ゴルフは、季節によってラウンドと練習の量が大きく変わるスポーツです。同じ回数を1年中続けるより、ラウンドが少ない時期に筋力を作り、多い時期は重さを落とさずに回数を減らして保つ、という周期で考えると無理がありません。ゴルファーと他の競技の研究で確かめられた範囲で、時期ごとの回数と1週間の並べ方を整理します。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、TPI認定(Fitness 2/Golf 2/Junior 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、ゴルファーの身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の準備です。ゴルフのパーソナルトレーニング(六本木・TPI測定)→
・国の目安は筋トレ週2〜3日(厚生労働省)。ゴルファーを対象にした研究でも、週2回や週3回のプログラムでヘッドスピードが伸びている
・オフ(ラウンドが少ない時期)は週2〜3回で「伸ばす」、シーズン中は週1〜2回で「保つ」と、時期で役割を分ける
・プロサッカー選手の研究では、週2回で作った筋力を、シーズン中は週1回で12週間保てた。2週に1回では落ちた
・回数を減らすときは、重さを落とさず、セット数を減らす。週の合計の量がそろえば、回数の違いの影響は小さい
・回数を決める前に、1年のラウンド予定を書き出し、今の身体を測る
ゴルフのための筋トレは、週何回が目安?
目安は、ラウンドが少ない時期(オフ)は週2〜3回、ラウンドが多い時期(シーズン中)は週1〜2回です。オフに筋力を「伸ばし」、シーズン中はそれを「保つ」という役割の違いで、回数を変えます。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。ゴルファーを対象にした研究のプログラムも、この幅に収まっています。大学のゴルフ部員16名が週3回・11週間のトレーニングを行った研究(Doan ら、2006)と、男性のクラブゴルファーが週2回・8週間、ウエイトトレーニングとジャンプ系の種目を行った研究(Fletcher と Hartwell、2004)で、どちらもヘッドスピードが伸びていました。
| 時期 | ねらい | 筋トレの回数(目安) | 中身の考え方 |
|---|---|---|---|
| オフ(ラウンドが少ない時期) | 筋力・パワーを伸ばす | 週2〜3回 | 重さや量を段階的に上げる。足りない可動域や片脚の安定もこの時期に作る |
| シーズン前(ラウンドが増え始める時期) | 伸ばした力を、速く動く力につなぐ | 週2回 | 量を少し減らし、跳ぶ・投げるなど速く動く種目の割合を増やす |
| シーズン中(ラウンドが多い時期) | 作った筋力を保つ | 週1〜2回 | 重さは落とさず、セット数を減らす。ラウンドの前日に脚を追い込む日を置かない |
| コンペ・競技のある週 | 疲れを残さない | 0〜1回 | 軽く動く程度にとどめる。新しい種目は入れない |
表の回数は、国の目安と下で紹介する研究をもとにした私たちの目安です。ゴルフで時期ごとの回数を直接比べた研究は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。この記事は、筋トレを「やる」と決めたゴルファーに向けて、1年の中で回数をどう変えるかに絞ります。筋トレでスイングが崩れないかが心配な方は、先にゴルフと筋トレの相性の記事をご覧ください。年代を問わない回数の比べ方はトレーニング頻度の記事にあります。
オフシーズンは、なぜ週2〜3回なのか?
筋力を伸ばすには、週の合計で十分な量の刺激が要ります。週2〜3回に分けるとその量を確保しやすく、ラウンドが少ない時期はそのための回復の余裕があるからです。ゴルファーで効果が確かめられたプログラムも、週2〜3回でした。
Doan らの研究の対象は、全米大学体育協会の1部校のゴルフ部員16名(男子10名・女子6名)です。指導者のもとで筋力・パワー・柔軟性のトレーニングを週3回、11週間続けたところ、筋力・パワー・柔軟性のテストの結果が伸び、ヘッドスピードは1.6%上がりました。ショットのばらつきやパッティングの距離感は悪くならず、男子だけで見るとパッティングの距離感は良くなっていました。Fletcher と Hartwell の研究は男性ゴルファー11名(トレーニング群6名・普段どおりの5名)で、週2回・8週間のトレーニングのあと、ヘッドスピードと飛距離が伸びていました。
ただし、どちらも人数が少なく、週2回と週3回を直接比べた研究ではありません。回数そのものについては、筋トレの回数を比べた研究をまとめた解析があります(Grgic ら、2018)。回数が多いほど筋力の伸びが大きい傾向はありましたが、週の合計の量(セット数×回数)をそろえた研究に限ると、回数による差ははっきりしませんでした。週2回でも週3回でも、合計の量と中身が足りていれば伸ばせる、ということです。どちらにするかは、仕事の予定と、次の回までに疲れが抜けるかで選べば十分です。
オフは冬に重なる方が多く、身体が回りにくい時期でもあります。寒い時期の準備は冬に体が回らない理由で、オフに作りたい股関節の動きはゴルフの股関節の使い方でまとめています。
シーズン中は、週1回でも筋力を保てるのか?
保てる可能性は高いですが、条件があります。その前に週2回以上で筋力を作っていることと、回数を減らしても重さを落とさないことです。ゴルフでの研究はまだ少ないので、他の競技と一般の成人の研究から考えます。
プロサッカー選手を対象にした研究(Rønnestad ら、2011)では、シーズン前の10週間に週2回の筋トレで筋力を伸ばしたあと、シーズン中の12週間を週1回の群(7名)と2週に1回の群(7名)に分けました。週1回の群は、伸ばした脚の筋力と40m走のタイムを保ちました。2週に1回の群は、どちらも落ちていました。
一般の成人では、20〜35歳と60〜75歳の人が16週間、週3回の脚の筋トレを行い、その後32週間、週1回に減らした研究があります(Bickel ら、2011)。週1回に減らしても、筋力はどちらの年代でも保たれていました。一方、筋肉の太さは、若い群では保てましたが、年上の群では保てませんでした。
プロのゴルファーでも、試合の多い時期に続けるのは簡単ではありません。欧州ツアーとチャレンジツアーの選手49名の調査(White ら、2025)では、1年を通して身体の準備を続ける難しさが報告されています。だからこそ、シーズン中に続ける最低限の回数を、先に決めておく価値があります。年齢が上の方は、Bickel らの結果から、シーズン中も週2回を基本にし、週1回は忙しい週の下限と考えるのが無難だと私たちは考えています。
下半身回旋、座位体幹回旋、片脚バランスなどを含む16項目を実測し、どの身体の制限がどのスイング特性と結びつきやすいかを整理します。オフに先に作るべきもの(可動域か、安定性か、筋力か)を、評価レポートPDFにしてお渡しします。
TPIフィジカルアセスメントの詳細を見るラウンドや練習と、筋トレは1週間の中でどう並べる?
脚やお尻を強く使う日は、ラウンドの前日を避け、ラウンドから中1〜2日空けたあとに置きます。練習場で打ち込む日とも重ねすぎないことです。疲れが重なると、筋トレの質もスイングの質も落ちるからです。
下は、週末にラウンドがあるシーズン中の、週2回の並べ方の例です(右打ち・左打ちは関係ありません)。研究で比べた並べ方ではなく、疲れの重なりを避けるための私たちの考え方です。
土曜:ラウンド
18ホールを歩くか、カートかで疲れ方は変わります。ラウンドの翌日に、どこが張っているかを書き留めておくと、次の週の量を決めやすくなります。
日・月:疲れを抜く
歩く、軽く可動域を動かす程度にします。ラウンドの翌日に重い筋トレを入れると、張りが残ったまま負荷をかけることになります。
火曜:筋トレ(しっかりの日)
脚・お尻・背中など大きな筋肉を中心に、オフに使っていた重さを保ちます。量を減らすときは、重さではなくセット数を減らします。
水・木:練習場
打ち込む日は、筋トレの翌日より、さらに1日空けた日のほうが疲れを持ち越しにくくなります。
金曜:筋トレ(軽めの日)か休み
ラウンドの前日なので、上半身や体幹を中心に軽めにするか、休みにします。週1回にする週は、ここを休みにして火曜だけを残します。
練習の量そのものの決め方はゴルフの練習は何球まで?で、ラウンドのあとの整え方はゴルフのラウンド後にやるべきケアで扱っています。
忙しくて間が空いたら、筋力はどのくらいで落ちる?
数週間空いただけで、筋力が大きく落ちることは少ないと考えられています。ただし、2週に1回の状態が何か月も続くと、保てない可能性があります。
トレーニングを止めたときの変化をまとめたレビュー(Mujika と Padilla、2000)は、4週間に満たない短い中断では、鍛えて太くなった筋線維は元に戻り始めるものの、筋力の落ち方は限られると整理しています。出張や繁忙期で1〜2週空いても、慌てて量を増やす必要はありません。一方、前の章のサッカーの研究では、2週に1回の群は12週のあいだに筋力が落ちていました。「たまに空く」と「空くのが普通になる」は分けて考えてください。
間が空いたあとの最初の回は、前回の重さに戻すより、少し軽めから入るほうが安全です。急に元の量へ戻すと、翌日の練習やラウンドに疲れを持ち越しやすくなります。
自分に合う回数は、何を確かめて決める?
見るのは、1年のラウンド予定、今の身体の状態、トレーニングの翌日の状態の3つです。同じ「週2回」でも、何に時間を使うかは人によって違います。
1年のラウンド予定を書き出す
ラウンドが多い月と少ない月、コンペや競技の日を書き出します。ラウンドが少ない月が「伸ばす時期」、多い月が「保つ時期」です。1年中同じくらい回る方は、2〜3か月ごとに軽めの週を入れる形で考えます。
今の身体を測る
股関節や胸椎の回旋、片脚で立つ安定性に制限があるなら、オフの最初は重さを上げるより、そこを作ることを先にします。動く範囲が足りないまま重さだけを上げると、腰や肩に負担を寄せやすくなります。
翌日の状態を見る
筋トレの翌日の練習やラウンドで、スイングが重い、いつもの振り方ができない、腰や膝に違和感がある。こうした状態が続くなら、回数か量が多すぎるサインです。回数と量は、一度に片方ずつ変えます。
②で測る項目はTPI 16項目の全解説にまとめています。後半のホールで疲れて振れなくなる方は、筋力より持久力の側の問題もあるので、後半に崩れる体力の話もあわせてご覧ください。
運動から離れていた方は、オフの最初の数週間は軽めの負荷でフォームを覚えることを優先してください。ラウンドの前日に脚を追い込む、痛みをこらえて重さを上げる、といった進め方はすすめません。トレーニング中や後に鋭い痛み、胸の痛み、息苦しさ、めまいが出たら、すぐに中止してください。
現場で見えていること
私たちのTPIフィジカルアセスメントでは、16項目を実測し、どの身体の制限がどのスイング特性と結びつきやすいかを整理してから、取り組む順番を決めます。週に何回通うかも、その結果と、1年のラウンド予定や仕事の時間帯を伺ってから一緒に決めるようにしています。測った結果によって、オフに先に作るべきものが可動域なのか、安定性なのか、筋力なのかが変わるからです。
「春になってラウンドが増えたら筋トレをやめてしまい、秋には元に戻っていた」というお話を伺うことがあります。シーズン中に回数を減らすのは自然なことですが、ゼロにするか、重さを保って回数を減らすかで、次のオフの出発点が変わります。だから私たちは、シーズンに入る前に「保つための最低限の回数」を決めておくことをすすめています。
よくある質問
ゴルフのための筋トレは週何回がいいですか?
ラウンドが少ないオフは週2〜3回、ラウンドが多いシーズン中は週1〜2回が目安です。厚生労働省のガイドは成人の筋トレを週2〜3日としており、ゴルファーの研究でも週2回や週3回のプログラムでヘッドスピードが伸びています。
シーズン中も筋トレは続けたほうがいいですか?
続けることをすすめます。プロサッカー選手の研究では、シーズン中に週1回続けた群は筋力を保ち、2週に1回の群は落ちていました。回数を減らすときは、重さを落とさずにセット数を減らしてください。
ラウンドの前日に筋トレをしてもいいですか?
脚やお尻を追い込む筋トレは、前日を避けることをすすめます。前日に行うなら、上半身や体幹を中心に軽めにするか、休みにしてください。しっかり鍛える日は、ラウンドから中1〜2日空けた日に置くと、疲れを持ち越しにくくなります。
週1回の筋トレでも意味はありますか?
筋力を保つ目的なら、意味はあります。一般の成人の研究では、週3回で鍛えたあと週1回に減らしても、筋力は保たれていました。ただし伸ばす時期には、週1回では週の合計の量が足りなくなりやすく、年齢が上の方は筋肉の太さを保ちにくいという結果もあります。
オフに筋トレを増やすときの注意は?
先に今の身体を測り、可動域や片脚の安定に制限があれば、そこから作ってください。重さと回数は一度に上げず、片方ずつ増やします。痛みがある場合は、回数を増やす前に医療機関を受診してください。
TPI測定のご案内
週何回にするかを決める前に、オフに何を伸ばすべきかを一度測ってください。TPIフィジカルアセスメントでは16項目を実測し、どの制限がどのスイング特性と結びつきやすいかを、評価レポートとプログラムのPDFにまとめます。測定の内容はTPIフィジカルアセスメントで、TPIとPGAツアー選手の実例はTPIトレーニングのページでご覧いただけます。
TPI Physical Assessment
オフに何を伸ばすかを
16項目で測って決める90分
ゴルファーのフィジカルトレーニング(ゴルフフィットネス)は、体を測ることから始めます。TPIの16項目を実測し、どの身体の制限がどのスイング特性と結びつきやすいかを評価レポート+プログラムPDFにまとめてお渡しします。単発で完結し、入会は不要です(6週後の再評価は任意で、会員の方は追加料金なし、会員以外の方は¥19,800・税込)。
まず動いて確かめたい方は、体験トレーニング(90分・¥15,000/毎月先着3名さま¥7,500)もお選びいただけます(先着枠は毎月1日起算、定員後は通常¥15,000)。
ウェア・タオル無料 | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分
主な参考(タップで開く)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月。成人版・筋力トレーニングについて)。
- Doan BK, Newton RU, Kwon YH, Kraemer WJ. Effects of physical conditioning on intercollegiate golfer performance. J Strength Cond Res. 2006;20(1):62-72.(全米大学体育協会1部校のゴルフ部員16名:男子10名・女子6名。週3回・11週間)
- Fletcher IM, Hartwell M. Effect of an 8-week combined weights and plyometrics training program on golf drive performance. J Strength Cond Res. 2004;18(1):59-62.(男性ゴルファー11名:トレーニング群6名・対照5名。週2回・8週間)PubMed 14971982
- Grgic J, Schoenfeld BJ, Davies TB, Lazinica B, Krieger JW, Pedisic Z. Effect of resistance training frequency on gains in muscular strength: a systematic review and meta-analysis. Sports Med. 2018;48(5):1207-1220.(筋トレの週の回数を比べた研究のメタ分析)
- Rønnestad BR, Nymark BS, Raastad T. Effects of in-season strength maintenance training frequency in professional soccer players. J Strength Cond Res. 2011;25(10):2653-2660.(プロサッカー選手。シーズン中は週1回群7名・2週に1回群7名)
- Bickel CS, Cross JM, Bamman MM. Exercise dosing to retain resistance training adaptations in young and older adults. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(7):1177-1187.(20〜35歳と60〜75歳の成人70名。週3回・16週間のあと32週間の比較)
- Mujika I, Padilla S. Detraining: loss of training-induced physiological and performance adaptations. Part I: short term insufficient training stimulus. Sports Med. 2000;30(2):79-87.(レビュー)PubMed 10966148
- White SR, Coughlan DA, Wood C, Wells JET, Murray A, Brearley S, Moran J. Elite professional golfers' physical preparation practices and perceptions. Int J Sports Sci Coach. 2025;20(3):1176-1189.(欧州ツアー32名・チャレンジツアー17名の計49名)


