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ゴルフ場のフェアウェイとグリーン。ラウンドや練習のあとに太ももの内側が張る理由がテーマ
Golf Fitness / Body

ゴルフで内転筋(太ももの内側)が張るのはなぜ?
——スイングでの内転筋の役割と、張りと受診が必要な痛みの見分け方

「ラウンドの翌日、太ももの内側が張る」。内転筋は脚を閉じるだけでなく、スイングで骨盤を回し始め、片脚で支える役も持つ筋肉です。張りは、その仕事量か支え方のどこかに無理があるサインです。

2026.10.24 読了 約12分

張りの多くは使った量に対する筋肉の反応ですが、付け根の痛み、脚を閉じる力を入れたときの痛み、股関節の奥の詰まりは別物です。どちらの内ももが、いつ張るのかを書き留め、左右を測ってから手を打つのが近道です。

この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、TPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、ゴルファーの身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。ゴルフのパーソナルトレーニング(六本木・TPI測定)→

この記事でお伝えすること

・内転筋は太ももの内側にある筋肉のグループ。いちばん大きい大内転筋は、脚を閉じるより股関節を伸ばす力のほうが大きい形をしている(Takahashi ら、2025)
・競技ゴルファー16名の筋電図では、リード側(右打ちなら左)の大内転筋が、トレイル側のお尻の筋肉と一緒にダウンスイングの骨盤の回転を始めていた(Bechler ら、1995)
・張りの背景は「慣れない量」「股関節の回旋や片脚の支えの不足を内ももが補っている」「内転筋の力不足」に分けて考える
・付け根を押すと痛い、脚を閉じる力を入れると痛い、股関節の奥が詰まる・引っかかる場合は、張りではなく受診の対象
・ほかの競技の研究では、内転筋のけがと結びついたのは柔軟性ではなく筋力だった。伸ばすだけでなく、鍛える側も確かめる

内転筋とはどこの筋肉で、ゴルフで何をしているのか?

内転筋は、骨盤の下側(恥骨から坐骨まで)から太ももの骨の内側にかけて付く筋肉のグループです。名前のとおり脚を内側へ寄せる(内転)働きがありますが、ゴルフで大事なのは、股関節を伸ばし、骨盤を太ももの上で回し、片脚で立ったときに骨盤を支える働きのほうです。

筋肉位置主な働きゴルフとの関わり
大内転筋内転筋群でいちばん大きい。太ももの内側の後ろ寄りまで広がる脚を寄せる。後ろ側の部分は股関節を伸ばす前傾から骨盤を回すとき、股関節を伸ばしながら回る動きに関わる
長内転筋・短内転筋太ももの内側の前寄り。付け根(鼠径部の近く)で触れやすい脚を寄せる張りや痛みを付け根に感じるときに関わりやすい
薄筋太ももの内側を膝の下まで走る細長い筋肉脚を寄せる。股関節と膝の両方をまたぐ膝の内側の違和感と一緒に出ることがある
恥骨筋付け根のいちばん上、太ももの前寄り脚を寄せる。股関節を曲げるアドレスの前傾(股関節を曲げた姿勢)で働く

大内転筋については、若い成人15名の太ももをMRI(拡散テンソル画像)で調べた研究があります(Takahashi ら、2025)。筋肉の量の8割超が後ろ側と前の下寄りの部分にあり、その形から計算すると、股関節を伸ばす力の見込みは、脚を寄せる力の見込みの2倍以上でした。筋肉の形から計算した「出せる力の見込み」で、実際の動きの中の力を測ったものではありません。それでも、内転筋を「脚を閉じるだけの筋肉」と考えないほうがよいことは分かります。股関節全体の使い方はゴルフの股関節の使い方にまとめているので、この記事では内ももの筋肉に絞ります。

スイングのどの場面で、内転筋は働いているのか?

はっきり記録があるのは、ダウンスイングの始まりです。競技ゴルファー16名の股関節と膝の筋肉に電極を入れ、高速度撮影と合わせて調べた研究では、トレイル側のお尻(股関節を伸ばす筋肉と外へ開く筋肉)と、リード側の大内転筋が一緒に骨盤の回転を始めていました(Bechler ら、1995)。以下は右打ちの場合です。左打ちの方は左右を逆に読んでください。

①

アドレス——前傾を両脚で支える

股関節を曲げて前傾し、両脚に体重を分けて構えます。お尻の外側の筋肉と内ももの筋肉が、骨盤を左右から挟むように支えています。

②

バックスイング——右脚に乗る

骨盤が右へ回り、右(トレイル側)の股関節は内旋、左(リード側)の股関節は外旋の方向へ動きます。右脚に乗ったとき、骨盤が右へ流れずにその場で回るには、右脚の上で骨盤を支える力が要ります。

③

ダウンスイングの始まり——左の内ももが骨盤を回し始める

Bechler らの記録では、ここで右のお尻と左の大内転筋が働き、骨盤の回転を始めます。同じ研究で、左の太もも裏の筋肉は膝を曲げたまま保ち、骨盤が回る土台を作っていました。股関節と膝の筋肉の活動の山は、以前の研究で測られた体幹や肩より早い局面でした。

④

インパクトからフォロー——左股関節の上で回る

左股関節は、外旋から内旋へ速く回されます。女子大学ゴルファー15名の3D計測では、ダウンスイング中の左股関節の内旋の最大速度は、右股関節の外旋の最大速度より有意に速いものでした(Gulgin ら、2009)。

つまり、左の内ももはダウンスイングで「骨盤を回し始める」側、右の内ももは右脚に乗ったときに「骨盤を支える」側として使われます。ただし、Bechler らの対象は競技レベルのゴルファーで、平均的なアマチュアで同じ順番かは確かめられていません。右脚の上で骨盤が流れる動きはスウェー・スライドの直し方で扱っています。

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ゴルフで太ももの内側が張るのは、どんなときか?

張りの背景は大きく3つに分けて考えます。慣れない量を使ったとき、股関節の回旋や片脚の支えが足りず内ももが補っているとき、内転筋そのものの力が足りないときです。どれに当たるかで、やることが変わります。

背景出やすい場面確かめることまずやること
慣れない量久しぶりのラウンド、打ち込んだ練習、傾斜地や坂の多いコースの翌日数日で引くか、左右どちらか、押して痛む点があるか量を戻して様子を見る。ラウンド後の整え方を決める
回旋・支えの不足を補っている同じ側ばかり張る。張る日はスイングが横に流れる感覚がある股関節の内旋・外旋の左右差、片脚立ちの左右差足りない側の可動域と片脚の安定を作る
内転筋の力不足練習量が増えた時期にくり返す。脚を閉じる力が弱い感覚両膝の間にクッションを挟んで押し合う力の左右差(痛みが出ない範囲で)段階をつけて内転筋を鍛える

2つ目について補足します。ゴルフの腰痛の研究では、腰痛のあるアマチュアは、リード側の股関節の内旋が少なかったと報告されています(Murray ら、2009)。リード側の内旋が足りないと、ダウンスイングで左股関節の上で回りきれず、周りの筋肉や腰に負担が移る可能性があります。内ももの張りとの関係を直接調べた研究は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。ですから「内旋が足りないから内ももが張る」とは言い切れません。両方を測って、重なっているかを確かめる、というのが私たちの考え方です。リード側とトレイル側で痛む原因が違う話はゴルフで股関節が痛い|左右で原因が違うで。

ただの張りと、受診が必要な痛みはどう見分けるか?

数日で引き、押しても鋭く痛む点がなく、普段の動きで痛まないなら、使った量への反応の範囲と考えてよいことが多いです。一方で、付け根(恥骨の近く)を押すと痛い、脚を閉じる力を入れると痛い、股関節の奥が詰まる・引っかかる場合は、張りではなく痛みの問題として扱います。

スポーツ選手の鼠径部の痛みは、国際的な合意(ドーハ合意、Weir ら、2015)で、内転筋に関連するもの、腸腰筋(股関節の前を通る筋肉)に関連するもの、鼠径部(足の付け根の管)に関連するもの、恥骨に関連するもの、股関節そのものに関連するもの、その他に分けられています。内転筋に関連する痛みは、内転筋を押したときの痛みと、脚を閉じる方向に抵抗をかけたときの痛みで判断されます。股関節そのものの痛みは、運動で切り分けられるものではありません。ゴルファーの股関節は形の左右差が報告されている場所でもあり(Dickenson ら、2016)、痛みがあれば受診で確かめてください。痛めやすい部位の全体像はゴルフで痛めやすいのは体のどこ?にまとめています。

自分で確かめるには、何をすればいいか?

「どちらの内ももが」「いつ」張るのかを書き留め、股関節の回旋と片脚の支えを左右で比べます。下の3つは診断ではなく、測る場所の見当をつけるための確認です。痛みが出たら、その時点で止めてください。

①

張りの記録(左右・タイミング)

ラウンド・練習の翌日に、左右どちらか、付け根か太ももの中ほどか、何日で引いたかを書き留めます。練習量、コースの起伏、クラブ(ドライバー中心かアイアン中心か)も一緒に残すと、量の問題かを見分けやすくなります。

②

座位の股関節内旋(左右)

椅子に座り、膝を90度に曲げたまま、膝を動かさずに足先を外側へ開きます。これが股関節の内旋です。足先がほとんど開かない側、左右の差がはっきりある側を記録します。股関節の前に鋭い詰まりが出る手前で止めてください。

③

片脚立ち(左右)

壁の近くで、片脚で立ちます。骨盤が横に流れる、反対側の骨盤が下がる、すぐに足をつくといった差が左右にあれば、その側の支えを疑います。TPIのテストでは目を閉じて行いますが、自宅ではまず目を開けて安全に行ってください。

②で左(リード側)の内旋が少ない、③で右脚の上で骨盤が流れる、などの左右差が張る側と重なっていれば、内ももが何かを補っている可能性があります。TPIのテストでの見方は下半身回旋テストの見方と運動と片脚立ちテストの見方と運動にまとめています。

Caution

張っている内ももを、反動をつけて開脚で伸ばすことは避けてください。付け根に鋭い痛みが出る、押すと一点が痛む、脚を閉じる力を入れると痛む場合は、確認も運動も中止し、下の「受診の目安」を先に確認してください。痛みがある状態で練習やラウンドを続けることはおすすめしません。

内転筋は、伸ばすより鍛えたほうがいいのか?

張りがくり返す人は、伸ばすことと同じくらい、内転筋の力を確かめる価値があります。ゴルフの研究ではありませんが、内転筋のけがと結びついていたのは柔軟性ではなく筋力でした。

プロのアイスホッケー選手を追った研究では、シーズン前の脚を閉じる力が、外へ開く力の80%未満だった選手は、内転筋の肉離れを起こす可能性が17倍でした。一方、シーズン前の内転筋の柔軟性は、肉離れを起こした選手と起こさなかった選手で差がありませんでした(Tyler ら、2001。追跡できたのは47名)。サッカーでは、コペンハーゲン・アダクションという内転筋の種目1つをシーズン前に週3回、シーズン中は週1回行ったチームで、鼠径部の問題を報告する危険が41%低くなりました(Harøy ら、2019。35チーム・652名)。

どちらも走る・蹴る・滑る競技で、ゴルフにそのまま当てはまるとは限りません。それでも「張るから伸ばす」だけで終わらせず、左右の力の差と、股関節の回旋・片脚の支えを先に測る理由にはなります。コペンハーゲン・アダクションは、横向きで上の脚をベンチにのせて身体を持ち上げる種目で、膝をのせる軽い段階から始められます。張りや痛みがある時期には行わず、段階の選び方は測った結果から決めてください。ラウンド後の整え方はゴルフのラウンド後にやるべきケアにまとめています。

現場で見えていること

私たちのTPIフィジカルアセスメントでは、内ももの張りを相談された場合も、内転筋だけを見ることはしません。下半身回旋、片脚立ち、ブリッジ脚伸展、骨盤回旋などを左右で測り、張る側と、回りにくい側・支えにくい側が重なっているかを確かめます。その見立てを、ゴルフのお悩みと照らしてお話しします。

「内ももが硬いから伸ばしている」という方でも、測ると反対側の股関節の回旋や片脚の支えに左右差が見つかることがあります。感覚と測定は食い違うことがあるので、ストレッチを選ぶ前に左右を測ることをすすめています。

※本記事の確認と運動は運動機能の簡易確認であり、医学的診断ではありません。次の場合は確認や運動を行わず、先に整形外科を受診してください。スイングや踏み込みの瞬間に内ももや付け根に鋭い痛みが走った、そのあと内出血が出た・へこみがある、体重をかけて歩くのがつらい。付け根や恥骨の近くを押すと痛い、脚を閉じる力を入れると痛い状態が続く。股関節の奥が詰まる・引っかかる・音がする、深く曲げると痛い。安静時や夜間も痛む。付け根のふくらみ、咳やいきみで強まる痛み、発熱を伴う痛み、脚のしびれがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。治療中の方は、運動の前に主治医に相談してください。

よくある質問

ゴルフで内転筋はどんな役割をしていますか?

脚を寄せるだけでなく、股関節を伸ばし、骨盤を回し、片脚で立ったときに骨盤を支える役割があります。競技ゴルファー16名の筋電図では、右打ちの左の大内転筋が、右のお尻の筋肉と一緒にダウンスイングの骨盤の回転を始めていました。

ゴルフの翌日に太ももの内側が張るのはなぜですか?

慣れない量を使ったときの筋肉の反応であることが多いですが、股関節の回旋や片脚の支えが足りず内ももが補っている場合や、内転筋の力が足りない場合もあります。同じ側ばかり張る、くり返す場合は、左右を測って確かめてください。

内転筋の張りはストレッチで解消できますか?

伸ばすと楽になることはありますが、くり返す張りはそれだけでは終わらないことがあります。アイスホッケー選手の研究では、内転筋の肉離れと結びついたのは柔軟性ではなく、脚を閉じる力でした。伸ばすことと一緒に、左右の力の差を確かめてください。

付け根が痛いときもゴルフを続けていいですか?

おすすめしません。付け根や恥骨の近くを押すと痛い、脚を閉じる力を入れると痛い、股関節の奥が詰まるといった場合は、張りではなく痛みの問題です。先に整形外科を受診し、運動を再開してよい範囲を確かめてください。

右打ちで左右どちらの内ももが張りやすいですか?

どちらが張りやすいかを比べた研究は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。働きで見ると、左はダウンスイングで骨盤を回し始める側、右はバックスイングで乗ったときに骨盤を支える側です。張る側を書き留め、その側の股関節の回旋と片脚の支えを測ってください。

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主な参考(タップで開く)
  1. Bechler JR, Jobe FW, Pink M, Perry J, Ruwe PA. Electromyographic analysis of the hip and knee during the golf swing. Clin J Sport Med. 1995;5(3):162-166.(競技ゴルファー16名・筋内電極と高速度撮影)PubMed 7670971
  2. Takahashi K, Tozawa R, Kawama R, Wakahara T. Redefining muscular action: human adductor magnus is designed to act primarily for hip extension rather than adduction in living young individuals. J Appl Physiol. 2025;138:1088-1099.(若い成人15名・拡散テンソル画像)
  3. Gulgin H, Armstrong C, Gribble P. Hip rotational velocities during the full golf swing. J Sports Sci Med. 2009;8(2):296-299.(女子大学ゴルファー15名・3D計測)PMC3761477
  4. Murray E, Birley E, Twycross-Lewis R, Morrissey D. The relationship between hip rotation range of movement and low back pain prevalence in amateur golfers. Phys Ther Sport. 2009;10(4):131-135.(アマチュアゴルファー・腰痛の有無で比較)
  5. Weir A, Brukner P, Delahunt E, et al. Doha agreement meeting on terminology and definitions in groin pain in athletes. Br J Sports Med. 2015;49(12):768-774.(14か国24名の専門家による合意)
  6. Tyler TF, Nicholas SJ, Campbell RJ, McHugh MP. The association of hip strength and flexibility with the incidence of adductor muscle strains in professional ice hockey players. Am J Sports Med. 2001;29(2):124-128.(測定81名・追跡47名)
  7. Harøy J, Clarsen B, Wiger EG, et al. The Adductor Strengthening Programme prevents groin problems among male football players: a cluster-randomised controlled trial. Br J Sports Med. 2019;53(3):150-157.(35チーム・652名)doi:10.1136/bjsports-2017-098937
  8. Dickenson E, O'Connor P, Robinson P, et al. Hip morphology in elite golfers: asymmetry between lead and trail hips. Br J Sports Med. 2016;50(17):1081-1086.(エリートゴルファー55名・MRI)doi:10.1136/bjsports-2016-096007
岡本隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified NASM-PES FMS SFMA

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPIのFitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2プログラムを修了・認定(TPI Certified Fitness 2 / Golf 2 / Junior 2 / Power 2)。NASM-PES。FMS(2015年認定)・SFMA(2016年認定)。INDIBA®ベーシックコース修了(INDIBA Japan)。2002年から指導、のべ指導実績40,000人以上。自身のゴルフはヘッドスピード54m/s・ボール初速78m/s(FlightScope計測・自己最速)。2022年から世田谷区の少年野球チーム「船橋フェニックス」で学年チームの監督を務め、2026年は6年生チームで全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)第3位。Disport World(六本木3-15-21 鶯ビルB1)代表。