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グラウンドに立つ少年野球選手の後ろ姿。成長期のスポーツは競技ごとに痛みが出やすい部位が違う
Junior / Athlete

成長期のスポーツ別けが一覧
——競技ごとに多い痛みと受診の目安

「うちの子の競技では、どこを痛めやすいの?」。結論から言うと、成長期は骨の伸びる部分が弱点になり、競技の動きによって痛みが出る部位がほぼ決まっています。13競技を部位ごとに整理しました。

2026.10.13 読了 約23分

野球・サッカー・陸上・バスケットボール・バレーボール・体操・水泳・テニス・バドミントン・ゴルフ・柔道・剣道・ラグビーの13競技について、日本の学会・競技団体・公的機関の資料と論文で確かめられたものだけを、競技×部位の表にまとめました。どの痛みなら練習を止めて受診するか、練習量の目安はどこにあるかも、保護者の方向けに書いています。病名を当てはめるための記事ではありません。痛みがあるときは、まず整形外科の受診をおすすめします。

この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、成長期の子どもの身体を実際に測ってきた経験から書いています。ジュニアの身体評価(小学生・中学生)→

この記事の要点

・成長期のけがは、骨の伸びる部分(骨端線・成長軟骨)が弱点になる点が大人と違う。同じ動きの繰り返しによる「使いすぎ」が多い
・競技ごとに出やすい部位がある:投げる競技は肘と肩、走る・蹴る競技は膝の下・かかと・すね・骨盤、跳ぶ競技は膝のお皿の下と足首、反る・ひねる競技は腰
・野球肘の外側型は、見つかった時点で痛みがない子が多い。腰は「2週間以上続く腰痛」が受診のきっかけになる
・押すと痛い、休んでも引かない、腫れ、体重をかけられない、日中も痛い、頭を打った後の様子の変化は、練習より受診が先
・練習量には公的な目安がある(部活動は週2日以上の休養日、平日2時間程度・休日3時間程度)

成長期のけがは、大人のけがと何が違う?

一番の違いは、骨の端の近くにある「骨端線(成長軟骨)」です。骨はここで長く伸び、成長が終わると硬い骨に置き換わります。日本小児整形外科学会や米国整形外科学会(AAOS)の一般向け資料は、成長期にはこの部分が周りの腱や靱帯より弱く、けがの起きる場所になりやすいと説明しています。大人なら腱や靱帯を痛めるような力で、子どもは骨の付け根の軟骨がはがれたり、傷んだりします。

もう1つの特徴は、1回の強い衝撃より、同じ動きの繰り返しによる「使いすぎ」が多いことです。米国小児科学会(AAP)の保護者向けの解説は、子どものスポーツのけがの約半分が使いすぎによるものと推定しています。投げる、蹴る、跳ぶ、反るといった競技の動きが、毎日同じ場所に負担をかけ続けるため、競技ごとに痛みが出やすい部位がほぼ決まってきます。

時期も関係します。文部科学省の学校保健統計(平成13年度生まれ)では、1年間の身長の伸び(全国平均)が最も大きいのは、男子が11歳時(小学6年の1年間)で7.5cm、女子が10歳時(小学5年の1年間)で6.7cmでした。日本の中学生男子のサッカー選手を6か月追った研究では、身長が最も伸びる時期の前後がオスグッド病の危険因子の1つとして報告されています。背がぐんと伸びている時期は、とくに痛みのサインに気をつけたい時期です。

練習量の目安も、公的なものがあります。スポーツ庁・文化庁の部活動のガイドライン(2022年12月)は、週2日以上の休養日(平日1日以上・週末1日以上)と、平日2時間程度・休業日3時間程度を基準にしています。日本体育協会(現・日本スポーツ協会)の文献研究(2017年)は、ジュニア期の目安として週1〜2日の休養日と、週16時間未満を挙げました。米国シカゴの7〜18歳1,190人の研究では、1週間の競技の時間が年齢の数(たとえば12歳なら12時間)を超える子で、重い使いすぎのけがが約2倍でした。

①

どこが痛いかを、指で押して確かめる

骨の出っ張り(膝の下・かかとの後ろ・肘の内側など)の一点を押して痛むかどうかは、資料が共通して挙げる受診のきっかけです。痛む場所を保護者が把握しておくと、受診のときにも伝えやすくなります。

②

いつ痛むかを、記録する

運動の後だけか、運動中もか、朝まで残るか、日中も痛むか。休むと引くか、再開で戻るか。痛みの出方の変化は、資料で重症度の目安として扱われています。

③

練習量と身長の伸びを、一緒に見る

1週間の練習時間・投球数・走った距離と、半年ごとの身長。急に練習が増えた時期や、背がぐんと伸びた時期に痛みが重なっていないかを見ます。

年齢・性別ごとにどんな障害を疑うかは小学生アスリートのトレーニングに、身長が伸びる時期の練習の考え方は小学生の足が速くなる方法にまとめています。この記事は「競技」から引けるように整理しました。

競技別に多いけが・痛みの一覧表(13競技×部位)

下の表は、日本の学会・競技団体の資料と論文で確かめられたものだけを、競技×部位で並べたものです。「受診の目安」は、それぞれの資料が挙げているサインの要約です。病名を当てはめるためではなく、「この競技なら、ここが痛いときは早めに相談する」という見当をつけるために使ってください。

競技部位多いけが・痛み受診の目安(資料が挙げるサイン)
野球肘の内側野球肘・内側型(リトルリーグ肘)。発生のピークは11〜12歳肘の内側を押すと痛い、肘が伸びない・曲がらない、ポンという感覚、しびれ、引っかかる
野球肘の外側野球肘・外側型(上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎)。小学4年生以降に増える初期は痛みが出ないことが多い。肘の伸び・曲がりが悪い、急に動かなくなる
野球(テニスでも少数)肩リトルリーグ肩(肩側の骨端線の損傷)。小学生高学年〜中学生。野球肩の発生のピークは15〜16歳投げると肩が痛む、肩をひねると痛む、同じ所を押すと痛い。投球フォームの変化
サッカー膝の下オスグッド病(膝の下の骨の出っ張りの痛み)。小学高学年〜中学、男子に多い膝の下の骨が出っ張って痛む。休むと引き、運動で再び痛む
サッカーかかとシーバー病(かかとの成長軟骨の痛み)。成長スパートの時期かかとの後ろを押すと痛い、走る・跳ぶと痛む
サッカー足の付け根・骨盤グロインペイン(鼠径部痛症候群)/骨盤の裂離骨折(中学生〜高校生)走る・起き上がる・蹴ると足の付け根が痛む。ダッシュやキックの後に骨盤・お尻が強く痛み歩けない
陸上すね・足疲労骨折(高校1年に多い)/シンスプリント(中学・高校の新入部員に多い)けがをしていないのに骨の上の一点が痛み続ける。すねの一か所の強い痛みが続く
陸上・サッカーほか腰腰椎分離症(腰の骨の疲労骨折)。10代前半、男子に多い反らすと痛い。2週間以上続く腰痛
バスケットボール膝のお皿の下ジャンパー膝(膝蓋腱炎)/シンディング・ラーセン・ヨハンソン病運動後に痛む→運動中も痛む→常に痛む、と進む。休んでも引かない
バスケットボール足首・膝足首のねんざ(子どもは骨がはがれる剥離骨折が多い)/膝の前十字靱帯損傷(女子に多い)体重をかけられない、腫れが強い、皮下出血。受傷時に歩けない、運動に戻ると膝がくずれる
バレーボール膝・腰・足首ジャンパー膝/腰椎分離症/足首のねんざ跳ぶと膝のお皿の下が痛む、反らすと腰が痛む、ねんざの後に腫れている
体操手首・腰手首の成長軟骨のストレス障害(体操手首)/腰椎分離症手首の痛みが続く。反らすと腰が痛む
水泳肩・腰泳ぐ量と関係する肩の痛み/腰のけが(競技に特有の目安は資料で確かめられず)共通の目安を使う
テニス肘の内側・腰・肩成長期は肘の内側の障害が多い/腰椎分離症/リトルリーグ肩(少数)(競技に特有の目安は資料で確かめられず)共通の目安を使う
バドミントン肩・腰・膝使いすぎによる肩・腰・膝の痛み(競技に特有の目安は資料で確かめられず)共通の目安を使う
ゴルフ腰腰痛(高校生ゴルファーの予防の研究あり)反らす・ひねると腰が痛む、2週間以上続く腰痛
柔道頭・肩・膝頭のけが(急性硬膜下血腫・脳しんとう)/肩関節脱臼/膝の前十字靱帯損傷(高校女子に多い)頭を打った後の意識・話し方の変化、頭痛、吐き気、記憶がない
剣道アキレス腱アキレス腱の痛み(競技に特有の目安は資料で確かめられず)共通の目安を使う
ラグビー頭・肩脳しんとう/肩関節脱臼首の強い痛み、強まる頭痛、繰り返す嘔吐、けいれん、手足のしびれ・脱力

表の中で「共通の目安を使う」と書いた競技は、競技団体や学会の資料で、その競技に特有の受診の目安を見つけられなかったものです。その場合も、下の共通の受診の目安がそのまま使えます。

こんな様子資料での扱い
骨の出っ張りの一点を押すと痛い野球肘・オスグッド病・シーバー病・疲労骨折などで、学会の資料が共通して挙げるサイン
休んでも痛みが引かない、再開すると戻る野球肘では、数日完全に休んでも痛みが続く・再開で戻る場合は治療を受けるまで中止(AAOS)
関節の動きが左右で違う(伸びない・曲がらない)肘の伸び・曲がりの悪さは、野球肘の受診のきっかけ(日本整形外科学会ほか)
腫れている、体重をかけられない、歩けないねんざでは剥離骨折が多く、腫れていたら整形外科へ(日本小児整形外科学会)。骨盤の裂離骨折は歩けなくなる
2週間以上続く腰痛2週間以上の腰痛で受診した子の約4割に腰椎分離症が見つかった報告がある
熱がある、日中も痛い、朝まで痛みが残る「成長痛」と思っても、発熱・腫れ・日中の症状はほかの病気の可能性(日本小児整形外科学会)
頭を打った後、様子がいつもと違うその日は競技に戻さず、少なくとも24時間は一人にしない(日本臨床スポーツ医学会・日本サッカー協会)
※この記事は競技ごとに多いけがを整理したもので、医学的な診断ではありません。上の表のサインに当てはまるとき、痛みが続くとき、だんだん強くなるときは、練習を止めて、整形外科(頭を打った後の異常は脳神経外科)を受診してください。夜に脚の痛みで目が覚めることだけでは判断の決め手になりませんが、片脚だけ、腫れ、発熱、足を引きずる、朝まで残る、だんだん強くなる、体重が減る、といった様子が重なるときは早めの受診をおすすめします。痛みがある状態で、走る・跳ぶ・投げる練習を続けることはすすめません。Disport World は診断も治療も行いません。

野球:肘の内側・外側と、肩の痛み

野球で多いのは、肘の内側と外側、そして肩です。とくに注意したいのは肘の外側(離断性骨軟骨炎)で、見つかった時点で痛みがない子が多いことが、日本の検診の研究で繰り返し報告されています。

肘の内側(リトルリーグ肘)は、投げる動きで肘の内側の骨が筋肉や靱帯に引っ張られ、成長軟骨が傷んだり、はがれたりするものです。日本臨床スポーツ医学会の提言(1995年)は、野球肘の発生のピークを11〜12歳としています。福島県立医大のグループによる6〜17歳4,249人の超音波検診でも、内側の骨の異常は11〜12歳で最も多くみられました。

肘の外側は、骨どうしがぶつかって骨・軟骨が傷む障害です。徳島の小学生の検診(2006〜2020年)では、超音波で見つかった子のうち、外側の痛みがあったのは10.8%でした。10〜12歳の1,040人の検診では、見つかった22人のうち7人(31.8%)は肘の痛みの経験がありませんでした。「痛いと言わないから大丈夫」とは言えないのが、外側型の難しさです。女子も対象外ではありません。北海道大のグループの地域検診(女子353人を含む13,483人)では、外側の異常は男子2.4%・女子0.57%で、統計的な差ははっきりしませんでした。

肩では、肩側の骨端線が投球の繰り返しで開いていく「リトルリーグ肩」が、小学生高学年〜中学生にみられます。日本スポーツ整形外科学会の資料によると、日常生活では困らず、見た目の動きの制限もないことが多いため、投げたときだけの痛みとして見過ごされやすい障害です。

予防の柱は投球数です。全日本軟式野球連盟は学童部の試合で1日70球以内(4年生以下60球)とし、2026年シーズンから1週間210球以内(4年生以下180球)を加えました。中学生の少年部は大会中1日100球・1週間350球、高校野球は1週間500球以内です。日本臨床スポーツ医学会の提言(1995年)は、全力投球を小学生で1日50球・週200球以内、練習は週3日以内・1日2時間以内としています。規則(連盟)と提言(学会)は別のものなので、両方を見比べてください。

投球数・休養日・家庭での記録のつけ方・受診の目安は小学生の野球肘予防に詳しくまとめています。年代別の筋力トレーニングと注意したい痛みは野球に必要な筋トレで書きました。

Body Assessment
痛みのない今のうちに、競技の動きに耐える身体かを90分で測る

股関節や胸の回り、片脚の安定、体幹、左右差、そして痛みの部位と練習量の関係。診断はしませんが、医療機関での確認が必要と判断したときは、その場でお伝えします。担当は基本的に代表の岡本隼人(JSPO-AT)。結果はその場で保護者の方に直接ご説明します。無理な勧誘はいたしません。

LINEで空き状況を確認する
90分 ¥7,500(税込・単発・先着などの条件なし)・六本木駅5番出口徒歩4分・完全個室・初回は保護者の方の同席をお願いしています

サッカー・陸上:膝の下・かかと・すね・骨盤・腰

走る・蹴る競技では、膝の下(オスグッド病)、かかと(シーバー病)、すね(シンスプリント・疲労骨折)、骨盤(裂離骨折)、腰(腰椎分離症)が並びます。どれも、筋肉や腱が骨の付け根の成長軟骨を繰り返し引っ張ることで起きる点が共通しています。

膝の下(オスグッド病):太ももの前の筋肉が、膝のお皿を介して膝の下の骨の成長軟骨を引っ張り、はがれるものです。日本スポーツ整形外科学会の資料では、小学高学年〜中学に多く、膝の下の骨が出っ張って痛み、休むと消えて運動で再び痛むと説明されています。東京の病院のグループが中学1年の男子サッカー選手140人を2年追った研究では、新たに発症したのは6人(4.3%)でした。

かかと(シーバー病):アキレス腱が付くかかとの後ろの成長軟骨に、走る・跳ぶの繰り返しで負担がかかって痛むものです。AAOSは成長スパートの時期に起きやすく、X線では異常が写らないことが多いとしています。ドイツのユースサッカーアカデミー(612人・10年)では、発症は平均11.8歳、競技復帰まで平均60.7日でした。デンマークの小学生1,670人を5.5年追った研究では、膝の下やかかとなどの骨端症の危険が、サッカー・ハンドボール・バスケットボール・跳ぶ系の体操をしている子で2.07〜2.74倍でした。かかとの痛みの見分け方と受診の目安は子どものかかとが痛い(シーバー病)にまとめています。

足の付け根(グロインペイン):日本スポーツ整形外科学会の資料は、ほかの競技に比べてサッカー選手に多く、いったんかかると長引くことが多いとしています。体幹から股関節まわりの硬さ・筋力の低下・連動の悪さで、痛みと動きの悪さの悪循環が起きるという説明です。片脚で立って蹴る動作そのものが誘因になり、オフ明けに起こりやすいとも書かれています。

骨盤(裂離骨折):成長期の骨盤にはまだ骨端線が残っていて、スタートダッシュ・キック・全力疾走で筋肉が急に縮むと、付け根の骨がはがれます。米国の小児病院の719件では平均14.6歳、男子が78%、競技はサッカーが38.1%で最も多くみられました。ダッシュやキックの後に骨盤やお尻が強く痛んで歩けなくなったら、この骨折が疑われます。

すね・足(シンスプリント・疲労骨折):シンスプリントは、中学・高校の陸上中長距離・サッカー・バスケットボールの、とくに新入部員に多いとされます。すねの内側が縦長に広く痛むのが典型で、一か所に限った強い痛みが続く場合は疲労骨折との区別が必要です。日本臨床スポーツ医学会の提言(2002年)が紹介した関東労災病院の20年分の下肢の疲労骨折624件では、15〜17歳がピークで、16歳(高校1年)が全体の24%、部位はすねの骨(脛骨)が46%でした。同じ提言は、障害予防のための1日の平均走行距離を、中学生5〜10km(月200km)、高校生15km(月400km)としています。すねと足の疲労骨折の目安は成長期の疲労骨折で詳しく説明しています。

腰(腰椎分離症):反る・ひねる動作の繰り返しで、腰の骨の後ろの部分にひびが入る疲労骨折です。茨城の単一施設の261人では、男子で多かった競技は野球・サッカー・陸上の順でした。徳島大のグループの研究では、2週間以上続く腰痛でMRIを受けた19歳未満136人のうち54人(39.7%)が分離症で、その54人は全員に運動歴がありました。日本スポーツ整形外科学会の資料は、早期発見・早期治療が重要で、進むと休んでも骨がくっつかなくなると説明しています。反ると痛む特徴や受診の目安は子どもの腰椎分離症にまとめています。

身長が大きく伸びる時期の走る・跳ぶ練習の考え方は小学生の足が速くなる方法に、骨の材料になる食事はジュニアアスリートの栄養管理にまとめています。

バスケットボール・バレーボール:膝のお皿の下・足首・膝の靱帯

跳ぶ・止まる・切り返す競技では、膝のお皿の下(ジャンパー膝)、足首のねんざ、膝の前十字靱帯が中心です。前十字靱帯は、日本の中高生でも女子に多いことがはっきり報告されています。

膝のお皿の下(ジャンパー膝・シンディング・ラーセン・ヨハンソン病):ジャンプの着地や膝を伸ばす動作の繰り返しで、お皿の下の腱の付け根に負担がかかるものです。成長期には、膝蓋腱が付くお皿の下端の成長軟骨が傷むことがあり、これをシンディング・ラーセン・ヨハンソン病と呼びます(AAOS)。カナダのユースのバスケットボール選手515人(11〜18歳)では、1シーズンにジャンパー膝があった割合は19.0%(男子23.2%・女子12.5%)でした。日本の高校バレーボールのアタッカー82人(15〜17歳)では、膝の痛みが19.5%にみられ、腰痛の既往と関連していました。日本スポーツ整形外科学会の資料は、痛みが「運動後」から「運動中も」、さらに「常に痛みプレーに支障」へと進む段階で重さを説明しています。AAOSは、痛みが消えるまで休まずに続けると、お皿の下端の骨折に至ることもあるとしています。オスグッド病とは痛む場所が少し違い、オスグッド病は膝の下の骨の出っ張り、ジャンパー膝はお皿のすぐ下が中心です。痛みの段階と受診の目安はジャンパー膝とシンディング・ラーセン・ヨハンソン病で詳しく説明しています。

足首のねんざ:日本スポーツ振興センターの災害共済給付(2023年度データ)で、中学校の運動部活動のけがの部位では足関節が2番目に多くなっています。同学会の資料によると、ジャンプの着地で人の足に乗ったときなどに、多くは足首を内側にひねって起きます。日本小児整形外科学会の冊子は、学童期は靱帯が切れずに付着部の骨がはがれる剥離骨折が特徴で、見逃されやすく長引きやすいとし、子どもがねんざをして腫れていたら整形外科へ、としています。いきなり競技に戻ることは再びのけがのもとになる、とも書かれています。

膝の前十字靱帯:日本の中高生の災害共済給付のデータ10年分(30,458件)を調べた研究では、1,000人年あたりの発生は女子1.36・男子0.48で、女子は男子の約2.8倍でした。学年では高校2年が最も多く、競技別では高校女子バスケットボールが最も高く、高校女子柔道が2番目でした。ジャンプの着地や急停止・方向転換で膝をひねって起き、腫れが引いて治ったように感じても、運動に戻ると膝くずれを起こしやすいと日本スポーツ整形外科学会の資料は説明しています。再建手術から競技復帰までは、おおよそ6〜9か月以上とされます。

痛む場所考えられるもの(資料の説明)この記事のあとに読む
膝の下の骨の出っ張りオスグッド病。小学高学年〜中学、男子に多い受診のうえ、医師に運動の範囲を確認
お皿のすぐ下(下端)ジャンパー膝・シンディング・ラーセン・ヨハンソン病痛みが消えるまで休む(AAOS)
足首の外側(ねんざの後)子どもは剥離骨折が多い腫れていたら整形外科へ
膝全体の腫れ、膝くずれ前十字靱帯損傷など受傷時に歩けない・腫れるなら受診

体操・水泳・テニス・バドミントン・ゴルフ・剣道:手首・肩・腰・アキレス腱

これらの競技は、成長期に限った一次資料が野球やサッカーより少なめです。確かめられた範囲では、体操は手首と腰、水泳は肩、テニスとバドミントンは使いすぎの痛み、ゴルフは腰、剣道はアキレス腱が挙がります。

体操:手をついて体重を支える動作の繰り返しで、手首の成長軟骨にストレスがかかります。非エリートの体操選手59人(平均9.3歳)の研究では手首の痛みが56%、10〜14歳では83%で、X線で手首の成長軟骨のストレス所見がみられたのは51%でした。ロサンゼルスの体操クラブの47人を1年追った研究では、最初に手首が痛かった子の89%が1年後も痛く、医師にかかったのは5人だけでした。腰では、競技レベルの高い若い女子体操選手100人のX線で11%に分離がみられたという1976年の報告があります。

水泳:系統的レビュー(12研究・1,460人)では、15〜17歳の競泳選手で肩の痛みの割合が91.3%と最も高く、週の練習量と関連していました。日本の競泳選手76人(平均14歳)の追跡では、泳ぐ距離が男女とも肩の痛みの危険因子で、境目は6,000mでした。腰については、日本代表選手の15年分(488人)で最も多いけがの部位が腰でしたが、対象は高校生より年上が中心です。

テニス:日本小児整形外科学会の冊子は、成長期のテニスでは外側の「テニス肘」は比較的まれで、野球肘のような内側の障害が多いとしています。オランダの11〜14歳のエリート選手73人を1シーズン追った研究では、毎週平均12.1%が使いすぎの障害を抱えていました。英国のエリート選手(平均17.3歳)では、痛みのない33人のうち9人にMRIで腰の分離の異常がありました。

バドミントン:全国大会に出た小学生611人(7〜12歳)の研究では、1日の練習が2.5時間を超えると肩の痛みが2.64倍で、肩・腰・膝の痛みは互いに関連していました。全国大会レベルの中学〜大学の選手133人の追跡では、使いすぎの障害が外傷の約3倍でした。

ゴルフ:日本小児整形外科学会の冊子は、ゴルフでは肘の外側・手首・腰の痛みの頻度が高いものの、成長期ではあまり問題になっていないと記しています。日本の高校生ゴルファー45人のランダム化比較試験では、腰痛予防の準備運動を12週続けた群で腰痛の回数が少なく(16回と100回)、腰痛になった人数の差ははっきりしませんでした。ジュニアゴルファーの腰の守り方はジュニアゴルファーのトレーニングに書いています。

剣道:和歌山の中学・高校の剣道選手60人(14〜18歳)では、53%にアキレス腱の痛みの経験があり、断裂が3人含まれていました。足の並びや足の指の動きの低下との関連が報告されています。

Caution

この節の競技は、成長期に特有の受診の目安を示した資料を見つけられませんでした。だからといって「受診しなくてよい」ではありません。押すと痛い、休んでも引かない、腫れ、日中も痛い、動きの左右差など、上の共通の目安に当てはまるときは、練習を止めて整形外科で相談してください。体操で手首の痛みが続く子が医師にかからないまま練習を続けていた、という研究があることも覚えておいてください。

柔道・ラグビー・サッカーのヘディング:頭と肩のけが

ぶつかる・投げられる競技で最も大事なのは頭のけがです。頭を打った後は、本人が「大丈夫」と言ってもその日は競技に戻さず、少なくとも24時間は一人にしない、というのが日本の学会と競技団体に共通する対応です。

柔道:全日本柔道連盟の資料(2023年)によると、重い頭のけがの多くは急性硬膜下血腫で、2003〜2021年に報告された重症55例は、中学1年・高校1年・小学生の初心者に多くみられました。安全指導の講習を義務にした後、重症例は年4.0件から年1.9件に減っています。脳しんとうの後は、段階を1日ずつ進め、受傷から最低6日間をかけて復帰する手順が示されています。

ラグビー:高校生(U18)を含む60試合・14,809タックルを分析した日本の研究グループの報告では、U18の脳しんとうは1,000タックルあたり1.9件で、タックルする側の頭が相手の進む方向の前に入るタックルが最も危険でした。ワールドラグビーのガイダンス(2024年8月)は、18歳以下の脳しんとう後の最短復帰を21日としています。

サッカーのヘディング:日本サッカー協会は2021年に、幼児期〜U-15で軽いボールから段階的にヘディングを覚える指針を出しました。禁止ではなく、段階を踏んで導入する考え方です。脳しんとうは頭をぶつけなくても、体への衝撃で頭が揺さぶられて起きることがあります。

肩関節脱臼:ラグビー・柔道などに多く、一度外れると軽い力でも外れやすくなる(反復性脱臼)と日本スポーツ整形外科学会の資料は説明しています。

こんな様子があれば対応
意識を失った、前後のことを覚えていない、話し方や表情がいつもと違う競技をやめ、脳神経外科の専門医へ(日本臨床スポーツ医学会)
首の強い痛み、強くなっていく頭痛、繰り返す吐き気・嘔吐すぐに医療機関へ(ワールドラグビー)
けいれん、二重に見える、手足のしびれ・力が入らない、ろれつが回らないすぐに医療機関へ(ワールドラグビー)
上のどれもないが、頭を打った・強く揺さぶられたその日は競技に戻さない。少なくとも24時間は一人にしない(日本サッカー協会ほか)

2023年の国際合意の小児版は、子ども・思春期の多くが1か月以内に症状が消え、多くは10日以内に学校へ戻るとしたうえで、学校への復帰をスポーツへの復帰より優先するよう示しています。

現場で見えていること

当店のジュニアの身体評価では、姿勢、股関節の動き、胸の回り(胸椎の回旋)、片脚の安定、体幹の安定、左右差と動作のクセを見たうえで、痛みの部位と練習量の関係を保護者の方と一緒に確かめます。膝・かかと・肘・腰に痛みが出やすいことを前提に、痛みがあるときは跳ぶ・全力で走る測定はしません。医療機関での確認が必要と判断したときは、その場で受診をおすすめしています。

お話を伺っていると、痛みの場所は分かっていても、「いつ痛むか」と「その時期に何が変わったか」は記録されていないことが少なくない、という印象があります。大会前で練習が急に増えた、新しいポジションを始めた、学年が上がって練習時間が延びた、背がぐんと伸びた。この記事の表で見たように、資料が受診の目安として挙げているのは、まさに痛みの出方の変化です。家庭での記録が受診のときにも役立ちます。

もう1つ伝えたいのは、当店の役割です。痛みがあるときに必要なのは受診で、トレーニングではありません。医師に運動を許可されたあとに、痛めた部位に頼りすぎない動き方と身体づくりを進めること、そして痛みが出る前に競技の動きに耐えられる身体かを測ること。私たちが手伝えるのはそこです。岡本は2022年から世田谷区・船橋フェニックスで学年チームの監督も務めており、練習量やチームの事情も含めて相談を受けています。少年野球の身体づくりについては少年野球のトレーニングを東京で探す前ににまとめました。

よくある質問

成長期のスポーツでは、どんなけがが多いですか?

骨の伸びる部分(骨端線・成長軟骨)が弱点になる、使いすぎのけがが多いのが特徴です。投げる競技は肘と肩、走る・蹴る競技は膝の下・かかと・すね・骨盤、跳ぶ競技は膝のお皿の下と足首、反る・ひねる競技は腰に出やすい傾向があります。競技ごとの詳細はこの記事の一覧表をご覧ください。

サッカーをしている子どもが膝の下やかかとを痛がります。成長痛ですか?

自己判断はせず、整形外科で相談してください。日本小児整形外科学会が説明する医学的な成長痛は、夕方〜夜に出て翌朝には治まる脚の痛みで、運動で決まった場所が痛むものとは別に扱われます。膝の下の骨の出っ張りや、かかとの後ろを押して痛む場合は、オスグッド病やシーバー病などの可能性があり、受診で確かめる対象になります。医学でいう成長痛の特徴は成長痛とは?夜に脚が痛い子の見分け方にまとめています。

子どもの腰痛は、どのくらい続いたら受診すべきですか?

運動をしている子の腰痛が2週間以上続くなら、受診をおすすめします。2週間以上続く腰痛でMRIを受けた19歳未満136人の39.7%に腰椎分離症が見つかったという日本の報告があります。反らすと痛む場合も受診のきっかけです。分離症は早期に見つかるほど骨がくっつく見込みが高いとされています。

痛がっていなければ、野球肘の心配はありませんか?

そうとは言えません。肘の外側の離断性骨軟骨炎は、見つかった時点で痛みがない子が多いと報告されています。徳島の小学生の検診では、見つかった子のうち外側の痛みがあったのは10.8%でした。肘の伸び・曲がりの左右差に気づいたら受診し、地域やチームの野球肘検診があれば活用してください。

成長期の練習量は、どのくらいが目安ですか?

公的な目安として、スポーツ庁・文化庁の部活動のガイドラインは週2日以上の休養日と、平日2時間程度・休業日3時間程度を示しています。日本体育協会(現・日本スポーツ協会)の文献研究は、週1〜2日の休養日と週16時間未満を挙げています。野球は投球数の規則と提言も確認してください。

痛みがあっても、ジムで身体を測ってもらえますか?

痛みの部位と練習量の関係を伺い、痛みのある動きの測定(跳ぶ・全力で走るなど)は行いません。当店は診断も治療も行わず、医療機関での確認が必要と判断したときはその場で受診をおすすめします。強い痛みや腫れがある場合は、先に整形外科を受診してください。

まずは90分、身体を測ることから

競技ごとに多いけがを知っておくと、痛みのサインに早く気づけます。そのうえで、痛みが出る前に「今の身体が、その競技の動きに耐えられる状態か」を測っておくと、練習で気をつける点がはっきりします。Disport World のジュニアの身体評価(Body Assessment)は、小学1年生〜中学3年生が対象です。痛みがあるときは受診が先、受診のあとは医師の許可の範囲で身体づくりを進める、という順番でご相談ください。プログラムの内容はジュニアプログラムのページで紹介しています。

Body Assessment

競技の動きに耐える身体か
90分かけて測る

担当は基本的に代表の岡本隼人。世田谷区・船橋フェニックスで学年チームの監督を務め、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として、成長期の身体機能を評価します。結果はその場で保護者の方に直接ご説明します。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。

¥7,50090分・税込・単発

先着などの条件はありません。

完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 初回は保護者の方の同席をお願いしています | ジュニアプログラムの詳細

主な参考(タップで開く)
  1. 日本小児整形外科学会 スポーツ委員会「成長期のスポーツ障害 ―早期発見と予防のために―」2010年.
  2. 日本小児整形外科学会「成長痛」(千葉県こども病院 整形外科 監修)2025年.
  3. 日本スポーツ整形外科学会(旧 日本整形外科スポーツ医学会)監修「スポーツ損傷シリーズ」1 オスグッド病/2 足首の捻挫(2013)/4 腰椎分離症(2019)/6 膝前十字靱帯損傷(2025)/7 反復性肩関節脱臼/8 疲労骨折/10 膝の慢性障害/11 鼠径部痛症候群/15 シンスプリント(2009)/18 成長期の肘障害(2011)/22 骨盤裂離骨折(2013)/28 リトルリーグ肩(2015).(要約して引用)
  4. 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる」野球肘/腰椎分離症・分離すべり症.
  5. 日本臨床スポーツ医学会「青少年の野球障害に対する提言」1995年/「骨・関節のランニング障害に対しての提言」2002年/「スポーツ現場へ:頭部外傷10か条の提言」1997年.
  6. 全日本軟式野球連盟「学童部(小学生)の投球数制限について」2020年/「学童部における一週間に係る投球数制限の導入について」2025年/「少年部(中学生)の投球数制限について」2020年. 日本高等学校野球連盟「高校野球特別規則」2026年版.
  7. スポーツ庁・文化庁「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」2022年12月.
  8. 日本体育協会(現・日本スポーツ協会)「スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について」2017年.
  9. 文部科学省「令和元年度 学校保健統計調査 結果の概要」(平成13年度生まれの年間発育量).
  10. 日本スポーツ振興センター「学校等の管理下の災害[令和6年版]」(令和5年度データ).
  11. AAOS OrthoInfo. Overuse Injuries in Children/Sever's Disease/Throwing Injuries in the Elbow in Children(2026-10-13閲覧). AAP HealthyChildren.org. Preventing Overuse Injuries in Young Athletes. 2024.
  12. Jayanthi NA, et al. Sports-specialized intensive training and the risk of injury in young athletes. Am J Sports Med. 2015;43(4):794-801.(7〜18歳1,190人)
  13. Takei S, et al. Developmental stage and flexibilities are predictive risk factors for Osgood-Schlatter disease in adolescent male soccer players. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2023;31(8):3330-3338.(12〜13歳の男子サッカー選手)
  14. Otoshi K, et al. Age-specific prevalence of humeral medial epicondyle apophysitis and osteochondritis dissecans. Orthop J Sports Med. 2017;5(5).(6〜17歳4,249人)
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  18. Belikan P, et al. Incidence of calcaneal apophysitis (Sever's disease) and return-to-play in a German youth soccer academy. J Orthop Surg Res. 2022;17:83.(612人・10年)
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  30. 全日本柔道連盟「柔道の安全指導」2023年第6版. World Rugby. Concussion Guidance. August 2024. Kawasaki T, et al. Sports Med Open. 2023;9:95.(14,809タックル)
  31. 日本サッカー協会「脳振盪 グラスルーツ向け」/「育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期〜U-15)」2021年. Davis GA, et al. Pediatric sport-related concussion: Amsterdam Consensus Statement 2023. Pediatrics. 2024;153(1):e2023063489.
岡本隼人
岡本 隼人
Disport World 代表トレーナー/世田谷区・船橋フェニックス監督(2026年 全日本学童 第3位チーム)
JSPO-AT TPI Certified NASM-PES FMS SFMA

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPI認定(TPI Certified Fitness 2 / Power 2)。NASM-PES。FMS(2015年認定)・SFMA(2016年認定)。2022年から世田谷区・船橋フェニックスで学年チームの監督を務め、2026年は6年生チームで全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)第3位。プロ野球選手(赤羽由紘・東京ヤクルト、渡邊佳明・東北楽天)の指導実績。Disport World(六本木3-15-21 鶯ビルB1)代表。