オスグッドは「成長期が終われば自然に落ち着く」と言われることが多い一方で、痛みが長引く子もいることが報告されています。整形外科の学会の解説と海外の研究をもとに、保護者の方向けに、運動との付き合い方と受診の目安をまとめました。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、成長期の子どもの身体を実際に測ってきた経験から書いています。ジュニアの身体評価(小学生・中学生)→
・オスグッドは、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の力が膝蓋腱を通して、すねの骨の出っ張り(脛骨粗面)を繰り返し引っ張ることで起きる、成長期の膝の障害
・運動してよいか、どこまでしてよいかは医師が決める。痛みが続いている状態で練習や試合を続けることはすすめない
・オランダの診療記録の研究では、8〜18歳の新規の診断は年に1,000人あたり3.8人。男子は12歳、女子は11歳が最も多かった
・デンマークの研究では、研究の開始から24か月たっても37%が膝の痛みを訴えていた。「そのうち落ち着く」と放っておかない
・安静にしていても痛い、足を引きずる、腫れて熱をもつ、急に強く痛んで歩けない。こうした場合は早めに整形外科へ
オスグッドとは?——膝のどこで何が起きているのか
オスグッド(オスグッド・シュラッター病)は、膝のお皿(膝蓋骨)の少し下にある、すねの骨の出っ張り(脛骨粗面)に痛みと腫れが出る、成長期の障害です。走る・跳ぶ・蹴るといった動きの繰り返しで、この出っ張りが引っ張られ続けることで起きます。
日本臨床整形外科学会の解説では、膝を伸ばす動作は太ももの前にある大腿四頭筋が縮み、脛骨粗面(脛骨結節)が引っ張られることで起こり、成長期にはこの部分にまだ軟骨が多く弱いため、繰り返し引っ張られると骨や軟骨の一部がはがれる、と説明されています。発症はおおむね10〜14歳とされています。力の通り道は、次の順です。
| 部位 | 場所 | オスグッドとの関係 |
|---|---|---|
| 大腿四頭筋 | 太ももの前側の筋肉 | 縮むと膝が伸びる。この引く力が下へ伝わる |
| 膝蓋骨 | 膝のお皿 | 大腿四頭筋の腱の中にあり、力を下へ中継する |
| 膝蓋腱 | 膝のお皿のすぐ下の太い腱 | 膝蓋骨と脛骨粗面をつなぐ |
| 脛骨粗面(脛骨結節) | 膝のお皿の少し下、すねの骨の出っ張り | 膝蓋腱が付く場所。成長期は軟骨が多く、ここに痛み・腫れ・出っ張りが出る |
米国整形外科学会(AAOS)の一般向け解説(OrthoInfo)は、症状として脛骨粗面の痛みと押したときの痛み、腫れ、太ももの前や後ろの筋肉の硬さを挙げ、走る・跳ぶなどのスポーツの動きで痛みが出やすいとしています。骨・筋肉・腱が急に変化する成長の盛りの時期に起きやすく、走る・跳ぶ競技をしている子ほど起きやすいとも書かれています。Vaishya らのレビュー(2016)も、痛みは走る・跳ぶ・階段を上るといった動作で強くなるとまとめています。
オスグッドでも運動していいのか?
運動してよいか、どこまでしてよいかを決めるのは、診察した医師です。家庭やチームで判断して、痛みがある状態のまま練習や試合を続けることはすすめません。一方で、医師の方針のもとで運動量を調整しながら続ける進め方も、研究で試されています。
日本臨床整形外科学会の解説は、初期なら短い期間スポーツ活動の一部を制限するだけで落ち着くことが多い一方、進むと一定期間の局所の安静が必要になり、さらに進むと装具や、時には手術が必要になる、としています。つまり「全部休む」か「全部続ける」かの二択ではなく、状態によって運動の制限の度合いが変わります。その度合いは医師が診察で判断します(画像の検査は必要に応じて)。
AAOSの解説も、多くの場合は休養、冷却、市販の痛み止め、ストレッチや筋力の運動で痛みが和らぎ、日常の活動に戻れるとしています。ただし、足を引きずる、安静にしていても強く痛む、といった場合は、短い期間運動を制限する必要があるかもしれないとし、痛みで競技が楽しめなくなったときは医師に運動の調整を相談するよう勧めています。
家庭でできるのは、「出ていいかどうか」を自分たちで決めることではなく、医師が判断しやすい材料をそろえることです。いつから痛いか、どんな動きで痛むか、1週間にどれだけ練習しているか。これを持って受診すると、話が具体的になります。
どんな子に、何歳ごろ起きやすいのか?
オスグッドは、小学校高学年から中学生の、走る・跳ぶ競技をしている子に多い障害です。男子のほうが女子より多く、女子のほうがやや早い年齢で多くなる傾向が報告されています。
| 出典(対象) | わかったこと |
|---|---|
| van Leeuwen ら 2022(オランダ・ロッテルダム周辺の一般診療の記録、20万人超のデータベース、2012〜2017年) | 8〜18歳で新たに診断されたのは、年に1,000人あたり3.8人。男子4.9人、女子2.7人。最も多い年齢は男子12歳、女子11歳 |
| de Lucena ら 2011(ブラジル・12〜15歳の生徒956名) | 診察の基準で数えた有病率は9.8%(男子11.0%、女子8.3%) |
| Vaishya ら 2016(レビュー) | 片側が多いが、20〜30%は両膝に出る |
| Kujala ら 1985(フィンランドの生徒389名への振り返りアンケート) | 13歳ごろ運動していた193名の21.2%、していなかった196名の4.5%が「かかったことがある」と回答 |
| 日本臨床整形外科学会(解説) | おおむね10〜14歳で発症 |
数字は国や調べ方で違います。診療記録の研究は「受診して診断された子」を数えているので、受診していない子は入っていません。運動している子に多いという報告も、運動がそのまま原因だと言い切れるものではなく、膝を伸ばす力が繰り返し加わる環境で起きやすい、と読むのが適切です。
ちょうど身長が急に伸びる時期と重なるため、同じ練習量でも、去年は平気だったのに今年は痛む、ということが起こりえます。成長期全体の運動の考え方は小学生アスリートのトレーニングにまとめています。
姿勢、関節の可動域と筋力バランス、ジャンプとホップ、動作パターンを測ります。担当は基本的に代表の岡本隼人(JSPO-AT)。結果はその場で保護者の方に口頭でご説明します。痛みがある場合は測定より受診を優先していただきます。無理な勧誘はいたしません。
LINEで空き状況を確認する「成長が止まれば落ち着く」は本当か?
多くは成長とともに落ち着くとされていますが、全員が早く落ち着くわけではありません。デンマークの研究では、痛みが平均約1年9か月続いていた子たちを2年間追っても、4割近くがまだ膝の痛みを訴えていました。「そのうち落ち着く」と様子を見続けるより、痛みが続くなら受診を続けることが大切です。
Rathleff らは、オスグッドと診断された10〜14歳の51名(女子51%)に、12週間のプログラムを行いました。内容は、膝蓋腱にかかる負担と痛みを見ながら活動を段階的に上げる「活動のはしご」、膝の筋力の運動、段階的な競技への復帰です。続く Holden ら(2021)は、同じ51名を24か月追いました。
| 時点 | 本人が「よくなった」と答えた割合 | 競技に戻っていた割合 | その他 |
|---|---|---|---|
| 12週後(Rathleff ら 2020) | 80% | 16% | 膝を伸ばす筋力、股関節を外に開く筋力、ジャンプの距離と高さも測定 |
| 12か月後(同) | 90% | 69% | — |
| 24か月後(Holden ら 2021) | — | 5人に1人以上が膝の痛みで競技をやめたと回答 | 追跡できた46名のうち37%(17名)がまだ膝の痛みを訴えた |
この研究には比べる群がないため、プログラムのおかげでよくなったのか、時間がたって落ち着いたのかは区別できません。それでも、保護者の方が知っておいてよいことが2つあります。1つは、12週の時点で競技に戻っていたのは16%で、多くの子は戻るまでに数か月以上かかっていたこと。もう1つは、2年たっても痛みが残る子が一定数いたことです。
Vaishya らのレビューは、出っ張りの中に骨のかけらが残り、膝をついたときの痛みが手術以外の対応で落ち着かない場合は、手術が検討されるとしています。長引くときほど、自己判断をやめて主治医と相談してください。
受診したあと、家庭では何をすればいいか?
家庭の役割は、医師の方針を守れるように、運動量と痛みを記録し、変化を伝えることです。どこまで動いてよいかは医師が決め、家庭はその範囲を超えないように見守ります。
確かめる:医師の方針をメモに残す
休む競技・続けてよい動き・次の受診日を、診察のその場でメモします。チームの練習とスクール、体育の授業のそれぞれでどうするかも聞いておきます。
数える:走る・跳ぶの量を記録する
練習の日数と時間、試合の出場、ダッシュやジャンプの多い練習の日を、カレンダーに書きます。複数のチームやスクールに通っている場合は、合計で見ます。
聞く:練習のあとと翌朝に膝の具合をたずねる
「痛い?」だけでなく「階段はどう?」「しゃがむとどう?」「朝起きたときは?」と、場面を分けて聞きます。言いにくそうなら、膝の下を指でさしてもらいます。
伝える:記録を持って受診し、チームと共有する
痛みが増えた、引かない、別の場所が痛む。こうした変化は次の受診を待たずに相談します。医師の方針は、監督・コーチにも伝えます。
階段やしゃがむ動作で痛みを聞くのは、変化に気づくための確認で、診断ではありません。痛みがあるときに、膝を深く曲げさせたり、ジャンプさせたりして確かめないでください。痛みが強くなる、腫れる、足を引きずる場合は、運動を止めて整形外科を受診してください。ストレッチや筋力の運動を始める時期と内容も、主治医の指示に従ってください。
膝だけを見ればいいのか?——太もも・股関節・着地
膝だけでは足りません。オスグッドは膝を伸ばす力の通り道で起きる障害で、その力の大きさや繰り返しには、太ももの筋肉の硬さ、股関節の働き、着地の仕方など、膝より上の身体も関わります。
AAOSの解説は、症状の1つに太ももの前や後ろの筋肉の硬さを挙げ、ストレッチと筋力の運動を対応に含めています。日本臨床整形外科学会の解説も、膝を伸ばす大腿四頭筋の引く力が脛骨粗面にかかることを原因として説明しています。前の章の Rathleff らの研究では、膝を伸ばす筋力だけでなく、股関節を外に開く筋力やジャンプも測られていました。
私たちの90分の評価では、姿勢(前面・側面・背面)、関節の可動域と筋力バランス、ジャンプ・ホップ、動作パターンを測ります。たとえば、太ももの前が硬くて踵がお尻に近づかない、片脚で着地すると膝が内に入る、しゃがむと踵が浮く、といった身体の側の特徴は、測ってみないと保護者の方からは見えにくいものです。ただし、これらは医師の診断に代わるものではなく、医師から運動の許可が出たあとに、何から整えるかを決めるための材料です。成長期の筋力づくりの進め方は野球に必要な筋トレ(年代別メニュー)、跳ぶ力などの年齢別の平均はジュニアの体力測定で詳しく書いています。
現場で見えていること
膝の相談で来られても、測ってみると、膝より上の身体に左右差や硬さが見つかることがあります。痛む側の太ももの前が反対側より硬い、片脚立ちが片側だけふらつく、ジャンプの着地で音が大きい、といった形です。
また、試合に出たい気持ちの強い子ほど、膝の痛みを口にしないことがあります。私たちは測る前に、痛む場所、いつから痛いか、受診の有無と医師からの指示、競技と練習の量を、保護者の方とお子さんの両方から伺います。痛みがあれば、ジャンプや全力の測定は行わず、整形外科の受診をおすすめします。結果もその場で保護者の方に口頭でご説明します。練習のあとの過ごし方は野球少年・サッカー少年の自宅でできる体のケア、投げる競技の肘については小学生の野球肘を防ぐにはにまとめています。
・安静にしていても膝が痛む、夜に痛みで目が覚める
・足を引きずって歩く、階段の上り下りがつらい
・膝のお皿の下が赤く腫れる、熱をもつ、出っ張りが急に大きくなった
・ジャンプや着地の瞬間に急に強く痛み、膝を伸ばせない・立てない
・膝のお皿の下以外(膝の内側・外側・裏、太ももの付け根など)も痛む
・発熱がある、思い当たるきっかけがないのに痛みや腫れが強くなる
・休むと引くが、運動を再開すると再び痛む状態を繰り返している
痛みがある状態で練習や試合を続けることはすすめません。運動を再開する時期と内容は、主治医とよく相談してください。
よくある質問
オスグッドでも運動や部活を続けていいですか?
続けてよいか、どこまでしてよいかは、診察した医師が決めます。日本臨床整形外科学会の解説では、初期なら短期間の一部の制限で落ち着くことが多い一方、進むと一定期間の安静や装具が必要になるとされています。痛みがある状態のまま練習や試合を続けることはすすめません。
オスグッドは成長が止まれば自然に落ち着きますか?
多くは成長とともに落ち着くとされていますが、全員ではありません。デンマークで10〜14歳の51名(痛みが平均約1年9か月続いていた子)を追った研究では、参加から24か月後も追跡できた46名の37%が膝の痛みを訴え、5人に1人以上が膝の痛みで競技をやめたと答えていました。痛みが続くなら受診を続けてください。
オスグッドで休むと、どのくらいで競技に戻れますか?
状態によって違うので、期間は主治医に確認してください。活動を段階的に上げるプログラムを行った研究では、12週後に競技に戻っていたのは16%、12か月後は69%でした。痛みが平均約1年9か月続いていた子が対象で、比べる群もない研究ですが、プログラム開始から競技に戻るまで数か月以上かかる子が多かったことがわかります。
オスグッドの痛みは何科を受診すればいいですか?
整形外科を受診してください。できればスポーツの障害を診ている医師だと、競技との付き合い方まで相談しやすくなります。いつから痛いか、どんな動きで痛むか、1週間の練習量をメモして持っていくと、話が具体的になります。
膝が痛くても、身体の評価は受けられますか?
痛みがある場合は、まず整形外科の受診を優先してください。私たちは測る前に痛みの有無と医師の指示を伺い、痛みがあればジャンプや全力の測定は行いません。医師から運動の許可が出たあとに、膝を支える身体を測るご相談をお受けしています。結果はその場で保護者の方に口頭でご説明します。
まずは90分、身体を測ることから
オスグッドで運動してよいかは、医師が決めます。そのうえで、医師から許可が出たら、膝を伸ばす力を受け止める太もも・股関節・着地の動きを一度測っておくと、何から整えればよいかを決めやすくなります。料金と内容はジュニアプログラム、場所はアクセスをご覧ください。
Body Assessment
成長期の「今の身体」を
90分かけて測る
担当は基本的に代表の岡本隼人。世田谷区の少年野球チーム「船橋フェニックス」で学年チームの監督を務め、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として、姿勢、関節の可動域と筋力バランス、ジャンプとホップ、動作パターンを測ります。結果はその場で保護者の方に口頭でご説明します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
先着などの条件はありません。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 初回は保護者の方の同席をお願いしています | ジュニアプログラムの詳細
主な参考(タップで開く)
- 一般社団法人 日本臨床整形外科学会「オスグッド病」(健康相談/楽しくスポーツを続けるために/起こりやすいケガと故障)。
- American Academy of Orthopaedic Surgeons. Osgood-Schlatter Disease (Knee Pain). OrthoInfo.(2026年10月5日閲覧)
- Vaishya R, Azizi AT, Agarwal AK, Vijay V. Apophysitis of the Tibial Tuberosity (Osgood-Schlatter Disease): A Review. Cureus. 2016;8(9):e780.(レビュー)
- de Lucena GL, dos Santos Gomes C, Guerra RO. Prevalence and associated factors of Osgood-Schlatter syndrome in a population-based sample of Brazilian adolescents. Am J Sports Med. 2011;39(2):415-420.(ブラジル・12〜15歳956名)
- Kujala UM, Kvist M, Heinonen O. Osgood-Schlatter's disease in adolescent athletes. Retrospective study of incidence and duration. Am J Sports Med. 1985;13(4):236-241.(フィンランドの生徒389名への振り返りアンケート)
- van Leeuwen GJ, de Schepper EIT, Rathleff MS, Bindels PJE, Bierma-Zeinstra SMA, van Middelkoop M. Incidence and management of Osgood-Schlatter disease in general practice: retrospective cohort study. Br J Gen Pract. 2022;72(717):e301-e306.(オランダ・一般診療の20万人超の記録、8〜18歳)
- Rathleff MS, ほか. Activity Modification and Knee Strengthening for Osgood-Schlatter Disease: A Prospective Cohort Study. Orthop J Sports Med. 2020;8(4):2325967120911106.(10〜14歳51名)
- Holden S, Olesen JL, Winiarski LM, Krommes K, Thorborg K, Hölmich P, Rathleff MS. Is the Prognosis of Osgood-Schlatter Poorer Than Anticipated? A Prospective Cohort Study With 24-Month Follow-up. Orthop J Sports Med. 2021;9(8):23259671211022239.(51名、追跡46名)


