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ゴルフ/TPIフィジカルアセスメント/Test 08

TPI Screen Library — Test 08

ブリッジ脚伸展テスト(Bridge with Leg Extension)——切り返しで腰が前に出る、お尻に力が入らない人が確かめること

ダウンスイングで腰がボールの側へ出る、前傾が起き上がる、ラウンドの後半に腰が張る。その背景には、片脚になったときにお尻が骨盤を支えきれない身体があることがあります。

2026.10.15 読了 約8分

こんなお困りごとはありませんか。レッスンで「腰が前に出ている」「伸び上がっている」と言われる。お尻に力を入れろと言われても、どこに力を入れればいいのか分からない。ラウンドの後半になると、腰や太ももの裏が張ってくる。このページでは、TPIの身体評価16項目の08番「ブリッジ脚伸展」が何を見るテストか、制限があるとどう見えるか、スイングにどう出やすいか、当てはまるときに何から始めるかをお伝えします。

書いているのは、六本木のパーソナルジム Disport World です。代表の岡本隼人は、TPI認定(Fitness 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の資格を持ち、TPI Screen(TPIの身体評価)を提供しています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。16項目の一覧(TPIフィジカルアセスメント)→

ブリッジ脚伸展テストは、何を見るテストか?

仰向けでお尻を持ち上げたブリッジの姿勢から片方の膝を伸ばし、残った片脚で骨盤を水平に保てるかを見るテストです。見るのは、お尻の筋肉(殿筋)が骨盤を支えられているか、太ももの裏や腰が代わりに頑張っていないか、の2つです。具体的には、骨盤の高さが左右でそろっているか、支える脚が震えていないか、太ももの裏や腰がつらないか、腰を反らせて高さを出していないかを確かめます。

TPIはこのテストを、骨盤・腰・体幹の安定、なかでもお尻の筋肉の働きを見るものと位置づけています。ゴルフでは、バックスイングで後ろの脚に、ダウンスイングで前の脚に乗り、その脚の上で骨盤を支えながら回ります。そのとき骨盤を下から支えるのがお尻です。お尻がうまく働かないと、腰や太ももの裏が代わりを務め、骨盤は前へ、横へと逃げやすくなります。可動域ではなく、支える力(安定性)を見るテストです。16項目の全体と、TPIそのものについてはTPIとはで解説しています。

ブリッジ脚伸展テストの姿勢のイメージ。仰向けで膝を立ててお尻を持ち上げ、腕は天井へ伸ばし、太ももの高さをそろえたまま片方の膝を伸ばして、骨盤を水平に保つ。図は右脚で支え、左脚を伸ばした例。骨盤を水平に保つ片方の膝を伸ばす腕は天井へ支える脚横から見た図
図:ブリッジ脚伸展テストの姿勢(イメージ)

制限があると、どう見えるか?

片脚にした瞬間に骨盤が傾く形と、骨盤は保てていても体のほかの場所が頑張っている形の、2通りで出ることが多いテストです。測っていると、次のような出方があります。

制限の主な見え方

・伸ばした脚の側の骨盤が下がる、骨盤がねじれる
・支えている脚が震える、骨盤が揺れる
・支えている脚の太ももの裏や、腰がつる・つりそうになる
・腰を反らせ、肋骨を開いて高さを出している
・左右で、保てる長さや保ち方の質が違う

骨盤が下がるのは、支えている脚の側のお尻(とくに骨盤の横を支える中殿筋)が、骨盤を水平に保ちきれていないサインとして読みます。太ももの裏や腰がつるのは、お尻が働く前に、太ももの裏や腰が先に働いて代わりを務めているサインです。股関節の前側が張っていて、お尻の働きが抑えられていることも考えます。

震えや軽い傾き、つりかけ、腰の反りが出ても、最後まで姿勢を保てる方もいます。この場合、お尻は働いているものの、片脚で骨盤を支え続ける持久力とコントロールがまだ足りない可能性を考えます。どこまで保てれば十分かは、出方の組み合わせと左右差を合わせて見るため、測定の場でご本人の動きを見ながらお伝えしています。

スイングには、どう出やすいか?

お尻と体幹が骨盤を支えきれないと、ダウンスイングで骨盤がボールの側へ突き出る、前傾の角度が崩れる、といった動きにつながる可能性があります。当たる場所のばらつきにも関わります。出方によって、スイングで出やすい傾向が分かれます。

01テストでの出方

骨盤が下がる・ねじれる

関わりやすい場面
ダウンスイング〜インパクト
スイングで出やすい傾向(可能性)
骨盤がボールの側へ出て伸び上がる(アーリーエクステンション)。前傾の角度が保てない(ロスオブポスチャー)

02テストでの出方

腰を反らせて高さを出す

関わりやすい場面
アドレス
スイングで出やすい傾向(可能性)
お尻ではなく腰の反りで構えを作り、腰の反りが強い構え(Sポスチャー)に寄りやすい

03テストでの出方

太ももの裏・腰がつる

関わりやすい場面
ラウンドの後半
スイングで出やすい傾向(可能性)
お尻の代わりに腰や太ももの裏で支え続けるため、後半に腰が疲れやすく、骨盤の安定が崩れやすい

04テストでの出方

震える・軽く傾く

関わりやすい場面
疲れてきたとき
スイングで出やすい傾向(可能性)
前半は保てても、疲れとともに切り返しで骨盤が前へ出やすくなる

左右で差がある場合は、弱い側がどちらの役割の脚かで出方が変わります。トレイル脚(目標と反対側の脚)のお尻は、トップで骨盤を支える側です。ここが働きにくいと、骨盤がトレイル側へ流れる(スウェー)、上体が起き上がる、切り返しで骨盤が前へ出る、の一因になりえます。リード脚(目標側の脚)のお尻は、インパクトで骨盤を支える側です。ここが働きにくいと、骨盤が目標側へ流れる(スライド)か前へ出る、あるいは乗り切れずに後ろ足に残る(ハンギングバック)が出やすくなります。右打ちならトレイル脚は右、リード脚は左で、左打ちは逆になります。

36人のゴルファーでTPIの身体テスト12項目と14のスイング特性の関係を調べた研究(Gulginら、2014年)では、統計的に関係が確かめられたのは前屈・ブリッジ・ディープスクワット・片脚立ちに関わる一部の組み合わせでした。その中に、ブリッジ(片側)とアーリーエクステンション、ロスオブポスチャーの組み合わせが挙がっています。ただ、人数の小さい研究で、1つのテストと1つのスイング特性が一対一で結びつくとまでは言えません。

ですから私たちは、このテストの結果だけでスイングの癖を決めつけません。16項目の組み合わせと、実際にお困りのスイングの動きを照らして読みます。14のスイング特性それぞれの意味は14のスイング特性の解説に、腰が前に出る動きはアーリーエクステンションの解説に書いています。

当てはまるとき、何から始めるか?

いきなりゴルフの構えで片脚に乗る練習はしません。お尻の働きを抑えているものを先にゆるめ、寝た姿勢でお尻から骨盤を支える感覚を作り、最後にアドレスの片脚へつなげる、という順に進めます。

1

股関節の前側をゆるめる(うつ伏せ・片膝立ち)

つりが出た方、姿勢を保てなかった方は、お尻の働きを抑えている股関節の前側の張りを先に落とします。終わったら、すぐに段階2の種目へつなげます。

2

お尻から骨盤を支える(仰向け・うつ伏せ)

両脚のブリッジから片脚のブリッジへ、震えずにできたら段階を上げます。太ももの裏や腰より先に、お尻が働く感覚を作ります。

3

ゴルフの構えで片脚に乗る(アドレス)

前傾の構えのまま片脚で支え、骨盤の高さと前傾の角度が変わらないかを確かめます。ここで崩れるなら、ひとつ前の段階に戻ります。

つりが出る方は段階1から、震えや軽い傾きの方は段階2のブリッジから入ります。どちらの場合も、可動域の問題ではなく支える力の問題として扱い、伸ばすだけで終わらせないようにしています。

代表的なエクササイズ5種

私たちがブリッジ脚伸展に制限が出た方に使う種目のうち、代表的な5つです。どれも痛みのない範囲で、ゆっくり行います。回数と負荷は、測った結果と体力に合わせて決めています。

1. 股関節前面のフォームローラー

段階1・前側をゆるめる|つりが出る方・保てなかった方
うつ伏せになり、太ももの前から股関節の前の下にフォームローラーを置いて、ゆっくり転がして張りを落とします。腰を反らせず、骨盤の骨には当てないように。速く転がしてなでるだけにせず、終わったらそのままブリッジの種目へ移ります。

2. ハーフニーリング股関節前面ストレッチ

段階1・前側をゆるめる|つりが出る方・保てなかった方
このテストでは、お尻を軽く締めて骨盤を少し後ろへ傾けたまま行い、腰を反らせて腰で伸ばさないことに気をつけます。やり方は01 骨盤前後傾のページで説明しています。

3. グルートブリッジの段階化

段階2・お尻から支える|出方を問わず
仰向けで両膝を立てた両脚のブリッジから始めます。足幅を狭める、片方の足はつま先だけ床に軽く触れる、片脚を伸ばして保つ、と震えずにできたら段階を上げます。片脚の段階では、足裏をつけた脚のかかとで床を押し、その脚のお尻で持ち上げます。腰を反らせて肋骨を開かないように。太ももの裏がつりそうなら、足をお尻に近づけます。

4. うつ伏せ殿筋アイソメトリック

段階2・お尻から支える|つりが出る方・骨盤が下がる方
うつ伏せで両脚を伸ばし、評価で弱かった側の膝を直角くらいに曲げます。先にお尻を締めてから、太ももを床からわずかに浮かせて止めます。太ももの裏より先にお尻が硬くなるのが目安です。高く上げようとして腰を反らないように。太ももの裏がつりそうなら、高さを下げます。

5. ゴルフ姿勢の片脚バランス(ミニバンド)

段階3・ゴルフの構えにつなげる|出方を問わず
膝の上にミニバンドを着けて、アイアンのアドレスを取ります。バンドを張ったまま、立つ脚のお尻の横で支えて、反対の脚を床からわずかに浮かせて保ちます。骨盤の高さと前傾の角度が変わらないかを鏡で確かめ、浮かせた脚を高く上げないように。壁の近くで行い、ふらつくときは壁や椅子に片手を添えます。

前傾が起き上がる動きはロスオブポスチャーの解説に、前の脚に乗り切れない動きはハンギングバックの解説に書いています。

測る現場で気をつけていること

ブリッジ脚伸展でよく見る補い方は、腰を反らせて高さを出すことです。見かけの高さがそろっていても、お尻ではなく腰で持ち上げていれば、このテストが見たいものは見えていません。そのため私たちは、「腰ではなくお尻で持ち上げる」こと、肋骨を閉じたままにすることを先に伝えてから測ります。

左右は、伸ばした脚ではなく、床で支えている脚の側のお尻として見ます。伸ばした脚の側の骨盤が下がるとき、働けていないのは反対側、つまり支えている側のお尻です。ここを取り違えると、エクササイズを多めに行う側が逆になります。

保っている途中でつったら、その時点で止めて記録します。無理はさせません。つりは、お尻が働く前に太ももの裏や腰が先に働いている大事な手がかりなので、そのまま記録します。つりがおさまったあとも痛みや違和感が残るときは、そこで測るのをやめます。

※このページのテストとエクササイズは、運動機能を確かめるためのもので、医学的な診断ではありません。腰や股関節、太ももの裏に痛み・しびれがある場合は、試さずに医療機関にご相談ください。

よくある質問

ブリッジ脚伸展テストは、自分でもできますか?

動きそのものは、仰向けで両膝を立ててお尻を持ち上げ、片方の膝を伸ばしてみると確かめられます。ただ、腰を反らせて高さを出していることや、骨盤のわずかな傾きは、自分では気づきにくいものです。横からスマートフォンで撮ると分かりやすくなります。腰や股関節、太ももの裏に痛み・しびれが出る場合は試さず、医療機関にご相談ください。

テスト中に太ももの裏がつるのは、なぜですか?

お尻が働く前に、太ももの裏や腰が先に働いて代わりを務めているサインとして読みます。股関節の前側の張りが、お尻の働きを抑えていることも考えます。つったらその場でやめ、太ももの裏を伸ばすだけで終わらせずに、股関節の前側をゆるめてからお尻を働かせる順に取り組みます。

お尻を鍛えれば、腰が前に出る動きは出なくなりますか?

そうなるとは限りません。お尻で骨盤を支えきれないと、腰が前に出る・前傾が崩れるといった動きにつながる可能性はありますが、同じ動きには股関節の動く範囲や、上体と下半身を分けて動かす力も関わります。私たちは16項目の組み合わせと、実際のスイングのお困りごとを照らして、何から始めるかを決めています。

TPI測定のご案内

お尻に力を入れようとしても入らない、腰が前に出る癖が戻ってしまうなら、お尻で骨盤を支えられるかを一度測ってください。TPI測定(TPIフィジカルアセスメント)では、ブリッジ脚伸展を含む16項目を測り、何から手を付けるかをその場でお伝えします。

TPI Physical Assessment

お尻で骨盤を支えられるかを、
16項目の中で確かめる90分

16項目を実測し、制限が出た項目とスイングの傾向の結びつきを、評価レポートとプログラムのPDFでお渡しします。単発で完結し、入会は不要です。

¥19,80090分・税込・入会不要

ウェア・タオル無料 | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分

主な参考(タップで開く)
  1. Titleist Performance Institute. The Bridge with Leg Extension Test(mytpi.com). https://www.mytpi.com/articles/screening/the-bridge-with-leg-extension-test
  2. Titleist Performance Institute. Early Extension/Loss of Posture/Hanging Back(mytpi.com). Early Extension・Loss of Posture・Hanging Back
  3. Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute (TPI) level 1 movement screens and golf swing faults. J Strength Cond Res. 2014;28(2):534-539. doi:10.1519/JSC.0b013e31829b2ac4
岡本隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified Fitness 2 / Power 2 NASM-PES FMS SFMA

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPI認定(Fitness 2/Power 2)。NASM-PES。FMS・SFMA認定。世田谷区の少年野球チーム「船橋フェニックス」の監督。TPIの認定は岡本個人の資格で、Disport WorldはTPIが運営・提携する施設ではありません。