疲労骨折は、転んだり、ぶつけたりしなくても起きます。日本の病院の記録では高校1年生の年齢に多く、すねの骨が半分近くを占めていました。きっかけとして挙げられているのは、練習量が急に増えることと、入学や進級で練習の環境が変わることです。この記事では、医療の資料に書かれていることを保護者の方向けに整理し、受診の目安を表にしました。診断の代わりにはなりません。気になる痛みがあれば、まず整形外科で診てもらってください。
この記事は、六本木の完全個室パーソナルジム Disport World で、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の岡本隼人が、成長期の子どもの身体を実際に測ってきた経験から書いています。扱うのは医療の判断ではなく、受診につなげる気づき方と、医師に運動を許可されたあとの身体づくりです。ジュニアプログラム(小1〜中3)の内容→
・疲労骨折は、同じ場所に小さな力が繰り返しかかって骨にひびが入るもの。短い期間に集中して練習したときに多い(日本スポーツ整形外科学会の一般向け資料)
・日本の病院の20年分の記録(下肢624件)では15〜17歳が山で、16歳が全体の24%。部位はすねの骨(脛骨)が46%で最も多く、足の甲の骨(中足骨)、すねの外側の骨(腓骨)と続いた
・目安は「けがをした覚えがないのに、骨の上の一点が押すと痛く、それが続く」。シンスプリント(すねの内側が縦に広く痛む)と区別が必要で、判断は医師がする
・練習時間の目安は公的に示されている。学校の部活動は週2日以上の休養日、平日2時間・休日3時間程度(スポーツ庁・文化庁)
・当店は診断も治療も行いません。役割は、医師に運動を許可されたあとの身体づくりと、予防のための評価です
成長期の疲労骨折とは、どんなけが?
結論から言うと、疲労骨折は「1回の大きな衝撃」ではなく「小さな力の繰り返し」で骨にひびが入るけがです。日本スポーツ整形外科学会の一般向け資料は、同じ部位に繰り返し加わる小さな力で起き、短期間に集中して練習したときに多いと説明しています。
転んだ、ぶつけた、という覚えがないのが特徴です。そのため本人も周りも「疲れがたまっているだけ」「筋肉痛が長引いている」と考えやすく、練習を続けてしまうことがあります。日本整形外科学会の運動器検診のFAQには、痛みを抱えたまま続けて、手術が必要になるところまで疲労骨折が進んだ例が挙げられています。
成長期の骨には、骨が長く伸びる部分(骨端線、成長軟骨板)があり、大人とは弱いところが違います。また、カナダで子どもの骨を追った研究の抄録では、身長が最も伸びる時期をはさむ思春期の4年間に、全身と腰の骨の骨塩量(骨のミネラルの量)の35%を超える分が蓄えられると報告されています。身長が伸びる時期と、骨が中身を蓄えていく時期が重なっているということです。ただし「この時期は骨が一時的に弱い」という説明そのものは、仮説の段階にとどまります。
なお、腰の骨に起きる疲労骨折は「腰椎分離症」と呼ばれ、反る・ひねる動作の繰り返しで起きます。2週間以上続く腰痛は受診の目安です。この記事では、腰以外の、すね・足の疲労骨折を中心に扱います。腰の疲労骨折は子どもの腰椎分離症で詳しく説明しています。
中学生・高校生では、何歳で、どこに多い?
結論として、日本の記録では高校生の年齢、とくに16歳(高校1年)に多く、部位はすねの骨が最も多いと報告されています。日本臨床スポーツ医学会の提言(2002年)が、関東労災病院スポーツ整形外科の20年間の下肢の疲労骨折624件をまとめています。
| 項目 | 資料に書かれていること | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| 多い年齢 | 15〜17歳が山。16歳(高校1年)が男女とも全体の24% | 1つの病院の、受診した人の記録。全国の発生率ではない |
| 多い部位 | すねの骨(脛骨)46%。次に足の甲の骨(中足骨)、すねの外側の骨(腓骨) | 下肢(脚)だけの集計。腰(腰椎分離症)は含まない |
| 治りにくいもの | 脛骨の跳躍型、第5中足骨(足の甲の小指側)、舟状骨(足の甲の内側)は治りにくく、手術になることもある | どの型かは画像の検査で医師が判断する |
| きっかけ | 急な練習量の増加、環境の変化 | 高校1年は入部・進学と重なる時期 |
16歳に多い理由について、提言は急な練習量の増加や環境の変化を誘因に挙げています。中学の部活を引退して数か月走らなかった身体で、高校の練習量にいきなり合わせる。練習場所や路面、シューズが変わる。そうした変化が一度に来るのが、この時期です。
中学生でも起きないわけではありません。上の数字は高校生の年齢が山だという意味で、中学生が安全だという意味ではありません。小学生の場合も、すねや足の甲の一か所が痛み続けるときは疲労骨折を疑うよう、医療の資料は書いています(小学生の走る力の伸ばし方は小学生の足が速くなる方法にまとめています)。
シンスプリントとは、どう違う?
結論は「痛む範囲の広さ」が見分けの手がかりの1つですが、判断するのは医師です。日本スポーツ整形外科学会の資料では、シンスプリントはすねの内側の中央から下3分の1あたりが縦長に広く痛むもので、一か所に限った強い痛みが続く場合は疲労骨折との区別が必要としています。
| シンスプリント | 疲労骨折 | |
|---|---|---|
| 痛む場所 | すねの内側、中央から下3分の1あたり | すね、足の甲、すねの外側など。骨の上の一点 |
| 痛み方 | 運動中・運動後に、縦長に広く痛む | 押すと一点が痛む。慢性的に続く |
| 多い人 | 中学・高校の陸上中長距離・サッカー・バスケ。とくに新入部員 | 高校生の年齢、とくに16歳 |
| 資料にある原因 | 走る量・質の急な変化、扁平足、足首の硬さ、硬い路面、すり減った靴 | 同じ部位への小さな力の繰り返し。急な練習量の増加、環境の変化 |
表を見ると分かるとおり、2つは起きる人も、きっかけも似ています。「広く痛いからシンスプリントだろう」と家庭で決めるのは危険です。見分けは、診察や画像の検査で医師が行います。痛みが続くなら、自己判断で練習を続けず受診してください。陸上・サッカー・バスケットボールなど、競技ごとに多い痛みは成長期のスポーツ別けが一覧にまとめています。
対象は小学1年生〜中学3年生です。姿勢、関節の可動域、筋力バランス、ジャンプとホップ、動作パターンを測り、どこに負担が集まりやすいかを確かめます。担当は基本的に代表の岡本隼人(JSPO-AT)。結果はその場で保護者の方に直接ご説明します。痛みがある場合は、受診を先にしてください。無理な勧誘はいたしません。
LINEで空き状況を確認するなぜ起きる?練習量・環境の変化・女子の注意点
結論として、資料が共通して挙げているのは「量」と「変化」です。どれだけ練習したかに加えて、どれだけ急に増やしたか、何が変わったかが問われます。
練習量については、日本体育協会(現・日本スポーツ協会)が2017年にまとめたジュニア期のスポーツ活動時間の文献研究が、2つの調査を紹介しています。1つは日本各地の20歳未満の208人の調査で、疲労骨折で来院した選手の71.3%が週6日以上運動していたというものです。もう1つは米国ボストンの11〜17歳の女子5,461人の調査で、週16時間以上運動している女子は疲労骨折が約2倍だったというものです。どちらも関連を示した調査で、練習時間だけが原因だと決めたものではありません。
環境の変化には、次のようなものがあります。シンスプリントの資料に挙げられている要因と重なります。
練習量が急に増える
入部、進学、合宿、大会前の追い込み。休んでいた期間のあとに、いきなり元の量に戻すのも同じです。
走る量や質が変わる
距離が延びる、スピード練習が増える、坂道や階段のメニューが加わる。資料は「走る量・質の急な変化」を原因に挙げています。
路面と靴が変わる
土のグラウンドから舗装路やトラックへ。すり減ったままの靴。硬い路面とすり減った靴は、シンスプリントの資料に原因として書かれています。
足と足首の状態
同じ資料は、扁平足と足首の硬さも挙げています。足首が硬いと、着地の衝撃を受け止める動きが小さくなります。
女子の疲労骨折については、上の米国の調査のように練習時間との関連が報告されています。成長期の食事全般についてはジュニアアスリートの栄養管理で整理しています。食事や体重、体調の変化で気になることがあれば、運動の工夫より先に小児科などの医療機関に相談してください。
受診の目安は?——すぐ整形外科へ行きたいサイン
結論として、「けがの覚えがない痛みが、同じ場所に続いている」なら、練習を続ける前に整形外科を受診してください。家庭で疲労骨折かどうかを決めることはできません。次の表は、医療の資料に書かれている目安を整理したものです。
| こんな様子 | 資料での扱い |
|---|---|
| 明らかなけががないのに、骨の上の一点が慢性的に痛む | 疲労骨折を疑う目安(日本スポーツ整形外科学会) |
| すねや足の痛みが続く | 疲労骨折の目安(日本臨床スポーツ医学会) |
| 一か所に限った強い痛みが続く | シンスプリントとの区別が必要(日本スポーツ整形外科学会) |
| 運動量を減らしても良くならない | 受診を(日本小児整形外科学会) |
| 腫れている、足を引きずる、体重をかけられない | けがや別の病気も考える。受診を(日本小児整形外科学会ほか) |
| 運動していないときも痛い、朝まで痛みが残る、だんだん強くなる | 使いすぎ以外の原因も考える。受診を |
| 熱がある、だるい、体重が減る | 全身の病気の可能性。早めに受診を |
| 2週間以上続く腰痛、反らすと腰が痛い | 腰椎分離症(腰の疲労骨折)の目安 |
練習量は、どのくらいを目安にすればいい?
結論として、公的に示されている目安があります。学校の部活動について、スポーツ庁・文化庁のガイドライン(2022年12月)は、週2日以上の休養日(平日1日以上・週末1日以上)と、平日2時間程度・休日3時間程度の活動時間を示しています。
また、日本体育協会の2017年の文献研究は、ジュニア期のスポーツ活動時間の望ましい目安として、週1〜2日の休養日と週16時間未満を挙げています。部活動に加えてクラブチームや個人練習をしている場合は、合計で見てください。
1週間の合計時間を書き出す
部活動、クラブ、自主練習、体育を含めて、1週間に何時間動いているかを書き出します。休養日が週に何日あるかも数えます。
「変わった時期」に印をつける
入部・進学・合宿・休み明けなど、量や環境が変わる時期を予定に書き込みます。資料が誘因に挙げているのはこの時期です。
痛みの記録を残す
どこが・いつ痛んだかを短く記録しておくと、同じ場所に続く痛みに早く気づけ、受診のときにも役立ちます。
練習を減らす判断は、チームや学校の方針もあり、家庭だけでは決めにくいものです。それでも、痛みが続いている状態で練習を続けさせないこと、医師に言われた制限を守ることは、保護者の方が守れる線です。休んだあとの戻し方は、医師や学校のトレーナーの指示に従ってください。
医師の許可のあと、身体づくりで何を見る?
結論として、当店の役割は、医師に運動を許可されたあと、同じ場所に負担が集まりにくい身体をつくることと、そもそも痛くなる前に身体の状態を測っておくことです。疲労骨折そのものを診たり、復帰の時期を決めたりはしません。
資料に挙げられている要因のうち、足首の硬さ、足の形、着地のしかた、左右の差は、身体の側から確かめられるものです。小学1年生〜中学3年生のジュニアプログラムでは、姿勢、関節の可動域、筋力バランス、ジャンプとホップの着地、しゃがむ・片脚で立つといった基本動作を測ります。どこが硬く、どこで踏ん張れていないかを把握しておくと、練習量が変わる時期にどこへ負担が集まりやすいかの見当がつきます。
高校生の場合は、学校の部活動のトレーナーや、受診先の医療機関の指示に沿って進めてください。この記事の練習量や受診の目安は、高校生にもそのまま当てはまる一般的な情報です。
※痛みがある状態で、筋力トレーニングやストレッチで様子を見ることはすすめません。痛みが続く場合は、まず整形外科を受診してください。運動の再開の時期と内容は、医師の判断に従ってください。
現場で見えていること
ここからは、成長期の子どもの身体を測ってきた中での傾向です。数字や個別の事例ではなく、気をつけて見ている点として読んでください。
1つ目は、「痛い」と言い出しにくい子がいることです。試合に出たい、外されたくない、心配をかけたくない。理由はいろいろですが、違和感を抱えたまま練習を続ける子は、外からは見えにくいものです。測る場では、痛みや違和感のある場所を最初に聞くようにしています。
2つ目は、練習量が変わる時期に、身体の準備が追いついていないことがある点です。休み明けや学年が上がるとき、足首の硬さや片脚での着地のぐらつきが残ったまま、量だけが増えることがあります。量を決めるのはチームですが、身体の状態を知っておくことは家庭でもできます。
3つ目は、痛みのある子を測るときは、トレーニングより受診を先にすすめることです。私たちは医療の判断をしません。気になるサインがあれば受診をおすすめし、医師の許可が出てから、身体づくりに進みます。野球の肘については少年野球の肘の痛みと予防、筋力トレーニングの考え方は野球少年の筋トレ完全ガイドにまとめています。
よくある質問
疲労骨折は中学生・高校生の何歳に多いですか?
日本の病院の20年分の下肢の疲労骨折624件の記録では、15〜17歳が山で、16歳(高校1年)が男女とも全体の24%でした。1つの病院の記録なので全国の発生率ではありませんが、入部・進学で練習量や環境が変わる時期と重なります。中学生や小学生でも起きることがあります。
疲労骨折はどこに多いですか?
同じ記録では、すねの骨(脛骨)が46%で最も多く、足の甲の骨(中足骨)、すねの外側の骨(腓骨)の順でした。腰の骨の疲労骨折は腰椎分離症と呼ばれ、別に扱われます。
シンスプリントと疲労骨折はどう見分けますか?
見分けるのは医師です。資料では、シンスプリントはすねの内側が縦長に広く痛むもので、一か所に限った強い痛みが続く場合は疲労骨折との区別が必要とされています。家庭で決めず、痛みが続くなら整形外科を受診してください。
痛いけれど走れるなら、練習を続けてもいいですか?
すすめません。けがの覚えがないのに同じ場所の痛みが続くなら、練習を続ける前に受診してください。痛みを抱えたまま続けて、手術が必要になるまで疲労骨折が進んだ例が、日本整形外科学会の資料に挙げられています。
練習時間はどのくらいが目安ですか?
学校の部活動は、週2日以上の休養日と、平日2時間程度・休日3時間程度が国のガイドラインの目安です。日本体育協会の文献研究は、ジュニア期の望ましい目安として週1〜2日の休養日と週16時間未満を挙げています。部活動とクラブを合わせた合計で見てください。
高校生も Disport World のジュニアプログラムを受けられますか?
ジュニアプログラムと90分の体験(Body Assessment)の対象は、小学1年生〜中学3年生です。この記事の受診の目安や練習量の考え方は、高校生にも当てはまる一般的な情報としてお読みください。
まずは90分、身体を測ることから
疲労骨折は、量と変化が重なったときに起きやすいけがです。痛みがあるなら受診が先。そのうえで、医師に運動を許可されたあと、あるいは痛くなる前に、足首の硬さや着地のぐらつき、左右の差を一度測っておくと、練習量が変わる時期の備えになります。Disport Worldの90分の体験では、小学1年生〜中学3年生のお子さまの身体を測り、結果はその場で保護者の方に直接ご説明します。
Body Assessment
練習量が変わる前に、
「今の身体」を90分かけて測る
対象は小学1年生〜中学3年生。担当は基本的に代表の岡本隼人。世田谷区・船橋フェニックスで学年チームの監督を務め、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として、成長期の身体機能を評価します。痛みがある場合は、受診を先にしてください。体験後に入会を決めていただく必要はなく、無理な勧誘はいたしません。
先着などの条件はありません。
完全個室 | 六本木駅5番出口徒歩4分 | 初回は保護者の方の同席をお願いしています | ジュニアプログラムの詳細
主な参考(タップで開く)
- 日本スポーツ整形外科学会(日本整形外科スポーツ医学会広報委員会 監修)「スポーツ損傷シリーズ8 疲労骨折」 PDF(要約して紹介)
- 日本スポーツ整形外科学会 監修「スポーツ損傷シリーズ15 シンスプリント」2009年12月作成 PDF(要約して紹介)
- 日本臨床スポーツ医学会「骨・関節のランニング障害に対しての提言」2002年(関東労災病院スポーツ整形外科・20年間の下肢の疲労骨折624件) PDF
- 日本小児整形外科学会スポーツ委員会「成長期のスポーツ障害 ―早期発見と予防のために―」2010年 PDF
- 日本小児整形外科学会「成長痛」2025年更新 ページ
- 日本整形外科学会「保護者・養護教諭・学校医向けFAQ(運動器検診)」 ページ
- 日本整形外科学会「腰椎分離症・分離すべり症」 ページ
- Nitta A, et al. Prevalence of symptomatic lumbar spondylolysis in pediatric patients. Orthopedics. 2016;39(3):e434-7(2週間以上の腰痛)
- 日本体育協会(現・日本スポーツ協会)「スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について(文献研究)」2017年(日本の20歳未満208人の調査、米国ボストンの11〜17歳女子5,461人の調査を紹介) PDF
- スポーツ庁・文化庁「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」2022年12月 PDF
- Bailey DA. The Saskatchewan Pediatric Bone Mineral Accrual Study: bone mineral acquisition during the growing years. Int J Sports Med. 1997;18 Suppl 3:S191-4(抄録で確認)
- Lehman PJ, Carl RL. Growing Pains: When to Be Concerned. Sports Health. 2017;9(2):132-138(夜の痛みと受診の目安)
- 「現場で見えていること」は、著者が成長期の子どもの身体を測ってきた中での一般的な傾向で、統計的な調査結果ではありません。


