡眠が削られる日が多い方は、お酒や席での食べ方と合わせて会食で太るのはなぜかの記事も参考にしてください。そちらは会食の日に守る線の決め方、この記事は睡眠そのものと体脂肪の関係を扱います。
睡眠や食事、運動の習慣を伺い、姿勢・可動域・動作を確かめてからトレーニングを行います。体験の中でも体組成計(InBody)で体組成を測れます。評価結果はその場で全て開示し、その場で入会を決めていただく必要はありません。
LINEで体験を予約するダイエット中に睡眠を削ると、落ちるのは脂肪か筋肉か?
体重の減り方が同じでも、睡眠が短いと、減った分に占める脂肪の割合が小さくなるという試験があります。減量中に睡眠を削ることは、体重計の数字より、体組成のほうに影響が出やすいと考えられます。
過体重の成人10名が、同じ食事制限を14日間、ベッドにいる時間8.5時間と5.5時間の2つの条件で行った交差試験(Nedeltcheva ら、2010)では、減った体重はどちらの条件でも同じくらいでした。ところが、減った脂肪は8.5時間の条件で1.4kg、5.5時間の条件で0.6kgと少なく、脂肪以外(除脂肪量)の減少は1.5kgから2.4kgに増えていました。5.5時間の条件では空腹感も強くなっていました。
もう少し長い試験もあります。過体重・肥満の成人36名を、8週間の食事制限だけの群(15名)と、食事制限に加えて週5日ベッドにいる時間を短くした群(21名)に分けた研究(Wang ら、2018)では、2つの群で減った体重・脂肪・除脂肪量に大きな差はありませんでしたが、減った体重のうち脂肪が占める割合は、食事制限だけの群のほうが大きくなっていました。著者らは、週末に寝だめをしても、この影響は十分には戻らない可能性があると述べています。
どちらも少人数で、筋肉そのものを測ったわけではありません(除脂肪量には水分なども含まれます)。それでも、減量中に筋肉を守る条件の1つに睡眠を入れておく理由にはなります。減量中に筋力トレーニングを組み合わせる理由はダイエットで筋トレはなぜ必要かで書いています。
睡眠を延ばすと、食べる量は減るのか?
睡眠が短い人が睡眠を延ばした試験では、食べる量が減りました。「削ると増える」の裏返しが、ふだんの生活の中でも起きうることを示した結果です。ただし、体重を減らすことを目的にした試験ではありません。
ふだんの睡眠が6.5時間未満で、BMIが25.0〜29.9の21〜40歳の80名を、睡眠を延ばすための個別の助言を受ける群と、いつもどおりの群に分けたランダム化比較試験があります(Tasali ら、2022)。助言を受けた群は睡眠が平均約1.2時間延び、いつもどおりの群と比べて、食べる量が1日あたり約270kcal少なくなりました。1日の消費量には群間で差がなく、その分だけ体重も減る方向でした。
ここで大事なのは、270kcalが「2つの群の差」だという点です。1人ひとりが270kcal減らせるという意味ではありません。また試験は合わせて約4週間で、食事の指示はなく、自宅でふだんどおりの生活をしながら行われました。食事を細かく制限する前に、まず睡眠を確保することが、ダイエットの土台として意味を持ちうる、という程度に受け取るのが妥当です。
何時間眠ればいい?自分の睡眠はどう確かめる?
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保するよう求めています。適正な睡眠時間には個人差があり、時間だけでなく、朝起きたときに休めたと感じられるか(睡眠休養感)も重視されています。
同じガイドは、高齢者では寝床にいる時間が長くなりすぎないよう、8時間未満にとどめることをすすめています。長く寝床にいればよいわけではない、ということです。ダイエット中の方は、まず次の3つで今の睡眠を確かめてください。
1〜2週間、寝た時刻と起きた時刻を書く
平日と週末の両方を含めて記録します。寝床に入った時刻と、実際に眠った感覚の時刻が違う日は、その差も書いておきます。
朝の休養感と日中の眠気を書く
起きたときに休めたと感じたか、日中に強い眠気があったかを、簡単な○△×で残します。時間は足りていても休めていない日が続くなら、下の受診の目安も確かめてください。
体重・体組成・食べたものと並べる
短い睡眠の翌日に間食が増えていないか、体重は減っているのに体脂肪が減っていない時期がないかを、同じ表で見ます。体重は1日ではなく週の平均で見ます。
記録してみると、平日は6時間を切り、週末に長く寝て取り戻そうとしている、という形が見えることがあります。Wang らの試験からは、週末の寝だめだけでは平日の不足を十分に補えない可能性があります。まずは平日の就寝時刻を少しずつ早めるほうが現実的です。
強い眠気がある日に、きつい運動や長時間の運動を無理に行わないでください。眠気のある状態での運転も避けてください。睡眠時間を確保しようとして、自己判断で睡眠薬やお酒に頼ることはおすすめしません。運動中に胸の痛み、強い息切れ、めまいが出た場合はすぐに中止してください。
現場で見えていること
私たちの体験では、最初にこれまでの体重の変化や生活のリズム、これからどうなりたいかを伺い、動き・可動域・筋力を確かめてからトレーニングを組みます。体組成計(InBody)があり、体験の中でも体組成を測れます。体重だけでなく、筋肉量と体脂肪を分けて変化を確かめられるので、睡眠が短い時期に「体重は減っているが、脂肪があまり減っていない」という減り方にも気づきやすくなります。
食事のサポートは料金に含まれます。初回に食事の基本をお話しし、その後はLINEなどで必要なときに相談できます。特定の制限法を前提にせず、目標に応じて話しながら、最終的にはご自身で調整できるようになることを目指しています。忙しい時期の方ほど、食事の量の話より先に、睡眠時間と帰宅後の過ごし方を一緒に見直すほうが、食べ方を整えやすいことがあると感じています。
よくある質問
睡眠不足で太るのは本当ですか?
関係はあると考えられます。睡眠を削った試験をまとめた分析では、食べる量が1日あたり平均385kcal増え、消費量は変わりませんでした。ただし多くは2週間以内の試験で、睡眠不足だけで長期的に何kg太るかまでは分かっていません。
寝不足だと食欲が増えるのはなぜですか?
食欲に関わるホルモンが変わるためと考えられています。健康な若い男性12名の試験では、ベッドにいる時間を4時間にした2晩のあとは、10時間にした2晩のあとと比べて、食欲を抑えるレプチンが18%低く、空腹時に増えるグレリンが28%高く、空腹感も24%強くなっていました。
ダイエット中は何時間寝ればいいですか?
厚生労働省の睡眠ガイド2023は、成人は6時間以上を目安にするとしています。必要な時間には個人差があるので、朝に休めたと感じられるかも合わせて確かめてください。減量中にベッドにいる時間を5.5時間にした試験では、8.5時間の条件より減った脂肪が少なくなっていました。
週末に寝だめをすれば、平日の睡眠不足は取り戻せますか?
十分には取り戻せない可能性があります。8週間の減量中に週5日ベッドにいる時間を短くした試験では、週末に長く眠れる条件でも、減った体重に占める脂肪の割合が小さくなっていました。平日の就寝時刻を少しずつ早めるほうが現実的です。
睡眠を増やすだけで痩せますか?
それだけで痩せるとは言えません。睡眠が短い80名を2つの群に分けた試験では、睡眠を延ばす助言を受けた群は、いつもどおりの群より睡眠が約1.2時間長くなり、食べる量が1日約270kcal少なくなりましたが、約4週間の試験で、減量を目的にしたものではありません。睡眠は、食事と運動と並べて整える土台と考えてください。
体験のご案内
睡眠が短い時期のダイエットは、食事を削る前に、今の睡眠と体の状態を測るところから始めてください。体重・体組成・動きを確かめれば、何から変えるかを決めやすくなります。減量後に体重を戻しにくくする条件はリバウンドはなぜ起きるかに、40〜50代の代謝の考え方は基礎代謝は40代で落ちるのかに書いています。会食やお酒が多い方の続け方、食事のサポートの中身は、大人のダイエットのページにまとめています。体験の流れは体験トレーニングのページ、料金は料金ページで確かめられます。
First Trial
食事を削る前に、
最初の90分で今の体を測る
体験は基本的に代表の岡本隼人が担当します。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として、睡眠や食事を含む生活のリズムを伺い、姿勢・可動域・動作を評価し、結果はその場で全て開示します。体験の中でも体組成計(InBody)で体組成を測れます。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
毎月1日から数えて先着3名さまは¥7,500です。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 体験の流れを見る
主な参考(タップで開く)
- Cappuccio FP, Taggart FM, Kandala NB, et al. Meta-analysis of short sleep duration and obesity in children and adults. Sleep. 2008;31(5):619-626.(30研究・約63万人のメタ解析)PubMed 18517032
- Taheri S, Lin L, Austin D, Young T, Mignot E. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Med. 2004;1(3):e62.(地域住民1,024名・観察研究)PubMed 15602591
- Spiegel K, Tasali E, Penev P, Van Cauter E. Brief communication: sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Ann Intern Med. 2004;141(11):846-850.(健康な若い男性12名・交差試験)
- Markwald RR, Melanson EL, Smith MR, et al. Impact of insufficient sleep on total daily energy expenditure, food intake, and weight gain. Proc Natl Acad Sci U S A. 2013;110(14):5695-5700.(成人16名・入院試験)PMC3619301
- Al Khatib HK, Harding SV, Darzi J, Pot GK. The effects of partial sleep deprivation on energy balance: a systematic review and meta-analysis. Eur J Clin Nutr. 2017;71(5):614-624.(17研究・496名、うち11研究・172名を統合)
- Nedeltcheva AV, Kilkus JM, Imperial J, Schoeller DA, Penev PD. Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity. Ann Intern Med. 2010;153(7):435-441.(過体重の成人10名・14日間×2条件の交差試験)PubMed 20921542
- Wang X, Sparks JR, Bowyer KP, Youngstedt SD. Influence of sleep restriction on weight loss outcomes associated with caloric restriction. Sleep. 2018;41(5):zsy027.(過体重・肥満の成人36名・8週間)PubMed 29438540
- Tasali E, Wroblewski K, Kahn E, Kilkus J, Schoeller DA. Effect of sleep extension on objectively assessed energy intake among adults with overweight in real-life settings: a randomized clinical trial. JAMA Intern Med. 2022;182(4):365-374.(BMI25〜29.9・21〜40歳の80名)doi:10.1001/jamainternmed.2021.8098
- 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会.健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月、厚生労働省).成人・高齢者の推奨事項.


