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ゴルフ/TPIフィジカルアセスメント/Test 15

TPI Screen Library — Test 15

リーチ・ロール・リフトテスト(Reach, Roll & Lift)——背中が丸く胸を開けない、肩が横回りになる人が確かめること

構えで背中の上が丸まる。胸を張ろうとすると腰が反る。肩が横に回ってしまう。その背景には、背中の上部(胸椎)が伸びにくく、肩甲骨を支える筋肉が働きにくい身体があることがあります。

2026.10.15 読了 約7分

こんなお困りごとはありませんか。アドレスの写真を見ると、背中の上が丸い。「胸を張れ」と言われて張ると、今度は腰が反る。バックスイングで肩が横に回り、腕だけで上げている感じがする。このページでは、TPIの身体評価16項目の15番「リーチ・ロール・リフト」が何を見るテストか、制限があるとどう見えるか、スイングにどう出やすいか、当てはまるときに何から始めるかをお伝えします。

書いているのは、六本木のパーソナルジム Disport World です。代表の岡本隼人は、TPI認定(Fitness 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の資格を持ち、TPI Screen(TPIの身体評価)を提供しています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。16項目の一覧(TPIフィジカルアセスメント)→

リーチ・ロール・リフトテストは、何を見るテストか?

背中の上部(胸椎)を伸ばす動きと、肩甲骨まわりの動きと支え(広背筋の柔らかさ、肩甲骨を下から支える筋肉の働き)を、片腕ずつ見るテストです。正座からお尻をかかとに乗せたまま上体を前に倒し、片手の拳に額を乗せます。反対の腕を前へ伸ばし(リーチ)、手のひらを上に返し(ロール)、肘を伸ばしたまま床から持ち上げます(リフト)。左右の腕で行い、比べます。

お尻をかかとに乗せる姿勢は、腰と骨盤を動きにくくするためのものです。腰の反りで腕を上げることができないので、腕を上げるには肩甲骨のコントロールと胸椎の伸展が要ります。見るのは、肘を伸ばしたまま・手のひらを上に向けたまま上げられるかと、どんな補い方をしているかです。16項目の全体と、TPIそのものについてはTPIとはで解説しています。

リーチ・ロール・リフトテストの姿勢のイメージ。お尻をかかとに乗せて上体を前に倒し、片手の拳に額を乗せ、反対の腕を前へ伸ばして手のひらを上に返し、肘を伸ばしたまま床から持ち上げる。図は右腕を上げた例。手のひらを上に返し肘を伸ばしたまま持ち上げるお尻はかかとに額は拳の上横から見た図
図:リーチ・ロール・リフトテストの姿勢(イメージ)

制限があると、どう見えるか?

背中や肩甲骨が動かないぶんを、肘や腰、手のひらの向きで補う形で出ることが多いテストです。測っていると、次のような出方があります。

制限の主な見え方

・上げる途中で肘が曲がる
・上げると手のひらが内側へ戻る
・額が拳から離れる、上体が起きる、腰が反り上がる、お尻がかかとから浮く
・肩が耳に近づく(すくむ)
・片方の腕だけ低い、またはその腕だけ補い方が出る

手のひらが途中で内側へ戻る場合は広背筋の硬さを、手のひらの向きは保てるのに高く上がらない場合は肩甲骨を支える筋肉の働きと胸椎の伸展を、まず疑います。片方の腕だけ低い場合、利き腕側の広背筋の張りや、肩の古いけがが背景にあることもあります。どこまで上がれば十分かは、測定の場でご本人の動きを見ながらお伝えしています。

スイングには、どう出やすいか?

胸椎の伸展と肩甲骨まわりの動きが足りないと、アドレスで背中の上が丸まる構え(Cポスチャー)に寄りやすく、背骨を回す量が減って、腕主導のスイングにつながる可能性があります。出方によって、寄りやすい構えとスイングの傾向が分かれます。

01制限の出方

胸椎が伸びにくい

寄りやすい構え・局面
背中の上が丸い構え(Cポスチャー)
スイングで出やすい傾向(可能性)
バックスイングの回転が浅くなり、トップが浅くなる。前傾を保ったまま肩を斜めに回しにくく、肩が横に回る(フラットショルダープレーン)。スイング中に前傾が崩れる(ロスオブポスチャー)

02制限の出方

腕を上げる分を腰の反りで補う

寄りやすい構え・局面
トップ
スイングで出やすい傾向(可能性)
上体が目標側へ傾く(リバーススパインアングル)。腰にかかる負担が増えやすい

03制限の出方

トレイル腕(右打ちの右腕)の側が上がりにくい

寄りやすい構え・局面
トップ
スイングで出やすい傾向(可能性)
トレイル腕を外へ回して上げる動きが足りず、肘が浮く、腕を上げる分を腰の反りで補い、上体が目標側へ傾く(リバーススパインアングル)一因になりうる

04制限の出方

リード腕(右打ちの左腕)の側が上がりにくい

寄りやすい構え・局面
トップ
スイングで出やすい傾向(可能性)
リード腕を胸の前で高く上げにくく、肩の回る面が平らになる。または上体を起こして帳尻を合わせる

左打ちの方は、表の左右が逆になります。

ただし、36人のゴルファーでTPIの身体テスト12項目と14のスイング特性の関係を調べた研究(Gulginら、2014年)では、統計的に関係が確かめられたのは前屈・ブリッジ・ディープスクワット・片脚立ちに関わる一部の組み合わせで、要旨に挙がった組み合わせにリーチ・ロール・リフトは含まれていません。ですから私たちは、このテストの結果だけでスイングの癖を決めつけず、16項目の組み合わせと実際のお困りごとを照らして読みます。猫背・反り腰の構えはゴルフの猫背・反り腰は構えで直らないに、肩が横に回る動きはフラットショルダープレーンの直し方に書いています。

当てはまるとき、何から始めるか?

高く上げる練習から始めることはしません。胸椎と広背筋の動く範囲を出し、肩甲骨を支える筋肉で腕を上げる形を作り、最後にアドレスの前傾の中で胸を伸ばして回します。高さより、肘と手のひらの向きを保てるかを優先します。

1

動く範囲を出す(仰向け・横向き)

フォームローラーで胸椎を伸ばし、広背筋をゆるめます。手のひらが途中で戻る方は、広背筋から入ります。

2

肩甲骨で腕を上げる(正座・うつ伏せ)

テストと同じ形を練習として繰り返し、うつ伏せで腕を上げる種目を加えます。肩がすくむ、腰が反る形が出ない範囲で行います。左右差がある方は、上がりにくい側から始めます。

3

前傾の中で胸を伸ばして回す(アドレス)

クラブを頭上に持って前傾し、腕を頭上に残したまま胸を回します。腰が反る、前傾が起き上がるなら、ひとつ前の段階に戻ります。

代表的なエクササイズ5種

私たちがリーチ・ロール・リフトに制限が出た方に使う種目のうち、代表的な5つです。どれも痛みのない範囲で、ゆっくり行います。回数と負荷は、測った結果と体力に合わせて決めています。

1. フォームローラー胸椎伸展

段階1・動く範囲を出す|胸椎が伸びにくい方
このテストで使うときは、当てる位置を肩甲骨の範囲の中で少しずつ上へずらし、腰の下には当てません。お尻を床につけたまま、肩甲骨の間だけを反らせます。やり方は03 胸郭回旋のページで説明しています。

2. フォームローラー広背筋リリース

段階1・動く範囲を出す|手のひらが途中で戻る方
脇の下に直接当てず、少し下の背中側に当てます。腕にしびれが出たらやめます。やり方は10 広背筋長のページで説明しています。

3. リーチ・ロール・リフト(エクササイズとして繰り返す)

段階2・肩甲骨で腕を上げる|出方を問わず
正座からお尻をかかとに乗せたまま上体を前に倒し、片手の拳に額を乗せます。お尻がかかとまで届かない方は、お尻とかかとの間にたたんだタオルを挟みます。反対の腕を前へ伸ばし、手のひらを上に返し、肘を伸ばしたまま床から浮かせます。額が拳についたまま、肘が伸びて手のひらが上を向いている状態を保ち、高さは求めません。上げるのがつらい方は、リフトを省いてリーチとロールだけを丁寧に繰り返します。膝が痛む場合は行いません。

4. うつ伏せYレイズ

段階2・肩甲骨で腕を上げる|高く上がらない方
このテストで使うときは、肩甲骨を下げながら内側へ寄せ、腕が耳から離れて上がる感覚を確かめます。腰を反らせて胸を持ち上げないように。やり方は06 肩関節外旋(90/90)のページで説明しています。

5. クラブ頭上ヒンジ&回旋

段階3・前傾の中で胸を伸ばして回す|出方を問わず
天井や照明、周りに当たらない場所で、クラブを頭上で広めに持ち、腕と上体を一直線に保ったまま、股関節から前傾してアドレスの前傾を作ります。その姿勢で腕を頭上に残したまま、バックスイングの方向・フォローの方向へ胸を回して戻します。腕が耳の横に残り、胸椎が伸びて回っている感覚を確かめます。腰を反らせて腕を残す、肘が曲がる、前傾が起き上がる形にならないように。難しい方は、クラブを胸の前で抱えて行います。

構えの型(CポスチャーとSポスチャー)はCポスチャーとSポスチャーの直し方に、胸椎の回し方はゴルフの胸椎の回し方に書いています。

測る現場で気をつけていること

リーチ・ロール・リフトで私たちが気をつけているのは、高さを競わないことです。肘が伸びているか、手のひらが上を向いたままか、補い方が出ていないかという動きの質を先に見ます。見る順番は、肘の曲がり、手のひらが戻る瞬間、額の浮き、お尻の浮き、腰の反り、肩のすくみです。

腕が上がらない方には、リフトを省いてリーチとロールだけを丁寧に行ってもらうことがあります。そうすると、広背筋の側なのか、肩甲骨・胸椎の側なのか、見当がつけやすくなります。膝や足首が硬くてお尻がかかとまで下りない方は、たたんだタオルに座った位置から始め、次に測るときも同じ条件で測ります。膝に痛みが出る場合は、このテストは行いません。

※このページのテストとエクササイズは、運動機能を確かめるためのもので、医学的な診断ではありません。肩・背中・腰・膝に痛みがある場合や、腕にしびれがある場合は、試さずに医療機関にご相談ください。腕を上げると肩が外れそうな不安を感じる方、肩を脱臼したことがある方も、試さないでください。

よくある質問

リーチ・ロール・リフトテストは、自分でもできますか?

動きそのものは、正座からお尻をかかとに乗せて上体を倒し、片手の拳に額を乗せ、反対の腕を伸ばして手のひらを上に返し、肘を伸ばしたまま上げてみると確かめられます。ただ、肘の曲がりや腰の反り、お尻の浮きで上がったように見えることがあり、自分では気づきにくいテストです。肩・腰・膝に痛みがある場合や、腕にしびれがある場合は試さず、医療機関にご相談ください。

胸を張って構えれば、背中の丸まりは直りますか?

胸椎が伸びにくい身体のままだと、胸を張る動きは、腰を反らせる動きに置き換わりやすくなります。背中の上が丸い構えが、腰の反りが強い構えに移るだけになることがあります。言葉で構えを直す前に、胸椎を伸ばせるか、肩甲骨で腕を上げられるかを確かめると、何から取り組むかを決めやすくなります。

広背筋長のテストとは、何が違いますか?

どちらも腕を頭の方へ上げる動きを見ますが、リーチ・ロール・リフト(15番)は、お尻をかかとに乗せて腰を動かしにくくした姿勢で、片腕ずつ、胸椎の伸展と肩甲骨の働きを含めて見ます。広背筋長(10番)は、広背筋の長さに焦点を当てた項目です。手のひらが途中で戻るなら広背筋の側を、手のひらは保てるのに上がらないなら肩甲骨と胸椎の側を、先に疑います。

TPI測定のご案内

胸を張っても構えが戻ってしまうなら、背中の上と肩甲骨が動くかどうかを一度測ってください。TPI測定(TPIフィジカルアセスメント)では、リーチ・ロール・リフトを含む16項目を測り、何から手を付けるかをその場でお伝えします。

TPI Physical Assessment

背中の上が伸びるかどうかを、
16項目の中で確かめる90分

16項目を実測し、制限が出た項目とスイングの傾向の結びつきを、評価レポートとプログラムのPDFでお渡しします。単発で完結し、入会は不要です。

¥19,80090分・税込・入会不要

ウェア・タオル無料 | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分

主な参考(タップで開く)
  1. Titleist Performance Institute. About(mytpi.com。身体とスイングの結びつき=Body-Swing Connection の考え方). https://www.mytpi.com/about
  2. Titleist Performance Institute. C-Posture/Flat Shoulder Plane(mytpi.com). C-Posture・Flat Shoulder Plane
  3. Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute (TPI) level 1 movement screens and golf swing faults. J Strength Cond Res. 2014;28(2):534-539. doi:10.1519/JSC.0b013e31829b2ac4
岡本隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified Fitness 2 / Power 2 NASM-PES FMS SFMA

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPI認定(Fitness 2/Power 2)。NASM-PES。FMS・SFMA認定。世田谷区の少年野球チーム「船橋フェニックス」の監督。TPIの認定は岡本個人の資格で、Disport WorldはTPIが運営・提携する施設ではありません。