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ゴルフ/TPIフィジカルアセスメント/Test 11

TPI Screen Library — Test 11

下半身回旋テスト(Lower Quarter Rotation)——股関節に乗れない、体が横に流れる人が確かめること

「股関節に乗れ」と言われても乗れない、バックスイングで腰が横へ流れる、フォローで回り切れない。その背景には、片脚に乗ったまま、その脚の上で骨盤を回せない身体があることがあります。

2026.10.15 読了 約8分

こんなお困りごとはありませんか。レッスンで「股関節に乗って」「股関節の上で回って」と言われても、その感覚が分からない。腰を回そうとすると、回る代わりに横へずれてしまう。フィニッシュで回り切れず、体が流れる。このページでは、TPIの身体評価16項目の11番「下半身回旋(股関節内外旋)」が何を見るテストか、制限があるとどう見えるか、スイングにどう出やすいか、当てはまるときに何から始めるかをお伝えします。

書いているのは、六本木のパーソナルジム Disport World です。代表の岡本隼人は、TPI認定(Fitness 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の資格を持ち、TPI Screen(TPIの身体評価)を提供しています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。16項目の一覧(TPIフィジカルアセスメント)→

下半身回旋テストは、何を見るテストか?

片脚に全体重を乗せて立ち、その脚の上で骨盤を左右それぞれに、どこまで回せるかを見るテストです。両手を腰に当て、反対の脚は膝を曲げてつま先を軽く床に添えるだけにして、体重はかけません。軸の足のつま先を正面に向けたまま骨盤を回すので、動くのは股関節を中心に、すね・足までを含めた下半身の回旋です。骨盤を軸足の側へ回すと軸足の股関節の内旋、反対の側へ回すと外旋になります。

見るのは、どの脚のどちらの向きで回る量が足りないか、左右で差がないか、足の向きを変える・骨盤を横へずらす・肩から回すといった補い方をしていないか、の3つです。ゴルフでは、バックスイングで後ろの脚に乗ってねじり、ダウンスイングからフォローで前の脚の上で回り切ります。どちらの脚の上でも回れることが、横へ流れずに回るための前提になります。TPIも、下半身の回旋に制限があると、スイングで横の動きが大きくなる可能性があるとしています。16項目の全体と、TPIそのものについてはTPIとはで解説しています。

下半身回旋テストの姿勢のイメージ。両手を腰に当て、片脚に全体重を乗せて、反対の脚は膝を曲げてつま先を軽く添えるだけにし、骨盤を左右へ回す。図は右脚に乗った例。骨盤を左右に回す右脚に全体重を乗せる左足は添えるだけ正面から見た図
図:下半身回旋テストの姿勢(イメージ)

制限があると、どう見えるか?

回る量が足りない分を、ほかの動きで「回ったように」見せる形で出ることが多いテストです。測っていると、次のような出方があります。

制限の主な見え方

・軸の足のつま先の向きが変わり、足ごと回ってしまう
・骨盤が回らずに、横へずれて回ったように見える
・肩や胸から回り、腰に当てた手の向き(骨盤の向き)があまり変わらない
・体が横に傾く、軸脚の膝が内や外へぶれる(骨盤につられて回るのとは別の、ふらつきとしてのぶれ)
・軸脚が小刻みに震える、足の指を強く握る、添えた足で床を押す
・脚や向きによって、回れる量が違う

骨盤が横へずれる、足ごと回る、肩から回るといった補い方は、股関節の上で回る量が足りないぶんを、ほかの場所で作っているサインとして読みます。軸脚が震える、足の指を握り込むといった出方は、回る範囲はあっても、片脚で支えながら回す余裕がないサインです。なお、軸脚の膝が骨盤につられて回るのは、すね・足の回旋としてこのテストで見る動きの一部なので、補い方には数えません。

どこまで回れば十分かは、脚と向きごとの差や補い方と合わせて見るため、測定の場でご本人の動きを見ながらお伝えしています。

スイングには、どう出やすいか?

軸の脚の上で回る量が足りないと、回転の代わりに骨盤の横の動きで補いやすく、バックスイングで下半身が横へ流れる、ダウンスイングで目標側へ流れる、といった動きにつながる可能性があります。どの脚のどちらの向きに制限があるかで、出やすい場面が分かれます。

01制限が出る脚と向き

トレイル脚の内旋

関わる場面
バックスイング(トレイル脚に乗って回る)
スイングで出やすい傾向(可能性)
回れない分が横の動きになり、下半身がトレイル側へ流れる(スウェー)。上体だけで深くねじろうとして、上体が目標側へ傾く(リバーススパインアングル)

02制限が出る脚と向き

リード脚の外旋

関わる場面
バックスイング(骨盤の回転をリード脚の股関節が受け止める)
スイングで出やすい傾向(可能性)
ねじりが浅くなり、横の動き(スウェー)で補いやすい

03制限が出る脚と向き

トレイル脚の外旋

関わる場面
ダウンスイング(トレイル脚から骨盤を送り出す)
スイングで出やすい傾向(可能性)
送り出す動きが窮屈になり、回転の代わりに目標側へ流れる(スライド)

04制限が出る脚と向き

リード脚の内旋

関わる場面
ダウンスイング〜フォロー(リード脚に乗って回り切る)
スイングで出やすい傾向(可能性)
骨盤が目標側へ流れる(スライド)。フィニッシュが不安定になる

トレイル脚は目標と反対側の脚、リード脚は目標側の脚で、右打ちならトレイル脚は右、リード脚は左、左打ちは逆になります。リード脚の外旋は、バックスイングで骨盤の回転を受け止める動きのことで、バックスイングでリード脚に体重を乗せるという意味ではありません。どちらかの脚の上で回れないと、体重が後ろ足に残る(ハンギングバック)、回れない分を骨盤がボールの側へ寄って伸び上がる(アーリーエクステンション)、前傾が崩れる(ロスオブポスチャー)、で補うこともあります。

36人のゴルファーでTPIの身体テスト12項目と14のスイング特性の関係を調べた研究(Gulginら、2014年)では、統計的に関係が確かめられたのは前屈・ブリッジ・ディープスクワット・片脚立ちに関わる一部の組み合わせで、要旨に挙がった組み合わせに下半身回旋は含まれていません。ですから私たちは、このテストの結果だけでスイングの癖を決めつけません。16項目の組み合わせと、実際にお困りのスイングの動きを照らして読みます。横へ流れる動きはスウェーとスライドの解説に、上体が目標側へ傾く動きはリバーススパインアングルの解説に書いています。

当てはまるとき、何から始めるか?

いきなりアドレスで骨盤を回す練習はしません。まず、回らないのが「股関節の動く範囲」の問題か、「片脚で支えながら回す制御」の問題かを分けます。そのために、椅子に座って股関節を内と外にひねる動きと、立って測った結果を比べます。

1

股関節の動く範囲を出す(床に座る・四つ這い)

座っても硬い方は、体重のかからない姿勢で、股関節の内旋・外旋の動く範囲から出します。

2

片脚に乗ったまま回す(立つ)

座ると回るのに立つと回らない方は、片脚で支えながら骨盤を回す練習を優先します。軸の足のつま先と膝を正面に向けたまま、骨盤だけを回します。

3

ゴルフの構えにつなげる(アドレス)

アドレスの前傾のまま、骨盤をバックスイングの向きとフォローの向きへ回し、横へずれないかを確かめます。ここで崩れるなら、ひとつ前の段階に戻ります。

このテストは股関節だけでなく、すねと足の回旋も含んでいます。座ると股関節はよく回るのに立つと回らない場合は、片脚での制御に加えて、すねや足の硬さが関わっている可能性も考えます。

代表的なエクササイズ5種

私たちが下半身回旋に制限が出た方に使う種目のうち、代表的な5つです。どれも痛みのない範囲で、ゆっくり行います。回数と負荷は、測った結果と体力に合わせて決めています。

1. 90/90股関節ストレッチ

段階1・動く範囲を出す|座っても硬い方
このテストでは、内旋が硬かった脚は後ろの脚にして上体を立て、外旋が硬かった脚は前の脚にして胸を倒す、と硬かった向きに合わせて使います。やり方は02 骨盤回旋のページで説明しています。

2. 内転筋ロッキング(四つ這い)

段階1・動く範囲を出す|外旋が硬い方
四つ這いから片脚を真横へ伸ばし、足の裏を床につけて、つま先を手の方へ向けます。背中を平らに保ったまま、お尻をかかとの方へ引き、内ももから股関節の内側が伸びた位置で少し止めて戻ります。背中が丸まる、伸ばした脚の足の裏が浮いてつま先が天井を向く形にならないように。

3. スタンディング・ローワークォーターローテーション(クラブ支持)

段階2・片脚に乗ったまま回す|立つと回らない方
壁や椅子の背の横で、クラブを杖のように床に立てて片手で支え、片脚で立ちます。反対の足はつま先を軸足の横に添えるだけで、体重はかけません。軸の足のつま先と膝を正面に向けたまま、骨盤を軸足の側と反対の側へ、回せるところまでゆっくり回し、端で少し止めて戻します。足の向きが変わる、骨盤が横へずれる、肩から回して骨盤が回っていない形にならないように。

4. ヒップエアプレーン(壁支持)

段階2・片脚に乗ったまま回す|立つと回らない方・左右差がある方
壁に片手を添えて片脚で立ち、上体を前に倒して、浮かせた脚と体幹を一直線に保ちます。軸脚の股関節を支点にして、骨盤を浮かせた脚の側へ開く(外旋)、軸脚の側へ閉じる(内旋)を、ゆっくり繰り返します。軸の足の膝とつま先は正面のまま、股関節だけで骨盤が開いたり閉じたりするのが目安です。膝が内側に入る、腰を反らせて胸で回す、浮かせた脚だけを振って骨盤が回らない形にならないように。難しいときは、浮かせる脚のつま先を床につけたまま行います。

5. アドレス骨盤ターン(クラブ腰当て)

段階3・ゴルフの構えにつなげる|出方を問わず
アドレスの前傾を取り、クラブを両方の腰骨の前に当てて持ちます。つま先を正面に向けたまま、後ろの脚に乗って骨盤をバックスイングの向きへ回し、次に前の脚に乗ってフォローの向きへ回します。クラブが水平のまま回り、頭と軸脚の外側がほとんど動かないのが目安です。クラブが横に平行移動する(横へ流れている)、前傾が起き上がる形にならないように。

「乗る」「回す」という言葉の意味と、股関節の内旋・外旋についてはゴルフの股関節の使い方に、後ろ足に残る動きはハンギングバックの解説に書いています。

測る現場で気をつけていること

下半身回旋でよく見る間違いは、肩から回して、骨盤が回っていないのに回ったように見えることです。そのため私たちは、肩ではなく腰に当てた手の向きで、骨盤から回っているかを見ます。また、測る前に「体重は軸足に全部乗せ、添えた足は触れるだけ」と先に伝えます。先に伝えておくと、添えた足で支える補い方が減ります。

このテストは、股関節・すね・足の回旋が合わさった動きを見ています。立って回らない向きがあれば、座った姿勢で股関節を内と外にひねる動きと比べ、座っても硬ければ動く範囲から、座ると回るなら片脚での制御から始めます。足の裏やふくらはぎがつったときは、両足で休んで、おさまってからやり直します。

※このページのテストとエクササイズは、運動機能を確かめるためのもので、医学的な診断ではありません。股関節や膝、腰に痛みがある場合や、股関節の付け根に詰まり感がある場合は、試さずに医療機関にご相談ください。

よくある質問

下半身回旋テストは、自分でもできますか?

動きそのものは、壁のそばで片脚に体重を乗せ、反対の足のつま先を軽く添え、両手を腰に当てて骨盤を左右に回してみると確かめられます。ただ、肩から回している、骨盤が横へずれているといった補い方は、自分では気づきにくいものです。正面から撮ると分かりやすくなります。股関節や膝、腰に痛みが出る場合は試さず、医療機関にご相談ください。

骨盤を軸足の側へ回すのと、反対へ回すのとでは、何が違いますか?

軸足の側へ回すのは、その脚の股関節の内旋、反対の側へ回すのは外旋です。ゴルフでは、バックスイングとダウンスイングで、それぞれの脚が使う向きが違います。そのため、どの脚のどちらの向きに制限があるかで、出やすいスイングの傾向と、始めるエクササイズが変わります。

体が横に流れるのは、股関節が硬いせいですか?

そうとは限りません。股関節の上で回る量が足りないと横へ流れやすくなる可能性はありますが、上体と骨盤を分けて回す動きや、片脚で骨盤を支えるお尻の横の安定も関わります。私たちは、骨盤回旋や片脚立ち、ブリッジなど16項目の組み合わせと、実際のスイングのお困りごとを照らして見ます。

TPI測定のご案内

「股関節に乗れ」と言われても乗れない、横へ流れる癖が戻ってしまうなら、片脚の上で骨盤を回せるかを一度測ってください。TPI測定(TPIフィジカルアセスメント)では、下半身回旋を含む16項目を測り、何から手を付けるかをその場でお伝えします。

TPI Physical Assessment

片脚の上で骨盤を回せるかを、
16項目の中で確かめる90分

16項目を実測し、制限が出た項目とスイングの傾向の結びつきを、評価レポートとプログラムのPDFでお渡しします。単発で完結し、入会は不要です。

¥19,80090分・税込・入会不要

ウェア・タオル無料 | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分

主な参考(タップで開く)
  1. Titleist Performance Institute. The Lower Quarter Rotation Test(mytpi.com). https://www.mytpi.com/articles/screening/the-lower-quarter-rotation-test
  2. Titleist Performance Institute. Sway/Slide/Reverse Spine Angle(mytpi.com). Sway・Slide・Reverse Spine Angle
  3. Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute (TPI) level 1 movement screens and golf swing faults. J Strength Cond Res. 2014;28(2):534-539. doi:10.1519/JSC.0b013e31829b2ac4
岡本隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified Fitness 2 / Power 2 NASM-PES FMS SFMA

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPI認定(Fitness 2/Power 2)。NASM-PES。FMS・SFMA認定。世田谷区の少年野球チーム「船橋フェニックス」の監督。TPIの認定は岡本個人の資格で、Disport WorldはTPIが運営・提携する施設ではありません。