こんなお困りごとはありませんか。スイング中に体がふらつく、軸がぶれると言われる。フィニッシュでよろけて、片脚で止まれない。平らな練習場では打てるのに、コースの傾斜地になると当たらなくなる。このページでは、TPIの身体評価16項目の09番「片脚立ち(閉眼)」が何を見るテストか、制限があるとどう見えるか、スイングにどう出やすいか、当てはまるときに何から始めるかをお伝えします。
書いているのは、六本木のパーソナルジム Disport World です。代表の岡本隼人は、TPI認定(Fitness 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の資格を持ち、TPI Screen(TPIの身体評価)を提供しています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。16項目の一覧(TPIフィジカルアセスメント)→
片脚立ちテストは、何を見るテストか?
片方の太ももを床と平行くらいまで持ち上げて片脚で立ち、目を閉じた状態でどれだけ体を保てるかを見るテストです。目を閉じると、視覚に頼ってバランスを取ることができません。足の裏や足首、関節から入ってくる感覚(体の位置を感じ取る感覚)だけで立てるかを確かめます。見るのは、保てる長さと、左右の差と、体の揺れ方と、腕や上げた脚で補っていないかです。
TPIはこのテストを、全身のバランスを見るものとし、足首の動きや体の位置の感覚の左右差、体幹の安定もあわせて浮かび上がるものと位置づけています。スイングでは、バックスイングで後ろの脚、ダウンスイングからフィニッシュで前の脚が、ほぼ片脚で体重を受け止めます。16項目の全体と、TPIそのものについてはTPIとはで解説しています。
制限があると、どう見えるか?
目を開けているうちは立てるのに、閉じた途端に崩れる、という形で出ることが多いテストです。測っていると、次のような出方があります。
・目を閉じると、すぐに足の位置を直す、跳ねる、上げた脚を床につく
・揺れを足首の小さな動きでおさめられず、腰や体幹ごと大きく揺れる
・腕を大きく振る、上げた脚を支える脚に当てる、体を横に傾けて粘る
・目を開けていても、片脚で立つ姿勢が安定しない
・左右で、保てる長さや揺れ方が違う
目を開けていれば保てて、閉じると崩れる方は、視覚に頼ってバランスを取っている可能性があります。足の裏や足首からの感覚を、まだ十分に使えていないと読みます。揺れが足首の小さな修正でおさまるなら、程度は軽めです。
閉じてすぐに崩れる方や、目を開けていても不安定な方は、感覚だけでなく、片脚で支える土台(足首の動き、股関節の外側、体幹)そのものが足りない可能性を考えます。長く保てた方でも、腕を大きく振ったり上げた脚を支える脚に当てたりして粘っていれば、その補い方も記録します。どこまで保てれば十分かは、揺れ方と左右差を合わせて見るため、測定の場でご本人の動きを見ながらお伝えしています。
スイングには、どう出やすいか?
片脚で体を保つ力が足りないと、スイング中に構えの安定した姿勢を保てず、バックスイングで下半身が横へ流れる、ダウンスイングで目標側へ流れる、といった動きにつながる可能性があります。出方によって、スイングで出やすい傾向が分かれます。
01テストでの出方
目を閉じると崩れる(足首でおさまる揺れ)
- 関わりやすい場面
- バックスイング〜切り返し
- スイングで出やすい傾向(可能性)
- 構えの姿勢が揺れやすく、下半身が横へ流れる(スウェー/スライド)
02テストでの出方
腰や体幹ごと大きく揺れる
- 関わりやすい場面
- ダウンスイング〜フィニッシュ
- スイングで出やすい傾向(可能性)
- 片脚で体重を受け止めきれず、下半身が大きく横へ流れる。後ろ足に体重が残る(ハンギングバック)
03テストでの出方
目を開けていても不安定
- 関わりやすい場面
- スイング全体
- スイングで出やすい傾向(可能性)
- 片脚で支える土台が足りず、前傾が崩れる・伸び上がる動きにつながる場合もある
04テストでの出方
左右で差がある
- 関わりやすい場面
- 体重移動
- スイングで出やすい傾向(可能性)
- ダウンスイングでの体重移動が足りず、方向が安定しにくい。傾斜地のショットで崩れやすい
左右で差がある場合は、弱い側がどちらの役割の脚かで出方が変わります。トレイル脚(目標と反対側の脚)は、バックスイングで体重を受け止める脚です。ここで保てないと、トップで体重が足の外側へ流れる(スウェー)、軸がぶれる、が出やすくなります。リード脚(目標側の脚)は、ダウンスイングからフィニッシュで体重を受け止める脚です。ここで保てないと、体が目標側へ流れる(スライド)、フィニッシュで立っていられない、が出やすくなります。右打ちならトレイル脚は右、リード脚は左で、左打ちは逆になります。
36人のゴルファーでTPIの身体テスト12項目と14のスイング特性の関係を調べた研究(Gulginら、2014年)では、統計的に関係が確かめられたのは前屈・ブリッジ・ディープスクワット・片脚立ちに関わる一部の組み合わせでした。片脚立ち(片側)がうまくできない人は、ディープスクワットがうまくできない人と並んで、アーリーエクステンション・ロスオブポスチャー・スライドが出やすい傾向が示されています。ただ、人数の小さい研究で、1つのテストと1つのスイング特性が一対一で結びつくとまでは言えません。
ですから私たちは、このテストの結果だけでスイングの癖を決めつけません。16項目の組み合わせと、実際にお困りのスイングの動きを照らして読みます。14のスイング特性それぞれの意味は14のスイング特性の解説に、横へ流れる動きはスウェーとスライドの解説に書いています。
当てはまるとき、何から始めるか?
いきなり目を閉じて片脚で立つ練習はしません。片脚で立つ土台を整え、目を開けたまま安定させてから閉じる段階へ進み、最後にゴルフの構えと動きにつなげる、という順に進めます。
土台を整える(足首・足裏)
目を開けていても不安定な方は、足首の動きと、ふくらはぎ・足の裏の感覚から整えます。足首が硬いと、片脚で立つ土台そのものが小さくなります。
片脚で立つ(目を開けて→閉じて)
壁や椅子のそばで、目を開けて安定してから閉じる段階へ進みます。あわせて、骨盤を水平に保つ股関節の外側(お尻の横)を働かせます。
ゴルフの構えと動きにつなげる(アドレス・素振り)
前傾の構えのまま片脚で保ち、クラブを小さく動かします。最後はフィニッシュで止まる素振りへ。ここで崩れるなら、ひとつ前の段階に戻ります。
揺れが足首の小さな動きでおさまる方は段階2から、腰から大きく揺れる方や目を開けていても不安定な方は段階1から入ります。
代表的なエクササイズ5種
私たちが片脚立ちに制限が出た方に使う種目のうち、代表的な5つです。どれも転ばないよう壁や椅子のそばで、痛みのない範囲で行います。回数と時間は、測った結果と体力に合わせて決めています。
1. ニー・トゥ・ウォール(足首)
段階1・土台を整える|目を開けていても不安定な方
壁に向かって立ち、片足を壁から拳ひとつ分ほど離して置きます。かかとを床につけたまま、膝を壁に向けて前へ押し、足首の前側の動きを引き出します。膝が壁に届いたら、足を少し後ろへずらします。かかとが浮く、膝が内側に入って土踏まずがつぶれる形にならないように。
2. シングルレッグスタンド(目を開けて→閉じて)
段階2・片脚で立つ|出方を問わず
壁や椅子のそばで片脚立ちになり、太ももを床と平行くらいまで上げます。目を開けたまま安定できるようになってから、目を閉じる段階へ進みます。足の裏の親指の付け根・小指の付け根・かかとの3点に体重が均等に乗り、揺れが足首の小さな動きでおさまるのが目安です。ふらついたらすぐに目を開けて壁や椅子に手をつき、腕を大きく振ったり上げた脚を支える脚に当てたりして粘らないように。
3. ミニバンド・サイドステップ
段階2・片脚で立つ|腰から大きく揺れる方・左右差がある方
膝の上か足首にミニバンドを巻き、つま先を正面に向けたまま軽く腰を落として横へ歩きます。進む方向と反対の脚で、骨盤を水平に保つ股関節の外側を働かせます。歩いている間も骨盤が左右に傾かないように。上体を左右に振って足を運ぶ、膝が内側に入る形にならないように。
4. アドレス姿勢・片脚バランス(クラブ持ち)
段階3・ゴルフの構えにつなげる|出方を問わず
クラブを持ってアドレスの前傾を作り、片脚を軽く後ろへ浮かせて片脚で保ちます。安定したら、クラブを腰の高さまでゆっくりバックスイングからフォローへ動かし、前傾の角度と支える脚のバランスを保ちます。クラブを動かした瞬間に上体が起き上がる、支える脚の膝が内側へ入る形にならないように。目を閉じて振ることはしません。お尻の横で支える感覚を作る種目は、08 ブリッジ脚伸展のページでミニバンドを使う形を説明しています。
5. フィニッシュ・ホールド素振り
段階3・ゴルフの動きにつなげる|出方を問わず
天井や周りの物に当たらない場所で、いつものアドレスから素振りをし、フィニッシュで止まります。フィニッシュでは前の脚に体重を乗せ切り、後ろの足はつま先立ちにして、胸が目標を向いたまま静止します。後ろ足に体重が残ったまま止まる、上体を反らせてバランスを取る形にならないように。
フィニッシュで止まれない理由はフィニッシュでバランスが取れない理由に、足首の硬さについてはゴルフで足首が硬いと何が起きるかに書いています。
測る現場で気をつけていること
片脚立ちで私たちが気をつけているのは、保てた長さだけで見ないことです。同じように保てていても、足首の小さな動きで揺れをおさめている方と、腰や体幹ごと揺れながら腕を振って粘っている方とでは、入口のエクササイズが変わります。揺れ方と補い方を、長さと同じくらい大事に見ています。
目を閉じてもらうのは、目を開けたまま片脚の姿勢が安定してからです。転ばないよう、壁やベンチのそばで行います。
目を閉じている間にめまいや吐き気など気分が悪くなった方は、その場で座って休んでもらい、その日はそれ以上測りません。ふらついて目を開けただけなのか、気分が悪くなったのかを分けて扱います。症状が続くときは、医療機関への相談をおすすめしています。
よくある質問
閉眼の片脚立ちは、自分でもできますか?
壁や椅子のそばで、転ばないように気をつけて行えば確かめられます。両腕を体の横に下ろし、片方の太ももを床と平行くらいまで上げ、目を開けたまま安定してから目を閉じます。ただ、揺れ方や腕で粘っているかは自分では気づきにくく、どこまで保てれば十分かも揺れ方と左右差によって見え方が変わります。めまいや痛みが出る場合は試さず、医療機関にご相談ください。
目を開けていれば立てるのに、閉じるとふらつくのはなぜですか?
目に頼ってバランスを取っている可能性があります。目を閉じると、足の裏や足首、関節から入ってくる感覚だけで体の位置を感じ取る必要があり、そこが十分に使えていないと崩れやすくなります。揺れが足首の小さな動きでおさまるなら程度は軽めで、目を開けての片脚立ちから閉じる段階へ、少しずつ進めていきます。
傾斜地のショットが苦手なのは、片脚のバランスと関係がありますか?
関係することがあります。片脚で体を保つ力に左右差があると、体重移動が足りずに方向が安定しにくく、傾斜地のように足場が平らでない場面で崩れやすくなる傾向があります。ただ、傾斜地での当たりには、足首や股関節の動く範囲、構えの作り方も関わります。私たちは16項目の組み合わせと、実際のお困りごとを照らして見ます。
TPI測定のご案内
スイング中のふらつきや体の流れが、練習しても戻ってしまうなら、片脚で体を保てるかを一度測ってください。TPI測定(TPIフィジカルアセスメント)では、片脚立ちを含む16項目を測り、何から手を付けるかをその場でお伝えします。
TPI Physical Assessment
目を閉じて片脚で立てるかを、
16項目の中で確かめる90分
16項目を実測し、制限が出た項目とスイングの傾向の結びつきを、評価レポートとプログラムのPDFでお渡しします。単発で完結し、入会は不要です。
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TPIの身体評価のうち15項目を、1項目ずつ解説しています。全体はTPIフィジカルアセスメントの16項目へ。
主な参考(タップで開く)
- Titleist Performance Institute. The Single Leg Balance Test(mytpi.com). https://www.mytpi.com/articles/screening/the-single-leg-balance-test
- Titleist Performance Institute. Sway/Slide/Hanging Back(mytpi.com). Sway・Slide・Hanging Back
- Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute (TPI) level 1 movement screens and golf swing faults. J Strength Cond Res. 2014;28(2):534-539. doi:10.1519/JSC.0b013e31829b2ac4

