「成長痛」という言葉は、幼児の夜の脚の痛みにも、中学生の膝の下の痛みにも使われています。けれども医療の資料では、この2つは年齢も起き方も違うものとして扱われています。日本小児整形外科学会の一般向けの解説と海外の総説・研究をもとに、保護者の方向けに、医学でいう成長痛の特徴、運動で痛む膝・かかととの違い、受診の目安を整理しました。この記事は診断のためのものではありません。気になる痛みがあれば、整形外科や小児科で相談してください。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、成長期の子どもの身体を実際に測ってきた経験から書いています。医師ではないため、診断や治療の判断はしません。ジュニアの身体評価(小学生・中学生)→
・医学でいう成長痛は、3〜12歳ごろの子どもに多い、夕方〜夜の脚の痛み。両脚に出ることが多く、翌朝には消え、腫れはなく、日中は元気に歩ける(日本小児整形外科学会)
・名前に反して「背が伸びるから痛い」という証拠は見つかっていない。デンマークの3〜6歳の研究でも、急な身長の伸びとの関係は見られなかった
・中高生の「膝の下が痛い」「かかとが痛い」は、運動で痛むオスグッド病やシーバー病などのことが多く、医学でいう成長痛とは別のものとして扱われる
・片脚だけ、関節が腫れる、熱がある、足を引きずる、朝まで残る・日中も痛い、だんだん強くなる。こうしたときは成長痛と決めずに受診する
・「夜に痛みで目が覚める」だけでは見分けられない。朝まで残るか、日中も痛いか、ほかのサインと重なるかで見る
成長痛とは?——医学でいう「成長痛」の特徴
医学でいう成長痛は、幼児〜小学生の子どもが夕方から夜にかけて脚の痛みを訴え、翌朝にはけろりとしている、という状態を指します。決まった検査で見つけるものではなく、ほかの病気ではないことを確かめたうえで、医師が判断するものとされています。
日本小児整形外科学会の一般向けの解説(2025年9月更新)は、「成長痛には明確な定義がない」と前置きしたうえで、次のような特徴を挙げています。3〜12歳に多いこと、痛むのはふくらはぎ・ひざ・太ももであること、腫れ・赤み・熱がないこと、脚は動かせて歩けること、週に1回から月に1回くらいの不定期に起きること、多くは30分〜1時間で治まること、日中は痛みがなく元気なこと。原因については諸説あってはっきりしない、としています。
海外の総説も、ほぼ同じ姿を描いています。Uziel と Hashkes の総説(2007年)は、3〜12歳でピークは6歳前後、痛む場所の3分の2はすね・ふくらはぎ・太もも・ひざの裏で、ほとんどが両脚、夕方〜夜に起き、痛みで目が覚めることもあるが、朝にはほぼ痛みがない、とまとめています。Lehman らの総説(2017年)は、両脚に出るのが80〜90%で、片脚だけなら別の病気をより強く考える、としています。
医師が成長痛かどうかを考えるときに使われてきた目安を、表にまとめます。Peterson(1986年)が示し、Evans(2008年)が手を加えた基準です。家庭で当てはめて「成長痛だ」と決めるためのものではなく、「右の列に当てはまるなら受診を考える」という見方に使ってください。
| 見るところ | 成長痛に当てはまる | 成長痛から外れる(受診を考える) |
|---|---|---|
| 痛み方 | ときどき起きる。痛みのない日や夜がある | 毎日続く、だんだん強くなる |
| 左右 | 両脚 | 片脚だけ |
| 場所 | 太ももの前・ふくらはぎ・ひざの裏などの筋肉のあたり | 関節そのもの(膝・足首など)が痛い |
| 時間 | 夕方〜夜に始まる | 翌朝も痛みが残る、日中も痛い |
| 見た目・触った感じ | 変わりがない | 腫れ・赤み・熱、押すと一点が痛い、足を引きずる |
| ふだんの活動 | 減らない。日中は元気に遊べる | 痛みで運動や遊びを控える |
ただし、この定義そのものが研究ごとにそろっていないことも分かっています。小児科の学術誌 Pediatrics に載った O'Keeffe らの総説(2022年)は、成長痛を扱った145本の研究の定義を調べ、「下肢の痛み」でさえ定義に入っていたのは半分、「成長」に触れた定義は1割に満たないと報告しました。著者らは、この診断名に頼って方針を決めるのは注意が必要だ、と結論しています。「成長痛と言われたから安心」ではなく、「経過を見て、外れるサインが出たら相談し直す」くらいの受け止め方が、資料に沿った付き合い方です。
成長痛は何歳まで?——多い年齢と、背が伸びることとの関係
医学でいう成長痛が多いのは3〜12歳で、ピークは6歳前後、多くは小学校の高学年から思春期までに出なくなるとされています。中学生になってから新しく出てきた膝やかかとの痛みを「成長痛だから」で済ませる根拠は、資料には見当たりません。
「何歳で必ず終わる」と言える資料はありません。経過を追った研究としては、小児リウマチの外来で成長痛と診断された子を5年後に調べた Uziel らの研究(2010年)があり、再診できた35人のうち51%は痛みが消えており、残った子も多くは回数や強さが減っていました。英国の国民保健サービス(NHS)の一般向けページも、症状は数か月から数年、出たり消えたりすることがあると説明しています。
名前から「背が伸びるときに骨が引っ張られて痛む」と思われがちですが、これを支える証拠は見つかっていません。成長痛が多い6歳前後は、身長が急に伸びる時期(思春期)と重なりません。デンマークで3〜6歳の子ども777人を追った Hestbaek らの研究(2024年)では、急な身長の伸びと成長痛との間に関係は見られませんでした。台湾の Liao らの研究(2022年)でも、成長痛と診断された子の2年後の身長や体格に、関係は見られなかったと報告されています。英語圏では「小児期の良性の夜間の四肢痛」など、成長と結びつけない呼び方も使われています。
では、原因は何なのか。疲れ、痛みの感じやすさ、骨の強さ、関節の柔らかさ、家族に同じ経験があることなど、いくつかの仮説が挙げられていますが、どれも決め手にはなっていません。ギリシャの4〜12歳を調べた研究では、強い運動をした日のあとに痛むと答えた保護者が多かった一方で、疲れが原因かを直接確かめた研究はない、と総説は指摘しています。「◯◯が足りないから成長痛になる」と言い切れる資料はなく、ビタミンやカルシウムのサプリメントについても、すすめるには根拠が足りないとされています。
どのくらいの子に起きるのかも、研究によって大きく違います。南オーストラリアで4〜6歳の子の保護者1,445人に聞いた調査では36.9%が当てはまりましたが、報告されている割合は数%から5割近くまで幅があります。定義がそろっていないことが、この幅の一因と考えられています。日本国内の住民調査の数字は、今回の調べでは見つかりませんでした。
夜に脚が痛いのは成長痛?——夜の痛みの見方
夜の脚の痛みは成長痛の典型ですが、「夜に痛い」だけでは成長痛とも、重い病気とも決められません。見るべきは、翌朝まで残るか、日中も痛いか、ほかのサインが重なっていないか、の3つです。
先のデンマークの研究で、痛みが出た時間帯は夕方が61.6%、夜が19.5%、日中が14.1%でした。痛みで眠りが妨げられたのは26.0%で、成長痛でも夜に目が覚めることは珍しくありません。つまり「夜中に泣いて起きた」こと自体は、成長痛らしさを否定しません。
一方で、子どもの骨のがんや白血病でも、骨の痛みで眠れないことがあると、国立がん研究センターのがん情報サービスは説明しています。こちらは、痛みがずっと続く、同じ場所が腫れる、熱が上がったり下がったりする、顔色が悪い、だるそう、食欲がない、体重が減る、といった様子を伴うことがあります。夜の痛みは、それだけで安心も心配もせず、次のように組み合わせて見てください。
翌朝を見る
朝起きたとき、ふつうに歩いて登校・登園できるか。成長痛は朝には治まっているのが典型です。朝も痛がる、歩き方がおかしいなら、受診を考えます。
日中を見る
学校や公園で、ふだんどおり走って遊べているか。日中も痛がる、遊びや運動を自分から控えるのは、成長痛から外れるサインです。
場所と左右を見る
「どこが痛い?」と指でさしてもらいます。毎回同じ片脚の同じ一点か、両脚のふくらはぎや太もものあたりか。片脚の一点、関節そのもの、腫れがあるなら受診を考えます。
全身を見る
熱、だるさ、食欲、顔色、体重の変化、あざや発疹。脚の痛みにこうした様子が重なるときは、脚の痛みだけの問題として扱わず、早めに小児科や整形外科へ。
脚を動かしたくてたまらない、じっとしていると悪化し、動かすと楽になる、という訴え方の場合は、むずむず脚症候群という別の状態のこともあると、Lehman らの総説は挙げています。「痛い」以外の言葉で表すこともあるので、子どもの言い方をそのままメモしておくと、受診の際に役立ちます。
膝やかかとが痛いのは成長痛?——運動で痛む骨端症との違い
小学校高学年〜中学生が「膝の下が痛い」「かかとが痛い」と言い、走ったり跳んだりしたときに痛む場合、医学でいう成長痛ではなく、骨端症と呼ばれる成長期の障害であることが多いと考えられています。成長痛は運動と関係なく夜に出て、関節や骨の出っ張りが痛むものではないからです。
成長期の骨には、骨の端の近くに軟骨の層(成長軟骨)があり、ここで骨が長く伸びます。筋肉の腱が骨につく場所の成長軟骨は、成長が終わるまでは周りの腱や靭帯より弱いとされ、走る・跳ぶ・蹴るの繰り返しで引っ張られて傷むことがあります。これが骨端症で、膝の下ならオスグッド病、かかとならシーバー病(踵骨骨端症)が代表です。世間ではこれらもまとめて「成長痛」と呼ばれることがありますが、起き方も対応も別のものです。かかとの痛みは子どものかかとが痛い(シーバー病)、膝のお皿のすぐ下の痛みはジャンパー膝の記事で詳しく説明しています。
さらに、膝の痛みとして始まる股関節の病気もあります。日本整形外科学会の資料は、ペルテス病や大腿骨頭すべり症で、股関節ではなく太ももや膝の痛みを訴えることがあり、膝の病気と間違われることがあると注意しています。どちらも足を引きずる様子を伴うことが多いのが手がかりです。
| 痛む場所 | 考えられるもの | 多い年齢(資料の記載) | 資料に書かれている特徴 |
|---|---|---|---|
| 両脚のふくらはぎ・太もも・ひざの裏 | 医学でいう成長痛 | 3〜12歳(ピーク6歳前後) | 夕方〜夜に痛み、翌朝は消える。腫れなし。日中は元気 |
| 膝のお皿の少し下の、すねの骨の出っ張り | オスグッド病 | 小学校高学年〜中学 | 運動で痛み、休むと治まり、再開するとまた痛む。出っ張りが目立ってくる |
| 膝のお皿のすぐ下の端 | シンディング・ラーセン・ヨハンソン病 | 9〜17歳(症例の集計で平均約12歳) | 運動に関係して痛む。お皿の下の端を押すと痛い。階段・ひざまずき・走るときに痛い |
| かかと(後ろや側面) | シーバー病(踵骨骨端症) | 8〜15歳 | 走る・跳ぶ運動で痛む。かかとを押すと痛い。片側のことも両側のこともある |
| 足の内くるぶしの前下の出っ張り | 有痛性外脛骨 | 10〜15歳 | 出っ張りを押すと強く痛む。運動の繰り返しで痛みが増す |
| 太もも〜膝(足を引きずる) | ペルテス病・大腿骨頭すべり症など股関節の病気 | ペルテス病は5〜7歳の男児、すべり症は9〜15歳ごろ | 膝の痛みとして出ることがあり、膝の病気と間違われることがある。足を引きずる |
表は、受診したときに話を整理するための目安です。文章だけで「この痛みは◯◯」と決めることはできませんし、かかとが痛い子に、医師が骨折などを除くためにレントゲンを撮ることもあります。なお本調査で見た成長痛の定義では、かかとは典型的な場所に入っていませんでした。かかとの痛みを「成長痛だから様子見」と流さないことが大切です。
日本スポーツ整形外科学会のオスグッド病の解説は、痛みがあるうちは運動を控えること、痛みが強くなる時期があることを示しています。運動してよいか、どこまでならよいかは、原因と程度で変わるので、診察した医師が決めることです。投げる競技の肘については小学生の野球肘を防ぐにはで、受診の目安と予防を詳しく書いています。
姿勢、関節の可動域、筋力バランス、ジャンプとホップ、動作パターンを測り、膝・かかとにかかる負担と関係しそうな身体の特徴を確かめます。担当は基本的に代表の岡本隼人(JSPO-AT)。診断や治療は行いません。痛みがあるときは受診を優先し、結果はその場で保護者の方に口頭でご説明します。
LINEで空き状況を確認するどんなときに受診する?——成長痛と決めずに受診したいサイン
次のどれかに当てはまるときは、成長痛と決めずに受診してください。日本小児整形外科学会は「発熱がある」「脚が腫れている」「日中にも症状がある」ときは別の病気を考え、近くの整形外科へ、と案内しています。海外の総説やNHSの案内も、ほぼ同じサインを挙げています。
| こんな様子 | なぜ注意するのか(資料の記載) |
|---|---|
| いつも片方の脚だけが痛い | 成長痛は両脚が典型。片側や一点の痛みは、その場所の病気のこともある |
| 膝や足首などの関節が痛い、腫れ・赤み・熱がある | 関節の痛みや腫れは、関節の炎症やけがを考える理由になる |
| 熱がある | 別の病気の可能性がある。子どものがんでは、熱が上がったり下がったりすることもある |
| 足を引きずる、歩きたがらない、体重をかけない | 成長痛と合わない。股関節の病気、骨折、感染などを考える |
| 翌朝まで痛みが残る、日中も痛い | 成長痛は朝には治まるのが典型。朝や活動中の痛みは別に考える |
| だんだん強くなる、ずっと続く | 成長痛らしくない。骨のがんでは、痛みがずっと続く場合に注意とされる |
| 運動や遊びを控えるほど痛い、運動すると痛む | 成長痛は活動を制限しない。運動で痛むのは骨端症に典型 |
| 一点を押すと痛い、しこりがある | 画像や血液の検査を考える理由になる |
| だるさ、食欲がない、体重が減る、寝汗、顔色が悪い、あざや発疹 | 全身の様子は成長痛を支持しない。血液の病気なども調べる理由になる |
| 転んだ・ぶつけたあとから痛い | けがとして診てもらう。成長軟骨の損傷はあとに影響を残すことがある |
| 膝が痛いのに、股関節の動きが悪い、足を引きずる | ペルテス病・大腿骨頭すべり症は膝の痛みとして出ることがある |
| 痛みで眠れない夜が続き、朝まで残る・ほかのサインもある | 夜に目が覚めるだけなら成長痛でもある。朝まで残る、続く、ほかのサインと重なるなら受診 |
受診先は、日本小児整形外科学会は「近くの整形外科」、がん情報サービスは痛みが続くときは整形外科や小児科の専門医を挙げています。典型的な経過なら検査をしないこともあり、典型から外れるときに血液検査やレントゲンが検討される、と海外の総説は説明しています。検査をするかどうかは医師の判断です。
受診のときは、次のことをメモして持っていくと話が具体的になります。いつから痛いか、何時ごろ痛むか、どこが痛むか(指でさした場所)、左右どちらか、翌朝はどうだったか、熱や体調の変化、その週の運動の量(練習の日数や時間、試合)。
・片方の脚だけが痛い、同じ一点がいつも痛い
・膝や足首などの関節が腫れる、赤い、熱をもつ
・熱がある、だるそう、食欲がない、体重が減る、顔色が悪い、あざや発疹がある
・足を引きずる、歩きたがらない、脚に体重をかけない
・翌朝まで痛みが残る、日中も痛い、だんだん強くなる
・運動や遊びを控えるほど痛い、運動すると決まって痛む
・転んだりぶつけたりしたあとから痛い
強い痛みで歩けない、急に脚を動かせなくなったときは、すぐに医療機関に相談してください。痛みがある状態で練習や試合を続けることはすすめません。
成長痛のとき、家でできることは?——運動してよいかの考え方
医師から成長痛と言われ、典型的な経過であれば、特別な処置は要らないことが多いとされています。家庭では、痛む夜に安心させてあげること、痛みの記録をつけて変化に気づけるようにすることが中心です。
日本小児整形外科学会は、痛む場所をやさしくさすると楽になることが多いと書いています。NHSは、やさしくさすること、カバーをした湯たんぽなどで温めることを挙げ、子ども用の痛み止めについては、16歳未満の子どもにはアスピリンを医師の処方なしに与えない、と注意しています。薬を使うかどうか、種類や量は、医師や薬剤師に相談してください。
ストレッチについては、太ももの前と後ろ、ふくらはぎのストレッチを1日2回続けた子のほうが早く症状が治まった、という比較試験が1本あります(Baxter と Dulberg、1988年、5〜14歳の34人)。ただし人数が少なく、評価の仕方にも限界がある試験で、これだけで「ストレッチで成長痛がよくなる」とは言えません。やるなら痛くない範囲で、医師に確かめてからにしてください。
運動してよいかについては、こう考えます。医学でいう成長痛は、定義のうえで日中の活動を妨げないものです。逆に、運動を控えるほど痛い、運動すると決まって痛む、という場合は、成長痛ではなく骨端症などを考える理由になります。そのときは家庭で「休ませる・続ける」を決めず、受診して医師に運動の可否と範囲を確かめてください。
痛んだ夜を記録する
日付、痛み始めた時刻と治まった時刻、痛んだ場所と左右を、カレンダーやスマートフォンにメモします。両脚か片脚か、毎回同じ場所かが分かります。
翌朝と日中を書き足す
朝の歩き方、登校前の様子、学校や習いごとで痛がったか。成長痛から外れるサイン(朝まで残る・日中も痛い)に早く気づけます。
運動の量を並べる
練習やスクールの日数・時間、試合、走り込みやジャンプの多い日。運動のあとに決まって痛むなら、骨端症などを考えて受診します。
変化があれば相談し直す
強くなる、回数が増える、片脚だけになる、体調が変わる。成長痛と言われたあとでも、変化があれば次の受診を待たずに相談します。
痛い場所を強く押したり、痛がる脚を無理に伸ばしたりして確かめないでください。ストレッチは痛みのない範囲で、反動をつけずに行い、痛みが増すならやめます。痛み止めやサプリメントを自己判断で続けることもすすめません。痛みの様子が変わったときは、記録を持って受診してください。
身長がいちばん伸びる時期は?——成長期のけがが集まる時期
日本の子どもで身長の伸びが最も大きいのは、全国平均で男子は小学6年生の1年間、女子は小学5年生の1年間です。この前後は、膝やかかとの骨端症など、運動で起きる成長期のけがが集まる時期と重なります。一方、医学でいう成長痛が多い6歳前後は、この時期より前です。競技ごとに多い成長期のけがは成長期のスポーツ別けが一覧にまとめています。
文部科学省の学校保健統計(令和元年度の報告)で、平成13年度生まれの子の1年ごとの伸びを見ると、男子は11歳時(小学6年生の1年間)の7.5cm、女子は10歳時(小学5年生の1年間)の6.7cmが最大でした。これは毎年の全国平均どうしの差なので、一人ひとりの伸びのピークはもっと大きく、時期にも個人差があります。日本の子どもを個別に追った研究では、伸びが最大になる年齢は、2001年生まれの全国調査で男子はおよそ12.6〜12.8歳、女子はおよそ10.7〜10.9歳と報告されています。
| 比べるところ | 医学でいう成長痛 | 成長期の骨端症(オスグッド病・シーバー病など) |
|---|---|---|
| 多い年齢 | 3〜12歳、ピーク6歳前後 | 小学校高学年〜中学生前後。身長がよく伸びる時期と重なる |
| 痛むとき | 夕方〜夜。運動中は痛まない | 運動中や運動のあと |
| 痛む場所 | 両脚の筋肉のあたり | 膝の下、お皿の下の端、かかとなど、腱が骨につく場所 |
| 押したとき | 痛む一点はない | その場所を押すと痛い |
| 背が伸びることとの関係 | 関係は確かめられていない | 伸びの大きい時期に起きやすいと報告されている |
身長の伸びとけがの関係を示した研究もあります。日本の中学生男子サッカー選手216人を6か月追った Takei らの研究(2023年)では、軸足にオスグッド病が出たのは19.9%で、身長の伸びが最大になる時期の前後半年にいることが、発症しやすさと関係していました(オッズ比2.29)。太ももの前の筋肉の硬さと、6か月の間にふくらはぎの柔軟性が落ちたことも、発症と関係する要因として挙がっています。著者らは、選手一人ひとりの伸びの時期を知ることが大切だと述べています。
家庭でできるのは、身長を数か月ごとに測って記録しておくことです。伸びが大きくなってきた時期に、膝の下やかかとの痛みを訴え始めたら、成長痛と流さずに受診する目安になります。身長がよく伸びる時期の練習の考え方は、小学生の足が速くなる方法の「成長期に合った練習」の章でも触れています。
現場で見えていること
保護者の方からは、「成長痛だと思って様子を見ていた」という言い方をよく聞きます。お話を伺うと、夜の両脚の痛みではなく、練習のあとに決まって痛む膝の下やかかとのことを、そう呼んでいる場合があります。言葉が同じでも、指している痛みが違うことがある、というのが現場で感じていることです。
当店では測る前に、痛む場所、いつから痛いか、いつ痛むか、受診の有無と医師からの指示、競技と練習の量を、保護者の方とお子さんの両方から伺います。痛みがあるときや、受診のサインに当てはまるときは、ジャンプや全力の測定は行わず、整形外科の受診をおすすめします。当店は診断や治療をする場所ではないからです。
医師から運動の許可が出たあとの評価では、姿勢、関節の可動域と筋力バランス、ジャンプとホップ、動作パターンを測ります。太ももの前が硬くて踵がお尻に近づきにくい、ふくらはぎが硬くてしゃがむと踵が浮く、片脚で着地すると膝が内に入る、といった身体の側の特徴は、外から見ているだけでは気づきにくいものです。結果はその場で保護者の方に口頭でご説明し、何から整えるかを一緒に決めます。成長期の筋力づくりの進め方は野球に必要な筋トレ(年代別メニュー)、跳ぶ・走るの年齢別の平均はジュニアの体力測定にまとめています。
よくある質問
成長痛は何歳まで続きますか?
医学でいう成長痛が多いのは3〜12歳で、ピークは6歳前後、多くは思春期までに出なくなるとされています。ただし「何歳で必ず終わる」とは言えません。中学生になってから新しく出た膝やかかとの痛みは、成長痛と決めずに受診してください。
成長痛で膝が痛いことはありますか?
ひざの裏やひざのまわりが痛むことはあります。ただし、関節そのものが腫れる、膝のお皿の下の骨の出っ張りが運動で痛む、足を引きずる、という場合は成長痛から外れます。オスグッド病や股関節の病気が膝の痛みとして出ることもあるので、整形外科で相談してください。
かかとが痛いのは成長痛ですか?
医学でいう成長痛の典型的な場所に、かかとは入っていません。8〜15歳ごろで、走る・跳ぶ運動をしている子のかかとの痛みは、シーバー病(踵骨骨端症)が代表的とされています。ほかの原因もあり得るので、決めつけずに受診してください。
夜中に脚が痛いと泣いて起きるのは危ないですか?
夜に痛みで目が覚めることは、成長痛でも起こります。それだけで危ないとも、安心とも言えません。翌朝まで痛みが残る、日中も痛い、片脚だけ、熱や腫れがある、だんだん強くなる、といった様子が重なるときは受診してください。
成長痛のときに運動やスポーツをしてもいいですか?
医学でいう成長痛は、日中の活動を妨げないものとされています。運動を控えるほど痛い、運動すると決まって痛む場合は、骨端症など別のものを考える理由になります。運動してよいか、どこまでならよいかは、受診して医師に確かめてください。
成長痛は何科を受診すればいいですか?
日本小児整形外科学会は近くの整形外科を案内しています。熱やだるさなど全身の様子がある場合は、小児科で相談してもよいでしょう。痛んだ日時、場所、左右、翌朝の様子、運動の量をメモして持っていくと、話が具体的になります。
まずは90分、身体を測ることから
脚の痛みが成長痛かどうかを決めるのは医師です。痛みがあるときは、まず受診してください。そのうえで、医師から運動の許可が出たら、膝やかかとにかかる負担と関係しそうな、太もも・ふくらはぎ・股関節・着地の動きを一度測っておくと、何から整えればよいかを決めやすくなります。料金と内容はジュニアプログラム、場所はアクセスをご覧ください。
Body Assessment
成長期の「今の身体」を
90分かけて測る
担当は基本的に代表の岡本隼人。世田谷区・船橋フェニックスで学年チームの監督を務め、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として、姿勢、関節の可動域と筋力バランス、ジャンプとホップ、動作パターンを測ります。診断や治療は行わず、痛みがあるときは受診をおすすめします。結果はその場で保護者の方に口頭でご説明します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
先着などの条件はありません。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 初回は保護者の方の同席をお願いしています | ジュニアプログラムの詳細
主な参考(タップで開く)
- 日本小児整形外科学会「成長痛」(一般の方へ。2025年9月18日更新)/「跛行」(同)。
- 日本スポーツ整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ」1. オスグッド病/10. 膝の慢性障害/13. 足の慢性障害/24. 有痛性外脛骨障害(内容を要約。図・文章の転載はしていません)。
- 日本整形外科学会 整形外科シリーズ37「ペルテス病」・38「大腿骨頭すべり症」(2025年2月)、「小児の骨折」(2024年12月)。
- 国立がん研究センター がん情報サービス「小児の骨肉腫」(2022年)、「白血病〈小児〉について」(2022年)、「小児がんについて」(2023年)。
- 文部科学省「令和元年度 学校保健統計(学校保健統計調査報告書)調査結果の概要」(平成13年度生まれの年間発育量)。
- O'Keeffe M, et al. Defining Growing Pains: A Scoping Review. Pediatrics. 2022;150(2):e2021052578.(145本の研究の定義を分析)
- Lehman PJ, Carl RL. Growing Pains: When to Be Concerned. Sports Health. 2017;9(2):132-138.(総説)
- Uziel Y, Hashkes PJ. Growing pains in children. Pediatr Rheumatol Online J. 2007;5:5.(総説)
- Evans AM. Growing pains: contemporary knowledge and recommended practice. J Foot Ankle Res. 2008;1:4.(総説。Peterson 1986の基準を改変した表)
- Hestbæk L, Lücking A, Jensen ST. Growing pains in Danish preschool children: a descriptive study. Sci Rep. 2024;14:3956.(デンマーク・3〜6歳777人)
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