先に結論を書きます。1mphは0.44704m/s(1.609344km/h)と決まっているので、mphに0.447を掛ければm/sになります。80mphは35.8m/s、100mphは44.7m/s、110mphは49.2m/sです。ボール初速をヘッドスピードで割った値がミート率で、ドライバーのツアー平均は1.49(TrackMan公表値)。ボール初速70m/sなら、ミート率1.45のときヘッドスピードは約48.3m/sです。飛距離は打ち出し角やスピンでも変わるため、この記事では自前の推定式を使わず、TrackManが公表している平均値だけで目安を示します。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、TPI認定(Fitness 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、ゴルファーの身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。ゴルフの身体づくり(記事一覧・体験)→
・1mph=0.44704m/s(定義値)。m/s=mph×0.44704、mph=m/s÷0.44704(約2.237倍)。80mph=35.8m/s、90mph=40.2m/s、100mph=44.7m/s、110mph=49.2m/s
・ミート率=ボール初速÷ヘッドスピード。ヘッドスピード=ボール初速÷ミート率で逆算できる。ボール初速70m/sなら、ミート率1.40〜1.50でヘッドスピードは46.7〜50.0m/s
・TrackMan公表値(2024年):PGAツアー平均はクラブスピード115mph(51.4m/s)・ボール初速171mph・キャリー282ヤード。平均的な男性アマ(HC14.5)は94mph(42.0m/s)・133mph・ミート率1.44
・TrackManは「クラブスピード1mphで最大約3ヤード、ボール初速1mphで最大約2ヤード」としている。飛距離は打ち出し角とスピンでも変わるので、1つの式で決めつけない
・計測器の比較研究では、ボール初速は機器どうしでほぼ一致し、ヘッドスピードは機器によって数mphずれた(Leach ら、2017)。比べるなら同じ機器で、ボール初速を軸に
ヘッドスピードのmphとm/sはどう換算する?——1mph=0.44704m/s
mphをm/sにするには、0.44704を掛けます。逆にm/sをmphにするには、0.44704で割ります(約2.237倍)。この0.44704は概算ではなく、1マイルを1,609.344m、1時間を3,600秒と定めた定義から決まる値で、米国国立標準技術研究所(NIST)の換算表でも「正確な値」として載っています。
mphは「マイル毎時」、m/sは「メートル毎秒」、km/hは「キロメートル毎時」です。日本の練習場の計測器やゴルフ雑誌ではヘッドスピードをm/sで表すことが多く、TrackManなど海外の計測器メーカーが公表しているデータはmphで書かれています。同じスイングの速さを、違う物差しで測っているだけです。
よく調べられる数字を先に答えておきます。80mphは35.8m/s、85mphは38.0m/s、90mphは40.2m/s、95mphは42.5m/s、100mphは44.7m/s、110mphは49.2m/sです。km/hにするときは、mphに1.609344を掛けるか、m/sに3.6を掛けます。100mphは160.9km/hです。
| mph | m/s | km/h |
|---|---|---|
| 70mph | 31.3 | 112.7 |
| 75mph | 33.5 | 120.7 |
| 80mph | 35.8 | 128.7 |
| 85mph | 38.0 | 136.8 |
| 90mph | 40.2 | 144.8 |
| 95mph | 42.5 | 152.9 |
| 100mph | 44.7 | 160.9 |
| 105mph | 46.9 | 169.0 |
| 110mph | 49.2 | 177.0 |
| 115mph | 51.4 | 185.1 |
| 120mph | 53.6 | 193.1 |
| 125mph | 55.9 | 201.2 |
| 130mph | 58.1 | 209.2 |
暗算するなら「mphに0.45を掛ける」と覚えておくと、表の値とほぼ同じになります(100mph×0.45=45.0、正確には44.7m/s)。0.45は0.44704より少し大きいので、暗算の値は正確な値よりわずかに大きくなります。小数点以下まで比べたいときは、表か0.44704を使ってください。
換算でいちばん多い間違いは、単位を確かめないまま数字を比べることです。たとえば「ボールスピード70」が70m/sなのか70mphなのかで、意味はまったく変わります。70m/sは約156.6mphでツアープロに近いボール初速、70mphは約31.3m/sでドライバーとしてはかなり遅い速さです。計測器の画面や記事の数字を見るときは、まず単位を確かめてください。
m/sをmphに直すと?——日本の表示を海外の公表値と並べる
日本で一般的なm/sの数字をmphに直すと、海外の公表値と並べて見られるようになります。たとえば40m/sは89.5mph、42m/sは94.0mph、45m/sは100.7mphです。TrackManが公表している「平均的な男性アマチュア(ハンディキャップ14.5)」のドライバーのクラブスピード94mphは、42.0m/sにあたります。
下の表は、30〜60m/sを2m/sごとにmphとkm/hへ直し、近い値のTrackMan公表値(ドライバーのクラブスピード)を並べたものです。右の列は「その速さの人がその区分に属する」という意味ではなく、公表されている平均値の中で数字が近いものを示しています。
| m/s | mph | km/h | 近いTrackMan公表値(ドライバー) |
|---|---|---|---|
| 30m/s | 67.1 | 108.0 | — |
| 32m/s | 71.6 | 115.2 | — |
| 34m/s | 76.1 | 122.4 | — |
| 36m/s | 80.5 | 129.6 | 女性HC15(79mph) |
| 38m/s | 85.0 | 136.8 | 女性HC10(83mph)・女性HC5(87mph) |
| 40m/s | 89.5 | 144.0 | 女性スクラッチ(90mph) |
| 42m/s | 94.0 | 151.2 | 男性ボギー(92mph)・男性平均HC14.5(94mph)・男性HC10(95mph)・LPGAツアー平均(96mph) |
| 44m/s | 98.4 | 158.4 | — |
| 46m/s | 102.9 | 165.6 | 男性HC5(101mph) |
| 48m/s | 107.4 | 172.8 | — |
| 50m/s | 111.8 | 180.0 | 男性スクラッチ(110mph) |
| 52m/s | 116.3 | 187.2 | PGAツアー平均(115mph) |
| 54m/s | 120.8 | 194.4 | — |
| 56m/s | 125.3 | 201.6 | — |
| 58m/s | 129.7 | 208.8 | — |
| 60m/s | 134.2 | 216.0 | — |
表から分かるのは、男性アマチュアの平均(94mph=42.0m/s)とLPGAツアーの平均(96mph=42.9m/s)がほぼ同じ速さだということです。それでも飛距離には差があり、その理由は4本目の見出しで扱います。年代別・男女別の平均値や、日本の調査の数字はヘッドスピードの年代別平均にまとめているので、ここでは繰り返しません。
なお、TrackManの「クラブスピード」は、ボールに当たる直前のクラブヘッドのフェース中心(幾何学的な中心)の速さと定義されています。ヘッドスピードと呼ばれることが多い数字ですが、どこの速さを、いつ測ったものかは機器によって違います。これが5本目の見出しの「機器で数字が違う」話につながります。
ボール初速からヘッドスピードは分かる?——ミート率で逆算する
ボール初速だけでは、ヘッドスピードは1つに決まりません。ただし、ミート率が分かれば逆算できます。ミート率(スマッシュファクター)はボール初速をクラブスピードで割った値なので、ヘッドスピード=ボール初速÷ミート率です。
TrackManの公表値では、ドライバーのミート率はPGAツアー・LPGAツアーとも平均1.49、平均的な男性アマチュアは1.44です。TrackManは、ドライバーでは1.50に近い値を目指すべきだとしています。たとえばボール初速70m/sの場合、ミート率1.50ならヘッドスピードは46.7m/s、1.45なら48.3m/s、1.40なら50.0m/sです。同じボール初速でも、当たり方によって必要なヘッドスピードは3m/s以上違います。
| ボール初速(m/s) | ボール初速(mph) | ミート率1.40 | ミート率1.45 | ミート率1.50 |
|---|---|---|---|---|
| 50m/s | 111.8 | 35.7m/s | 34.5m/s | 33.3m/s |
| 55m/s | 123.0 | 39.3m/s | 37.9m/s | 36.7m/s |
| 60m/s | 134.2 | 42.9m/s | 41.4m/s | 40.0m/s |
| 65m/s | 145.4 | 46.4m/s | 44.8m/s | 43.3m/s |
| 70m/s | 156.6 | 50.0m/s | 48.3m/s | 46.7m/s |
| 75m/s | 167.8 | 53.6m/s | 51.7m/s | 50.0m/s |
| 80m/s | 179.0 | 57.1m/s | 55.2m/s | 53.3m/s |
表の読み方を補足します。ボール初速50m/sならヘッドスピードは約33.3〜35.7m/s、65m/sなら約43.3〜46.4m/s、75m/sなら約50.0〜53.6m/sです。自分のミート率が分からないときは、真ん中の1.45の列を目安にしてください。ミート率は計算で出せるので、計測器にボール初速とヘッドスピードの両方が出るなら、ボール初速÷ヘッドスピードで自分の値を確かめられます。
ミート率は、クラブによって目安が違います。TrackManの公表値では、6番アイアンのミート率はPGAツアー平均で1.39、ピッチングウェッジは1.25に近い値が目安とされています。ドライバーの1.45や1.50をアイアンやウェッジにそのまま当てはめて逆算すると、ヘッドスピードを低く見積もってしまいます。
ミート率を決めるのは、主に「どこに、どんな向きで当たったか」です。21名の男性ゴルファーのドライバーショットを計測した研究では、インパクトの瞬間のヘッドの速さ・向き・軌道・芯からのずれで、ボール初速を含む打ち出し直後の弾道のばらつきの大部分が説明できました(調整済み決定係数0.71〜0.82、Sweeney ら、2013)。また、R&Aの研究者が男女285名を調べた研究では、ハンディキャップの低いゴルファーほどヘッドスピードとミート率(論文では「効率」)が高く、1球ごとのヘッドスピード・ミート率・当たる位置のばらつきが小さいことが報告されています(Betzler ら、2012)。
計測器の数字が教えてくれるのは「どれだけ速いか」までです。股関節や胸椎の回旋、片脚バランスなど16項目を実測し、左右に分かれる項目は両側とも測って、どの身体の制限がスピードの上限になりやすいかをレポートPDFにしてお渡しします。
TPIフィジカルアセスメントの詳細を見るその数字でどのくらい飛ぶ?——TrackMan公表値で見る飛距離の目安
ヘッドスピードやボール初速から飛距離を1つの式で出すことはできません。同じボール初速でも、打ち出し角とスピン量で飛距離は変わるからです。そこでこの記事では、TrackManが公表している平均値を、そのまま並べて目安にします。
TrackManの公表値(2024年)では、PGAツアーのドライバー平均はクラブスピード115mph(51.4m/s)、ボール初速171mph(76.4m/s)、キャリー282ヤード(257.9m)。LPGAツアーは96mph(42.9m/s)、143mph(63.9m/s)、キャリー223ヤード(203.9m)です。キャリーは、打った地点から、ボールが打った高さと同じ高さまで落ちてきた地点までの直線距離と定義されていて、転がりは含みません。
| 区分 | クラブスピード | ボール初速 | ミート率(公表値) | キャリー |
|---|---|---|---|---|
| PGAツアー平均 | 115mph(51.4m/s) | 171mph(76.4m/s) | 1.49 | 282yd(257.9m) |
| LPGAツアー平均 | 96mph(42.9m/s) | 143mph(63.9m/s) | 1.49 | 223yd(203.9m) |
| 男性 スクラッチ以上 | 110mph(49.2m/s) | 161mph(72.0m/s) | 1.49 | 公表ページに記載なし |
| 男性 HC5 | 101mph(45.2m/s) | 147mph(65.7m/s) | 1.45 | 公表ページに記載なし |
| 男性 HC10 | 95mph(42.5m/s) | 138mph(61.7m/s) | 1.45 | 公表ページに記載なし |
| 男性 平均(HC14.5) | 94mph(42.0m/s) | 133mph(59.5m/s) | 1.44 | 公表ページに記載なし |
| 男性 ボギーゴルファー | 92mph(41.1m/s) | 131mph(58.6m/s) | 1.43 | 公表ページに記載なし |
| 女性 スクラッチ以上 | 90mph(40.2m/s) | 131mph(58.6m/s) | 1.46 | 公表ページに記載なし |
| 女性 HC5 | 87mph(38.9m/s) | 125mph(55.9m/s) | 1.45 | 公表ページに記載なし |
| 女性 HC10 | 83mph(37.1m/s) | 119mph(53.2m/s) | 1.44 | 公表ページに記載なし |
| 女性 HC15 | 79mph(35.3m/s) | 111mph(49.6m/s) | 1.41 | 公表ページに記載なし |
表のミート率は、TrackManが公表している値をそのまま載せています。平均のボール初速を平均のクラブスピードで割ると、公表のミート率と小数第2位で少しずれる区分があります(男性スクラッチ以上なら161÷110=1.46)。1球ごとのミート率の平均と、平均どうしの割り算は一致しないためで、どちらかが誤りというわけではありません。
TrackManは、ドライバーではクラブスピードが1mph上がると飛距離が最大で約3ヤード、ボール初速が1mph上がると最大で約2ヤード伸びるとしています。1m/sは約2.237mphなので、この値を単位だけ直すと、クラブスピード1m/sで最大約6.7ヤード、ボール初速1m/sで最大約4.5ヤードの計算になります。ただし、どちらも「最大で」という条件つきで、打ち出しが合っていることが前提です。
表でもう1つ見てほしいのは、LPGAツアーの平均(96mph)と平均的な男性アマチュア(94mph)のクラブスピードがほぼ同じなのに、ボール初速は143mphと133mphで10mphの差があることです。TrackManは、クラブスピードだけで見れば男性アマチュアはLPGAの選手と同じくらい飛ぶはずなのに、実際にはキャリーに20ヤード以上の差があり、その理由をボール初速・打ち出し角・スピン量の違いだとしています。TrackManの最適化の基準でも、クラブスピード94mph・アタック角0度なら、ボール初速は137mphになるとされています(公表平均の133mphより4mph速い)。
つまり、ヘッドスピードは飛距離の「上限」に近いもので、上限をどれだけ使えるかはミート率と打ち出し条件で決まります。表のキャリーは、ツアー選手のように当たり、打ち出しが合っているときの数字です。自分のヘッドスピードを表に当てはめて「これだけ飛ぶはず」と考えるのではなく、自分のボール初速とキャリーを同じ計測器で測り、表との差がどこから来ているかを見るのが正しい使い方です。飛距離が決まる要素の全体と、どこから取り戻すかはゴルフの飛距離を伸ばす方法にまとめています。
同じスイングでも計測器で数字が違うのはなぜ?
計測器ごとに数字が違うのは、測っている場所と測り方が違うからです。比較研究では、ボール初速は機器どうしでほぼ一致しましたが、ヘッドスピードは機器によって数mphずれました。違う機器の数字を比べるなら、ボール初速を軸にしてください。
Leach らは、右打ちのゴルファー8名がドライバー・7番アイアン・ウェッジで打った240球を、レーダー式のTrackMan Pro IIIe、カメラ式のForesight GC2+HMT、基準にした高速カメラの3つで同時に計測し、数字を比べました(2017)。結果は次のとおりです。
| 項目 | TrackMan Pro IIIe | Foresight GC2+HMT | 読み方 |
|---|---|---|---|
| ボール初速(全クラブ・中央値) | +0.2mph | +0.2mph | どちらも基準とほぼ同じ |
| ヘッドスピード(全クラブ・中央値) | −1.1mph | +2.8mph | 向きも大きさも機器で違う |
| ヘッドスピード(ドライバー・中央値) | −0.4mph | +3.9mph | ドライバーで差が大きい |
| ヘッドスピードが基準の±1mph以内に入った割合 | 54% | 29% | ヘッドの数字はボールよりぶれる |
ボール初速は、どちらの機器も基準との差の中央値が0.2mphで、ほぼ一致しました。一方、ヘッドスピードはTrackManが基準より小さめ、Foresightが大きめに出る傾向があり、ドライバーでは差の中央値が−0.4mphと+3.9mphでした。研究者は、ボールの数字は研究にも使える精度だが、ヘッドの数字の扱いには注意が要るとまとめています。レッスンやクラブ選びに使う分には、どちらも十分な品質だという結論です。
ヘッドの数字がずれやすい理由として、研究者は「ヘッドのどこの速さを測るか」を挙げています。インパクト直前のヘッドは進みながら回転しているため、ドライバーのフェースのヒール側とトウ側では、速さが最大12.8mph(約5.7m/s)違うことがあると紹介されています。重心の速さを直接測れる市販の計測器はなく、各機器はヘッド表面のどこかの点の速さを測っている、というのが研究者の説明です。
この差は、ミート率にもそのまま出ます。研究のドライバーの平均値(基準の計測でボール初速146.2mph、ヘッドスピード100.8mph)で計算すると、ミート率は1.45です。ヘッドスピードが3.9mph大きく表示される機器なら、同じショットでもミート率は1.40と表示される計算になります。ミート率の小数第2位の違いは、スイングではなく機器の違いで生まれることがあります。
この研究で使われたのは2017年当時の機種で、今の機種や、日本の練習場にある計測器の精度をそのまま表すものではありません。ただ、「ボールの数字はそろいやすく、ヘッドの数字はずれやすい」という傾向と、その理由(測る場所と時点の違い)は、機器を比べるときの手がかりになります。
自分の数字はどう読む?——比べる前にそろえる4つのこと
自分の数字を平均や過去の自分と比べる前に、単位・機器・クラブ・球数をそろえてください。そのうえでミート率を出すと、伸びしろが「当て方」にあるのか「速さ」にあるのかを切り分けられます。全体の進め方はゴルフの飛距離を伸ばす方法で扱っています。
単位をそろえる
m/sとmphが混ざったまま比べないこと。海外の公表値と比べるなら、自分の数字を0.44704で割ってmphにするか、公表値に0.44704を掛けてm/sにします。km/hで表示される機器もあるので、画面の単位を最初に確かめます。
同じ機器・同じクラブ・同じ場所で比べる
ヘッドスピードは機器によって数mphずれることがあります。「練習場の機器では速く、別の機器では遅かった」という差は、スイングの変化とは限りません。過去の自分と比べるときは、同じ機器・同じクラブで測った数字どうしで比べます。機器が変わったときは、ずれにくいボール初速を軸にします。
1球ではなく、複数球の平均で見る
ハンディキャップが高いほど、1球ごとのヘッドスピードやミート率のばらつきが大きいことが報告されています。いちばん良かった1球ではなく、何球か打った平均で見ると、日による差に振り回されません。
ミート率で「当て方」と「速さ」を分ける
ボール初速÷ヘッドスピードでミート率を出し、TrackManの公表値(男性平均1.44、ツアー平均1.49)と比べます。ミート率が低ければ当て方やクラブの側に、ミート率が高いのにヘッドスピードが低ければ、速さの上限そのもの、つまり身体の側に伸びしろがあります。
| 同じ機器での数字のパターン | 考えられること | 次に見るところ |
|---|---|---|
| ヘッドスピードは平均並み、ミート率が低い | 芯で捉える・当て方の損失が大きい | スイングの技術・クラブのフィッティング(レッスンプロ・フィッターの領域) |
| ミート率は高い、ヘッドスピードが平均より低い | 持っているスピードは使えている。上限そのものが低い | 身体の可動域・安定性・パワー(トレーニングの領域) |
| ボール初速は十分、キャリーが伸びない | 打ち出し角・スピン量が合っていない | 打ち出し条件とクラブ(計測できる場所で確認) |
| 日によって数字が大きくぶれる | 当たる位置やスイングのばらつき | 複数球の平均で見る。身体の安定性も確かめる |
ミート率が平均以上なのにヘッドスピードが伸びない場合は、身体の側を確かめる番です。トレーニングで何m/s上がるかを研究から整理したヘッドスピードを上げるトレーニング、可動域から筋力・パワーへ進む順番をまとめたゴルフのトレーニングは何から始めるか、回旋のパワーを扱う体幹と回旋パワーが次に読む記事です。50代で数字が落ちてきた方は50代で飛距離が落ちた原因、女性の方は女性ゴルファーの飛距離アップも参考にしてください。
右打ちの方を前提にすると、ダウンスイングからフォローで体重を受け止めるのはリード側(左脚)です。数字が日によって大きくぶれる方は、スイングだけでなく、左脚で身体を支えられているかも確かめてください。左打ちの方は左右を逆にして読んでください。
現場で見えていること
当店のTPIフィジカルアセスメントで実測するのは、ヘッドスピードではなく身体の16項目です。股関節や胸椎の回旋、片脚で立ったときの安定性など、左右に分かれる項目は両側とも測ります。ご相談の場では、「練習場の計測器では◯m/sと出たのに、別の場所では違った」「ボール初速は出ているのに飛ばない」といった、数字の読み方そのものの話になることがよくあります。その多くは、この記事の4つのそろえ方で整理できます。
数字をそろえて読んだうえで、ミート率は悪くないのにヘッドスピードが伸びないという方を測ると、回旋の可動域が片側だけ足りない、片脚で立つと身体が揺れる、といった身体の制限が見つかることがあります。計測器の数字は「どれだけ速いか」を教えてくれますが、「なぜその速さで止まっているか」は教えてくれません。だから当店では、まず今の身体を測ることをすすめています。著者欄の岡本自身の数字にも、計測した機器の名前を添えています。TPIの考え方と、PGAツアーの選手の実例はTPIトレーニングについてで紹介しています。
よくある質問
ヘッドスピード80mphは何m/sですか?
約35.8m/sです(80×0.44704=35.76)。同じように、90mphは40.2m/s、95mphは42.5m/s、100mphは44.7m/s、110mphは49.2m/sです。暗算ならmphに0.45を掛けるとほぼ同じ値になります。
ヘッドスピード40m/sは何mphですか?
約89.5mphです(40÷0.44704)。TrackManの公表値では、女性のスクラッチ以上の平均(90mph)に近く、平均的な男性アマチュア(94mph=42.0m/s)より少し遅い速さです。年代別の平均は別の記事にまとめています。
ボール初速70m/sならヘッドスピードはいくつですか?
ミート率によって46.7〜50.0m/sの幅があります。ヘッドスピード=ボール初速÷ミート率なので、1.50なら46.7m/s、1.45なら48.3m/s、1.40なら50.0m/sです。70が70mphなら約31.3m/sで意味が大きく変わるので、まず単位を確かめてください。
ドライバーのミート率の目安はいくつですか?
TrackManの公表値では、PGAツアー・LPGAツアーの平均がともに1.49、平均的な男性アマチュアが1.44です。TrackManはドライバーでは1.50に近い値を目指すべきだとしています。アイアンやウェッジは目安が低く、ピッチングウェッジは1.25前後とされています。
ヘッドスピードが1m/s上がると何ヤード伸びますか?
TrackManは、ドライバーのクラブスピード1mphで最大約3ヤードとしています。1m/sは約2.237mphなので、単位を直すと最大約6.7ヤードの計算です。ただし「最大で」という条件つきで、ミート率と打ち出し条件が合っていることが前提です。
計測器によってヘッドスピードが違うのはなぜですか?
ヘッドのどこの速さを、いつ測るかが機器によって違うためです。2台の計測器を比べた研究では、ボール初速の差は中央値0.2mphでしたが、ヘッドスピードは−1.1mphと+2.8mphで、向きも大きさも違いました。比べるときは同じ機器の数字どうしで、機器が変わったらボール初速を軸にしてください。
TPI測定のご案内
換算表で数字をそろえ、ミート率で切り分けると、伸びしろが「当て方」にあるのか「速さ」にあるのかが見えてきます。速さの側にあるなら、次は身体です。TPIフィジカルアセスメントでは、16項目を実測して、どの身体の制限がスイングのどの特徴と結びつきやすいかをお伝えします。16項目の中身はTPI診断16項目の解説に、TPIそのものについてはTPIとはにまとめています。まず動いて確かめたい方は、体験セッションのご案内もご覧ください。
TPI Physical Assessment
数字が止まっている理由を
身体の側から測る90分
TPIの16項目を実測し、どの身体の制限がどのスイング特性と結びつきやすいかを評価レポート+プログラムPDFにまとめてお渡しします。単発で完結し、入会は不要です。
まず動いて確かめたい方は、体験トレーニング(90分・¥15,000/毎月先着3名さま¥7,500)もお選びいただけます(先着枠は毎月1日起算、定員後は通常¥15,000)。
ウェア・タオル無料 | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分
主な参考(タップで開く)
- National Institute of Standards and Technology(NIST). NIST Guide to the SI, Appendix B.9: Factors for units listed by kind of quantity or field of science(Special Publication 811).(mile per hour=0.44704 m/s・1.609344 km/h、yard=0.9144 m。いずれも正確な値)
- Trackman. What is Club Speed(2024).(クラブスピードの定義、PGAツアー115mph・LPGAツアー96mph、男女アマチュアのハンディキャップ別平均、1mphで最大約3ヤード)
- Trackman. What is Ball Speed(2024).(PGAツアー171mph・LPGAツアー143mph、男女アマチュアのハンディキャップ別平均、1mphで最大約2ヤード、94mph・アタック角0度で137mph)
- Trackman. What is Smash Factor(2024).(ミート率の定義、ツアー・アマチュアの平均、ドライバーは1.50近く・PWは1.25近くが目安)
- Trackman. What is Carry(2024).(キャリーの定義、PGAツアー282ヤード・LPGAツアー223ヤード、男性アマとLPGAの20ヤード以上の差)/Trackman. Introducing Updated Tour Averages(2024).
- Leach RJ, Forrester SE, Mears AC, Roberts JR. How valid and accurate are measurements of golf impact parameters obtained using commercially available radar and stereoscopic optical launch monitors? Measurement. 2017;112:125-136. doi:10.1016/j.measurement.2017.08.009(右打ちゴルファー8名・240球)
- Betzler NF, Monk SA, Wallace ES, Otto SR. Variability in clubhead presentation characteristics and ball impact location for golfers' drives. J Sports Sci. 2012;30(5):439-448.(男女285名)
- Sweeney M, Mills P, Alderson J, Elliott B. The influence of club-head kinematics on early ball flight characteristics in the golf drive. Sports Biomech. 2013;12(3):247-258.(男性ゴルファー21名)

