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ゴルフ/TPIフィジカルアセスメント/Test 05

TPI Screen Library — Test 05

前屈テスト(Toe Touch)——股関節から前傾を作れず、背中を丸めて構えてしまう人が確かめること

膝を伸ばしたまま、指先がつま先に届くか。届く距離だけでなく、どう折れて届くかを見ると、前傾の作り方の癖が見えてきます。

2026.10.15 読了 約7分

こんなお困りごとはありませんか。「股関節から前傾して」と言われても、背中が丸くなってしまう。前傾を作ろうとすると膝を深く曲げてしまい、構えが窮屈になる。ダウンスイングで腰がボールに近づき、手元が詰まる。このページでは、TPIの身体評価16項目の05番「前屈」が何を見るテストか、制限があるとどう見えるか、スイングにどう出やすいか、当てはまるときに何から始めるかをお伝えします。

書いているのは、六本木のパーソナルジム Disport World です。代表の岡本隼人は、TPI認定(Fitness 2/Power 2)と日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の資格を持ち、TPI Screen(TPIの身体評価)を提供しています。扱うのはスイングの技術ではなく、身体の側の原因です。16項目の一覧(TPIフィジカルアセスメント)→

前屈テストは、何を見るテストか?

太もも裏・お尻・背中にかけての体の後ろ側の伸びやすさと、前屈の「動き方」の質を見るテストです。靴を脱いで足をそろえ、つま先を正面に向けて立ち、膝を伸ばしたまま、反動をつけずにゆっくり前屈して、指先がつま先に届くかを確かめます。

見るのは、指先がどこまで届くかに加えて、膝が曲がっていないか、反動を使っていないか、お尻(重心)が後ろへ引けながら下りているか、背骨のカーブが全体で均等か、の4つです。前傾を作りにくい原因が、体の後ろ側の硬さなのか、お尻を後ろへ引く動き方なのかを切り分ける起点になります。ゴルフのアドレスの前傾は、股関節から折れる動き(ヒップヒンジ)で作るものなので、前屈はその土台を見るテストでもあります。16項目の全体と、TPIそのものについてはTPIとはで解説しています。

前屈テストの姿勢のイメージ。足をそろえて立ち、膝を伸ばしたまま反動をつけずに前屈して、指先がつま先に届くかを確かめる。指先はつま先へ膝は伸ばしたまま反動をつけずゆっくり前屈横から見た図
図:前屈テストの姿勢(イメージ)

制限があると、どう見えるか?

届かないことそのものより、届かせ方に特徴が出るテストです。測っていると、次のような出方があります。

制限の主な見え方

・膝を曲げて、指先を届かせる
・反動をつけて、勢いで届かせる
・お尻が後ろへ引けず、重心が前に残ったまま腰だけが丸まる
・背骨が全体で丸まらず、腰の一か所で折れ曲がる
・届かない位置で止まり、突っ張る場所が太ももの裏の人と腰の人がいる

膝の曲げと反動は、伸びの足りなさを補う代償です。重心が前に残る前屈は、体が硬いというより、お尻を後ろへ引く動きのパターンが身についていないサインとして読みます。同じように届かない方でも、仰向けで脚を上げる動きは楽にできる方もいれば、そちらも硬い方もいます。前者は動き方の問題、後者は伸びやすさの問題が大きいと考え、取り組む順番を変えます。

また、片方の足だけを少し高くして前屈すると、片側だけ楽になる方がいます。この場合は、太もも裏や腰の柔らかさより、股関節の片側の制限を疑う、というのがTPIの考え方です。どこまで届けば十分かは、こうした届かせ方と合わせて見るため、測定の場でご本人の動きを見ながらお伝えしています。

スイングには、どう出やすいか?

股関節から前傾を作りにくいと、背中や腰を丸めて前傾を作る、膝を曲げすぎるといった構えに寄りやすく、ダウンスイングで前傾を保てない、骨盤がボール側へ出る、といった動きにつながる可能性があります。出方によって、寄りやすい構えとスイングの傾向が分かれます。

01前屈の出方

体の後ろ側(太もも裏・お尻・背中)が伸びにくい

寄りやすい構え
背中や腰を丸めて前傾を作る構え
スイングで出やすい傾向(可能性)
ダウンスイングで前傾の角度を保ちにくい(ロスオブポスチャー)

02前屈の出方

お尻を後ろへ引けず、重心が前に残る

寄りやすい構え
膝を曲げすぎた構え。股関節から折れていない
スイングで出やすい傾向(可能性)
ダウンスイングで骨盤がボール側へ出て、体が起き上がる(アーリーエクステンション)

03前屈の出方

膝の曲げや反動で届かせる

寄りやすい構え
前傾の深さが毎回変わりやすい
スイングで出やすい傾向(可能性)
インパクトで手元が詰まる、当たりが安定しにくい

36人のゴルファーでTPIの身体テスト12項目と14のスイング特性の関係を調べた研究(Gulginら、2014年)では、統計的に関係が示されたのは、前屈・ブリッジ・ディープスクワット・片脚立ちに関わる一部の組み合わせでした。そのひとつが、前屈とアーリーエクステンション(ダウンスイングで腰が早く伸びる動き)の組み合わせです。研究の結論でも、太もも裏の柔らかさに取り組む大切さが挙げられています。

ただし、対象は36人で、前屈が硬い方がみなアーリーエクステンションになるという意味ではありません。ですから私たちは、このテストの結果だけでスイングの癖を決めつけません。16項目の組み合わせと、実際にお困りのスイングの動きを照らして読みます。14のスイング特性それぞれの意味は14のスイング特性の解説に、股関節から構える考え方はゴルフの股関節の使い方で解説しています。

当てはまるとき、何から始めるか?

いきなり前屈を繰り返して伸ばそうとはしません。硬さをほどき、次にお尻を後ろへ引く動きと脚を上げる動きを覚え、最後にアドレスの前傾へつなげる、という順に進めます。

1

体の後ろ側の硬さをほどく(座る・ローラー)

太もも裏からお尻の張りをほどきます。伸びやすさが大きく足りない方は、ここに時間をかけます。ほどいた直後に、次の段階の動きへつなげます。

2

脚を上げる・お尻を引く動きを覚える(仰向け・壁)

反対の脚を床に残したまま脚を上げる動きと、背すじを保ったままお尻を後ろへ引く動きを、支えのある姿勢で身につけます。

3

ゴルフの構えにつなげる(アドレス)

クラブを背中に当てて背骨の形を保ったまま股関節から前傾し、最後はクラブを外してアドレスで同じ前傾を作ります。ここで崩れるなら、ひとつ前の段階に戻ります。

代表的なエクササイズ5種

私たちが前屈に制限が出た方に使う種目のうち、代表的な5つです。どれも痛みのない範囲で、ゆっくり行います。回数と負荷は、測った結果と体力に合わせて決めています。

1. 太もも裏・お尻のフォームローラー(もみほぐし)

段階1・硬さをほどく|体の後ろ側が伸びにくい方
床に座り、片脚の太もも裏の下にフォームローラーを置いて、両手を後ろにつきます。体重をかけて太もも裏からお尻までゆっくり転がし、張りの強い所で止めて深く呼吸します。膝の裏には乗せません。しびれが出たら位置をずらし、続くようなら中止します。終わったら、すぐに次の種目へつなげます。

2. アクティブSLR(仰向けの脚上げ)

段階2・脚を上げる動きを覚える|出方を問わず
仰向けで両膝を伸ばし、片脚を膝を伸ばしたままゆっくり上げ下げします。反対の脚は床へ押しつけて骨盤を安定させ、腰が浮かない範囲で動かします。反対の膝が曲がる、骨盤が浮いて腰で脚を持ち上げる形にならないようにします。きつい方は、ドア枠などに片脚を立てかけ、反対の脚を床へ押しつける練習から始めます。

3. 壁ヒップヒンジ(お尻タッチ)

段階2・お尻を引く動きを覚える|重心が前に残る方
壁を背にして、足半分から一つ分ほど前に立ちます。膝を軽く緩めたまま、背すじを伸ばしてお尻を後ろへ引き、壁にタッチしたら、お尻の力で押して立ち上がります。膝を曲げてしゃがみ込み、お尻が下がるだけの形にならないように。慣れたら壁との距離を広げます。

4. 膝曲げトウタッチ

段階2・前屈の動き方を覚え直す|膝や反動で補う方
膝を曲げて指先をつま先につけ、指先を離さないまま、お尻を高く突き上げるようにして膝をできる範囲で伸ばします。太もも裏の伸びを感じたら膝を曲げて戻り、これを繰り返します。腰ではなく股関節で折れる感覚をつかむための種目です。きつい方は、指先をすねに置いて始めます。

5. ゴルフクラブ・ヒップヒンジ

段階3・ゴルフの構えにつなげる|出方を問わず
クラブを背中に縦に当て、片手は首の後ろ、片手は腰の後ろで持ちます。後頭部・肩甲骨の間・お尻の上の平らな骨の3か所がクラブから離れないように保ち、膝を軽く緩めてお尻を後ろへ引きながら前傾します。腰を丸めて離れる、腰を反らせて隙間が広がる、膝を前に出して深く見せる形になる手前で戻ります。最後はクラブを外し、アドレスで同じ前傾を作ります。

構えが丸まる・反る原因はゴルフの猫背・反り腰は構えで直らないに、腰が早く伸びる動きはアーリーエクステンションの解説に書いています。

測る現場で気をつけていること

前屈で私たちが気をつけているのは、届いた距離より先に膝を見ることです。膝の曲がりで距離を稼ぐのはよく出る代償で、距離だけを見ていると見落とします。また、測るときにお伝えするのは、膝を伸ばすこと、反動をつけないこと、ゆっくり行うことだけで、お尻を後ろへ引く動きはこちらから教えません。自然にお尻が引けるかどうかが、見たいところだからです。

もうひとつは、届かないときに「太もも裏が硬い」と決めつけないことです。仰向けで脚を上げる動きは、太もも裏の柔らかさのテストではなく、脚を上げながら骨盤と体幹を安定させる力も含めて見る動きです。前屈とこの動きの差、片方の足を高くしたときの左右の差を見比べて、伸ばすことから始めるのか、動き方を覚え直すことから始めるのかを決めています。ストレッチを続けても前傾が変わらない方は、後者のことがあります。

※このページのテストとエクササイズは、運動機能を確かめるためのもので、医学的な診断ではありません。腰や脚に痛み・しびれがある場合は、試さずに医療機関にご相談ください。

よくある質問

前屈テストは、自分でもできますか?

動きそのものは、靴を脱いで足をそろえ、膝を伸ばしたまま反動をつけずにゆっくり前屈すると確かめられます。ただ、膝のわずかな曲がりやお尻が後ろへ引けているかは、自分では気づきにくいところです。鏡で横から見るか、誰かに見てもらうと分かりやすくなります。腰や脚に痛み・しびれが出る場合は試さず、医療機関にご相談ください。

体が硬いと、ゴルフで前傾が崩れますか?

崩れるとは限りません。体の後ろ側が伸びにくいと、股関節から前傾を作りにくく、背中を丸めた構えや、ダウンスイングで腰が早く伸びる動きにつながる可能性はあります。一方で、硬さではなくお尻を後ろへ引く動き方が原因のこともあります。私たちは16項目の組み合わせと、実際のスイングのお困りごとを照らして見ます。

太もも裏のストレッチを続ければ十分ですか?

伸びやすさが足りない方には役立ちますが、それだけでは足りないことがあります。前屈で届かない原因が、お尻を後ろへ引く動き方や、脚を上げるときの体幹の安定にある場合は、ストレッチより動き方を覚え直す種目が先になります。どちらが大きいかを確かめてから取り組むと、遠回りを減らせます。

TPI測定のご案内

股関節から前傾を作ろうとしても背中が丸まってしまうなら、前屈の届かせ方を一度測ってください。TPI測定(TPIフィジカルアセスメント)では、前屈を含む16項目を測り、何から手を付けるかをその場でお伝えします。

TPI Physical Assessment

股関節から前傾を作れるかを、
16項目の中で確かめる90分

16項目を実測し、制限が出た項目とスイングの傾向の結びつきを、評価レポートとプログラムのPDFでお渡しします。単発で完結し、入会は不要です。

¥19,80090分・税込・入会不要

ウェア・タオル無料 | 完全個室 | 六本木駅徒歩4分

主な参考(タップで開く)
  1. Titleist Performance Institute. The Toe Touch Test(mytpi.com). https://www.mytpi.com/articles/screening/the-toe-touch-test
  2. Titleist Performance Institute. Early Extension/Loss of Posture(mytpi.com). Early Extension・Loss of Posture
  3. Gulgin HR, Schulte BC, Crawley AA. Correlation of Titleist Performance Institute (TPI) level 1 movement screens and golf swing faults. J Strength Cond Res. 2014;28(2):534-539. doi:10.1519/JSC.0b013e31829b2ac4
岡本隼人
Disport World 代表トレーナー
JSPO-AT TPI Certified Fitness 2 / Power 2 NASM-PES FMS SFMA

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)。TPI認定(Fitness 2/Power 2)。NASM-PES。FMS・SFMA認定。世田谷区の少年野球チーム「船橋フェニックス」の監督。TPIの認定は岡本個人の資格で、Disport WorldはTPIが運営・提携する施設ではありません。